長岡京エイリアン

日記に…なるかしらん

やっつけ仕事と侮るなかれ! ヒッチコックみ濃厚なスペクタクル時代劇 ~映画『巌窟の野獣』~

2024年07月28日 21時27分44秒 | ふつうじゃない映画
 え~どうもみなさんこんばんは! そうだいでございまする。
 いよいよ夏本番と申しますか、だらだらと続いていた山形の梅雨も、もうすぐ明けるようでございます。単に慣れただけだからなのかも知れないけど、なんか今年の暑さはそんなでもないような気がする……と、毎日汗まみれの情けない姿で働いている奴が申しております。確かに暑いことは暑いんだけど、熱中症とか命の危険を感じるほどでもないような気がするんですよね。でも、私も年々少しずつ老いていることは明らかなので、自分の肉体に過度な自信を持っちゃあいけませんやね。水分補給は忘れずこまめに!

 さてさて、今回は「ヒッチコック監督作品おさらい企画」の更新でございます。また今回も、後半に羅列した視聴メモがやたらと長くなってしまったので、大雑把な感想はちゃちゃっといきたいと思います。

 いやぁ、この作品、個人的にはとっても面白かったですよ! もともと期待値がかなり低かったから、その反動で上がり幅が大きかっただけなのかもしれませんが、パッケージだけを見て「ヒッチコックの歴史ものぉ?」と食わず嫌いをするのは大損なような気がします。


映画『巌窟の野獣』(1939年5月公開 94分 イギリス)
 『巌窟の野獣(がんくつのやじゅう 原題: Jamaica Inn)』は、アルフレッド=ヒッチコック監督によるイギリスの冒険スリラー映画である。原作はイギリスの小説家ダフニ=デュ・モーリエ(1907~89年)の小説『原野の館』(1936年発表)。本作はヒッチコックが映画化したデュ・モーリエの3作品のうちの1作目である(他は『レベッカ』と『鳥』)。アイルランド出身の国際女優モーリン=オハラにとっては初の映画出演作であった。
 本作は、ヒッチコックがアメリカ合衆国に移住する前に作った最後のイギリス映画となった。

おもなスタッフ
監督 …… アルフレッド=ヒッチコック(39歳)
脚本 …… シドニー=ギリアット(31歳)、ジョーン・ハリソン(31歳)、アルマ=レヴィル(39歳)、ジョン・ボイントン=プリーストリー(44歳)
製作 …… エーリッヒ=ポマー(49歳)、チャールズ=ロートン(39歳)
音楽 …… エリック=フェンビー(33歳)
撮影 …… バーナード=ノウルズ(39歳)、ハリー=ストラドリング(37歳)
制作・配給 …… メイフラワー・プロダクションズ

おもなキャスティング
ハンフリー=ペンガラン侯爵 …… チャールズ=ロートン(39歳)
メアリー=イエレン     …… モーリン=オハラ(18歳)
ジェイム=トレハン     …… ロバート=ニュートン(33歳)
ジョシュ=マーリン     …… レスリー=バンクス(48歳)
ペイシェンス=マーリン   …… マリー=ネイ(43歳)
行商のハリー        …… エムリン=ウィリアムズ(33歳)
執事のチャドウィック    …… ホレイス=ホッジス(75歳)
側近のデイヴィス      …… フレデリック=パイパー(36歳)
馬丁のサム         …… ヘイ=ペトリー(43歳)
マーレイ船長        …… ジョージ=カーゾン(40歳)
ジョージ卿         …… ベイジル=ラドフォード(41歳)


 上の解説記事をお読みいただいてもわかる通り、本作はキャリア10年強、監督作品20本を超えていた1930年代時点でのヒッチコック監督史上最高傑作と評してもよいあの『バルカン超特急』の直後に制作され、そしてヒッチコック監督のキャリア全盛期の舞台となるアメリカ・ハリウッドへの進出第1作となる『レベッカ』の1コ前の作品ということで、彼の映画人生における第1章「イギリス立志編」の最後を飾る作品であるはずなのに、なにかと話題にされることの少ない不遇の作品であるような気がします。
 おそらくこれは、主演の名優チャールズ=ロートン自身のプロデュースということで、監督の意見よりもまず主演がいかに輝くかという「座長公演」のような作品になっていることが大きいと思うのですが、実際にこの作品は、自分の利益のために貧しいコーンウォールのならず者たちを影で支配し、そのためならば何の罪もない商船の乗組員を全員皆殺しにすることもいとわないという冷酷非道な地方領主が主人公となっているので、どうしてもスカッとした爽快感……からは程遠い印象の歴史ドラマとなっているのです。悪役が主役なんでねぇ、最後に死んじゃうのは仕方ないとしても、それでバンザーイ!って感じにはならないんですよね。

 それでも、この作品は少なくとも2つのポイントで非常に見ごたえのある傑作になっていることは間違いありません! いやホント、大スクリーンで観たらかなり大迫力のスペクタクルが楽しめたはずですよ。

 とはいえ、この『長岡京エイリアン』の他の記事をつまんでいただいてもおわかりの通り、なにを隠そうわたくしめが歴史好きであるということで、だいぶ加点要素が多くなっているというひが目もあるかも知れないのですが、19世紀前半のイギリスの史劇っていうのも、あんまり見た記憶がないので、そういう意味でも面白かったんですけどね。日本でいったら幕末直前、江戸時代がまさに太平の眠りとも言うべき完熟期を迎えていた頃なわけですが、その時期の先込めフリントロック式拳銃を主武器にすえた冒険映画なんて、けっこう珍しいじゃないですか。いや、本作で実際に発砲されたのはたったの1発だけなわけですが、それもそのはず、当時の銃はかなり扱いづらく、操作が面倒すぎ! ほんと、ヒーロー役のトレハンはあんなの1丁でよく悪党の巣窟に突入できたな……

 ともかく、そんな歴史加点を抜きにしましても、本作は以下の2点がすごいんでございます。


1、海洋(正確には海岸だけど)アクションとしての特撮をまじえた映像演出が大迫力!

 ほんとすごい、ほんとに甘く見てました、ヒッチコック監督の「海アクション愛」!!
 今までは特に列車特撮が監督作品のクライマックスに投入されることが多かったかと思うのですが、そうそう、ヒッチコック監督は「海」や「船」も作中の舞台に選ぶことがあったんですよね! 『ダウンヒル』(1927年)とか『リッチ・アンド・ストレンジ』(1931年)とか。あと、船のミニチュア特撮で言うと『第十七番』(1932年)での力の入れようが尋常じゃなかったし、海岸描写の美しさという点では、冒頭の一瞬ではあるものの『第3逃亡者』(1937年)でのカモメかなんかの羽ばたくスローモーション撮影が印象的でした。
 本作『巌窟の野獣』は、そういったヒッチコック監督の「海好き趣味」の集大成ともいえる全力投球ぶりで、大波の打ち寄せる嵐の岸壁や、積み荷の上げ下ろしでにぎわう夜の港町、そして大型帆船を丸ごと1個とか半分まるごとセットで組んで大迫力のスペクタクル劇を画面に収めています。実際にプールのような場所でザバザバ高い波が襲いかかってくる中を下着姿で泳いだり、雨風がビュービュー吹きすさぶ中で悪党ともみくちゃになりながら灯台の灯りを復活させようとするモーリン=オハラさんの女優根性はすごいぞ! 本来ならば、そういうことをさせるヒッチコック監督のサディスティックな演出志向の方が前に出てヤな感じになるところなはずなのですが、なにせ当時若干18歳のオハラさんが持ち前のダブリン魂を炸裂させて「できらぁあ!!」とバリバリやってのけるので、かわいそう感が全然ないのが最高ですよね。オハラさんの役だけ、なぜか高橋留美子ワールドのかほりを感じる……

 実寸大のスタジオセット撮影の迫力の他にも、ヒッチコック監督はその絶妙な映像センスとバランス感覚で、並みのオーバーラップ合成映像や実景を使ったスクリーンプロセス、そして遠景の帆船にはミニチュア撮影と、当時考えうる特撮技術をフル投入して海岸シーンを作っているので、本当に「ウソをホントに見せる」映画という魔術の教科書みたいな出来になっております。あとは怪獣が出てくれば最高だったのにぃ!!

 後半の、嵐の中で商船の転覆を待ち受ける海岸の強奪団のシーンなんか、なんか観客も強奪団の一味になっちゃったような没入感があって、ついつい「早く難破しやがれ! げっへっへっへ」みたいな気分になっちゃうんですよね。難破船襲撃、ダメ!ゼッタイ!!


2、主演ロートンの看板演技がすごい

 こちらはまぁ、いかにも悪辣な近世貴族ですといった、かなりオーバーな演技でもあるので、鼻について嫌だなという拒否反応が出る人も少なくはないかと思うのですが、それでも、本作のロートンは悪者一辺倒ではない、けっこう複雑な人物としてのペンガラン侯爵というキャラクターを創出しています。
 画質の良くないモノクロ映画時代の慣例でもあるかと思うのですが、ロートン演じる侯爵はまるで歌舞伎かコントのような派手な衣装に類型的なカツラ、作り眉といったいでたちで、メイクのためか表情もほとんど変化せず、身のこなしも基本的に鷹揚としているため一見、『水戸黄門』の悪代官とさして変わりないような典型的な悪役のような外見をしています。

 ところが、本作を観ていくにつれて、観客はどうやらこの侯爵が精神的にかなり破綻ギリギリのところまで追い詰められていて、それを執拗に隠そうとするがために、意図してあんなに泰然自若とした物腰で、なんにもない虚空を見つめながら話しているのではないかと気になってくるのです。つまり、侯爵に深刻な影の面があることが、それに直接ふれるシーンこそないものの、ロートンのハリボテのような演技によってありありと浮かび上がってくるのです。観たらわかります、これは単に私の妄想ではなくて、絶対にロートンの計算内の名演ですって!
 だって、侯爵はアップになると視線を周囲をちらちらせわしなく動かして、目の動きが落ち着かないそぶりを見せることが多いんですよ。これは、自分の犯罪がバレないと思って安心しきっている人間の挙動ではないでしょう。地方の権力者の傲慢さを演じながら、同時に心の弱い孤独な人間の怯えも表現する、ロートンの流石の名演。見ごたえは充分です! ちょっとサイコサスペンスみすらあるくらいですよ。

 また見逃せないのは、侯爵の奇行や犯罪には全く口出しこそできないものの、常に病人を気遣うような憐みのまなざしで彼を見守る執事のチャドウィックの存在感ですよね。彼あってこその侯爵、彼あってこその、稀代の悪人の破滅を描くピカレスクロマンとしての『巌窟の野獣』であるような気がします。

 侯爵の最後の断末魔である、「皆の者、騎士道の時代は死んだ! 余も、これから騎士道に殉じる!!」という言葉も、聞いた側からしてみれば「いや、それとこれとは話が別でしょ……あんたが悪いことして勝手に自滅してるだけっしょ。」と言いたくもなるのですが、近代という新しい時代の足音が聞こえてくることに怯えることしかできなかった人物の憐れさを象徴しているようで味わい深いものがあります。


 ……こんな感じで、ヒッチコック監督、イギリス時代のいったんの終わりを飾るこの最終作『巌窟の野獣』は、歴史ものという敷居の高さはあるものの、監督の映像センスの鋭さ、スピーディさをいささかも鈍らせていない、ピリオドに相応しい傑作になっていると思います。いかにもヒッチコック印という王道サスペンスものではありませんが、かつてのサイレント時代における非サスペンスもの諸作とはまるで次元の違う面白さが保証されていることは間違いありません。おヒマなら、ぜひぜひ観てみてください!

 さぁ、そしていよいよ次作からは、新天地ハリウッドでのヒッチコックの黄金時代へとつらなる第2章が始まりますよ~! この企画でカラー作品を扱うことになるのは、いったいいつのことになるのカナ!?

 大西洋を越えて新たなる地平を切り開くヒッチコックの大冒険。しかしそこには、ワンマンプロデューサーや第二次世界大戦というものすんごい障壁がわんさか待ち受けていて~!?


