ハイど~もみなさんこんばんは! そうだいでございます。
いよいよ新年度も幕を開けたという感じなのですが……世の中のコロナウイルス大流行はますますひどくなるばかりで、ついに非常事態宣言が全国レベル、なんと私の住む山形までにも発令される事態となってしまいました。つったって、ウイルスは目に見えませんからね……できる限りの感染予防対策はもちのろんでやりますが、一体どのくらい、そしていつまで頑張ればよいのやら、といった脱力感にさいなまれております。
また、私が現在勤務している業種というものが、本質的にリモートでできるわけがない接触前提のお仕事なものですので、まぁにんともかんとも、感染もやむを得ぬかと観念するしかない日々で通勤しております。毎日ヨーグルト食べて防御態勢を万全にしておくしかねっか。
こういった、あの2011年の東日本大震災とは、また全く違う形で大変なことになっちゃっている今現在の日本であるのですが、やはりあの時がそうであったように、エンタメ業界にも甚大な影響が出ているようでありまして、様々な形での放送スケジュールの変則化が起きているようです。
我が長岡京エイリアンに縁のあるジャンルに限定してみてみても、まず NHK大河ドラマ『麒麟がくる』の撮影が今月から休止している状況となっているそうで、今現在は収録済みのエピソードを放送しているので予定通りの進行ではあるのですが、おそらく来月以降に撮影ストックが尽きることは間違いないと思われます。せっかくの、戦国時代後期の近畿地方にスポットライトを当てた挑戦作だというのに、なんということでしょうか……休止した分、エピソードを減らすという対応だけはぜっっっったいにやめていただきたい! 三好三人衆「カットしないでねっ!!」
また、「プリキュアシリーズ」、「仮面ライダー」、「スーパー戦隊シリーズ」を擁するニチアサ枠に関しましても、つい先月に放送開始された『魔進戦隊キラメイジャー』が、やはり収録済みのエピソードは予定通りに放送してスタートできてはいるものの、主要キャスト&スタッフ陣でコロナウイルスが流行してしまい現在は撮影中止となっております。また、「令和初の仮面ライダー」として鳴り物入りで去年から放送されていた『仮面ライダーゼロワン』も、まだ全話撮影クランクアップしていない時点で撮影休止になっているとのことです。当然、両作品とも大勢の人を集める東京ドームシティなど全国でのヒーローショーの開催は中止。つまんねーなぁ! でも、哀しいけどこれ、戦争みたいなもんなのよねぇ。
そしてなんと、先々月に放送が始まった『ヒーリングっど♥プリキュア』にいたっては、昨日の第12話の放送をもって、いったん新規エピソードの放送を中断して、しばらくは今まで放送された回の再放送で時間をかせぐという発表が、本日ついに出てしまいました……たぶん、大河ドラマも他のニチアサ作品も、遅かれ早かれこういう対応になってしまうのではないでしょうか。アニメスタッフさんだって、実写作品以上に密集した環境でお仕事されてるわけですし、仕方のないことではありますね。ひっじょ~に、キビシ~ッ!!
おそらく、スケジュール的に見て作品全体のディティールが脚本の形で完成していると思われる『ゼロワン』はいいとしても、放送が始まったばかりの『ヒープリ』と『キラメイジャー』への影響は大変でしょう。『ヒープリ』なんて、敵が「病気」なんですから! あまりにもタイミングがバッチリ過ぎる……果たして、プリキュアはコロナウイルスに勝てるのであろうか。『スイートプリキュア♪』(2011年)以来の過酷な闘いですね。
以上のように、実際に大人数のキャスト&スタッフが集まって撮影・制作するフィクション作品の業界はもう大変な異常事態の中にあるわけなのですが、この影響は当然ながら、私が愛してやまないテレ東の「ガールズ×戦士シリーズ」の第3作として現在放送中の『ひみつ×戦士ファントミラージュ!』にもおよんでいるようであります。
ところが『ファントミラージュ!』への影響は、また前述の諸作品とは違ったものとなっておりまして、こちらはなんと、新作エピソードの撮影休止とは真逆の「放送延長! まだまだ続くよ!!」という、きわめてアグレッシブで前のめりなものとなっているのです。う~ん、実にファントミっぽい! こういった、なんだかよくわかんないけど元気だけはある動きって、今の日本にいちばん必要なもののような気がする。
ただし、こちらの対応も別にガムシャラ一辺倒な奇策というわけではなく、こっちはこっちで「ガールズ×戦士シリーズ初の映画版の公開までなんとかファントミを続けなければいけない」という苦境の中での TV放送延長となっているようなのです。そうなんですよ~、こっちはなんと「映画館の営業停止・縮小」という異常事態の影響をピタゴラスイッチ的に受けてのものなのです! も~ヤダ!!
話は脱線しますが、子どもの頃、私はスーパー戦隊シリーズを毎週楽しんでいて、「おもしろいのに、なんで毎年必ず1年きっかりで別の戦隊になるんだろう」という疑問を持っていました。どんなに話が盛り上がっても、必ずおんなじ時期に物語が終わって、また新しい戦隊メンバーと敵組織を覚えなきゃいけないんですよね! いちおう、当時は『仮面ライダーBRACK 』~『BRACK RX 』(1987~89年放送)の主人公継続という珍しい例もあったのですが、それ以降のほぼすべてのスーパー戦隊シリーズと平成~令和ライダーシリーズは「1年で放送終了」という鉄則を順守しています。「プリキュアシリーズ」もまた、『ふたりはプリキュア』~『Max Heart 』(2004~06年放送)と『 Yes!プリキュア5』~『5 GoGo!』(2007~09年放送)という偉大な例外こそあるものの、それ以降、シリーズ作品の放送が1年以上に延長することは絶えてありません。
これはまぁやっぱり、物語世界を2年3年と続く規模に拡大したり、ピッチピチイケメンの若いキャストや声優たちのスケジュールをそれほど長く拘束したりすることも難しいし、それ以上に厳然たる理由として、「作品の関連おもちゃを毎年目新しいものにするのだ……!!」という、いわゆる「 B財団」、もしくは「 T&Tコンツェルン」の強大な意思が働いているのではないでしょうか。はは~っ、おおせの通りに!!
ですので、今回奇しくも「映画公開までもたせろ!」という事情により、この「放送期間1年」のタブーを突破してしまったファントミの異常性は際立っているのです。まぁ、だからといってファントミが、切りのいい来年の3月末まで放送するとも思えないのですが、ちょっと肝心カナメの映画版の公開時期が未定という状況なんでね……いつまで放送してくれるのでしょうか。映画と TVのガマン比べみたいな感じになっちゃってますね。
それでもまぁ、1年間の撮影というかけがえのない経験を積んで、確実に成長しているファントミメンバーの活躍が長く楽しめるというのは非常に嬉しいことで、天下のエンケンさんをはじめとする実力派俳優陣を準レギュラー or ゲストとして惜しげもなく投入するガールズ×戦士シリーズの中で、主人公メンバーの演技力がリセットされずに持ち越されるというのは素晴らしいことだと思います。毎年、一からやり直しになってましたからね。
作品の面白さに関しては、前作『魔法×戦士マジマジョピュアーズ!』から折り紙つきではあったのですが、今作ファントミではさらに作品の独自性にブーストがかかったように思われ、我が『長岡京エイリアン』でも過去に紹介した、堀内正美さんと諏訪太朗さんが奇跡の共演(?)を果たした『ファントミラージュ!』第15話のように、もはや無視することのできない通ごのみの要素を持ったエピソードも出てくる始末となりました。何度観ても、堀内さん全力勝負しすぎ……
そして今回はなんと、「魔法少女」ものフィクション作品の垣根を越えた「あの作品」からの超特大ゲストがファントミの世界に現れて激突するという、とんでもないクロスオーバー回が炸裂してしまったのです! 同じガールズ×戦士シリーズの過去戦士が出てくるっていうのは恒例行事で、ファントミでももうやってるのですが、まさか別時空の戦士がやって来てしまうとは……
TV ドラマ『ひみつ×戦士 ファントミラージュ!』第50話『ライバル宣言!?最強ダンスコンビ登場!』(2020年3月22日放送 脚本・松井香奈、監督・原島孝暢)
『ひみつ×戦士 ファントミラージュ!(ひみつせんしファントミラージュ)』は、2019年4月からテレビ東京系列ほかで放送されている少女向け特撮テレビドラマ。『アイドル×戦士 ミラクルちゅーんず!』(2017~18年)、『魔法×戦士 マジマジョピュアーズ!』(2018~19年)に続く、「ガールズ×ヒロイン!シリーズ」の第3作にあたる。キャッチコピーは「正義の怪盗 ひみつ×戦士ファントミラージュ! イケない心、ちょーだいします!」。
あらすじ
ファントミラージュとは、秘密の怪盗。ファンディーからの指令により、逆逆警察によって「イケナイヤー」にされてしまった人から、「イケない心」をちょーだいして平和を取り戻す。
ココミ達は、ファントミラージュとして大活躍する一方、きらめき中学校ダンス部での部活動もがんばっていた。そんなある日、ココミ達はダンス部顧問のジュリ先生が応募した「ガールズダンスコンテスト」に出場することとなる。
セイラ「ココミ、ダンスコンテストに向けて練習よ!」
ココミ「 OK! あの子たちは?」
サキ「コンテストの常連、真奈美・佳奈美だ!」
ココミ「すごい! 2人のダンス、息ぴったり!」
サキ「コンビ愛なら、私たちも負けないよ! ココミと2人でイケナイヤーとダンス対決!」
主な登場人物、組織(年齢はドラマ初放送当時のもの)
桜衣 ココミ(ファントミハート)…… 菱田 未渚美(みなみ 13歳)
本作の主人公。明るく元気な中学1年生の女の子。好物はプチトマトであり、ボウル1個分を一度に平らげてしまうほど。口癖は「私のハート、ファンファンしてる!」。イメージカラーはピンク。
明日海 サキ(ファントミスペード)…… 山口 綺羅(きら 16歳)
頭が良くミーハーな性格で、いつもいろんなものをリサーチしている中学1年生。同級生のココミとともに SNS「Me tube」に動画を投稿している。口癖は「完全に始まってる!」。イメージカラーはブルー。
紫月 ヨツバ(ファントミクローバー)…… 原田 都愛(とあ 15歳)
ボーイッシュで落ち着いた性格で、家族を大切にしている中学1年生。口癖は「守りたい、大切な人を!」。イメージカラーはパープル。
紅羽 セイラ(ファントミダイヤ)…… 石井 蘭(15歳)
中学1年生。実は変装を得意とする怪盗一族の子孫で、伝説の怪盗「怪盗二十面相」の娘。口癖は「ファントミ的に、アリ!」。イメージカラーはレッド。
ファンディー …… 関口 メンディー(29歳)
ファントミラージュのボス。ファントミラージュであることを絶対機密として、4人には口外を禁じている。
くまちぃ …… 本田 翼(声の出演 26歳)
本作のマスコットキャラ。シルクハットがチャームポイント。ファンシーショップで売られていたクマのぬいぐるみに魂が宿った。
安奈 ジュリ(ジュリア)……柳生 みゆ(29歳)
ココミたちが通う中学校の養護教諭でダンス部顧問。普段は内気な性格であるが、金髪のウィッグを被ることで外向的な性格の「ジュリア」に変貌する。実はココミ達がファントミラージュであることを知っており、自身もファンディーのもとで怪盗見習い中の身だった。
真奈美 …… 牧野 羽咲(うさ 14歳)
佳奈美 …… 比留間 七星(ななせ 16歳)
逆逆警察
今作における悪役。世間のイケている人を「逆逮捕」し、イケナイヤーを作り出す存在。「サカサマ帝国」からの刺客であり、アジトである「逆逆警察署」は重力が逆になっている。
ギャンヌ署長 …… 石田 ニコル(29歳)
逆逆警察の署長。リーゼントヘアの婦警で、「一日一逆」と書かれたタスキを掛けている。しかし自分自身は怠惰な性格ゆえに人間界にはあまり出向かない。
アベコベ刑事 …… ぺえ(27歳)
頭脳派の刑事。灰色のトレンチコートという、いかにもな刑事スタイル。イケている人を見つけると長ったらしい罪名を勝手につけて逆逮捕する。
マギャク巡査 …… 黒石 高大(33歳)
パワー派の逆逆警察巡査。三つ編み髪と児童用帽子、名札付きスモックという幼稚園児のような服装が特徴的。基本的にはアベコベ刑事とペアで行動するが、単独で行動して逆逮捕することもある。
イケナイヤー
世間のイケてる人が、逆逆警察によって逆逮捕され変わり果てた姿。左手に逆逆警察の手錠が変化した銀の腕輪と、ギザギザのビックリマーク(鍵穴が断裂したもの)が描かれた黒い手袋をしている。普段とは逆の悪事を働く。逆逆警察が誤認逮捕した人間(特にイケてるわけでもない人)もイケナイヤーになってしまう。
きたきたきた~!! 牧野さん! 牧野うささんがファントミ世界に来ちゃったよ!!
え? うささんをご存じない!? 何言ってんすかあーた、うささんったら、あの『キッチン戦隊クックルン』での中核メンバーとして2年間も地球を守り抜いた超ベテラン変身ヒロインなんですよ!?
Eテレにクックルンあり!! 信頼と伝統の『キッチン戦隊クックルン』シリーズとは……
『キッチン戦隊クックルン』シリーズとは、NHK Eテレで2013年4月から2020年現在まで放送されている子供向け料理・食育番組。第1シーズン(初代クックルン)の番組タイトルは『すすめ!キッチン戦隊クックルン』(2013年4月~15年3月放送 全195話)であり、それ以降の第2~4シーズンの番組タイトルは『ゴー!ゴー!キッチン戦隊クックルン』となっている。
毎週月~金曜日に放送される10分番組で、初代『すすめ!キッチン戦隊クックルン』は朝の本放送と夕方の再放送、2代目『ゴー!ゴー!キッチン戦隊クックルン』以降は夕方17:45~17:55の放送となっている。
初代クックルン …… リンゴ(田口乙葉 レッド)、セージ(中尾壮位 グリーン)、クミン(幸田雛子 イエロー)
2代目クックルン(2015年3月~17年3月放送 全175話)
…… イチゴ(牧野羽咲 2代目レッド)、アオイ(NOA ブルー)、ハッサク(外川燎 2代目イエロー)、ミール(吉岡千波 ブラック)
3代目クックルン(2017年4月~19年3月放送 全175話)
…… アズキ(土屋希乃 3代目レッド)、マロン(アイラ=サマーヘイズ 3代目イエロー)、茶太郎(盛永晶月 2代目グリーン)、サクラ(木村佳乃 ピンク)
4代目クックルン(2019年4月~放送中)
…… アユ(川瀬翠子 4代目レッド)、コムギ(垂水文音 4代目イエロー)、フキノスケ(3代目グリーン)、モメン(平祐奈 ホワイト)
いや~、こりゃもう、とんでもないことよ。
上の情報にあるように、うささんは2代目クックルンチームのどセンターとして2年ものあいだ闘い抜いてきた実績を持つまごうことなき変身ヒロインです。しかも週5で!! ま、毎日戦ってたわけじゃないけど。
何と言ってもクックルンシリーズのオリジナリティは、NHK Eテレの番組であることもあってか「おもちゃ商業戦略にほぼ無縁」というところにあり、1年間でレギュラー陣交替なんていうせせっこましいことはせずに「2年放送がデフォルト」という過酷なものになっています。ですので、クックルンチームは他のプリキュア、仮面ライダー、スーパー戦隊たちの2倍の期間、地球を守らなければなりません。ちなみに、うささんたち2代目クックルンチームの同期は、『Go!プリンセスプリキュア』、『魔法つかいプリキュア!』、『仮面ライダードライブ』、『ゴースト』、『エグゼイド』、『手裏剣戦隊ニンニンジャー』、『動物戦隊ジュウオウジャー』といった面々です。ものすごいメンツ!