≪毎度おなじみ、視聴メモメモ!≫
・冒頭、イギリスのイングランド地方の南西端に位置するコーンウォールに伝わる俗謡が字幕で紹介されるのだが、ありていに言えば「海岸の住民が難破船の積み荷を臨時収入として得ていた」というか、なんだったら「救助せずに強奪までしていた」ことまで匂わせる不穏な習俗が語られている。まぁ、日本でも昔はそれに似た風習はあったかも知れない。戦国時代には農民だって、農閑期の出稼ぎ(相手領国のもろもろの収奪)という認識で合戦に参加していたそうですからね……京極夏彦の「巷説百物語」シリーズの1エピソードを連想させる。
・単に字幕にコーンウォール沖の荒波の映像をオーバーラップさせているのではなく、字幕に荒波が襲いかかるような合成処理にしているところが芸コマで実にヒッチコックらしい。そうそう、監督、海も大好きですもんね!
・さすがヒッチコックと言うべきか、リアルに作られた帆船のミニチュア撮影と、実物大の甲板でのセット撮影との切り換えが本当に巧みで、難破する商船のスペクタクルが素晴らしい。ほんと、ヒッチコックの特撮センスはバカにできない! この作品、絶対にやっつけでは作ってないぞ!
・波涛にもまれる船にとっての頼みの綱である、岬の灯台の灯りを隠す非情なコーンウォールの民……というか、それ、灯台なの!? どう見ても「かがり火」としか言いようのないレベルの小さな灯りなのが驚きである。それでも、当時は絶対不可欠な文明の利器だったんだろうなぁ。
・実物大の甲板どころか、商船の前部を丸ごと作り、それが座礁する岬の岩場さえもセットで作る気合の入りよう! そして、そこに惜しげもなく投入する、一体プール何杯分使ってるんだという水、水、水!! しかも、白波の立ち方が細かいために、モノクロで見ても絶対にそれ真水じゃないよね、という海水特有の濃度の濃さを感じさせる質感になっているのがものすごい迫力である。セット撮影の嘘くささを全力で消そうとしてる!
・命からがら難破船から逃げる船員たちに対して、あたたかい毛布どころか、文字通りの「ヒャッハー!!」なとびっきりの笑顔で殺到し、皆殺しにしようと襲いかかるコーンウォールの民……時代劇とはいえ、これ大丈夫? コーンウォール漁協のみなさんとかに訴えられない!?
・難破船の積み荷はひとつ残らず収奪し、現場には船員はおろか、怪我をした同胞であろうと誰一人として生かしては残さないという徹底した悪の営み。それを、ごくごくふつうの稲刈りのように行っている海岸の男たちの手慣れた動きが恐ろしい!
・乗合馬車に乗っているメアリーが「ジャマイカ亭に行きたいんですけど……」と言ったとたんに、同乗客も御者も一様に嫌な顔をするというリアクションが、かの怪奇小説『ドラキュラ』の展開と全くいっしょで面白い。これ、イギリス伝奇文学のひとつのパターンなのかな?
・コーンウォール海岸のむくつけき男どもとは対照的に、異様に豪奢な邸宅で貴族たちとの饗宴をたのしむペンガラン侯爵。ちなみに、この席で侯爵が「新国王ジョージ4世に乾杯。」と語っていることから、本作の時代設定がハノーヴァー朝イギリス王国第4代国王ジョージ4世の即位した「1820年」であることがわかる。日本でいうと江戸時代後期、将軍は徳川家斉。異国船打払令あたり! もう船、世界中でふんだりけったり!
・ペンガラン侯爵は、登場時から執事のチャドウィックを手足のようにこき使い、ジョージ4世の信任も篤いという経歴をかさに着て、客人の貴族たちさえもバカにしたような傲岸不遜な態度をとる人物として描かれている。この侯爵を演じているのが、本作の主役でありプロデューサーでもある名優チャールズ=ロートンなのだが、若干アラフォーとは思えない貫禄の風貌が圧巻である。さすが、アラサーにして史上初の名探偵エルキュール=ポアロ俳優となっただけのことはある! 映像作品でもポアロを演じてほしかったですね。
・ロートンの演じる侯爵は、メイクも衣装も大げさだし身のこなしも演劇的というか、歌舞伎みたいな仰々しさがあるので一見するとサイレント映画を観ているような古臭さがあるのだが、いつでも胸を張って笑顔を浮かべ、何もない中空を見つめながら話しているようなしぐさが、侯爵の虚栄に満ちた人生のうつろさやむなしさを漂わせていて意味深である。同い年のヒッチコックと同様に、ロートンも片手間では演じてませんね、この作品。
・侯爵に最も忠実なはずの執事のチャドウィックが、しじゅう苦虫を噛み潰したような表情で侯爵に寄り添っているのも、この後の展開を予兆させるようで興味深い。彼も、かなり前から侯爵の末路を予期してたんだろう……
・邸宅に来訪したメアリーが美人であると見た瞬間に態度を軟化させ、饗宴の客そっちのけでジャマイカ亭にエスコートしようとする好色な侯爵。特殊メイクはしていないはずなのに、どこからどう見ても「美女と野獣」なカップリングである。でも、心も野獣なんだよなぁ。
・メアリーの叔母ペイシェンスが経営する宿「ジャマイカ亭」は、難破船襲撃団の巣窟でもあった! しかも、襲撃団のリーダーはなんとペイシェンスの夫、つまりはメアリーの叔父にあたる漁師ジョシュなのだ……冷酷無比で粗野だが侯爵に頭が上がらず、妻を愛する一面もあるジョシュを演じるのは、ヒッチコックのサスペンスジャンルにおける出世作ともいえる『暗殺者の家』(1934年)で主演を務めた経験のある名優レスリー=バンクスなのだが、正直なところ悪役のピーター=ローレと妻役のエドナ=ベストのキャラに負けて個性がいま一つ出せなかった前作のリベンジを果たすかのように、本作では一番と言っていいインパクトのある複雑な人物を演じている。憎ったらしいだけじゃなくて、ちゃんと心の弱みや、育った環境の悲劇性もにじみ出てるんですよね。田中邦衛みたいないい味!
・貧しい身なりの漁師や宿無しで構成されるジョシュの強奪団だが、その中でもぴっちりシャツで耳にはピアス、うす汚れたトップハットの斜めかぶりスタイルを崩さないおしゃれキャラ・行商のハリーの存在感が見逃せない。プリンスのご先祖様みたいな伊達男だ。
・けっこう早い段階で、ジョシュら強奪団の略奪した積み荷の利益の大部分を、本来ならば犯罪者を取り締まるべき立場のはずの侯爵が裏で差配してふところに納めているというゲスな構図が明らかとなるのだが、よそから来たメアリーをホイホイとジャマイカ亭に連れていく侯爵の打算的な行動が、メアリーの美貌にあてられてヘタをうったというよりも、「バレたらバレたでいいや、もみ消すし。」という超余裕な姿勢のあらわれであるところが恐ろしい。田舎の権力者、こわすぎ!!
・……にしても、侯爵、メアリーを送ったら早く屋敷に帰れや! たぶん、「共通の親友がいなくなって会話が途切れる気まずい初対面同士」みたいになってるぞ、チャドウィックとお客さん達が!! それとも、ああ見えてチャドウィックには場を何時間でももたせられる宴会芸の特技でもあるのか? 「やむをえん、秘技『コーンウォール名物はらをどり』発動ォオ!!」
・妻やメアリー、手下に対してはあんなに乱暴者なジョシュが、侯爵を前にすると借りてきたネコのように姿勢を正して従順になる変貌ぶりがおもしろい。でも、地方領主とはいえ、最高爵位の侯爵だもんなぁ。むしろジョシュのような庶民と面と向かって密談するような侯爵の方が異様なのかも知れない。
・積み荷の利益の大半がどこか(侯爵)に消えている可能性を告発したがために、逆にその疑惑をジョシュにおっかぶせられてひどい目に遭う、強奪団の新入りトレハン。ダスティン=ホフマン8割に爆笑問題の田中さん2割といった感じのやや頼りない風貌が、ヒロインにしては顔つきも態度もしっかりしたメアリー役のオハラさんと対照的でいいバランスである。知性のトレハンと度胸のメアリー!
・首吊りの刑にされる寸前のトレハンを、2階から直接縄を切ることで助けるメアリー。うーん頼もしい。どっちがヒロインなんだかわからん!
・夜の邸宅で、食費の請求書を読み上げるチャドウィックにいきなりキレる侯爵。一見、話の本筋と関係の無いエピソードのようなのだが、地方貴族としての日常の生活に倦み飽きるあまりに、侯爵が確実に精神のバランスを崩していることと、それを侯爵自身も自覚して怯えている状況を象徴する大事なシーンである。結末への伏線が丁寧だ。
・2階にいるメアリーが1階のトレハンの首吊り処刑を盗み見る構図や、海岸の洞窟のメアリーとトレハンが頭上の穴から見下ろすハリーたち追っ手を見上げる構図など、ぶっちゃけ典型的な展開の連続で退屈する部分を、ちょっと斬新な見せ方の工夫でもたせようとするテクニックが実にヒッチコックらしい。「あぁ、今ヒッチコックを見てるなぁ。」と実感する瞬間である。
・海岸をただようボートをすぐさま発見してトレハンたちの隠れ場所を抜け目なく押さえるハリー。そこはなかなか有能なのだが、相手がいる下の洞窟にロープを下ろして、一人ずつえっちらおっちら降りていくという最悪の手段を取るのがよくわからない。そんなん、各個撃破されるに決まってんでしょ! しかも、最初のトーマスとかいう手下はロープを揺すられて2~3メートル上から落ちただけで気絶するし……都会の小学生か!
・馬には乗れるし、冬場の荒波の中でも上着をかなぐり捨ててスリップ姿で泳ぎまくるし、メアリーの行動スキルがハンパない! 『暗殺者の家』での名スナイパーヒロイン・ジルに勝るとも劣らない高スペックヒロインである。若干18歳の彼女が、こんなにもたくましく育たなければならないアイルランドって、一体どんな人外魔境なんだ!?
・お話の流れ的には、困窮する領民から年貢を搾り取って贅沢好きな生活に明け暮れる悪逆非道な侯爵というキャラ設定が妥当なのだろうが、借金が払えないとか家の雨漏りがひどいとかいう領民の声を直接面会して聞いてちゃんと対応してくれる侯爵の姿は、ちょっと暴君とはいいがたい度を越したおもねり方である。人目を気にした表向きの顔だけにしても、大した殿様であることは間違いない。人権とか言い出す若造に厳しいのは、19世紀前半の貴族としては当然の感情だろうし……生活は破綻してるけど、根はいい人なのかな?
・侯爵が難破船強奪団の黒幕であることを露ほども疑わず、命からがら侯爵の邸宅に逃げ込むメアリーとトレハン。その時に邸宅にいる客人のうち、昨夜の饗宴からいるジョージ卿を演じているのが前作『バルカン超特急』のベイジル=ラドフォードで、海軍のマーレイ船長を演じているのが『第3逃亡者』の真犯人役のジョージ=カーゾンである。なつかしい顔!
・自分達から邸宅にやって来たメアリーとトレハンに、飛んで火にいる夏の虫とほくそ笑む侯爵だったが、トレハンが難破船強奪団の摘発のためにジャマイカ亭に潜入捜査していたイギリス中央政府の特命刑事(海軍中尉)であることが判明し、一転して危機に陥る。とりあえずは動揺を隠して、馬小屋から書斎へと部屋を変えさせるのだったが、対応が豹変しすぎ!
・身体を張った潜入捜査によって、ジョシュが難破船強奪団のリーダーで、さらにその上にジョシュしか知らない黒幕がいることまで突きとめていた有能なトレハンだったのだが、地元領主の侯爵を全く疑わずに手の内をべらべら話してしまったのが大失敗だった……「まだ政府には報告していない。」という一言を聞いて、態度には全く表さないながらも「よっしゃー!!」とにんまり微笑し、むやみに銃をいじくり出して挙動が若干ハイテンションになる侯爵。トレハンと一緒にワインを飲むときに震える手とか、このやり取りの中での細かな演技の移り変わりが非常に上手である。役者やロートン!
・トレハンの提案したジョシュたちの現行犯逮捕作戦に乗ったふりをしてトレハンを油断させる侯爵だが、この時にポーズだけ書きつけた軍隊の応援を要請する書状の送り先が、ウィルトシャー州の州都トロー(ブリッジ)となっている。ウィルトシャーはコーンウォールと同じイングランド地方の南西地域に属しているのだが、コーンウォールからトローブリッジまでの距離はおおよそ250~300km となっているので、本作のように午前中に書状を送った場合、夜中の摘発時に軍隊が到着したら御の字といった感じだろうか。いや、間に合うか!? ムリじゃね!?
・表向き、意気投合してジョシュたちの摘発の準備を進める侯爵とトレハンだが、それを盗み聞きしてしまったメアリーは、叔母夫婦を縛り首から救うために邸宅を抜け出してジャマイカ亭に作戦をリークしてしまう。ここらへんの、それぞれの思惑を胸に秘めての行動のすれ違いがみごとにドラマチックで、一気に物語のテンションを高めてくれる。デュ・モーリエの原作小説を読んでいないので、ここらへんが原作通りなのかどうかはわからないのだが、なんかシェイクスピアっぽい展開でいいですね!
・メアリーがジャマイカ亭に行ったことを知り、トレハンと侯爵は急遽作戦を変更してジャマイカ亭の家宅捜索に向かうのだったが、いくら急を要するとはいえ、ここで侯爵とのたった2人きりで乗り込むあたり、やはりトレハンはお人よしで短慮すぎる。なぜそこまで侯爵を疑わない!?
・言わんこっちゃない、実質ひとりでジャマイカ亭に乗り込んだ形のトレハンは、ジャマイカ亭に戻って来たハリー達に苦も無く捕まってしまう。いや、いくら銃を持っていると言っても、一発撃ち損じたら次の装填に手間がかかりまくるフリントロック式単発拳銃だけの装備て!
・トレハンやハリー達がガン見してる中なのに、捕まったていの侯爵から「メアリーだけは殺すな。」と言われて思わず「わかりましたっ。」と会釈を返してしまうジョシュの、うそのつけない正直者っぷりが最高である。芝居のできねーヤローだぜ!
・侯爵の発言から推察するに、トレハンは夜9時を過ぎたあたりから「軍隊の救援が遅い!」と焦り出しているのだが、それはしょうがねんじゃね? 手紙で他州に応援を要請してるんだもんねぇ……実際、19世紀前半のイギリス国内の交通事情って、どうだったんだろ? やっぱ馬車メインか?
・ちなみに同じく侯爵の言によると、当時のイギリス貴族の夕食の時間は夜10時頃らしいのだが、ほんと? 健康に悪すぎない? 夜食の間違いじゃないの?
・ジョシュたちがマーレイ船長の黄金を積んだ帆船の襲撃に向かった後、トレハンとペイシェンスとの3人だけになったタイミングを見計らって、侯爵はついに満を持して難破船強奪団の影の首領としての正体を明らかにする! この時の、悠々と単発拳銃の装填をしながら真相を語るロートンの演技が、ほれぼれするほど悪の色気に満ちている。フリントロック式の拳銃は火薬と弾が別々だから、手間がかかるところを何の苦も無くやってのけているのもポイントが高い。その後の、「ボイル大尉などという隊長はいない。したがって守備隊も来ない。」という去り際の捨てゼリフもカッコイイ~!!
・マーレイ船長の帆船を待ち受けている時にハリーがメアリーにかける、「きれいな指輪を持って来てやるぜ! ちゃんと指は捨てておくからさ!」という冗談が非常に悪趣味ですばらしい。ブリティッシュジョーク!
・いよいよクライマックスとなる、嵐の夜の海岸シーンとなるのだが、実景と大規模なスタジオセットを組み合わせたスクリーンプロセスによる特撮が、モノクロで画質もよろしくないことが幸いしてかえって迫力たっぷりである。くっきりはっきり見えるだけが映画の良さじゃないですね!
・轟々たる荒波と、とてつもない風雨にさらされるジョシュたちが固唾をのんで見守る中、波しぶきでけぶる沖合に、木の葉のように揺れる帆船の影が! ここの大迫力ときたら!! いや~ほんと、ヒッチコック監督が怪獣映画を撮っていたら、どんな歴史的名作が生まれていたことか!!
・帆船の行方に気を取られるジョシュたちの目を盗み、メアリーは一人抜け出して灯台の灯りを復活させるという賭けに出る! ここで、マントを翻しながら崖を登り、ジョシュの手下をぶっ倒すメアリーの勇姿がステキすぎる……さすがに燃える布を素手で運ぶカットはスタント撮影かと思うのだが、いやマジ、トレハンかたなしすぎ!!
・このメアリーの命を賭けた行動によって、ジョシュたちの目論見は水泡に帰す。しかしメアリーはハリー達に捕まって、リンチされようがなにされようが仕方のない状況に陥ってしまうのだが、それでも一歩も引かずに「私はどうなってもいいけど、罪もない人たちを殺しまくったおめーらもただでは済まねぇからな!!」と見事な啖呵を切ってみせる。すごいな、この娘さん!!
・いっぽう、ジョシュたちの失敗を知らない侯爵は予定通りに深夜に邸宅を発ち、フランスへと高跳びするべく港へ急ぐ。この時のチャドウィックたち屋敷の人々との全くかみ合わない会話が、侯爵の狂気と末路を予見しているようで印象深い。チャドウィックふびんすぎ……
・ここからは、本性を現わした侯爵がメアリーを拉致し、それをトレハンが追い詰めるという定番の流れとなるのだが、ちょっとだけの時間ではあるものの、薄いドレスを着たメアリーに猿ぐつわをはめる侯爵の手つきが妙にエロい。ここにきてヒッチコック印きたー!!
・侯爵の最期は、言ってみればヒッチコックの過去作『殺人!』の変奏なのだが、ちゃんとロートンの決めゼリフを用意しているあたりや、ラストショットに映る人物がトレハンでもメアリーでもなくこの人であることも、本作の主人公があくまでもロートン演じる侯爵であることを証明している。すっきりしないラストではあるんだけど、ピカレスクロマンなんだから、しょうがないんだなぁ。
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山形と最上義光の歴史3(フィクション作品編)