ただ、こういったクックルンシリーズもやはりコロナ禍には勝てず、現在放送中の4代目もまた、本日20日月曜日から新規放送は休止となっているようです……キッツイなぁ。
まぁともかく、2代目クックルンのセンターであるうささんが、後輩ヒロインのファントミに殴り込みをかけてきたというのはとんでもないことで、しかも「先輩なのに同年代どころか、なんなら年下」という倒錯した関係が非常に味わい深いマッチングとなっております。ちなみに、上のように放送回数が膨大であるために、不定期なアーカイブ再放送以外に過去回の視聴が難しいクックルンシリーズなのですが、唯一の例外として放送内容をまとめた3巻ぶんの DVDがリリースされておりまして、それがまさに、うささんたちの活躍する2代目クックルンの総集編となっております。つまり、悠久の歴史を誇るクックルンシリーズの看板、最大の顔がうささんなわけ! ただし、私そうだいが一番好きなのは、うささんたちの後の3代目クックルンなんですけどね……アイラ=サマーヘイズちゃん万歳!!
いや~ちょっと、お話の内容について語るまでに、コロナのせいで(責任転嫁)字数がめっちゃくちゃかさんでしまったので、ちゃっちゃと本題に入ってみたいと思います。
あの、具体的な内容についてのあれこれは、最後に箇条書きでまとめておきますので総論だけ言ってしまうのですが、このエピソード、やっぱりめちゃくちゃ面白かった! 面白いんですが、やっぱりファントミはこうでなくっちゃという感じで、「な~んか異常」なんですよね。例によって、何かがおかしい! でも、それがいい!!
何が異常って、「ダンスコンテストに初チャレンジ!」って言ってるファントミレギュラーの女の子たちのダンススキルが、なぜかすでに群を抜いて日本一レベルになっちゃってて、それを上から目線で「せいぜいがんばりな、フフン」って見おろす立場なはずのうささんたちが、ことダンスに関してまるで太刀打ちできないという逆転が発生してしまっていたのです。なにこのサカサーマ現象!?
このエピソードって、3月放送だったじゃないですか。それでファントミメンバーも中学校でダンス部に所属してるっていう設定なので、多分これ、コロナ禍が無かったら最終回に向けての最後のメインイベントになる予定だったのではないでしょうか。実際この「ダンスコンテスト編」は、うささんが登場する第50話に前後する第49・51話を含めての3話連結エピソードとなっておりまして、前週の49話にはあの六平直政さん(絶対出てくるっていう予想が的中した!!)が、次週の51話には津田寛治さんと、あのエイベックスのダンスボーカル育成ユニット「 α‐X's(アクロス)」に所属していた経歴も持つ女優の高石あかりさんがゲスト出演しているという、かなり豪華な規模になっているのです。うささんたちも展開上の流れとして51話のダンスコンテストに出場してはいるのですが、申し訳程度の顔見せだけで、肝心のコンテスト本番での活躍のもようは全然映されてませんでした……哀しい!!
こういう大事なエピソードなので、コンテストに挑戦するしろうとという立ち位置のファントミメンバーの前に立ちはだかる強大なライバルゲストの登場は必須で、50話のうささん&比留間七星さんの出場常連ペアや、51話で優勝大本命と目されていた高石さん演じる「高室るりえ with スーパーファンキーズ」(元ネタがなつかしすぎる……)のダンススキルがちゃんと説得力のあるクオリティでなければならないことは、言うまでもありません。
当然、うささんは大手芸能プロのサンミュージックの生え抜きですし、高石さんも天下のエイベックス育ちなのですからダンスが下手なわけがないのですが、さすがに LDHグループの EXPGでゴリッゴリに青春の日々をダンスに捧げ続けているファントミメンバーを前にすれば児戯に等しい格段の差があります。もはや戦争従軍経験のあるなしに近い、決定的な違いですよね……
もちろん、ドラマの制作スタッフのみなさまも、この「ふつうの中学生女子たちの部活ダンスがプロ級にキレッキレ」という、物語を根底からくつがえしかねない矛盾を大いに意識してか、50話のうささんたちは20秒くらいダンスしただけで、それ以降は「なぜか息が合わない」という問題が起きて踊らなくなるし、51話の高石さんにいたっては、コンテストで前奏部分をバックダンサーに踊らせて、いよいよ踊るぞと立ち上がり肩をクイクイッとさせた直後にイケナイヤー(津田さん)が乱入してダンスが中断するという、絶妙な回避演出になっていました。
ところが、それに対してファントミメンバーは通常営業で変身、日常かかわらず1分くらいの長尺ダンスを平気で2、3回こなしているのですから、編集でいくらカバーしてもファントミメンバーのダンススキルの異次元感を隠すことはできなくなっていたのでした……元も子もねぇ!
そんな感じなので、まぁ「ダンス」という方面では後輩たちの脅威には残念ながらなりえていなかったうささんだったのですが、さすがクックルンのどセンターというべきか、「かわいさ」と「演技力」の2面に関しては圧倒的にファントミメンバーを凌駕する実力を見せつけてくれていたと思います。
実際、うささんたちが演じるマナカナペアの本領はダンスのうまさではなく、「秘密を打ち明けられず苦悩するカナと、それを受け入れ、涙をこらえてゆるすマナ(うささん)」の美しい友情を見せてくれる演技力にあるので、そういう意味でダンスの上手い EXPGあたりから女の子をみつくろうのでなく、ちゃんと演技力のある子役さんを起用する制作陣の判断は正しかったといえるでしょう。51話の高石さんも、ステージパパの父親からかけられる過度な期待や周囲からの羨望のまなざしに思い悩む少女の役を好演していましたし。
こういう、周辺のゲスト演者さんのキャスティングの要諦をまったく外さないガールズ×戦士シリーズのスタッフ陣の姿勢の信頼感はものすごいですよね。
そして、うささんのイケナイヤーになった時のハワイアンスタイルが非常にかわいい! ここは後輩になんか負けてられねぇぞと!!
これは完全な私見なのですが、ファントミメンバーは明らかに「ダンススキル」に異様に特化した人選になっていると見ておりまして、いくばくか「かわいさ」も視野に入れてダンスも視聴者たる全国女児のみなさまがマネしやすいレベルになっていた前作マジマジョピュアーズのメンバーとはまた違った、「ついてこれるならついてきな!」的にとんがった先鋭化があるような気がします。ファントミのみなさまは、歌のほうもなんつうか……幼さがあっていいですよね。もうとにかく、ダンスに全振りした感じ! それはそれで、いさぎよい。
そんな感じなので、一般的に見てかわいいのは誰かと問われれば、そこはやっぱりうささんに軍配が上がるのではないでしょうか。いや、でも私はファントミスペード(青)の山口きらさんの突き抜けたダンスのキレが大好きなんですけどね。子どもに真似させる気ゼロ!!
まぁ、そんなこんなで今回の「ファントミ VS クックルン」という世紀の異種格闘技戦は、お互いの良さをまったく打ち消しあわない不思議な闘いとあいなりました。対峙しても平行線というか……古い例えになってしまい恐縮なのですが、昔のギャグマンガ『ハイスクール!奇面組』の中にあった「水泳部 VS 剣道部」の一生決着がつかない対決を思い出しました。水泳部員はひたすらプールで泳いで、剣道部員はプールサイドで素振りし続けるっていうあれですね。アホや……
でも、それでいいんですよ。変身ヒロイン同士が争ってどうするんだと!
今回のうささんは、先鋒としてはあまりにも殺意が高すぎるどセンターからの出撃であったわけなのですが、今後も「フフフ……あやつは四天王の中でも最弱……」といった感じで、第2、第3のクックルンからの刺客が登場してくれることを切に願いたいと思います。次は誰かな!? マロンこい、マロン!!
でもホント、うささんは美人に成長されましたね! もっと TVで活躍してくれないかなぁ。
≪禁断の他局変身ヒロイン全面戦争、その幕が切って落とされた!! 視聴メモメモ≫
・ダンス部顧問のジュリ先生の提案で、ダンスコンテストのためにチーム名を「 mirage2(ミラージュミラージュ)」と決めてノリノリでダンスの練習に励むココミ達。しかし、そんな彼女たちを見て「 mirage2……」「しろうとにしては、いい名前ね。」と上から目線でせせら笑う2人の娘が。おお、のっけから激突か!?