2024年07月11日 14時28分39秒 | 日本史みたいな
≪前回までの年表中に登場した主な歴史上の人物たちの基本情報と、ゲーム『信長の野望』シリーズ内での能力評価≫
※複数のタイトルに登場している人物の数値は、平均値です。

伊達 稙宗(1488~1565年)…… 政治87、統率56
 陸奥国の戦国大名・伊達家第14代当主。左京大夫。
氏家 定直(1504?~70?年)…… 政治71、統率56
 戦国時代の武将。山形斯波家重臣。
大宝寺 晴時(1512~41年)…… 政治65、統率48
 戦国時代の武将。大宝寺家第15代当主。
土佐林 禅棟(?~1571年)…… 政治54、統率31
 戦国時代の武将。大宝寺家家臣。出羽国藤島城主。「禅棟」は号であり実名は不明。
伊達 晴宗(1519~78年)…… 政治78、統率62
 陸奥国の戦国大名・伊達家第15代当主。左京大夫。伊達稙宗の嫡男。
山形 義守(1521~90年)…… 政治52、統率46
 出羽国の戦国大名。山形斯波家第10代当主。
天童 頼貞(?~1579?年)…… 政治44、統率61
 戦国時代の武将。天童家第16代当主。「最上八楯」と称された出羽国の国人連合の盟主。山形義光の舅にあたる。
大宝寺 義増(1522~81年)…… 政治46、統率48
 戦国~安土桃山時代の大名。大宝寺家第16代当主。出羽三山別当職。大宝寺晴時の従弟。
前田 利益(1533?~1605?年)…… 政治42、統率98
 戦国時代末期~江戸時代初期の武将。通称・慶次。
織田 信長(1534~82年)…… 政治99、統率93
 戦国~安土桃山時代にかけての大名。「戦国三英傑」の一人。
氏家 守棟(1534~93?年)…… 政治71、統率62
 戦国~安土桃山時代の武将。山形斯波家家臣。氏家定直の嫡男。
足利 義輝(1536~65年)…… 政治63、統率76
 室町幕府第13代征夷大将軍。
猪苗代 盛国(1536~90?年)…… 政治52、統率52
 戦国~安土桃山時代の武将。芦名家家臣。猪苗代家第12代当主。父は芦名盛詮の次男・猪苗代盛清とされるが、天文十(1541)年に芦名家に対して謀反を起こした猪苗代盛頼ともいわれる。
羽柴 秀吉(1537~98年)…… 政治98、統率83
 戦国~安土桃山時代の武将、戦国大名、天下人、初代武家関白、太閤。「戦国三英傑」の一人。主君・織田信長の後を継いで天下を統一し、近世封建社会の基礎を築いた。
木村 重茲(?~1595年)…… 政治70、統率45
 安土桃山時代の武将・大名。豊臣家家臣。別名・定光、重隆、重高。通称・隼人正、常陸介。千利休「台子七人衆」の一人。
本多 正信(1538~1616年)…… 政治93、統率29
 戦国~江戸時代前期の武将・大名。徳川家康の重臣で、江戸幕府老中。相模国玉縄藩主。正信系本多家宗家初代当主。
前田 玄以(1539~1602年)…… 政治79、統率22
 戦国~安土桃山時代の僧侶・武将・大名。豊臣政権五奉行の一人。
本庄 繁長(1540~1614年)…… 政治41、統率82
 戦国~江戸時代初期の武将。山内上杉家重臣。「越後揚北衆」の一人。越後国岩船郡小泉庄の本庄城主。主君・上杉家の陸奥国会津転封後は守山城と福島城の城代を務めた。
徳川 家康(1542~1616年)…… 政治92、統率93
 戦国~江戸時代初期の日本の戦国大名、江戸幕府初代将軍。徳川家(将軍家、御三家など)の祖。「戦国三英傑」の一人。
伊達 輝宗(1544~85年)…… 政治74、統率64
 戦国大名・伊達家第16第当主。左京大夫。伊達晴宗の次男。
東禅寺 義長(1544~88年)…… 政治43、統率47
 戦国~安土桃山時代の武将。大宝寺家家臣。東禅寺城主。初名・前森蔵人。
東禅寺 勝正(1546~88年)…… 政治48、統率46
 戦国~安土桃山時代の武将。大宝寺家家臣。東禅寺義長の弟。
延沢 満延(1544~91年)…… 政治33、統率78
 戦国~安土桃山時代の武将。山形斯波家家臣。出羽国野辺沢(延沢)城主。別名・信景。
増田 長盛(1545~1615年)…… 政治83、統率36
 安土桃山~江戸時代初期の武将、大名。豊臣政権五奉行の一人。官位は従五位下・右衛門少尉。
山形 義光(1546~1614年)…… 政治87、統率77
 戦国~江戸時代前期の出羽国の大名。山形斯波(のち最上)家第11代当主。江戸幕府の山形藩初代藩主。山形義守の嫡男。
中野 義時(1550?~74?年)…… 政治35、統率34
 戦国時代の武将。山形義守の次男。江戸時代に創作された架空の人物の可能性がある。
楯岡 光直(1559?~1629年)…… 政治18、統率39
 戦国~江戸時代前期の武将。山形義守の四男(次男説、三男説あり)。山形義光、中野義時の弟。別名・義久。
白鳥 長久(?~1584年)…… 政治62、統率59
 戦国~安土桃山時代の武将。出羽国谷地城主。最上義康の舅、最上義光の義兄弟にあたる。別名・義国。
志村 光安(?~1609?年)…… 政治47、統率67
 戦国~江戸時代初期の武将。最上家家臣。通称・伊豆守、初名・九郎兵衛。
清水 義氏(1547~86年)…… 政治40、統率48
 戦国時代の武将。山形斯波氏の一族である清水家第6代当主。
新発田 重家(1547~87年)…… 政治30、統率66
 戦国~安土桃山時代の武将。越後国の戦国大名・山内上杉家家臣。蒲原郡新発田城主。
大崎 義隆(1548~1603年)…… 政治42、統率48
 戦国時代の陸奥国大崎地方の大名。大崎家第12代当主。左衛門佐。最上義光の義弟。
一栗 高春(?~1614年)…… 政治28、統率55
 安土桃山~江戸時代初期の武将。陸奥国大崎家家臣。通称・豊後守、兵部。
相馬 義胤(1548~1635年)…… 政治54、統率70
 戦国~江戸時代の戦国大名。陸奥国相馬家第16代当主。
大宝寺 義氏(1551~83年)…… 政治27、統率59
 戦国~安土桃山時代の大名。大宝寺家第17代当主。出羽三山別当職。大宝寺義増の嫡男。
大宝寺 義興(1554~87年)…… 政治38、統率47
 安土桃山時代の大名。大宝寺家第18代当主。大宝寺義増の次男。
谷柏 直家(1551~1610年)…… 政治58、統率41
 戦国時代の武将。最上家家臣。出羽国谷柏城主。
二本松 義継(1552~85年)…… 政治56、統率67
 戦国~安土桃山時代の武将。二本松家第9代当主。陸奥国安達郡二本松城主。
富田 隆実(?~?年)…… 政治21、統率65
 戦国~安土桃山時代の武将。芦名家家臣。
蒲生 氏郷(1556~95年)…… 政治80、統率79
 戦国~安土桃山時代の武将。豊臣政権の重臣。初め近江国日野城主、次に伊勢国松阪城主、最後に陸奥国黒川城主。
上杉 景勝(1556~1623年)…… 政治77、統率82
 戦国~江戸時代前期の大名。山内上杉家第17代当主。豊臣政権の「五大老」の一人。江戸幕府の米沢藩初代藩主。
下 秀久(?~1614?年)…… 政治17、統率40
 戦国~安土桃山時代の武将。山内上杉家、のちに最上家の家臣。「越後揚北衆」の一人・黒川家の一族。別名・吉忠。
片倉 景綱(1557~1615年)…… 政治83、統率76
 戦国~江戸時代前期の武将。伊達家家臣。伊達政宗の近習となり、のち軍師的役割を務めたとされる。仙台藩片倉家初代で、景綱の通称・小十郎は代々の当主が踏襲して名乗るようになった。
石田 三成(1560~1600年)…… 政治90、統率43
 安土桃山時代の武将・大名。豊臣政権の五奉行の一人。
福原 長尭(?~1600年)…… 政治48、統率36
 安土桃山時代の武将、大名。豊臣秀吉の側近。豊後国府内城主。正室は石田正継の娘で、石田三成の妹婿にあたる。通称・右馬助。
直江 兼続(1560~1620年)…… 政治83、統率79
 戦国~江戸時代前期の武将。山内上杉家の重臣で江戸幕府の米沢藩家老。
福島 正則(1561~1624年)…… 政治44、統率86
 安土桃山~江戸時代前期の武将、大名。「賤ヶ岳七本槍」の一人として知られる。安芸国広島藩の初代藩主、後に信濃国高井野藩の初代藩主。
北条 氏直(1562~91年)…… 政治57、統率54
 戦国~安土桃山時代の関東地方の大名で小田原城主。後北条家第5代当主。父・北条氏政と共に後北条家の最大版図を築き上げたが豊臣秀吉の小田原征伐を招き、後北条家の関東地方支配は終焉を迎えた。
屋代 景頼(1563~1608年)…… 政治46、統率71
 戦国~江戸時代初期の武将。戦国大名・伊達政宗の側近。
鮭延 秀綱(1563?~1646年)…… 政治46、統率63
 安土桃山~江戸時代前期の武将。最上家、のちに佐倉藩土井家の家臣。
氏家 光氏(?~?年)…… 政治46、統率65
 安土桃山~江戸時代前期の武将。最上家重臣。通称・尾張守。氏家守棟の従兄弟・成沢道忠の子。守棟の死後に氏家家の家督を継いだ。最上義光の娘・竹姫を正室に迎えており、最上家では宿老1万8千石の重責を担った。
本多 正純(1565~1637年)…… 政治82、統率23
 安土桃山~江戸時代初期の武将、大名。江戸幕府老中。下野国小山藩主、同宇都宮藩主(第28代宇都宮城主)。本多正信の嫡男で、正信系本多家宗家第2代当主。
小野寺 義道(1566~1646年)…… 政治23、統率52
 安土桃山~江戸時代前期の大名。出羽国横手城主。大宝寺義増の娘婿。
伊達 政宗(1567~1636年)…… 政治87、統率87
 出羽国・陸奥国の戦国大名・伊達家第17代当主。江戸幕府の仙台藩初代藩主。伊達輝宗の嫡男。
伊達 成実(1568~1646年)…… 政治55、統率84
 戦国時代後期~江戸時代前期の武将。仙台藩初代藩主・伊達政宗の重臣で、仙台藩一門第二席・亘理伊達家初代当主。父は伊達実元、母は実元の異母兄・伊達晴宗の娘であるため、主君・政宗の従弟にあたる。
豊臣 秀次(1568~95年)…… 政治41、統率47
 戦国~安土桃山時代の武将、大名。豊臣家第2代関白。豊臣秀吉の甥。
新関 久正(1568~1624年)…… 政治65、統率40
 安土桃山~江戸時代前期の武将。最上家家臣。出羽国藤島城主。
大宝寺 義勝(1573~1623年)…… 政治36、統率43
 安土桃山~江戸時代前期の武将。山内上杉家重臣・本庄繁長の次男で、大宝寺義興の養子。大宝寺家第19代当主。のちの本庄充長。
最上 義康(1575~1603?年)…… 政治42、統率48
 安土桃山~江戸時代初期の武将。最上義光の嫡男。
徳川 秀忠(1579~1632年)…… 政治78、統率37
 安土桃山~江戸時代の武将。江戸幕府第2代征夷大将軍。徳川家康の三男。
最上 家親(1582~1617年)…… 政治45、統率47
 安土桃山~江戸時代前期の武将・外様大名。最上家第12代当主。江戸幕府の山形藩第2代藩主。最上義光の次男。
清水 義親(1582~1614年)…… 政治43、統率41
 安土桃山~江戸時代の武将。大蔵大輔。最上義光の三男。天童頼貞の外孫にあたる。
延沢 光昌(1582~1626年)…… 政治21、統率46
 安土桃山~江戸時代前期の武将。山形斯波家家臣。延沢満延の嫡男。最上義光の娘婿。
山野辺 義忠(1588~1665年)…… 政治50、統率40
 安土桃山~江戸時代前期の武将。江戸幕府の水戸藩家老。最上義光の四男。
最上 義俊(1605~32年)…… 政治24、統率19
 江戸時代前期の山形藩第3代藩主、のちに近江国大森藩主。最上家第13代当主。最上家親の嫡男。初名・家信。


最上義光を題材とした小説、マンガ(手塚治虫先生の『最上殿始末』は、無視!!)
松本 清張『武将不信』(1956年12月発表 講談社文庫『奥羽の二人』所収)
 時代設定   …… 天正十八(1590)年六月~慶長十八(1613)年九月
 主な登場人物 …… 最上出羽守義光、徳川家康、里見権兵衛、戸井半左衛門、本多正信、最上修理大夫義康、最上駿河守家信

南條 範夫『最上源五郎義俊』(1976年2月刊『大名廃絶録』所収 文芸春秋文春文庫)
 時代設定   …… 天正十八(1590)年六月~寛永八(1631)年十一月
 主な登場人物 …… 最上出羽守義光、徳川家康、最上源五郎義俊、里見権兵衛、最上修理大夫義康、鮭延越前守秀綱、最上駒姫

中村 晃『修羅鷹 最上義光』(1987年4月刊 PHP研究所PHP文庫)
 時代設定   …… 永禄五(1562)年秋~元和九(1623)年七月
 主な登場人物 …… 最上義光、延沢能登守信景(満延)、白鳥十郎長久、氏家尾張守守棟、里見越後守、本庄繁長、関白豊臣秀吉、伊達政宗、大崎殿としよ姫、岌讃専阿和尚、羽柴中納言秀次、徳川家康、石田治部少輔三成、直江山城守兼続、上杉景勝、清水御前、最上修理大夫義康、白鳥日吉姫、最上義姫、最上駿河守家親、清水義親、徳川秀忠、侍女白石氏、最上義俊

永岡 慶之助『最上義光』(2009年11月刊 学陽書房人物文庫)
 時代設定   …… 永禄五(1562)年初夏~元和九(1623)年七月
 主な登場人物 …… 最上義光、氏家尾張守守棟、最上義守、延沢信景(満延)、天童頼久、草刈将監、田村助左衛門、志村九郎兵衛光安、白鳥十郎義国(長久)、伊達輝宗、最上義姫、芦名盛隆、二本松左京亮義継、伊達政宗、猪苗代盛国、片倉小十郎景綱、関白豊臣秀吉、羽柴中納言秀次、徳川家康、最上駒姫、小森田番内、前田慶次(利益)、上杉景勝、直江山城守兼続、相馬長門守義胤、水谷三郎兵衛、堀監物、最上修理大夫義康、石田治部少輔三成、和賀主馬之介忠親、京屋清兵衛、本多佐渡守正信、宮沼平助、炊事役小頭の由蔵、戸枝半兵衛、最上駿河守家親、溝口延三郎、須藤蔵人、本多上野介忠純、鮭延越前守秀綱、楯岡甲斐守義久(光直)

高橋 義夫『保春院義姫 伊達政宗の母』(2015年1月刊 中央公論新社中公文庫)
 時代設定   …… 永禄七(1564)年春~元和九(1623)年七月
 主な登場人物 …… 最上義姫、乳母千歳の局、氏家伊予守定直、伊良子宗牛、最上義光、成沢お筆、円清坊、主殿の局、伊達輝宗、野谷地徳蔵丸、瀬上平三郎定康、伊達梵天丸政宗、砂金お硯、片倉小十郎景綱、伊達成実、二本松左京亮義継、庭番の小平次、湯目景康、延沢能登守満延、片倉小大納言の局、堀喜吽、氏家尾張守守棟、粟野藤八郎、小原縫殿助、伊達小次郎、屋代勘解由兵衛景頼、富塚内蔵頭

天野 純希『北天に楽土あり 最上義光伝』(2015年10月刊 徳間書房徳間時代小説文庫)
 時代設定   …… 永禄四(1561)年夏~元和九(1623)年七月
 主な登場人物 …… 最上源五郎義光、最上義姫、氏家尾張守守棟、最上義守、成沢道忠、氏家伊予守定直、大崎殿康子姫、谷柏直家、延沢能登守満延、志村九郎兵衛高治(光安)、鮭延越前守秀綱、大宝寺出羽守義氏、白鳥十郎長久、伊達藤次郎政宗、片倉小十郎景綱、伊達輝宗、二本松左京亮義継、最上永寿丸義康、氏家光棟、新関久正、東禅寺義長(前森蔵人)、東禅寺右馬助勝正、中山朝正、山家河内介、徳川家康、関白豊臣秀吉、最上駒姫、おこちゃの方、坂紀伊守光秀、石田治部少輔三成、直江山城守兼続、上杉景勝、氏家光氏、江口五兵衛光清、中間の藤兵衛、鳥海勘兵衛、前田慶次郎(利益)、堀喜吽、浦山源左衛門、斎藤光則、里見民部大夫、里見正近、清水お辰の方、最上駿河守家親、大悲願寺秀雄

高橋 義夫『さむらい道 最上義光』(2015年7月~16年12月連載 中央公論新社中公文庫)
 時代設定   …… 永禄四(1561)年夏~慶長五(1600)年九月
 主な登場人物 …… 最上源五郎義光、氏家尾張守守棟、堀喜四郎(喜吽)、志村新九郎光安、志村九郎兵衛光清、氏家伊予守定直、柴橋刀自、西窪掃部助、斎藤仁兵衛、願正坊教証、伊良子宗牛、葛西治部右衛門、斎藤左源太、尾張局お陳、一栗城山の方、大崎桂姫、佐藤作右衛門、今野三郎右衛門、最上義守、中野千寿丸義時、織田内府信長、延沢能登守満延、天童鶴姫、庭月屋勘右衛門、氏家左近、駿河の方、東禅寺筑前守氏永(義長)、大行院西蓮、白鳥十郎長久、鮭延源四郎秀綱、山上道牛、小関弥五郎、笹原石見守、一栗玄蕃頭、大宝寺義興、中村内記、氏家十右衛門光棟、畔藤三郎右衛門、一栗兵部少輔高春、遠藤若狭守、最上お東の方、医師玄悦、木村常陸介重茲(定光)、徳川大納言家康、矢島五郎満安、関白豊臣秀次、浦山十兵衛、最上駒姫、茶坊主の玄了、太閤豊臣秀吉、奥山鹿丸、浪江の方、安孫子将監、庭月屋勘右衛門、平野屋佐仲、津金修理亮胤久、最上修理大夫義康、最上駿河守家親、伊達藤次郎政宗

武内 涼『駒姫 三条河原異聞』(2017年1月刊 新潮文庫)
 時代設定   …… 文禄四(1595)年七月~慶長五(1600)年九月
 主な登場人物 …… 関白豊臣秀次、福島正則、福原長尭、清胤阿闍梨、雀部淡路守、氏家尾張守守棟、最上駒姫、おこちゃの方、鮭延主殿助、最上出羽守義光、太閤豊臣秀吉、堀喜吽、石田治部少輔三成、菊亭一の台、池田若政所、浦山筑後守、京極龍子、増田長盛、柿屋宗春、お竹の方、施薬院全宗、大崎としよ姫、浅井淀の方、下男の雲八、北政所ねね、片倉小十郎景綱、最上駿河守家親、徳川大納言家康、本多佐渡守正信、服部半蔵正成、お和子の方、前田玄以

静霞 薫『コミック版日本の歴史・第90巻 戦国人物伝・最上義光』(作画・中島健志 2024年6月刊 ポプラ社)
 時代設定   …… 永禄四(1561)年夏~慶長十九(1614)年正月
 主な登場人物 …… 最上源五郎義光、最上義姫、最上義守、志村光安、氏家定直、氏家守棟、将軍足利義輝、上泉伊勢守信綱、塚原卜伝、天童頼貞、延沢満延、織田信長、天童頼久、草刈将監、伊達藤次郎政宗、片倉小十郎景綱、徳川内大臣家康、関白豊臣秀吉、豊臣中納言秀次、最上駒姫、大崎夫人、寒河江広俊、直江兼続、最上義康、里見民部大夫、鮭延秀綱、氏家光氏、前田慶次、延沢光昌
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怪獣不在の怪獣映画って、こういうことだろ! ~映画『生きものの記録』~

2024年07月10日 23時08分47秒 | ふつうじゃない映画
 ハイど~もみなさま、こんばんは! そうだいでございまする。
 最近は、山形もやっと梅雨らしくなり雨が降る日も増えてきまして、今日もだいぶ過ごしやすい気温の一日となったのですが、雨が降ればジメジメがすさまじいし、降らなきゃ降らないで気温がガン上がりだしで、なかなかいい感じの日がございません。でも、なんだかんだ言っても私の住む山形市は、朝と夜はちゃんと涼しいし今のところ34℃を超える日もありませんので、このくらいでウダウダ言ってる場合じゃないんですよね……夏本番はこれからだぜ! 熱帯夜やだ~!!

 さてさて今回は、そんなじめっとした季節に観るのにもってこいな名作映画についてのあれこれをば。
 この監督さんの撮る「雨」って、現実の雨以上に重たく見えるんですよね~! 特にモノクロ作品は。墨汁で雨を着色したっていう撮影逸話も有名なんですが、本作でもまた、雨……というか、雨の「気配」が重要なキーワードになっているような気がします。


映画『生きものの記録』(1955年11月公開 103分モノクロ 東宝)

 『生きものの記録』は、アメリカとソ連の核軍備競争やビキニ環礁での第五福竜丸被爆事件(1954年3月1日発生)などで加熱した反核世相に触発されて、原水爆の恐怖を真正面から取り上げた社会派ドラマ映画である。原子爆弾の恐怖に取り付かれる60歳の老人を演じた三船敏郎は当時35歳だった。作曲家の早坂文雄の最後の映画音楽作である。
 本作の構想は、前作『七人の侍』(1954年)の撮影中に黒澤明が友人の早坂文雄宅を訪れたときに、ビキニ環礁の水爆実験のニュースを聞いた早坂が「こう生命をおびやかされちゃ、本腰を入れて仕事は出来ないね。」と言い出したことがきっかけとなった。当初は『死の灰』と名付けられたこの企画は小國英雄と橋本忍との共同脚本で、1955年1月に静岡県今井浜の旅館「舞子園」に投宿して執筆作業を開始し、3月初旬に『生きものの記録』と改題した決定稿が完成した。
 1955年の5月中旬に撮影準備に取りかかり、8月1日に東宝撮影所内のセットで撮影開始した。10月11日に台風25号の被害で工場のオープンセットがほぼ壊滅し、作り直すために撮影中断したが、10月31日にクランクアップした。

 本作では、『七人の侍』で採用した複数のカメラで同時に撮影する「マルチカム撮影法」を本格的に導入しており、3台のカメラを別々の角度から同時に撮影することで、カメラを意識しない俳優の自然な演技を引き出している。主人公の放火で焼け落ちた工場のセットは東宝撮影所内の新築されたばかりの第8スタジオの前に組まれ、新築のスタジオの壁面を焼け跡に見立てて塗装したため東宝に怒られたという。また、都電大塚駅のセットは電車の先頭部分を含めて、本物そっくりに作られた。
 音楽は早坂文雄が担当したが、撮影中の10月15日に結核で亡くなった。親友だった黒澤はそのショックで演出に力が出ず、黒澤自身も「力不足だった」と述べている。早坂はタイトル曲などのスケッチを残しており、弟子の佐藤勝がそれを元に全体の音楽をまとめて完成させた。

 本作は興行的に失敗し、黒澤自身も「自身の映画の中で唯一赤字だった」と語っており、その理由について「日本人が現実を直視出来なかったからではないか」と分析している。第29回キネマ旬報ベスト・テンでは4位にランクされ、第9回カンヌ国際映画祭ではコンペティション部門に出品された。大島渚は鉄棒で頭を殴られたような衝撃を受けたとしており、徳川夢声は「この映画を撮ったんだから、君はもういつ死んでもいいよ」と激賞したという。佐藤忠男は「黒澤作品の中でも問題作」と述べている。


あらすじ
 歯科医の原田は、家庭裁判所の調停委員をしている。彼はある日、家族から出された中島喜一への準禁治産者申し立ての裁判を担当することになった。鋳物工場を経営する喜一は、原水爆の恐怖から逃れるためと称してブラジル移住を計画し、そのために全財産を投げ打とうとしていた。家族は、喜一の放射能に対する被害妄想を強く訴え、喜一を準禁治産者にしなければ生活が崩壊すると主張する。しかし、喜一は裁判を無視してブラジル移住を性急に進め、ブラジル移民の老人を連れて来て、家族の前で現地のフィルムを見せて唖然とさせる。

おもなスタッフ
監督 …… 黒澤 明(45歳)
製作 …… 本木 荘二郎(41歳)
脚本 …… 橋本 忍(37歳)、小国 英雄(51歳)、黒澤明
撮影 …… 中井 朝一(54歳)
美術 …… 村木 与四郎(31歳)
録音 …… 矢野口 文雄(38歳)
照明 …… 岸田 九一郎(48歳)
音楽 …… 早坂 文雄(41歳 本作の制作中に死去)、佐藤 勝(27歳)、松井 八郎(36歳)
記録 …… 野上 照代(28歳)
音響効果  …… 三縄 一郎(37歳)
制作・配給 …… 東宝

おもなキャスティング
中島 喜一    …… 三船 敏郎(35歳)
原田       …… 志村 喬(50歳)
原田の息子・進  …… 加藤 和夫(27歳)
中島 とよ    …… 三好 栄子(61歳)
中島 一郎    …… 佐田 豊(44歳)
中島 二郎    …… 千秋 実(38歳)
山崎 隆雄    …… 清水 将夫(47歳)
山崎 よし    …… 東郷 晴子(35歳)
中島 すえ    …… 青山 京子(20歳)
中島 君江    …… 千石 規子(33歳)
須山 良一    …… 太刀川 洋一(24歳)
喜一の愛人・里子 …… 水の也 清美(39歳)
栗林 朝子    …… 根岸 明美(21歳)
朝子の父     …… 上田 吉二郎(51歳)
堀弁護士     …… 小川 虎之助(57歳)
荒木判事     …… 三津田 健(53歳)
ブラジルの老人  …… 東野 英治郎(48歳)
岡本       …… 藤原 釜足(50歳)
石田       …… 渡辺 篤(57歳)
地主       …… 左 卜全(61歳)
鋳造所職長    …… 清水 元(48歳)
留置人A     …… 谷 晃(45歳)
留置人B     …… 大村 千吉(33歳)
精神科医     …… 中村 伸郎(47歳)