・いつの間にかダンス部の部室に現れた、3年連続ダンスコンテスト出場の経歴を持つ、双子のように息ピッタリなダンスコンビ・真奈美(緑)と佳奈美(黄色)! ミーハーなサキは当然知っている有名な2人組らしいのだが、ちゃんとパーソナルカラーがココミ達とかぶっていないのが芸コマである。そして、そのグリーンことマナこそが、かつて2代目クックルンのどセンター・レッド(イチゴ)として2年間の激闘を駆け抜けた戦歴を持つはえぬき戦士・うささんその人なのだった! ガールズ×戦士シリーズに殴り込みをかけるクックルン陣営の先鋒としては、あまりにも殺意が高すぎる人選だ!! Eテレは手加減を知らぬのか!?
・うささんがイチゴとして闘っていたのは2015~17年ということで、変身ヒロインとしては言うまでもなくココミ達ファントミラージュの大先輩なのだが、実年齢はなんと年下という事実が恐ろしい。いたいけな少女が戦場に身を投じる年齢が、テレ東よりも圧倒的に幼い…… Eテレは地獄か?
・ココミ達と同じか、やや小柄な体形のうささんなのだが(相方のカナはもうちょっと年上なので大きい)、脚がやたらと長いのが目にまぶしい。顔はイチゴの面影をよく残しているだけに、時の流れをしみじみ感じさせる成長ぶりである。がんばれ!
・ココミ達へのほんの挨拶がわりとばかりに、自信たっぷりの息ピッタリダンスを見せつけて去るマナカナ。さすが、かつて桜田淳子や松田聖子ら伝説のアイドルたちを世に出した老舗芸能プロ・サンミュージック仕込みのキレも鋭い、うささんのダンス! 一方のカナを演じる七星さんは、ジュリ先生を演じる柳生みゆさんが所属するヒラタオフィスのタレント養成子会社であるブロッサム・エンターテイメントの所属なのだが、こちらも手足の長さが見映えするダンスである。でもやっぱり、細かい指先から全身にいたるまでのポージングをビシッと決める、緩急のメリハリにこだわったうささんの身のこなしは、さすが毎回料理をするたびに TVカメラの前で踊っていた戦士の年輪を感じさせるものがある。
・まぁ、正直、本業でもゴリゴリのガチダンス道をひた走っているココミ達と比較すれば、女優が本道の2人のダンスはかわいいものなのだが……ダンスのもようは約20秒でカンベンしてつかぁさい! かわいさでは負けへんで!!
・マナカナの挑戦を「ライバル宣言」と解釈したサキの発言をきっかけに、ココミ達が顔を寄せて「ライバル宣言!?」と叫んでからドラマのオープニングが始まるという冒頭の導入演出なのだが、ヨツバを演じるとあさんだけ、顔を寄せた後にすぐ視線を定められずに目が泳いでいるのが見逃せない。そろそろこのドラマも始まって一年経つんですが……やっぱり、この紫の子おもしろい。
・ダンスコンテストの前日。あいにくの雨の中、仲良く相合傘で下校するココミとサキなのだが、確かドラマの放送開始時はサキの方が背が高かったはずなのに、並ぶとココミとサキの背が同じか、むしろココミの方がちょっと大きくなっているのが驚きである。成長痛が心配!
・前にダンス部にカチコミをかけた時とはうって変わって、コンテストの前日なのにダンスの息が全く合わないマナカナ。どうやら、カナが何か、マナに言えない悩みを抱えていることが原因のようなのだが。ちなみに、マナカナが練習したり中に入ったりしていた建物は、西東京市にある「多摩六都科学館」というプラネタリウムつき公共施設である。いいな~、近所にこういう施設があるの。
・科学館の中でココミとサキに打ち明けたカナの悩み。それは、来月に父親の仕事の都合で急遽決まった自身のアメリカ留学の話をマナに言い出せないというものだった。いっぽう、カナを探して科学館をさまようマナは、不運にもイケナイヤーの素体を探していたアベコベ刑事とマギャク巡査に遭遇してしまい、あろうことか意気投合してしまう。悪の幹部と話が合うとは……クックルンの長い闘いで身についてしまった怪人耐性が逆にあだとなってしまったか! 因果応報!!
・カナを必死で探すあまり、人間がいるはずのない展示物の中を覗いたり周囲の見学者にぶつかったりするなど、山崎まさよしの名曲『 One more time,One more chance』を彷彿とさせる狂乱のていを見せるマナに、アベコベとマギャクは「激アツのコンビ愛で相方と泣いたり笑ったり素晴らしい青春を送りすぎ罪!!」を宣告し、イケナイヤー素体の白羽の矢を立ててしまう。うをを、特撮ファンの大好物、正義のヒロインの闇堕ちクル~!!
・マナを素体として生まれた本日のイケナイヤー「イキアワセナイヤー」が名乗りをあげる時のポーズでウインクをキメるのがたまらない。さすがアベコベとマギャクが共同で精製しただけあって、今回のイケナイヤーは手ごわいぞ!
・イキアワセナイヤーの主な攻撃法は、相手を強引に自分のダンスのペースに合わせて踊らせ疲弊させるというもの。戸惑うカナに狙いを定めたマナは親友のカナさえも、その毒牙にかけてしまう! 展開上、戸惑うカナのダンスがたどたどしくても全く問題がないのがうまい。脚本のフォローがニクいね!
・行きがかり上、本話はココミとサキの2人だけでファントミラージュに変身する流れとなるのだが、果たしてベテラン戦士のうささんを相手に4人フルメンバーで対応しなくて大丈夫なのだろうかという不安がよぎる。でも、OG1人を相手に現役がチーム全員であたるというのも「ガールズ×戦士シリーズ」の名がすたる! ファントミ側の矜持もうかがえる、実に味わい深い2人出撃である。
・闇堕ちしたとはいえ、クックルン戦士とガールズ×戦士がついに激突! まるで映画『ゴジラ VS キングギドラ』のオープニングのような高揚感がいやがおうにもたかまる構図である。この歴史的対決にギャラリーが20人って、少なすぎんだろが! 燃えてきた~!! ♪で~ん! で、で、で、で~んん!!
・1対2の戦いを不利と見たのか、イキアワセナイヤーはカナの代わりに通行人のおじさんをとっつかまえて即席で『ターミネーター』のシュワちゃんを100倍うすめたようなスーパーロボット「バンブーロボ F-823」(演・福田望)に改造し、ココミとサキに「バンブーダンス対決」を挑む。かわいい南国ダンス風の衣装へのフォームチェンジと、通りすがりの何の罪もない一般人を強制改造するという鬼畜な所業とのギャップが、なんともいえずクックルン世界の不条理なかほりを漂わせる。ヤバい! 闇堕ちしたとはいえ、うささんは本気だ!!
・うささんの気迫にただならぬものを感じた&バンブーダンス初めてなココミとサキは、ひみつキーを使ってパワーアップして臨み、肉眼で追えない程のスピードでマナ&バンブーロボの竹のリズム攻撃を乗り越える! しかし、踊っているココミとサキの姿が見えなくなるほどのスピードなのに、マナ達が鳴らしている竹の動きがいつまでも丸見えなのはなぜなのだろうか……現代科学の物理法則すらをも無力にする他局変身ヒロイン対決の脅威!!
・ココミとサキのスピードに焦り出し、「うおおー!!」と雄叫びを上げて竹のリズムを超速化するマナなのだが、アップカットでは絶叫しているのに、遠景カットになると「すん。」とした無の表情で淡々と竹を打ち鳴らしているという編集ギャップがたまらない。スタッフさん、わざとやってるでしょ。
・ココミとサキの息ピッタリのダンスに耐え兼ね、へとへとになって「もうダメ……2人の息が合いすぎやぁ~!」と、ここにきて謎の関西人設定を明らかにするマナ。ちなみに、うささんは神奈川出身だそうです……なんで? 本家マナカナのリスペクト?
・疲労困憊したイキアワセナイヤーに、必殺技「ファントミトリック」(ダンス時間約1分)で引導を渡すココミとサキ。文字通り、地球を揺るがす世紀の一大決戦の終幕であつた。
・決戦ののち、意を決してマナにアメリカ留学を告白するカナ。しかしマナは涙ぐみながらも精一杯の笑顔を見せ、「大丈夫! 距離なんて、関係ない。離れ離れになっても、私たちは最強コンビ!」と語り、カナと熱い握手を交わすのだった。いい……実に、いい!! こういうのをてらいなくしっかりやってくれる子ども向け番組って、いつの時代も絶対に必要ですよね。
いよいよ新年度も幕を開けたという感じなのですが……世の中のコロナウイルス大流行はますますひどくなるばかりで、ついに非常事態宣言が全国レベル、なんと私の住む山形までにも発令される事態となってしまいました。つったって、ウイルスは目に見えませんからね……できる限りの感染予防対策はもちのろんでやりますが、一体どのくらい、そしていつまで頑張ればよいのやら、といった脱力感にさいなまれております。
また、私が現在勤務している業種というものが、本質的にリモートでできるわけがない接触前提のお仕事なものですので、まぁにんともかんとも、感染もやむを得ぬかと観念するしかない日々で通勤しております。毎日ヨーグルト食べて防御態勢を万全にしておくしかねっか。
こういった、あの2011年の東日本大震災とは、また全く違う形で大変なことになっちゃっている今現在の日本であるのですが、やはりあの時がそうであったように、エンタメ業界にも甚大な影響が出ているようでありまして、様々な形での放送スケジュールの変則化が起きているようです。
我が長岡京エイリアンに縁のあるジャンルに限定してみてみても、まず NHK大河ドラマ『麒麟がくる』の撮影が今月から休止している状況となっているそうで、今現在は収録済みのエピソードを放送しているので予定通りの進行ではあるのですが、おそらく来月以降に撮影ストックが尽きることは間違いないと思われます。せっかくの、戦国時代後期の近畿地方にスポットライトを当てた挑戦作だというのに、なんということでしょうか……休止した分、エピソードを減らすという対応だけはぜっっっったいにやめていただきたい! 三好三人衆「カットしないでねっ!!」
また、「プリキュアシリーズ」、「仮面ライダー」、「スーパー戦隊シリーズ」を擁するニチアサ枠に関しましても、つい先月に放送開始された『魔進戦隊キラメイジャー』が、やはり収録済みのエピソードは予定通りに放送してスタートできてはいるものの、主要キャスト&スタッフ陣でコロナウイルスが流行してしまい現在は撮影中止となっております。また、「令和初の仮面ライダー」として鳴り物入りで去年から放送されていた『仮面ライダーゼロワン』も、まだ全話撮影クランクアップしていない時点で撮影休止になっているとのことです。当然、両作品とも大勢の人を集める東京ドームシティなど全国でのヒーローショーの開催は中止。つまんねーなぁ! でも、哀しいけどこれ、戦争みたいなもんなのよねぇ。
そしてなんと、先々月に放送が始まった『ヒーリングっど♥プリキュア』にいたっては、昨日の第12話の放送をもって、いったん新規エピソードの放送を中断して、しばらくは今まで放送された回の再放送で時間をかせぐという発表が、本日ついに出てしまいました……たぶん、大河ドラマも他のニチアサ作品も、遅かれ早かれこういう対応になってしまうのではないでしょうか。アニメスタッフさんだって、実写作品以上に密集した環境でお仕事されてるわけですし、仕方のないことではありますね。ひっじょ~に、キビシ~ッ!!
おそらく、スケジュール的に見て作品全体のディティールが脚本の形で完成していると思われる『ゼロワン』はいいとしても、放送が始まったばかりの『ヒープリ』と『キラメイジャー』への影響は大変でしょう。『ヒープリ』なんて、敵が「病気」なんですから! あまりにもタイミングがバッチリ過ぎる……果たして、プリキュアはコロナウイルスに勝てるのであろうか。『スイートプリキュア♪』(2011年)以来の過酷な闘いですね。
以上のように、実際に大人数のキャスト&スタッフが集まって撮影・制作するフィクション作品の業界はもう大変な異常事態の中にあるわけなのですが、この影響は当然ながら、私が愛してやまないテレ東の「ガールズ×戦士シリーズ」の第3作として現在放送中の『ひみつ×戦士ファントミラージュ!』にもおよんでいるようであります。
ところが『ファントミラージュ!』への影響は、また前述の諸作品とは違ったものとなっておりまして、こちらはなんと、新作エピソードの撮影休止とは真逆の「放送延長! まだまだ続くよ!!」という、きわめてアグレッシブで前のめりなものとなっているのです。う~ん、実にファントミっぽい! こういった、なんだかよくわかんないけど元気だけはある動きって、今の日本にいちばん必要なもののような気がする。
ただし、こちらの対応も別にガムシャラ一辺倒な奇策というわけではなく、こっちはこっちで「ガールズ×戦士シリーズ初の映画版の公開までなんとかファントミを続けなければいけない」という苦境の中での TV放送延長となっているようなのです。そうなんですよ~、こっちはなんと「映画館の営業停止・縮小」という異常事態の影響をピタゴラスイッチ的に受けてのものなのです! も~ヤダ!!
話は脱線しますが、子どもの頃、私はスーパー戦隊シリーズを毎週楽しんでいて、「おもしろいのに、なんで毎年必ず1年きっかりで別の戦隊になるんだろう」という疑問を持っていました。どんなに話が盛り上がっても、必ずおんなじ時期に物語が終わって、また新しい戦隊メンバーと敵組織を覚えなきゃいけないんですよね! いちおう、当時は『仮面ライダーBRACK 』~『BRACK RX 』(1987~89年放送)の主人公継続という珍しい例もあったのですが、それ以降のほぼすべてのスーパー戦隊シリーズと平成~令和ライダーシリーズは「1年で放送終了」という鉄則を順守しています。「プリキュアシリーズ」もまた、『ふたりはプリキュア』~『Max Heart 』(2004~06年放送)と『 Yes!プリキュア5』~『5 GoGo!』(2007~09年放送)という偉大な例外こそあるものの、それ以降、シリーズ作品の放送が1年以上に延長することは絶えてありません。
これはまぁやっぱり、物語世界を2年3年と続く規模に拡大したり、ピッチピチイケメンの若いキャストや声優たちのスケジュールをそれほど長く拘束したりすることも難しいし、それ以上に厳然たる理由として、「作品の関連おもちゃを毎年目新しいものにするのだ……!!」という、いわゆる「 B財団」、もしくは「 T&Tコンツェルン」の強大な意思が働いているのではないでしょうか。はは~っ、おおせの通りに!!