 これはもうね、文句なしの歴史的名作でございます。いまさらこんな超零細ブログで語るまでもないことでありますが。

 話は脱線するのですが、昨今、日本の本家東宝でのシリーズ最新作『ゴジラ -1.0』がアメリカのアカデミー賞・視覚効果賞を受賞し、そのアメリカでもハリウッド版ゴジラシリーズ(モンスターヴァース内)が最新作『ゴジラ×コング 新たなる帝国』まで4作も制作されるという活況を呈しており、さらには CGアニメシリーズという形ではあるのですが、あの『ガメラ』も最新作が制作されるなど、令和になって地味~に特撮・怪獣のジャンルが盛り上がってきております。あの~、ちょっと各作品の展開がバラバラなので「ブーム」とまでは言えないかも知れないのですが、円谷プロの「ウルトラシリーズ」もコンスタントに新作が制作される状況が定着していますし、もはや特撮・怪獣の何かしらの新作が常に楽しめる現状は、ブーム以上に喜ぶべきジャンル全体の底上げを意味しているのではないでしょうか。
 うれしいですね……実に嬉しいです。わたくし、生まれも育ちも1980年代の人間ですもので、何年かに一作品がポツ、ポツ……と慈雨のように続くばかりだった特撮冬の時代の厳しさを経験した身としては、今、幼少年期を過ごしている少年たちはもう、心の底からうらやましくてたまりません。『ウルトラマン80』、『ゴジラ1984』、『仮面ライダー BRACK』2部作、『仮面ノリダー』あたりで約10年間枯渇をしのいでいたわけでして、それ以外はもっぱらレンタルビデオで昭和時代の旧作を観て素養をみがいておりました。平成の到来とともに『ゴジラ VS ビオランテ』(1989年)から始まった「 VSシリーズ」、そして「平成ガメラシリーズ」の、なんと神々しかったことか……あと、映画『ウルトラQ 星の伝説』(1990年)もネ。

 そういった感じで、いつでもどこかに「怪獣がいて当たり前」という幸せな時代が只今到来しているわけなのでありますが、このようにポンポンと怪獣が世に出てきますと、そもそも人間の想像上の存在であるはずの「怪獣」って、なんなの?というところに興味がわく話にもなってくるかと思います。

 日本で、そして今や世界で最も有名な怪獣は何かといえば、それはもうほぼ満場一致で「水爆大怪獣ゴジラ」ということになるかと思われるのですが、そのゴジラの解釈も作品ごとに大きな違いがあり、1954年に産声をあげたシリーズ第1作『ゴジラ』や最新作『ゴジラ -1.0』におけるゴジラは、人類文明の身勝手な核開発競争が生んだ異形の被害者にして、核・放射能の恐怖の象徴ですし、ハリウッドのモンスターヴァースシリーズのゴジラは、人類文明の繁栄によって衰亡の危機に瀕しつつある地球を回復させる「バランサー」という、きわめて「神に近い存在」となっているのです。おんなじゴジラでもこんなに違う! 確かによく見りゃハリウッド版のゴジラの表皮には、日本産ゴジラのトレードマークともいえる「ケロイド状のザラザラ」なんてどこにもないんですよね。余談ですが、『ゴジラ -1.0』のゴジラは厳密には時間軸的に水爆大怪獣ではないそうです。

 行き過ぎた人類文明に警鐘を与える「超越者」、人智を超えた力を持つ「自然災害のメタファー」、はたまた、人類が滅ぼしてしまった、もしくはないがしろにしてきた「過去の遺物の怨念」……さまざまな作品に登場する怪獣たちは、各種各様の背景を秘めた存在となっています。もちろん、単純に子どもが大好きになる「強くてカッコいいキャラ」だったり、「宇宙人の差し向けた生物兵器」として暴れまくるだけなのもいいと思います。円谷プロのウルトラ怪獣みたいにデフォルメされて人気を集めるポケモン的な展開もひとつの定番ですよね!

 そして、こんな風に怪獣の出るフィクション作品が量産されてきますと、そういった怪獣ものの逆張りとして、「怪獣が出てこない怪獣映画」というキワモノも出てきます。ほら、サメ映画だって最近、「サメが出てこないサメ映画」が出たっていうじゃないですか。いくとこまでいったな~!!
 でもこれ、かなり重要な話のような気がするんですよね。

 要するに、怪獣のように「巨大で恐ろしい何か」を表現するのに、怪獣そのものが必ずしも登場する必要はないんじゃないかという問題なのです。
 確かにそういわれれば、映像作品の中に怪獣が登場する時、絶対に無くてはならないのは、「怪獣に出くわして恐れおののく人間のリアクション」だと思います。そして、その反応の演技がヘタだったりすると、たちまち出現した怪獣もまた、チープで安っぽい作り物になってしまうのです。
 思い出してみてください、あの『ゴジラ』(1954年)での、大戸島の山上に初めてゴジラが首をもたげた時の村人たちの悲鳴、そして、ゴジラの咆哮を聴いた時のヒロイン・山根恵美子(演・河内桃子)の絶叫! 実のところ、ここで画面に出てくるゴジラそのものはハンドパペット式のギニョール人形なのでやや頭でっかちで、怖いというよりもむしろちょっとかわいいくらいなのですが、それを観た人々の反応があまりにもリアルで恐怖に満ちたものなので、それによってゴジラも実物以上に禍々しくおぞましい存在になりえているのです。
 つまり、ギニョール人形だったり着ぐるみだったり CGだったりして、そもそも作り物である怪獣を「現実にあるもの」に変換するために、周囲の現実にいる人間の反応は必要な儀式装置なのでしょう。怪獣は造形物のみによって命を得るものなのではなく(もちろんパーセンテージは大きいと思いますが)、それに反応し対峙する人間たちのリアクションを含めた作品全体によって完全な姿を得るものなのでしょう。

 だとするのならば、「おそれる人たち」の演技を最高品質のものとすれば、極端な話、怪獣そのものが出てこなくとも怪獣レベルに人類文明をおびやかす脅威の存在を実感させうる作品はできるのではないか?
 この問いに正面から向き合った空前絶後、唯一無二の映画作品こそが、この『生きものの記録』なのではないでしょうか。まさにこれは、「ひたすら恐怖する人」としての「生きもの=中島喜一老人」の記録のみに特化した作品であるわけです。

 私がつらつら思い起こす限り、いわゆる「怪獣の出てこない怪獣映画」は世の中に何作かありますが、それは「予算の都合で怪獣がちょっとの時間しか出てこない」とか「怪獣の死体しか出てこない」とか、結局はひよった中途半端な姿勢に終わってしまうものが多く、だいたい見えない怪獣の存在に命を吹き込めるほどスタッフや演者の皆さんが魂を込めて仕事をしていないので映画としても実につまらない作品になってしまっている、というものがほとんどだと思います。やっぱり、いない怪獣を相手にして90分も2時間も話をもたせるって、それこそ本作レベルにそうとうな覚悟と技量を持って臨まないと、なかなかできることじゃないのよね……ただその点、『ウルトラセブン』(1967~68年放送)での、怪獣や特殊造形の宇宙人がまるっきり出てこない数エピソードとか、その正統な続編である『ウルトラセブンX 』(2007年放送)などのように、20~30分の物語世界で後世に語り継がれるべき傑作が生まれる例は多いような気はします。そこらへんはもう特撮というよりも SFの世界ですからね。実相寺昭雄ワールド~♡ でも、ここにいくとゴダールの『アルファヴィル』(1965年)とか、かの聖タルコフスキー監督の諸作のほうに話がいってしまいますので、脱線はここまでにしておきましょう。

 それでこの『生きものの記録』なのですが、この作品って、明らかに前年に公開された『ゴジラ』(1954年)の精神的な双子みたいな作品だと思うんですよね、同じ現実世界の「第五福竜丸事件」を親とした。
 本作と『ゴジラ』との時間的関係を見てみますと、両者の間には1955年4月に公開された『ゴジラの逆襲』という作品があります。これも私、ゴジラシリーズの中で一、二を争うくらいに大好きな作品!

 言うまでもなく、『ゴジラの逆襲』は前年の『ゴジラ』の正統の続編にして、「ゴジラ対別の怪獣」という王道パターンの開祖となった記念碑的作品です。そして何よりも、出てくるゴジラ(2代目)が怖い、怖い!! 現代定着したポップな怪獣というイメージからは程遠い荒々しさとケダモノっぽさがあって、撮影ミスで新怪獣アンギラスとの戦闘シーンが異様にスピーディになっているのもリアルな猛獣同士の殺し合いという雰囲気が出ているし、牙も犬歯が吸血鬼みたいに長くて真っ直ぐ前をにらんでいる目つきも生々しく、なんか妖怪のような不気味があるんですよね。
 ただし言わずもがな、『ゴジラの逆襲』の世界における日本人は、かつて東京に上陸して大暴れしたゴジラという驚異をすでに「知っている」のです。そのため、そのゴジラの2頭目が今度は大阪に上陸するかも知れないという話になってくると、民間人はそそくさと避難して市街地はほぼ無人となり、撃退するために自衛隊とその最大兵力が待ち構えるだけという万全の対策を迅速にとるわけです。万全っていってもまぁ、てんで役に立たないんですけどね☆

 つまり、怪獣というジャンルを創始した当のゴジラシリーズは、その第2作から早々に「核・放射能の脅威=怪獣」という図式を取っ払ってしまい、「努力次第で人類でもなんとかできてしまう巨大害獣」にスケールダウンさせてしまっているのです。でも、これは起承転結のある娯楽作品としてシリーズ化させるためには仕方のない舵取りでしょう。そんな、毎回毎回オキシジェン・デストロイヤーみたいなデウス・エクス・マキナをひねり出すわけにもいきませんからね。

 その一方で、ゴジラシリーズが、少なくともそれ以降の昭和作品では捨ててしまった「核や放射能の恐ろしさ」をかなり高い純度で継承……というか、初代『ゴジラ』と分かち合った作品こそが、この『生きものの記録』だと思うんですよ。

 映画『生きものの記録』に、当然ながら怪獣そのものはまるっきり登場しません。しかし、それとほぼ同じくらいに正体不明で曖昧模糊とした「いつか来るかもしれない核戦争や放射能汚染の脅威」を本気で感じ取り、恐れおののく人間として登場する中島喜一老人の存在感と振る舞いが十二分すぎる程に切迫感溢れるものとなっているために、画面に全然出てこなくとも、「ひたすら恐ろしい、逃れられないなにか」がひたひたと近づいてくる不安感が迫ってくる作品になり得ているのです。そのために、当時30歳代の三船敏郎をわざわざ老人役にすえなければならないほどのエネルギーを、黒澤監督は求めたのではないでしょうか。
 ただし、若い俳優に老人を演じさせたからと言って、黒澤監督は安易に中島老人にパワフルな演技をさせたり、実際の60歳の人間にはできないような芸当をさせるようなことはしていません。当然、演じているのがあの三船さんなのでどんな狂態も問題なく演じられたはずなのですが、あくまでも「何の変哲もない老人」という範囲の中で、ただひたすらに「おびえ、おそれる」演技を100% 全力で演じることを要求しているだけなのです。
 たとえば、本作のクライマックスで中島老人はついに、自身の家族のブラジル移住を推し進めようと焦った挙句、現在の一家の生活の基盤となっている、自分自身が創業したはずの鋳物工場に放火をして全焼させてしまうという最終手段に出てしまいます。
 ここのくだり、なんせ前作が『七人の侍』(1954年)という全盛期真っ最中の黒澤監督なんですから、炎上する工場のスペクタクルを撮影するなんてお手の物かと思うのですが、本作ではそんな場面はきれいさっぱりはしょられており、いきなり黒焦げの焼け跡となった工場の残骸が映し出される展開となっており、そこから愕然とする一家の混乱の果てに、中島老人の告白がしめやかに語られる展開となっています。
 この、映画としては本作中最も派手な事件といってもよい工場炎上が全く描写されないのは、おそらく、観客が中島老人のおそれる恐怖の正体を工場炎上のスペクタクルと混同したり、もしくはおそれる中島老人自身が結局は周囲の人間にとっての災害(=怪獣)になっちゃいましたとさ、みたいにオチだと解釈したりして、安易に作中に怪獣を顕現されないようにするための予防策だったのではないでしょうか。この作品において、あくまでも怪獣は全く映画に登場しない存在でなくてはならず、いかなエネルギッシュな三船さんであれども、怪獣を想起させかねない方向にいくことは厳に許されないタブーだったのでしょう。

 ここで重要なのが、全く出てこない怪獣(核や放射能)に代わって、作中で中島老人を直接的に恐怖させる存在なのですが、これは具体的には2つありまして、ひとつは「雷鳴と驟雨」で、もうひとつは「中島老人の愛人の一人・朝子の親父(演・上田吉二郎)」です。ヤ~なおとっつぁんなんだ、この朝子のオヤジっていうのが!

 雷鳴と驟雨というのはもうそのまんまで、作中ことあるごとに夕立のような遠雷と風、そしていきなりの大雨がやってくるタイミングがあるのですが、それにいちいち中島老人が過剰に反応しておびえる、という描写があるのです。
 これは、別に中島老人がカミナリ嫌いだというわけではなく、雨雲に乗って太平洋上空に残留する放射能が日本列島に上陸し、あの原子爆弾の炸裂直後に降ったという「黒い雨」がまた降り注ぐのではないかという不安を中島老人が強くいだいているということの暗示に相違ありません。
 こういう放射能と雨との関連づけって、広島・長崎の原子爆弾投下以降、世代が代わるたびにどんどん薄れていくものかと思っていたのですが、まことに不幸なことに、2020年代現在を生きる私達日本人の多くは、2011年3月に「放射能を含んだ雨」の不安を現実にいだく経験をしてしまいました。デマとわかっていながらも、実際にメールで不気味な警告メールを受け取った方も多いのではないでしょうか。それを即座に笑い飛ばせた人は、果たしてどのくらいいたでしょう。

 もうひとつの中島老人をおびえさせた存在として挙げた朝子のおとっつぁんなのですが、この人はもう本当にどうしようもない、自分の娘の愛人(中島老人)の財力に頼らないと何もできないようなダメおやじです。しかしながら自分の感情に素直に生きようとする生命力だけは非常に貪欲で、作中では中島老人の一家と共に自分達父娘をもブラジルに移住させようとする老人の決断に強い反感を抱きながらも、直接老人に反抗するようなそぶりは隠しておいて、素知らぬ顔で娘を通して老人に金をせびりながら、裏で老人の家族にまわってブラジル移住を破談に追い込もうとする包囲網も形成させていくという狡猾さを持った人物なのです。
 ここ! このおとっつぁん(名前すらない!)の、『ゲゲゲの鬼太郎』のねずみ男みたいなトリックスターっぷりが、怪獣もスペクタクルもない本作を非常に起伏豊かなものにしてくれるのです。長期的な人生のプランはないが、ともかく今日を生きたいというエネルギーだけはものすごいんですね。この生き方を笑える人が、果たしてこの世にどのくらいいるでしょうか。

 このおとっつぁんが、作中で一度だけ中島老人に残酷な牙をむくシーンがありまして、それが、夕立ちの降りそうな昼下がりに、縁側で世間話をするかのように老人に「放射能汚染の恐怖」を聞いたふうに吹聴するところです。被爆した人間がどうなるのか、子ども達の世代の未来はどうなってしまうのか、みたいな話を他人事のように話すわけなのですが、それを聞いた中島老人は不安にかられ、憔悴しきった表情になってしまいます。
 ここの局面で、おとっつぁんが中島老人をおびえさせて具体的にどうしたかったのかは、まるでわかりません! 特におとっつぁんにメリットのあることでもないように見えるのですが、彼に何かしらの策があったというよりも、「今まで偉そうにしてた奴がなんか弱ってるから、もっと怖がらせてやれ。」みたいな、なんのひねりもない子どもみたいな感情がふっと湧いてきて話し出したように見えるんですよね。そして、そういったなんでもないようないたずらがめぐりめぐって、中島老人と一家の崩壊を招いてしまうのですから、このおとっつぁんの、ある意味で「邪気の無い」悪意が、この映画でいちばん怖いものだったのではないでしょうか。
 また、この場面での、おとっつぁん役の上田吉二郎さんの語りがめっちゃくちゃ上手いんですよね! ほんと、基本的にだるんだるんのランニング姿でだらしないオヤジなのですが、ここで薄暗い縁側に座って語るときだけ、稲川淳二もビックリな超一流の怪談師みたいなオーラを身にまとうんですよ。やっぱり腕のある俳優さんは違うなぁ!!