ですので、今回奇しくも「映画公開までもたせろ!」という事情により、この「放送期間1年」のタブーを突破してしまったファントミの異常性は際立っているのです。まぁ、だからといってファントミが、切りのいい来年の3月末まで放送するとも思えないのですが、ちょっと肝心カナメの映画版の公開時期が未定という状況なんでね……いつまで放送してくれるのでしょうか。映画と TVのガマン比べみたいな感じになっちゃってますね。
それでもまぁ、1年間の撮影というかけがえのない経験を積んで、確実に成長しているファントミメンバーの活躍が長く楽しめるというのは非常に嬉しいことで、天下のエンケンさんをはじめとする実力派俳優陣を準レギュラー or ゲストとして惜しげもなく投入するガールズ×戦士シリーズの中で、主人公メンバーの演技力がリセットされずに持ち越されるというのは素晴らしいことだと思います。毎年、一からやり直しになってましたからね。
作品の面白さに関しては、前作『魔法×戦士マジマジョピュアーズ!』から折り紙つきではあったのですが、今作ファントミではさらに作品の独自性にブーストがかかったように思われ、我が『長岡京エイリアン』でも過去に紹介した、堀内正美さんと諏訪太朗さんが奇跡の共演(?)を果たした『ファントミラージュ!』第15話のように、もはや無視することのできない通ごのみの要素を持ったエピソードも出てくる始末となりました。何度観ても、堀内さん全力勝負しすぎ……
そして今回はなんと、「魔法少女」ものフィクション作品の垣根を越えた「あの作品」からの超特大ゲストがファントミの世界に現れて激突するという、とんでもないクロスオーバー回が炸裂してしまったのです! 同じガールズ×戦士シリーズの過去戦士が出てくるっていうのは恒例行事で、ファントミでももうやってるのですが、まさか別時空の戦士がやって来てしまうとは……
TV ドラマ『ひみつ×戦士 ファントミラージュ!』第50話『ライバル宣言!?最強ダンスコンビ登場!』(2020年3月22日放送 脚本・松井香奈、監督・原島孝暢)
『ひみつ×戦士 ファントミラージュ!(ひみつせんしファントミラージュ)』は、2019年4月からテレビ東京系列ほかで放送されている少女向け特撮テレビドラマ。『アイドル×戦士 ミラクルちゅーんず!』(2017~18年)、『魔法×戦士 マジマジョピュアーズ!』(2018~19年)に続く、「ガールズ×ヒロイン!シリーズ」の第3作にあたる。キャッチコピーは「正義の怪盗 ひみつ×戦士ファントミラージュ! イケない心、ちょーだいします!」。
あらすじ
ファントミラージュとは、秘密の怪盗。ファンディーからの指令により、逆逆警察によって「イケナイヤー」にされてしまった人から、「イケない心」をちょーだいして平和を取り戻す。
ココミ達は、ファントミラージュとして大活躍する一方、きらめき中学校ダンス部での部活動もがんばっていた。そんなある日、ココミ達はダンス部顧問のジュリ先生が応募した「ガールズダンスコンテスト」に出場することとなる。
セイラ「ココミ、ダンスコンテストに向けて練習よ!」
ココミ「 OK! あの子たちは?」
サキ「コンテストの常連、真奈美・佳奈美だ!」
ココミ「すごい! 2人のダンス、息ぴったり!」
サキ「コンビ愛なら、私たちも負けないよ! ココミと2人でイケナイヤーとダンス対決!」
主な登場人物、組織(年齢はドラマ初放送当時のもの)
桜衣 ココミ(ファントミハート)…… 菱田 未渚美(みなみ 13歳)
本作の主人公。明るく元気な中学1年生の女の子。好物はプチトマトであり、ボウル1個分を一度に平らげてしまうほど。口癖は「私のハート、ファンファンしてる!」。イメージカラーはピンク。
明日海 サキ(ファントミスペード)…… 山口 綺羅(きら 16歳)
頭が良くミーハーな性格で、いつもいろんなものをリサーチしている中学1年生。同級生のココミとともに SNS「Me tube」に動画を投稿している。口癖は「完全に始まってる!」。イメージカラーはブルー。
紫月 ヨツバ(ファントミクローバー)…… 原田 都愛(とあ 15歳)
ボーイッシュで落ち着いた性格で、家族を大切にしている中学1年生。口癖は「守りたい、大切な人を!」。イメージカラーはパープル。
紅羽 セイラ(ファントミダイヤ)…… 石井 蘭(15歳)
中学1年生。実は変装を得意とする怪盗一族の子孫で、伝説の怪盗「怪盗二十面相」の娘。口癖は「ファントミ的に、アリ!」。イメージカラーはレッド。
ファンディー …… 関口 メンディー(29歳)
ファントミラージュのボス。ファントミラージュであることを絶対機密として、4人には口外を禁じている。
くまちぃ …… 本田 翼(声の出演 26歳)
本作のマスコットキャラ。シルクハットがチャームポイント。ファンシーショップで売られていたクマのぬいぐるみに魂が宿った。
安奈 ジュリ(ジュリア)……柳生 みゆ(29歳)
ココミたちが通う中学校の養護教諭でダンス部顧問。普段は内気な性格であるが、金髪のウィッグを被ることで外向的な性格の「ジュリア」に変貌する。実はココミ達がファントミラージュであることを知っており、自身もファンディーのもとで怪盗見習い中の身だった。
真奈美 …… 牧野 羽咲(うさ 14歳)
佳奈美 …… 比留間 七星(ななせ 16歳)
逆逆警察
今作における悪役。世間のイケている人を「逆逮捕」し、イケナイヤーを作り出す存在。「サカサマ帝国」からの刺客であり、アジトである「逆逆警察署」は重力が逆になっている。
ギャンヌ署長 …… 石田 ニコル(29歳)
逆逆警察の署長。リーゼントヘアの婦警で、「一日一逆」と書かれたタスキを掛けている。しかし自分自身は怠惰な性格ゆえに人間界にはあまり出向かない。
アベコベ刑事 …… ぺえ(27歳)
頭脳派の刑事。灰色のトレンチコートという、いかにもな刑事スタイル。イケている人を見つけると長ったらしい罪名を勝手につけて逆逮捕する。
マギャク巡査 …… 黒石 高大(33歳)
パワー派の逆逆警察巡査。三つ編み髪と児童用帽子、名札付きスモックという幼稚園児のような服装が特徴的。基本的にはアベコベ刑事とペアで行動するが、単独で行動して逆逮捕することもある。
イケナイヤー
世間のイケてる人が、逆逆警察によって逆逮捕され変わり果てた姿。左手に逆逆警察の手錠が変化した銀の腕輪と、ギザギザのビックリマーク(鍵穴が断裂したもの)が描かれた黒い手袋をしている。普段とは逆の悪事を働く。逆逆警察が誤認逮捕した人間(特にイケてるわけでもない人)もイケナイヤーになってしまう。
きたきたきた~!! 牧野さん! 牧野うささんがファントミ世界に来ちゃったよ!!
え? うささんをご存じない!? 何言ってんすかあーた、うささんったら、あの『キッチン戦隊クックルン』での中核メンバーとして2年間も地球を守り抜いた超ベテラン変身ヒロインなんですよ!?
Eテレにクックルンあり!! 信頼と伝統の『キッチン戦隊クックルン』シリーズとは……
『キッチン戦隊クックルン』シリーズとは、NHK Eテレで2013年4月から2020年現在まで放送されている子供向け料理・食育番組。第1シーズン(初代クックルン)の番組タイトルは『すすめ!キッチン戦隊クックルン』(2013年4月~15年3月放送 全195話)であり、それ以降の第2~4シーズンの番組タイトルは『ゴー!ゴー!キッチン戦隊クックルン』となっている。
毎週月~金曜日に放送される10分番組で、初代『すすめ!キッチン戦隊クックルン』は朝の本放送と夕方の再放送、2代目『ゴー!ゴー!キッチン戦隊クックルン』以降は夕方17:45~17:55の放送となっている。
初代クックルン …… リンゴ(田口乙葉 レッド)、セージ(中尾壮位 グリーン)、クミン(幸田雛子 イエロー)
2代目クックルン(2015年3月~17年3月放送 全175話)
…… イチゴ(牧野羽咲 2代目レッド)、アオイ(NOA ブルー)、ハッサク(外川燎 2代目イエロー)、ミール(吉岡千波 ブラック)
3代目クックルン(2017年4月~19年3月放送 全175話)
…… アズキ(土屋希乃 3代目レッド)、マロン(アイラ=サマーヘイズ 3代目イエロー)、茶太郎(盛永晶月 2代目グリーン)、サクラ(木村佳乃 ピンク)
4代目クックルン(2019年4月~放送中)
…… アユ(川瀬翠子 4代目レッド)、コムギ(垂水文音 4代目イエロー)、フキノスケ(3代目グリーン)、モメン(平祐奈 ホワイト)
いや~、こりゃもう、とんでもないことよ。
上の情報にあるように、うささんは2代目クックルンチームのどセンターとして2年ものあいだ闘い抜いてきた実績を持つまごうことなき変身ヒロインです。しかも週5で!! ま、毎日戦ってたわけじゃないけど。
何と言ってもクックルンシリーズのオリジナリティは、NHK Eテレの番組であることもあってか「おもちゃ商業戦略にほぼ無縁」というところにあり、1年間でレギュラー陣交替なんていうせせっこましいことはせずに「2年放送がデフォルト」という過酷なものになっています。ですので、クックルンチームは他のプリキュア、仮面ライダー、スーパー戦隊たちの2倍の期間、地球を守らなければなりません。ちなみに、うささんたち2代目クックルンチームの同期は、『Go!プリンセスプリキュア』、『魔法つかいプリキュア!』、『仮面ライダードライブ』、『ゴースト』、『エグゼイド』、『手裏剣戦隊ニンニンジャー』、『動物戦隊ジュウオウジャー』といった面々です。ものすごいメンツ!