 いろいろくっちゃべってまいりましたが、本作『生きものの記録』は、「怖いものを見せずにその恐ろしさを伝える映画」の究極だと思います。その決意のほどは相当なもので、核や放射能に関する情報を映像で見せることは一切なく、ひたすらそれを「怖がる人」しか映し出していない徹底ぶりは空前絶後の完璧さです。
 実は、つい最近にこの『生きものの記録』と精神的にかなり近いと思われるアプローチの映画として、あの魁!!クリストファー=ノーラン番長の『オッペンハイマー』があったわけなのですが、主人公がしっかり「怪獣級の天才」として描かれる部分があり、しかもかなりギリギリまでがんばったものの、ほんの一瞬とは言え直接に原子爆弾の悲惨な事実を(幻影としながらも)描いてしまったという点で、やはり『生きものの記録』のほうが数段、目指す志と完成度が上ではないかと確信しています。原爆の惨禍を全く描かないという選択肢が非常に難しいものであることは、『オッペンハイマー』をめぐる日本公開までの議論をみても明らかでしょう。ノーラン監督はかなりがんばったけど、やっぱり最後に「ある異常天才の半生記」に落ち着けるという安易な手を選んでしまったのです。キビシ~ッ!!

 先ほども申しましたが、本作で主演を務める三船敏郎は、これはもうまごことなき「怪獣レベル」の存在感とスター性を持った名優です。それこそ、ゴジラ級の破壊力と輝きを持った才能! それはもう、黒澤監督の前作『七人の侍』でも証明されていることですし、三船さんも初代ゴジラも対する相手が同じ志村喬さんだという事実もそれを裏付けるものでしょう。
 それなのに、本作で黒澤監督は三船敏郎35歳のエネルギッシュなパワーを炸裂させることは一瞬間も許さず、ただひたすらに彼の演じる中島老人を孤立させ、憔悴させることによって、「経営も発展させて愛人を何人も囲うような大人物が、どうしてそこまで……」と思わせることに成功しているのです。そこまで彼を追い詰める核・放射能とは一体なんなのか? そして、そんな人がいるのに、その一方でどうして同じ日本列島に住む我々日本人は、特に不安に思うこともなくのうのうと暮らし続けていられるのか……

 本作において黒澤監督は、中島老人を徹底的に「孤立した人間」に描いてはいるのですが、結末こそ精神病院送りにはなっているものの、老人を「核・放射能を並外れて怖がる異常な人」だったり、「不安になるあまりに家庭を崩壊させてしまう危険な人物」に見せるような演出はかなり神経質に避けているように思えます。老人も、世間体を考えて怖い怖いと本音を言うことは控える自意識は持っていますし、工場に放火するという非常手段も、結局は繊細な自身の心を壊してしまう諸刃の剣となってしまうのでした。
 よくよく考えてみると、中島老人のブラジル移住計画も、さんざん老人が危険だ危険だと思い込んでいる日本に「喜んで帰国したい」と申し出ているブラジルの農園主(演・東野英治郎)がいるから進んでいる話なので、中島老人の「日本から逃げよう」という主張に賛同している人なんて、作中に一人もいないんですよね。作中唯一の清涼剤ともいえる末娘のすえ(ネーミングセンス……)だって、哀れな父の姿に同情こそすれ、父の恐怖までをも共有しているとは思えません。中島老人の孤立はあくまでも彼自身の「おそれ」に起因するものなのであって、老人のカリスマ性やエネルギーによるものではないのです。

 中島老人を特殊なキャラクターにしないというこの頑なな決意は、すなはち「この物語を特異なケースにさせない」という黒澤監督の思いの表れなのだと思います。怪獣不在の怪獣映画とは、「いつ怪獣が出てくるかわからない」という状態を、この映画を観た後も観客に継続させようとする、一種の「呪い」なのではないでしょうか。
 つまり、映画を観終わった後に「放射能を怖がり過ぎるおじいさんが出てくるヘンな話だったね。」では絶対に済まさず、「放射能が怖いのはよくわかってる。じゃあ、そんな放射能がすぐそばにあるこの世界にいて、なんの不安も抱かない私達は、果たして正常なのかな?」と考えさせることこそが、この映画が生まれた意味なのではないでしょうか。
 怪獣が出てこないことによって、永遠に終わらない映画、そして問題。この『生きものの記録』は、そんなとんでもなくヘビーなテーマを、そのわりには非常に見やすく提示してくれる作品なのです。キャスト表見てみてよ~、もう全盛期の黒澤組ができあがりつつあるよ!!

 あの三船敏郎を擁しといて、こんなに贅沢な使い方を確信的にできる黒澤監督の剛腕もものすごいのですが、文字通りの「大スター怪獣ミフネトシロウ」の大暴れは、この後の黒澤映画諸作でもうイヤンとなるほど楽しめますからね! その振れ幅の大きさもまた、黒澤映画の魅力の一つですよね~。

 それにしても、Wikipedia にあった「この映画撮ったんだから、君いつ死んでもいいよ。」という言葉は、最大限の賞賛であるのはよくわかるのですが……なんかイヤ~!! 言う人も言われる人も、ものすごいよね。
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これぞ21世紀の耳嚢!? YouTubeの『都市伝説考察チャンネル THE つぶろ』 ~雑文まとめ~

2024年07月07日 18時50分17秒 | ミステリーまわり
 さーさーのーはーさーらさらー!! みなさま、どうもこんばんは。そうだいでございます。
 今年もすでに7月ということで、あっという間に後半戦となってしまいました。まったく早いなぁオイ!
 本日は七夕の日ですが、こちら山形は見事なまでのオールグレイ曇天となっております……宇宙リア充あはれなりィイ。

 7月と言えば、私は丸一年前に山梨県へと片道500km の往復ドライブ旅を決行しておりました。1泊3日の年甲斐もない強行軍でしたが、んまぁ~ものすんごく楽しかったですね。源泉水温20℃の洞窟温泉「増富ラジウム温泉」でのひとときは忘れませんよ……

 そんでま、今年の7月もどっか行きたいなということで、この週末に私は山形県米沢市の白布(しらぶ)温泉の西屋旅館さんに泊まってまいりました。ずっと行きたかったんですよ、ここ! これで白布温泉伝統の「中屋(別館)」、「東屋」に続いて御三家コンプリートや!!
 白布温泉は日本全国で秘湯と呼ばれる種類の温泉地の中では比較的有名な場所かと思うのですが、それでも最寄りの都市である米沢市から車で約30分強続く田園~山道の寂しさはものすごいもので、特に今回は仕事の都合で完全に陽が落ちてからのドライブとなり、しかも漆黒の山影がたまに不気味な雷光で照らされるというムード満点なシチュエーションで宿に向かうこととなりました。映画『ルパン VS 複製人間』のオープニングか!
 そして、よせばよいのに以前から何度か白布温泉に通っていた私は、かねてからそこに行くまでに必ず通る県道2号線の途中で「船坂峠(ふなさかとうげ)」という廃道が脇でぽっかり口を開けているのが気になっていまして、そこはいつも車止めやテープが張ってあって閉鎖されていたのですが、今回に限ってテープがちぎれて中に入れる……ような気がしたので、ついつい夜道にもかかわらずそこに潜入してしまいました。
 いや~……夜の山は怖いですね! 以前調べたところ、かなり曲がりくねった廃道ではあっても、そこはもともと片側一車線のアスファルトが敷かれていたちゃんとした道路であることは知っていたので大丈夫かなと高をくくって挑んだのですが、道は予想以上のスピードで自然に侵食されており、冗談抜きに道路の見える部分が幅50cm くらいという『千と千尋の神隠し』ライクな枝まみれツタまみれの惨状に。要所要所で道路がまるまる見えている場所もあったので、おそらく不定期に地元の方か私のような物好きが通っている人跡を感じてその点は安心だったのですが、倒木や落石を踏んで車が立ち往生して、そこにツキノワグマでも出てきようものなら……という恐怖にかられる時間でした。結局、やっと峠道を抜けたと思ったら、そこから現道に出るゴール地点に廃タイヤが並んで閉鎖されていたので、泣く泣く来た道を戻ってちゃんとした正規ルートをたどり直し申した。テンションに駆られてアホなことはするなかれという教訓!! ほんと、何事もなく生還できてよかった……日頃お参りしてる薬師如来さまのおかげだべ。

 山形は先月から、雨が降らなければムシムシの炎天にみまわれる酷暑が続いているのですが、さすが白布は米沢藩上杉家の奥座敷というだけあり、湿気と虫には目をつむるとしても暑さ知らずの快適な夜を過ごすことができました。江戸時代から設計が変わっていないという石造りの瀧風呂も大迫力で素晴らしかった! 梅雨のせいか湯の温度がぬるめだったのも逆に良かったですね。宿泊客の場合は大きな内湯の貸し切り風呂も入れるのですが、そちらで深夜に窓の外から聞こえてくるカジカガエルの美声も最高でしたよ。瀧風呂は瀑布の爆音としぶきでそれどころじゃないから。
 宿への到着が夜9時近くという、翌日の朝食のみで半日ちょっとのせわしない旅となってしまいましたが、主目的は温泉なので、十二分に楽しめるひとときを味わえましたね。西屋さんは古い旅館の常として、外観から受ける印象以上に内部の構造が入り組んで廊下と階段の組み合わせが迷路のようになっていて、迷子になったふりをしてだぁれもいない奥の棟を覗き見る楽しみもしっかりできました。お化けには流石に会えないんだけど、真っ暗な無人の廊下で誰かを待っているかのように佇んでいる日本人形や掛け軸を見ると、ゾックゾクしますよねぇ! あっ、お邪魔しました……みたいな。
 白布温泉以外にも、まだ私が行っていない米沢の秘湯はまだまだあります! 次はどこに行こうかしら。


 ……とまぁこんな具合で前置きが長くなってしまいましたが、要するに私はかくのごとく、ちょっぴりアブない冒険やオカルトじみた謎が大好きな人間なのであります。そんな私が、『THE つぶろチャンネル』みたいな不思議まみれ謎まみれのパラダイスに食指が動かないはずがないんですねェ!!
 やや気づくのが遅れてはしまいましたが、ゴールデンウィーク後のまるまる2ヶ月を使って、1500本以上の動画とサブチャンネル『THE つぶろ調査隊』の全動画を楽しませていただきました。いや~、おもしろかったぁ。

 Youtube にて2019年1月に開設された『THE つぶろ』は、青森県出身の2名の男性がネット上で語られている都市伝説を掘り下げて紹介していく動画チャンネルなのですが、その真摯な調査スタイルはそんじょそこらの「ネット上の出展不詳の噂を面白い奴から拾って羅列しました~。」みたいな無責任な動画チャンネルとは一線も二線も画しまくった綿密かつ細心なもので、お題に選んだ謎に一瞬でも実在の住所や企業でも出て来ようものならば、光の速さで役所に急行すれば登記簿を、図書館に馳せ参じれば過去の地方新聞の記事をチェックして、そこから得た信頼できうる人々や土地の履歴をもとに推理を展開するという、昭和の刑事みたいな地に足の着きまくった調査を得意としているのです。松本清張イズム!
 また、そういった実在の事件や場所に基づいた噂を調査するほかにも、このチャンネルではあの「かわいくさせて」や「ジェフ・ザ・キラー」に代表される、ネットサーフィン(化石語)したことのある人ならば必ず出くわしたことのあるビックリ系恐怖画像の由来や起源を探る企画も多いのですが、そういう時は日本国内でよく利用される検索サイトにとどまらず中国やロシアといったサイトでの画像検索も活用して画像の遍歴をたどり、現在閉鎖してしているサイトであっても、ちょっと私はよくわかんないのだけど「インターネットアーカイブ」やら「ウェイバックマシン」といった外法を駆使してサイトの亡霊を召喚してそこにわずかに残るいにしえの情報を復活させる、まさに青森出身らしい「電脳いたこ術」もお手のものというオールマイティぶりを発揮しているのです。
 刑事にして陰陽師。現実でも非現実でも彼らの前に出て、その謎を暴かれずに済んでいる都市伝説はほぼないと言って差支えは無いでしょう。それだけに、そんなTHE つぶろさんの捜査の過酷な洗礼を受けているにもかかわらず未だに解明されない謎でい続けている「ドラえもんのマーライオン前集合画像」や「ポルターガイストくん」の深淵のドス黒さがさらに磨きをかけているという、この理想的なライバル関係……大好き♡

 数回にわたって紹介してきたこの記事のタイトルをご覧いただいて分かるように、私はこのチャンネルの都市伝説、恐怖画像、心霊写真、実録犯罪、SNSの闇、テレビ番組、コマーシャル映像、音楽、ゲーム、廃墟探訪、民俗風習などなどといった無尽蔵なまでの守備範囲の広さに、江戸時代の南町奉行・根岸肥前守鎮衛(しずもり)が当時の世間に流れていた巷説をノンジャンルで聞けるだけ聞き集めた採話集『耳嚢(みみぶくろ)』(1780年代~1814年 全10巻)の再来をおぼえずにはいられません。あの、平成時代に流行った実録怪談集『新耳袋』とはぜんっぜん無関係ですからね!? あれはあれでいいんですが、なんであのシリーズを『耳嚢』にあやかったタイトルにしたのかがまるで理解できません。おかげで「百物語=耳嚢」みたいなおかしなイメージが付いちゃったじゃねぇか! 『耳嚢』は確かに怪談も扱ってはいますが、それだけにとどまらない世間のどうでもいいうわさ話までをも包括するふところの広さが魅力なんでい! それを怪談集みたいな狭い認識に貶めやがって……お奉行様に謝れい!!
 ただ、本家の『耳嚢』は多少お奉行の考察が入る部分はあるにしても、どちらかというと「うわさをうわさのまま採集する」という民俗学的というか考現学的なスタイルが特徴だと思います。ま、無節操に拾い集め過ぎという見方もあるかも知れませんが。
 それに対してこのTHE つぶろチャンネルはと言いますと、取り上げた話題は謎のままにせず、可能な限りその発祥の状態にまで解体・還元することを旨としているところがあり、その解明に懸ける情熱と執念の密度は、のんきなお奉行というよりも、「無批判に守られ続ける因習や説明不可能とされる怪異を徹底的に解体することによって日本人の真の近代化を目指した」明治時代のあの妖怪ハンター・井上円了博士のストロングスタイルを彷彿とさせるものがあります。

 確かにそう思えば、THE つぶろさんのネットリテラシーの啓蒙に懸ける姿勢は大いに見習うべきものでありますし、だいたいチャンネル名の「つぶろ」だって、漢字にすれば「円」ですもんね! なるほど~、そういう志の高さでしたか、お2人!! 「雑文ブログ」だなんて謙遜しちゃってぇ~、このこの!