ただ、こういったクックルンシリーズもやはりコロナ禍には勝てず、現在放送中の4代目もまた、本日20日月曜日から新規放送は休止となっているようです……キッツイなぁ。
まぁともかく、2代目クックルンのセンターであるうささんが、後輩ヒロインのファントミに殴り込みをかけてきたというのはとんでもないことで、しかも「先輩なのに同年代どころか、なんなら年下」という倒錯した関係が非常に味わい深いマッチングとなっております。ちなみに、上のように放送回数が膨大であるために、不定期なアーカイブ再放送以外に過去回の視聴が難しいクックルンシリーズなのですが、唯一の例外として放送内容をまとめた3巻ぶんの DVDがリリースされておりまして、それがまさに、うささんたちの活躍する2代目クックルンの総集編となっております。つまり、悠久の歴史を誇るクックルンシリーズの看板、最大の顔がうささんなわけ! ただし、私そうだいが一番好きなのは、うささんたちの後の3代目クックルンなんですけどね……アイラ=サマーヘイズちゃん万歳!!
いや~ちょっと、お話の内容について語るまでに、コロナのせいで(責任転嫁)字数がめっちゃくちゃかさんでしまったので、ちゃっちゃと本題に入ってみたいと思います。
あの、具体的な内容についてのあれこれは、最後に箇条書きでまとめておきますので総論だけ言ってしまうのですが、このエピソード、やっぱりめちゃくちゃ面白かった! 面白いんですが、やっぱりファントミはこうでなくっちゃという感じで、「な~んか異常」なんですよね。例によって、何かがおかしい! でも、それがいい!!
何が異常って、「ダンスコンテストに初チャレンジ!」って言ってるファントミレギュラーの女の子たちのダンススキルが、なぜかすでに群を抜いて日本一レベルになっちゃってて、それを上から目線で「せいぜいがんばりな、フフン」って見おろす立場なはずのうささんたちが、ことダンスに関してまるで太刀打ちできないという逆転が発生してしまっていたのです。なにこのサカサーマ現象!?
このエピソードって、3月放送だったじゃないですか。それでファントミメンバーも中学校でダンス部に所属してるっていう設定なので、多分これ、コロナ禍が無かったら最終回に向けての最後のメインイベントになる予定だったのではないでしょうか。実際この「ダンスコンテスト編」は、うささんが登場する第50話に前後する第49・51話を含めての3話連結エピソードとなっておりまして、前週の49話にはあの六平直政さん(絶対出てくるっていう予想が的中した!!)が、次週の51話には津田寛治さんと、あのエイベックスのダンスボーカル育成ユニット「 α‐X's(アクロス)」に所属していた経歴も持つ女優の高石あかりさんがゲスト出演しているという、かなり豪華な規模になっているのです。うささんたちも展開上の流れとして51話のダンスコンテストに出場してはいるのですが、申し訳程度の顔見せだけで、肝心のコンテスト本番での活躍のもようは全然映されてませんでした……哀しい!!
こういう大事なエピソードなので、コンテストに挑戦するしろうとという立ち位置のファントミメンバーの前に立ちはだかる強大なライバルゲストの登場は必須で、50話のうささん&比留間七星さんの出場常連ペアや、51話で優勝大本命と目されていた高石さん演じる「高室るりえ with スーパーファンキーズ」(元ネタがなつかしすぎる……)のダンススキルがちゃんと説得力のあるクオリティでなければならないことは、言うまでもありません。
当然、うささんは大手芸能プロのサンミュージックの生え抜きですし、高石さんも天下のエイベックス育ちなのですからダンスが下手なわけがないのですが、さすがに LDHグループの EXPGでゴリッゴリに青春の日々をダンスに捧げ続けているファントミメンバーを前にすれば児戯に等しい格段の差があります。もはや戦争従軍経験のあるなしに近い、決定的な違いですよね……
もちろん、ドラマの制作スタッフのみなさまも、この「ふつうの中学生女子たちの部活ダンスがプロ級にキレッキレ」という、物語を根底からくつがえしかねない矛盾を大いに意識してか、50話のうささんたちは20秒くらいダンスしただけで、それ以降は「なぜか息が合わない」という問題が起きて踊らなくなるし、51話の高石さんにいたっては、コンテストで前奏部分をバックダンサーに踊らせて、いよいよ踊るぞと立ち上がり肩をクイクイッとさせた直後にイケナイヤー(津田さん)が乱入してダンスが中断するという、絶妙な回避演出になっていました。
ところが、それに対してファントミメンバーは通常営業で変身、日常かかわらず1分くらいの長尺ダンスを平気で2、3回こなしているのですから、編集でいくらカバーしてもファントミメンバーのダンススキルの異次元感を隠すことはできなくなっていたのでした……元も子もねぇ!
そんな感じなので、まぁ「ダンス」という方面では後輩たちの脅威には残念ながらなりえていなかったうささんだったのですが、さすがクックルンのどセンターというべきか、「かわいさ」と「演技力」の2面に関しては圧倒的にファントミメンバーを凌駕する実力を見せつけてくれていたと思います。
実際、うささんたちが演じるマナカナペアの本領はダンスのうまさではなく、「秘密を打ち明けられず苦悩するカナと、それを受け入れ、涙をこらえてゆるすマナ(うささん)」の美しい友情を見せてくれる演技力にあるので、そういう意味でダンスの上手い EXPGあたりから女の子をみつくろうのでなく、ちゃんと演技力のある子役さんを起用する制作陣の判断は正しかったといえるでしょう。51話の高石さんも、ステージパパの父親からかけられる過度な期待や周囲からの羨望のまなざしに思い悩む少女の役を好演していましたし。
こういう、周辺のゲスト演者さんのキャスティングの要諦をまったく外さないガールズ×戦士シリーズのスタッフ陣の姿勢の信頼感はものすごいですよね。
そして、うささんのイケナイヤーになった時のハワイアンスタイルが非常にかわいい! ここは後輩になんか負けてられねぇぞと!!
これは完全な私見なのですが、ファントミメンバーは明らかに「ダンススキル」に異様に特化した人選になっていると見ておりまして、いくばくか「かわいさ」も視野に入れてダンスも視聴者たる全国女児のみなさまがマネしやすいレベルになっていた前作マジマジョピュアーズのメンバーとはまた違った、「ついてこれるならついてきな!」的にとんがった先鋭化があるような気がします。ファントミのみなさまは、歌のほうもなんつうか……幼さがあっていいですよね。もうとにかく、ダンスに全振りした感じ! それはそれで、いさぎよい。
そんな感じなので、一般的に見てかわいいのは誰かと問われれば、そこはやっぱりうささんに軍配が上がるのではないでしょうか。いや、でも私はファントミスペード(青)の山口きらさんの突き抜けたダンスのキレが大好きなんですけどね。子どもに真似させる気ゼロ!!
まぁ、そんなこんなで今回の「ファントミ VS クックルン」という世紀の異種格闘技戦は、お互いの良さをまったく打ち消しあわない不思議な闘いとあいなりました。対峙しても平行線というか……古い例えになってしまい恐縮なのですが、昔のギャグマンガ『ハイスクール!奇面組』の中にあった「水泳部 VS 剣道部」の一生決着がつかない対決を思い出しました。水泳部員はひたすらプールで泳いで、剣道部員はプールサイドで素振りし続けるっていうあれですね。アホや……
でも、それでいいんですよ。変身ヒロイン同士が争ってどうするんだと!
今回のうささんは、先鋒としてはあまりにも殺意が高すぎるどセンターからの出撃であったわけなのですが、今後も「フフフ……あやつは四天王の中でも最弱……」といった感じで、第2、第3のクックルンからの刺客が登場してくれることを切に願いたいと思います。次は誰かな!? マロンこい、マロン!!
でもホント、うささんは美人に成長されましたね! もっと TVで活躍してくれないかなぁ。
≪禁断の他局変身ヒロイン全面戦争、その幕が切って落とされた!! 視聴メモメモ≫
・ダンス部顧問のジュリ先生の提案で、ダンスコンテストのためにチーム名を「 mirage2(ミラージュミラージュ)」と決めてノリノリでダンスの練習に励むココミ達。しかし、そんな彼女たちを見て「 mirage2……」「しろうとにしては、いい名前ね。」と上から目線でせせら笑う2人の娘が。おお、のっけから激突か!?