 ただ、開設されて5年たったこのチャンネルの最大の特徴にして最強の武器と言えるのは、やはりこの2人を助けて長年の謎を解かんとする無数の視聴者の提供する情報の確かさと範囲の広さだと思います。ここ1~2年の謎の解決に、この名もなき声が貢献している例は枚挙にいとまがないでしょう。「集合知」というもののすごさを、ここまで実感できる場は他にないのではないでしょうか。
 ほんと、昭和末期のテレビ番組やらコマーシャルとか、一瞬だけ Youtubeで見た動画だとか、そんなのわかるわけないだろという映像の由来が、ある日突然ポツリとつぶやかれたコメントによって解き明かされる化学反応は、人と人との出逢いがまさに奇跡であることをまざまざと思い知らされるドラマチックなものだと思います。私も少年時代、気になったテレビ番組を苦心して容量120分の VHSテープいっぱいギッチギチに録画した思い出のある人間なのでよくわかるのですが、放送の合間に流れるコマーシャルなんて真っ先にカットしちゃうもんね! それが2020年代の今に残ってるなんて、そうとうな確率の低さよ。それに再会できる喜びといったら……
 ただ、最近の視聴者コメントによって謎が解決する展開の多さをもって、THE つぶろのお2人の活躍度が低下していると見る向きもあるかも知れませんが、私はそうは思いません。チャンネルが有名になるにつれて、おそらく受け付ける情報も膨大になるでしょうし、それによって誤情報が入る確率も高くなると思うのですが、そこを精査するのはやはりお2人の手腕でしょうし、「THE つぶろだから、この情報を提供したい。」という求心力を築き上げてきたのは、まごうことなきお2人の魅力のなせるわざなのです。

 とまぁ、そんな感じで面白さをしゃべりはじめたらキリがないこのチャンネルなのですが、やはりこれは「百聞は一見に如かず」ということで、どの動画でもいいので、気になった動画をちゃちゃっとご覧いただくのが一番かと思います。このチャンネルは「理想の動画分数は8分」というポリシーを順守されていますので、相当に重い内容の動画も見事にコンパクトで分かりやすいサイズに収めてくださっています。通勤中でも晩酌がてらでも難なく楽しめるお手軽さ!

 今回、我が『長岡京エイリアン』でこのチャンネルを取り上げさせていただくにあたり、1500本以上ある動画の中で私が個人的にグッときた回を3回にわたってざっとリストアップしたのですが、この中からさらに、私が特に面白いと感じたものベスト10を挙げさせていただきたいと思います。
 言うまでもなく、面白いか面白くないかは個人的感性に基づくものですので、他の方から見て同意しかねるランキングになるかも知れませんが、そこは個人ブログなので勘弁してつかぁさい。特に私は、ゲーム関連が非常にうといので……


≪プロの作るテレビ番組そっちのけに面白かった動画回ベスト10≫
 ※2024年6月配信回までの範囲

第1位 情報が一切存在しない奇妙な「生首の看板」(2024年5月)
第2位 詳細不明な謎の番組「緑色の液体に浸かる水着の女性」(2022年11月)
第3位 ネット上で流布している恐怖画像『かわいくさせて』の起源(2024年6月)
第4位 コラ画像と言われていた人身事故の心霊写真だが、実は(2023年11月)
第5位 YouTubeにアップされている「不倫女性焼身自殺録音テープ」は本物か(2023年10月)
第6位 視聴者が選ぶガチでヤバい心霊映像『Acceed ホモビデオのポルターガイストくん』(2022年9月)
第7位 ネットに存在する恐怖画像『長州力の背後の観客』(2021年11月)
第8位 アニメ『ドラえもん』出所不明のイラスト(2022年4月)
第9位 ≪調査隊≫哀愁のある有名なコピペ『飯盒炊爨AV 』の由来となったAV とは(2024年1月)
第10位 心霊写真『園児とデカすぎる先生の集合写真』(2022年12月)


 こんな感じになりますかね。いや~錚々たるメンツ!!

 第1・3・9位の動画は、このチャンネルで完膚なきまでにその噂の所在が白日の下に曝された大変な労作だと思います。何回かの調査動画の末に解決したものも多いので、その歴史を最初からたどっていくと、その功績の大きさもより身に迫ってくることでしょう。
 そもそも、なんでまた、そんなよくわかんない画像やらコピペ文章の由来という、わかろうがわかるまいが実生活に何ら影響しなさそうな謎を追い求めるのでしょうか。それは、「知的欲求」という人類にしか味わえない快楽をかなりの純度で満たす贅沢きわまりない娯楽だから、のような気がします。
 別にそれがわかったところでお金がもらえるわけでもなければ頭がよくなるわけでもない、視聴率が取れるわけでもない。そんな感じに文明社会の暗部に打ち捨てられている問題に、徹底的に向かい合って解決する。これを高等的な探偵と呼ばずして何と呼びましょうか。こんなことしてる人、小説の中だけじゃなくて現実にほんとにいるんだ……
 あと、人類にとっての「謎を解決する」という行為は、知的欲求を満たすという他にも、「理解をもって相手を制する」という抵抗手段でもあるような気がします。もちろん、その理解が「ほんとうの理解」なのかどうかはこの際問題ではなく、理解することで「安心できるかどうか」が重要な話です。
 つまり、あの時見てビクッとなった恐怖画像を理解し、元画像へと還元してしまうことによって「おめぇなんて怖くねぇぞコノヤロー!!」という最大限の抵抗として、このチャンネルでの「かわいくさせて」や「生首の看板」への執拗な追究を解釈することもできるのではないでしょうか。どんなにおどろおどろしい看板が暗い山道に立ててあっても、それが子ども向けの肝試しの道案内表示だとわかれば怖くはなくなりますよね……と思ったけど、やっぱあの看板はこえぇ!!

 第2・6・8位は、2024年7月現在でも解決していない謎についての動画なのですが、その中でも特に私が「水槽の中の水着女性」を推すのは、動画の中の女性が、ちょっとテレビで本当に放送していたのかと疑わしくなるくらいに心底不安そうな表情で緑色の液体に浸かっているからです。あれは絶対に演技じゃないし、なんなら撮影スタッフに殴りかかるんじゃないかというくらいに猜疑の目を周囲に投げかけているんですよね。あんな実験映像、なかなかないと思いますよ……できればモデルを務めた女性のプロフィールも含めて、解決してほしい謎の番組映像です。

 第4・5位は、動画を観ていて心底戦慄した内容のもので、第10位は心底笑ってしまったものです。第4位は、線路上にとんでもないモノが無造作に転がっていて、それなのに近くに停車している電車の車体がまるで無傷ということで長らくコラではないかと疑われていた画像だったのですが、画像に散りばめられていた不可解な点が一つ一つ丁寧に解決されていって、その末にたどり着いた結論が「本物です……」という最も恐ろしいものになってしまうという、まるでかの名探偵シャーロック=ホームズの至言を地で行くような理路整然とした動画になっていたのが衝撃的でした。
 「どんなにありそうになくても、全ての不可能な要素を排除して最後に残った結論が真実だ。」
 第5位のおぞましい音声資料は、実は私も中高生時代に見たテレビの実録犯罪番組のオープニングで唐突に聴かせられて以来トラウマになっていたものだったんですよ。それが今回、晴れて「ほんとに録音したやつです。」という、一番そうであってほしくない答えを得ました……そんなの放送せんといてやぁ!!
 第10位もまた、恐怖を「理解」や「笑い」で無効化しようという人類ならではの対抗の恒例だと思います。にしても、あれがテレビの映像だとよくわかりましたね……とにもかくにも、昭和の心霊写真はカメラの性能に起因するやつ多すぎ! そういえば、「写ルンです」を最後に使ったのはいつだったかな……

 最後に残った第7位の動画なのですが、これはある意味でTHE つぶろチャンネル最大の異色作と言ってもよろしいのではないでしょうか。
 ただ、この動画に関してはこうして話題にすること自体が私自身も好むところでないので、あまりピックアップはしたくないのですが、「人の容姿をどうこう言う権利が自分にあるのか」という問題に気づかせてくれる非常に大事な動画になっていると感じたので、ランクインさせていただきました。これ、かなり深い話だと思います。それは、珍しく賛否両論がはっきり分かれたこの回のコメント欄を見ても一目瞭然かと思うのですが、私は、ここで採り上げられた画像をもって「何の問題もない普通の画像」と断じたTHE つぶろさんの勇気ある結論に賛意を表したいと思います。
 実は私自身も個人的な体験として、大学生時代に千葉のコンビニで働いていた時に、お店の常連さんの中にそういった方がいらっしゃったのですが、おそらく通勤の途中でお店に来ているその方を奇異の目で見る地元の人は老若男女含めて一人もいないのに、ご本人はいつも肩を丸めて周囲の視線を気にして、申し訳なさそうな表情を浮かべて買い物をそそくさと済ませて出ていく様子が、なんだかものすごく印象的だった思い出があります。これはTHE つぶろさんも取り上げていた『探偵!ナイトスクープ』の「謎のテープ紐」のお話とも通じるかと思うのですが、世間という共同体には「馴れる」というある種の癒し効果(双方にとっての)があると思います。でも、なんでも明示し平均化するネット社会はもはや集団とはくくれない程異様に肥大化した乱気流のような状態になっていて、ある異分子に対しては常に初見の膨大な視線が叩きつけられてしまい、「怖い!」とか「キモい!」とかいう無責任な俎上に載せられてしまう悲劇が生まれてしまうのではないでしょうか。
 この件に限らず、障害というものは実際にその身になってみることが難しい隔絶がある問題だと思うのですが、それを認める、受け入れることと現在のネット社会とは、決定的に相いれないものがあるとしみじみ感じ入る動画でありました。かといって、江戸時代以前の「神子筋」や「おっとい嫁女」がはびこる文明に戻っていいわけがなく……難題ですね。

 まぁまぁ、そんな風にある意味でテレビ番組以上の鋭さをもって心に刺さる動画も提供してくれる、しかも毎日!!というTHE つぶろチャンネルさん、今後もお2人のお身体やチャンネル自体を壊さない範囲でがんばっていただきたいと思います。
 でも、ほんとにこのチャンネルのおかげで解決したネット上の謎は多く、これから果たして今まで以上におもしろい話題はコンスタントに出てくるのかなという不安もちょっぴりあるのですが、ま、ネットは広大ですから! そうそうスフィンクスのように簡単におっ死ぬこともないでしょうし、このチャンネルがその役目を終える時は来ないのでしょう。

 余談ですが、私、数年前にも Youtubeでめっちゃくちゃ面白いと思って毎回視聴していたチャンネルがあったのですが、ある日突然に投稿主様の個人的な都合か何かで、チャンネルごと全動画がまるっと削除されて見返せなくなってしまったという残念な思い出がありました。『遭難や漂流について』というチャンネルでしたが、淡々とした語り口で時々ギャグを織り込みつつも、ちょっとした判断ミスで後戻りできなくなる自然の猛威と死の恐ろしさをじわじわ染み込ませてくる構成が本当に見事で。でも、今はもう一切視聴不可能になってるんですよね。最近アホみたいに粗製乱造されてるなんちゃって遭難啓発系動画なんぞ、まったく足元にも及びません。全部おすすめ拒否!!
 そうそう、そこはプロのテレビ局じゃなくて個人チャンネルなので、著作権やらなにやらの事情でそういうことがあっても文句は言えないのよねぇ。THE つぶろさんに限ってはそのようなミスは犯さないでしょうが、いつまでもお元気で動画を作っていってくださいね!!

 だいたい、ここまでで私の言いたいことはあらかた終わったのですが、文字通りの蛇足として、私が「真相、知ってるかも!?」とピンときたネタなんかをぶつくさつぶやいて終えたいと思います。1500本も観れば、たま~にそんなのもありますわな。


〇≪調査隊≫千葉県佐倉城址公園の「呪いの13階段」(2024年5月)
 これ、もしかしたらこのブログの最初期につづってたかもしれないと思って調べてみたら、ほんとにやってたわ、佐倉城探訪のおまけに実際に観たのよ、そのトマソン階段!
 いや~、なつかし~……何事も記録に残してみるもんですね。もうあれ、13年前のことになんのかぁ。

〇福島の妖怪「マンモガイガイ」とは?(2023年6月)
 私は山形県民なので福島のことはよくわからないのですが、柳田国男の著作でそこらへんの正体不明なお化け全般を「あんもけっけ」とか「ももんがぁ」とか「もくりこくり」とかいうよくわかんない言葉で表現することは知ってたんですよ。
 んで、昨今は山形弁もテレビの影響で世代を追うごとに確実に消失しつつあって、じいちゃんばあちゃんが使う地元言葉を2~3歳の幼児が継承するっていうことも、少なくとも私の住む山形市ではほぼ無くなってしまっている現状を実感しているのですが、そういう方言うんぬん関係なく、口まわりがまだ成長しきっていない幼児って、「コワイ」を「ガイ」と発音することがよくあるんですよね。
 なので、「けっけ」を「ガイガイ」にというよりは、「怖い怖い」を「ガイガイ」と聞き間違えたと見るほうが近いような気がするんだよなぁ。どうざんしょ?

〇呪文を詠唱する時だけ怖い顔になる Eテレの魔法少女のアニメ(2023年4月)
 これね、私、聞いた瞬間に「『ゴー!ゴー!キッチン戦隊クックルン』の魔法少女マジカル☆クリーミーだ!!」と確信してたんですよ。
 実際それじゃないかと指摘するコメントもあったようなのですが、真相は Eテレではなく BSプレミアムで放送されていた子ども向けバラエティ番組『ワラッチャオ!』(2013~17年放送)内のアニメ『黒魔法少女ワリー』だったとのことでした。
 それはそれとしても、この謎に関しては他にも『シャキーン!』(2008~22年放送)内のアニメコーナー『ノロイちゃん』や、『天才ビットくん』内のアニメ『魔法少女隊アルス』(2004~05年放送)ではないかというコメントも乱立していたようで、それにマジカル☆クリーミーまで参戦するとなると、Eテレはどんだけ怖い顔の魔法少女を増産しているのだと天を仰いでしまいます。あんたが率先してトラウマメイカーになってどうすんの!?
 私が推していたマジカル☆クリーミーは、キッチン戦隊クックルンに襲いくる怪人の中でもかなりの異彩を放つキャラクターで、2代目、3代目、4代目と2年単位で交代していたクックルンにたびたび挑戦する人気を誇っていました。魔法を詠唱する時というよりは、魔法と称して全て怪力でなんとかしようとするマジカル☆クリーミーが、ふだんはアニメチックな美少女なのに急に鬼の形相と化してクリームをひり出しているさまを見てオンエア当初は私も爆笑したものだったのですが、2016~21年に散発的に都合4度登場していたものの、その声を熱演されていた声優の新田早規さんが2022年に惜しくも急逝されてしまったこともあり、現在はアーカイブ放送を視聴することもできない幻の魔法少女となっているのが非常に残念ですね。
 ま、確かにマジカル☆クリーミーが出てる時は絶対に相手のクックルンもいたはずなので、それを見といて「何のアニメだかわかんない」と質問者の方が思うわけがないよね……なんとか、マジカル☆クリーミーの勇姿をちょびっとだけでも未来に残す手立てはありませんかねぇ、NHKさん!?

〇テレビ放映された黒澤明監督の白黒映画で突然流れた「しばらくお待ちください」画像(2022年6月)
 これは真相、わかります! 私も当時オンエアを見ていてビックリしたんだもの。
 質問者の方は「25年ほど前、黒澤明が亡くなった時の追悼番組として地上波テレビで放映されていた白黒映画」と記憶しておられるようですが、その放送中に急に目のようなマークの画像が数秒映り込んでから「しばらくお待ちください」テロップに切り替わり、その後また映像本編が再開されたという不思議な出来事の真相を知りたい、とのことでした。
 これ、情報提供を求める動画が投稿された当時からコメント欄で様々な説が提供されており、その結果として後に出た真相編において、目のように見えたものは日本テレビのネットマークで、同局の『金曜ロードショー』で流れた『用心棒』の放送中に起きたトラブルの可能性が高いものの、その放送日は1997年12月26日ということで、翌98年9月に亡くなられた黒澤明監督の追悼番組であるはずもなく釈然としない部分がありながらも解決という流れとなっていました。他に、黒澤明監督の『八月の狂詩曲』の中の巨大な目のイメージ映像のことではないかという説もありましたね。
 このお話はですね、やっぱり金曜ロードショーの『用心棒』のクライマックス部分で起きた放送中断のトラブルで間違いないと思います。
 じゃ、当時存命のはずの黒澤明監督の追悼番組という矛盾はなぜなんだと申しますと、この放送は確か、そのたった2日前の1997年12月24日に亡くなられた、主演の三船敏郎さんの追悼番組だったんですね! だから『用心棒』だったんですよ。黒澤監督の前年に奇しくも三船さんが旅立っておられていたのでした。なんという奇縁!
 それで、問題の放送中断のトラブルについてなのですが、当時視聴していた高校生のそうだい少年は、以前にレンタルビデオで『用心棒』を何度も観ていたので、推測ながらも容易にその理由を思い当たることができました。
「あぁ、これ、狂った名主の多左衛門を演じる藤原鎌足さんのき〇がい演技が迫真すぎるので、その彼が殺人を犯す描写を放送できないと慌てたテレビ局が土壇場でストップをかけたのだろうな」と!!
 たぶん、九分九厘、放送中断の理由はこれなんじゃなかろうか。だって、放送が再開されても、中断したシーンは途切れた部分からは再開されなかったでしょ? きれいに鎌足さんが演じる多左衛門の凶行はカットされちゃってたもんね。狂った彼がお題目の太鼓を叩いてたっていうのも、一部の方々にはそうとう癇に障ったのかも!?

 真相はこうなのだー!と、声を大にして叫ばせていただきたい。叫ばせてくださいお願いします!! 私にも探偵の真似事させてくれたっていいじゃねぇかケチー!!
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よみがえれ平成うさんくさいロマン!! 飛鳥昭雄の UMA大百科

2024年07月02日 22時01分10秒 | 愛すべきおっさんがた
参考資料;飛鳥昭雄『超保存版 UMA完全ファイル』(2012年6月刊 ヒカルランド)

565年~2000年代 伝説の水馬ネッシー(イギリス・スコットランド北部ネス湖)
 体長15m。巨大無脊椎軟体動物タリモンストゥルム説あり
1997年 第2ネッシー(イギリス・スコットランド北部ネス湖)
 体長3m。古代硬骨魚の生き残りか

1609年~2000年代 伝説の怪物チャンプ(アメリカ東海岸北部シャンプレーン湖)
 体長20m。スコットランドのネッシーと同種の巨大無脊椎軟体動物タリモンストゥルム説あり

1735年~2000年代 悪魔ジャージーデビル(アメリカ・ニュージャージー州)
 体長1.8m。翼竜アンハングエラ説あり

1776年~2000年代 虹の怪物モケーレ・ムベンベ(アフリカ・コンゴ共和国テレ湖)
 体長10m。絶滅した巨大哺乳類の生き残り説

1800~2000年代 巨大腸蟲モンゴリアン・デスワーム(モンゴル北部の砂漠地帯)
 体長6m、揮発性の猛毒液、放電攻撃。未発見の新種生物か

1840~2000年代 超巨大ミミズ・ミニョコン(南米奥地ネグロ川流域)
 体長50m。火星の超巨大チューブ型生物「サンドワーム」と同種の新種生物か

1850~2000年代 巨大鳥サンダーバード(アメリカ西部)
 体長5m、プラズマによる火球攻撃。翼竜プテラノドン説、絶滅した巨大鳥説あり

1852~1983年 伝説の水馬モラーグ(イギリス・スコットランド北部モラー湖)
 体長10m。同地方のネッシーと同じく巨大無脊椎軟体動物タリモンストゥルム説あり

1856年 氷漬け翼竜ディモルフォドン(フランス北東部サンディジェ地下トンネル)
 体長50cm。2055年までフランス政府が遺骸を封印保管

1872年~2000年代 巨大水棲怪物オゴポゴ(カナダ・ブリティッシュコロンビア州オカナガン湖)
 体長10m。古代水棲哺乳類バシロサウルス説、古代水棲爬虫類モササウルス説あり

1897年~2000年代 伝説の怪物ナウエリート(南米アルゼンチン南部リオネグロ州ナウエルウピア湖)
 体長20m。首長竜プレシオサウルス説、巨大オオウナギ説、古代水棲哺乳類バシロサウルス説あり

20世紀初頭~1998年 伝説の怪物サーポパード(アフリカ・ケニア)
 体長5m。竜脚類ティタノサウルス説あり

1919年~1940年代 大型恐竜エメラ・ントゥカ(アフリカ・コンゴ共和国リクアラ湿地帯)
 体長8m。一角恐竜モノクロニウス説あり

1923~98年 怪鳥コンガマトー(アフリカ南部ザンベジ川流域)
 翼長4m。翼竜プテロダクティルス説あり

1936年~2000年代 伝説の怪物マニポゴ(カナダ・マニトバ州マニトバ湖)
 体長10m。オオウナギ説、巨大ヘビ説、巨大水棲哺乳類説あり

1942~96年 巨大水棲生物イッシー(鹿児島県薩摩半島南東部・池田湖)
 体長20m。巨大オオウナギ説、超巨大ヒル説あり

1953~64年 巨大怪物シベリア・ドラゴン(シベリア・サハ共和国ハイール湖、ボロータ湖、レナ川流域)
 体長30m。魚竜イクチオサウルス説、未発見の巨大水棲哺乳類説あり

1953年~2000年代 水棲妖怪・河童(日本列島全国)
 体高70cm。中国の河伯や北海道のコロボックル、沖縄のキジムナーや中米のチュパカブラと同種の、未発見のヒト型両生類動物か

1957年~2000年代 宇宙生物クリッター(成層圏以上の宇宙空間)
 全長100m。プラズマ生命体説あり

1960~2000年代 伝説の怪物テンシー(中国・北朝鮮国境長白山カルデラ湖天池)
 体長8m。火口のマグマ活動による水柱説、未発見の巨大水棲哺乳類説、古代水棲哺乳類バシロサウルス説、首長竜プレシオサウルス説あり

1966年11月~67年12月 蛾人間モスマン(アメリカ・ウエストヴァージニア州オハイオ渓谷ポイントプレザント)
 体長2m、最高時速400km で空を飛ぶ。エイリアンアニマル説、翼竜説あり

1969年 巨大水棲怪物シーサーペント(アメリカ・カリフォルニア州サンクレメンテ島沖)
 体長8m。手足の退化した未発見の巨大水棲哺乳類

1970年 伝説の怪物メコン・ナーガ(東南アジア・メコン川流域)
 体長10m。リュウグウノツカイ説、巨大オオウナギ説、古代水棲哺乳類バシロサウルス説あり

1972年~2000年代 巨大怪物クッシー(北海道北東部・屈斜路湖)
 体長20m。スコットランドのネッシーと同種の巨大無脊椎軟体動物タリモンストゥルム説あり

1972年~2000年代 伝説の怪物ミゴー(南西太平洋パプアニューギニア・ニューブリテン島ダカタウア湖)
 体長10m。未発見の巨大水棲哺乳類説あり

1974年 幻の怪蛇ツチノコ(日本列島本州)
 当時輸入されたアオジタトカゲ説、ヘビの変種説、手脚の無い新種のトカゲ説あり

1976~85年 宇宙生物スペースキャタピラー(東京上空や成層圏)
 全長100m。妖怪のびあがりやスカイフィッシュと同種のプラズマ生命体か

1977年 謎の腐乱死体ニューネッシー(ニュージーランド・クライストチャーチ沖50km海中
 体長10m、重量1.8トン。ウバザメ説、首長竜に近い特徴を持つ新種の哺乳類説あり

1977年 中国の水棲妖怪・河伯(中国・青海省の黄河源流域)
 体高1m、プラズマによる狐火現象。沖縄の妖怪キジムナーと同種の、未発見のヒト型両生類動物か

1980年代 伝説の怪物キルギスドン(中央アジア・キルギス共和国イシククル湖)
 体長10m。首長竜プレシオサウルス説、巨大水棲哺乳類説あり

1980年~2000年代 吸血怪物チュパカブラ・グレイタイプ(カリブ海プエルトリコ)
 体長90cm。未発見の新種動物説あり
1990年~2000年代 吸血怪物チュパカブラ・翼竜タイプ(カリブ海プエルトリコ)
 体長90cm。翼竜プテロダクティルス説あり

1985年~2000年代 巨大翼竜ローペン(南西太平洋ニューギニア島)
 翼長6m、プラズマによる火球攻撃。未発見の大型翼竜説、巨大コウモリ説あり

1990年 大型恐竜コッコーリ(中央アジア・カザフスタン共和国コッコーリ湖)
 体長20m。竜脚類サルタサウルス説あり

1990年~2000年代 宇宙クラゲ(空中から成層圏内)
 全長?~100m。クリッターと同種のプラズマ生命体か

1990年代~2000年代 謎の怪物ニンゲン(南氷洋などの世界の海)
 全長20m。未発見の海棲哺乳類説、海棲軟体動物説、日本の妖怪・海坊主と同種説あり

1993~98年 水棲怪物ホラディラ(南米アマゾン川流域)
 体長3m。ワニの変種説、魚竜の生き残り説あり

1994年~2000年代 空飛ぶ怪生物スカイフィッシュ(世界中の空中や海中)
 全長?~100m。エイリアンアニマル説、進化したアノマロカリス説、カメラのブレによる虫の錯覚説、プラズマ生命体クリッター説など

1996年 ジェリー生命体(地中海、カリブ海バハマ諸島沖)
 体長300m。未発見のクラゲ状生物か

1997年~2000年代 伝説の怪物ジャノ(西アジア・トルコ共和国東部ヴァン湖)
 体長15m。古代水棲哺乳類バシロサウルス説、首長竜マクロプラタ説あり

1998年~2000年代 フライングヒューマノイド(アメリカやメキシコ、日本など)
 体高不明。日本の妖怪・天狗や中米のチュパカブラと同種の、未発見のヒト型両生類動物か

1999年 フライング・ニンゲン(南極大陸)
 プラズマ効果を利用して飛行する。ニンゲンと同じく未発見の海棲哺乳類説、海棲軟体動物説、日本の妖怪・海坊主と同種説あり

2004年 有翼人オランバッチ(インドネシア・マルク諸島セラム島)
 翼竜ランフォリンクス説あり

2004年 カンガルー恐竜ゲクフ(南米チリ北部)
 体高2m

2007年 バイオクローン・ティラノサウルス(アメリカ軍極秘研究施設)
 グリズリーの卵子と母胎を利用して誕生させ育成・研究中

2007年 ヒト型海棲甲殻生物パタゴン(南米アルゼンチン南部ティエラデルフエゴ州フエゴ島)
 人間大。未発見の生物か

2008年 甲冑魚の死骸(マレーシア首都クアラルンプール近郊のジャングル)
 体長45cm。古代甲冑魚ボトリオレピスの生き残りか

2010年 三葉虫(ブラジル・アマゾナス州ネグロ川流域)
 体長50cm。古代水棲生物の生き残りか
コメント (2)
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