・いつの間にかダンス部の部室に現れた、3年連続ダンスコンテスト出場の経歴を持つ、双子のように息ピッタリなダンスコンビ・真奈美(緑)と佳奈美(黄色)! ミーハーなサキは当然知っている有名な2人組らしいのだが、ちゃんとパーソナルカラーがココミ達とかぶっていないのが芸コマである。そして、そのグリーンことマナこそが、かつて2代目クックルンのどセンター・レッド(イチゴ)として2年間の激闘を駆け抜けた戦歴を持つはえぬき戦士・うささんその人なのだった! ガールズ×戦士シリーズに殴り込みをかけるクックルン陣営の先鋒としては、あまりにも殺意が高すぎる人選だ!! Eテレは手加減を知らぬのか!?
・うささんがイチゴとして闘っていたのは2015~17年ということで、変身ヒロインとしては言うまでもなくココミ達ファントミラージュの大先輩なのだが、実年齢はなんと年下という事実が恐ろしい。いたいけな少女が戦場に身を投じる年齢が、テレ東よりも圧倒的に幼い…… Eテレは地獄か?
・ココミ達と同じか、やや小柄な体形のうささんなのだが(相方のカナはもうちょっと年上なので大きい)、脚がやたらと長いのが目にまぶしい。顔はイチゴの面影をよく残しているだけに、時の流れをしみじみ感じさせる成長ぶりである。がんばれ!
・ココミ達へのほんの挨拶がわりとばかりに、自信たっぷりの息ピッタリダンスを見せつけて去るマナカナ。さすが、かつて桜田淳子や松田聖子ら伝説のアイドルたちを世に出した老舗芸能プロ・サンミュージック仕込みのキレも鋭い、うささんのダンス! 一方のカナを演じる七星さんは、ジュリ先生を演じる柳生みゆさんが所属するヒラタオフィスのタレント養成子会社であるブロッサム・エンターテイメントの所属なのだが、こちらも手足の長さが見映えするダンスである。でもやっぱり、細かい指先から全身にいたるまでのポージングをビシッと決める、緩急のメリハリにこだわったうささんの身のこなしは、さすが毎回料理をするたびに TVカメラの前で踊っていた戦士の年輪を感じさせるものがある。
・まぁ、正直、本業でもゴリゴリのガチダンス道をひた走っているココミ達と比較すれば、女優が本道の2人のダンスはかわいいものなのだが……ダンスのもようは約20秒でカンベンしてつかぁさい! かわいさでは負けへんで!!
・マナカナの挑戦を「ライバル宣言」と解釈したサキの発言をきっかけに、ココミ達が顔を寄せて「ライバル宣言!?」と叫んでからドラマのオープニングが始まるという冒頭の導入演出なのだが、ヨツバを演じるとあさんだけ、顔を寄せた後にすぐ視線を定められずに目が泳いでいるのが見逃せない。そろそろこのドラマも始まって一年経つんですが……やっぱり、この紫の子おもしろい。
・ダンスコンテストの前日。あいにくの雨の中、仲良く相合傘で下校するココミとサキなのだが、確かドラマの放送開始時はサキの方が背が高かったはずなのに、並ぶとココミとサキの背が同じか、むしろココミの方がちょっと大きくなっているのが驚きである。成長痛が心配!
・前にダンス部にカチコミをかけた時とはうって変わって、コンテストの前日なのにダンスの息が全く合わないマナカナ。どうやら、カナが何か、マナに言えない悩みを抱えていることが原因のようなのだが。ちなみに、マナカナが練習したり中に入ったりしていた建物は、西東京市にある「多摩六都科学館」というプラネタリウムつき公共施設である。いいな~、近所にこういう施設があるの。
・科学館の中でココミとサキに打ち明けたカナの悩み。それは、来月に父親の仕事の都合で急遽決まった自身のアメリカ留学の話をマナに言い出せないというものだった。いっぽう、カナを探して科学館をさまようマナは、不運にもイケナイヤーの素体を探していたアベコベ刑事とマギャク巡査に遭遇してしまい、あろうことか意気投合してしまう。悪の幹部と話が合うとは……クックルンの長い闘いで身についてしまった怪人耐性が逆にあだとなってしまったか! 因果応報!!
・カナを必死で探すあまり、人間がいるはずのない展示物の中を覗いたり周囲の見学者にぶつかったりするなど、山崎まさよしの名曲『 One more time,One more chance』を彷彿とさせる狂乱のていを見せるマナに、アベコベとマギャクは「激アツのコンビ愛で相方と泣いたり笑ったり素晴らしい青春を送りすぎ罪!!」を宣告し、イケナイヤー素体の白羽の矢を立ててしまう。うをを、特撮ファンの大好物、正義のヒロインの闇堕ちクル~!!
・マナを素体として生まれた本日のイケナイヤー「イキアワセナイヤー」が名乗りをあげる時のポーズでウインクをキメるのがたまらない。さすがアベコベとマギャクが共同で精製しただけあって、今回のイケナイヤーは手ごわいぞ!
・イキアワセナイヤーの主な攻撃法は、相手を強引に自分のダンスのペースに合わせて踊らせ疲弊させるというもの。戸惑うカナに狙いを定めたマナは親友のカナさえも、その毒牙にかけてしまう! 展開上、戸惑うカナのダンスがたどたどしくても全く問題がないのがうまい。脚本のフォローがニクいね!
・行きがかり上、本話はココミとサキの2人だけでファントミラージュに変身する流れとなるのだが、果たしてベテラン戦士のうささんを相手に4人フルメンバーで対応しなくて大丈夫なのだろうかという不安がよぎる。でも、OG1人を相手に現役がチーム全員であたるというのも「ガールズ×戦士シリーズ」の名がすたる! ファントミ側の矜持もうかがえる、実に味わい深い2人出撃である。
・闇堕ちしたとはいえ、クックルン戦士とガールズ×戦士がついに激突! まるで映画『ゴジラ VS キングギドラ』のオープニングのような高揚感がいやがおうにもたかまる構図である。この歴史的対決にギャラリーが20人って、少なすぎんだろが! 燃えてきた~!! ♪で~ん! で、で、で、で~んん!!
・1対2の戦いを不利と見たのか、イキアワセナイヤーはカナの代わりに通行人のおじさんをとっつかまえて即席で『ターミネーター』のシュワちゃんを100倍うすめたようなスーパーロボット「バンブーロボ F-823」(演・福田望)に改造し、ココミとサキに「バンブーダンス対決」を挑む。かわいい南国ダンス風の衣装へのフォームチェンジと、通りすがりの何の罪もない一般人を強制改造するという鬼畜な所業とのギャップが、なんともいえずクックルン世界の不条理なかほりを漂わせる。ヤバい! 闇堕ちしたとはいえ、うささんは本気だ!!
・うささんの気迫にただならぬものを感じた&バンブーダンス初めてなココミとサキは、ひみつキーを使ってパワーアップして臨み、肉眼で追えない程のスピードでマナ&バンブーロボの竹のリズム攻撃を乗り越える! しかし、踊っているココミとサキの姿が見えなくなるほどのスピードなのに、マナ達が鳴らしている竹の動きがいつまでも丸見えなのはなぜなのだろうか……現代科学の物理法則すらをも無力にする他局変身ヒロイン対決の脅威!!
・ココミとサキのスピードに焦り出し、「うおおー!!」と雄叫びを上げて竹のリズムを超速化するマナなのだが、アップカットでは絶叫しているのに、遠景カットになると「すん。」とした無の表情で淡々と竹を打ち鳴らしているという編集ギャップがたまらない。スタッフさん、わざとやってるでしょ。
・ココミとサキの息ピッタリのダンスに耐え兼ね、へとへとになって「もうダメ……2人の息が合いすぎやぁ~!」と、ここにきて謎の関西人設定を明らかにするマナ。ちなみに、うささんは神奈川出身だそうです……なんで? 本家マナカナのリスペクト?
・疲労困憊したイキアワセナイヤーに、必殺技「ファントミトリック」(ダンス時間約1分)で引導を渡すココミとサキ。文字通り、地球を揺るがす世紀の一大決戦の終幕であつた。
・決戦ののち、意を決してマナにアメリカ留学を告白するカナ。しかしマナは涙ぐみながらも精一杯の笑顔を見せ、「大丈夫! 距離なんて、関係ない。離れ離れになっても、私たちは最強コンビ!」と語り、カナと熱い握手を交わすのだった。いい……実に、いい!! こういうのをてらいなくしっかりやってくれる子ども向け番組って、いつの時代も絶対に必要ですよね。