長岡京エイリアン

日記に…なるかしらん

金田一耕助に帰ってきてほしいオレの事件簿  Vol. SIZUMA (静馬)

2012年05月29日 12時47分25秒 | ミステリーまわり
 キーラ=ナイトレイさん、ご婚約おめでとうございます! どうもこんにちは、そうだいでございますよっと。

 いやぁ、めでたいねぇ。
 私はべつにキーラさんの友人でも親戚でもないのですが、実はキーラさんには特別な思い入れがありまして……
 他でもない、私にとってのキーラ=ナイトレイさんは、

2ヶ月に1回くらいの頻度で必ず名前を忘れる有名人

 の女子代表なんですよね~。ちなみに、男性の有名人のトップはジョージ=クルーニーさんです。

 だれも共感できないよねェ~!! でも、これは厳然たる事実。みなさんも、そういう記憶のエアポケットに入りがちな特定の誰かって、いませんか?
 今回のおめでたいニュースをきっかけに、確実に名前をおぼえておこう。キーラ=ナイトレイさん、まことにおめでとうございま~す。

 話は変わりますが、先日、下北沢にお芝居を観に行くついでに東急東横線ぞいの「大倉山」(横浜市港北区)というところを散歩していましたらば、思わぬ建造物と奇跡の再会を果たしてしまいました。

 山というよりは丘というくらいの高さの大倉山をのぼってみると、そこにはギリシア様式の円柱が印象的な、白亜の洋館がたっておるではありませんか! なんだ、ここは!?
 その時はメインスペースを使って陶磁器の展示会がひらかれていたようなのですが、2階の窓からは優雅なヴァイオリンのしらべも聴こえてくるという、この文化度の高さ! さすが横浜!! 港は遠いけど。

 それはそれとして、私、な~んかこの洋館、昔よく見たおぼえがあったんだけど、来たのは今日が初めてだし、なんだろな~?
 と思ったのもつかの間、あぁ、思い出した思い出した!

ここ、日本「ヘンな映画」史の最高峰に不動の地位をしめるあの超怪作『1999年の夏休み』(1988年 監督・金子修介)の舞台になったギムナジウムだ!!

 思わぬ出逢いにビックラこいたわけなんですが、1932年に建設され築80年にもなろうかというこの「大倉山記念館」は、現在は一般市民に開放された公民館(図書館もあり)として利用されているのです。なんとぜいたくな!!

 あぁ、青春時代に熱にうかされたように見入っていたあの美少年たち(ほんとは少女だけど)のいた校舎が、今、眼前に。

 『1999年の夏休み』についての記憶はずいぶん前にこの『長岡京エイリアン』でも取り上げたのでふれずにおきますが、2012年の今、30歳をこえた私の前にあるのは、画面で見たよりもずいぶん小さな印象のあるおだやかな建物であり、その日は天気も実によかったので、入り口わきのベンチには釣り半ズボン姿の深津絵里さんではなく、Tシャツ姿の太ったおじさんがのべ~んと座っていました。

 青春の思い出なんてものは、こんなものでいいんです。どんどん崩れろ崩れろ! そこからまた新しい何かが生まれるんだヨ。


 さて、ずいぶんと長くなってしまった「金田一耕助の映像化の歴史」なんですが、も~う、いいかげんにいたしましょう! 今月ももうおしまいだしさぁ、来月までひっぱることもないだろう。チャッチャといこう、チャッチャと。

 ということで、今回は残りの映像リストをぜ~んぶ一挙公開!!
 それらに関するあれこれは、また次回。もう、むちゃくちゃ!


これで全部ですか!? 金田一耕助ものメディア化作品リスト・フルヤ VS 鶴太郎期 ~1990年代初頭から中盤~


ドラマ『名探偵金田一耕助の傑作推理 魔女の旋律』(1991年2月放送 TBS 『月曜ドラマスペシャル』)
 15代目・金田一耕助   …… 古谷 一行(47歳)
 12代目・等々力大志警部 …… ハナ 肇(61歳 1993年没)
 横溝正史の独立短編『空蝉処女(うつせみおとめ)』(1946年?月発表)を金田一耕助ものに改変した唯一の映像化

映画『天河伝説殺人事件』(1991年3月公開 監督・市川崑 角川春樹事務所 + 東映)
※当然ながら、この作品は内田康夫が1988年に発表した「名探偵・浅見光彦もの」の長編推理小説の映画化だが、市川崑の演出や出演者の顔ぶれ(加藤武・石坂浩二・岸恵子・大滝秀治・小林昭二ら)に、1970年代の「東宝の金田一耕助シリーズ」に酷似したポイントが多すぎる

ドラマ『名探偵金田一耕助の傑作推理 八つ墓村』(1991年7月放送 TBS 『月曜ドラマスペシャル』)
 15代目・金田一耕助   …… 古谷 一行(47歳)
 12代目・等々力大志警部 …… ハナ 肇(61歳)
 金田一耕助もの長編『八つ墓村』の6度目の映像化

ドラマ『横溝正史シリーズ 悪霊島』(1991年10月放送 フジテレビ『金曜ドラマシアター』)
 22代目・金田一耕助   …… 片岡 鶴太郎(37歳)
 11代目・磯川常次郎警部 …… 加藤 武(62歳)
 金田一耕助もの最後の長編『悪霊島』の2度目の映像化

ドラマ『名探偵金田一耕助の傑作推理 悪魔が来りて笛を吹く』(1992年4月放送 TBS 『月曜ドラマスペシャル』)
 15代目・金田一耕助   …… 古谷 一行(48歳)
 12代目・等々力大志警部 …… ハナ 肇(62歳)
 金田一耕助もの長編『悪魔が来りて笛を吹く』の4度目の映像化

ドラマ『名探偵金田一耕助の傑作推理 女怪』(1992年7月放送 TBS 『月曜ドラマスペシャル』)
 15代目・金田一耕助   …… 古谷 一行(48歳)
 12代目・等々力大志警部 …… ハナ 肇(62歳)
 金田一耕助もの短編『女怪』(1950年9月掲載)の初映像化

ドラマ『横溝正史シリーズ 本陣殺人事件』(1992年10月放送 フジテレビ『金曜ドラマシアター』)
 22代目・金田一耕助   …… 片岡 鶴太郎(38歳)
 11代目・磯川常次郎警部 …… 加藤 武(63歳)
 金田一耕助もの第1長編『本陣殺人事件』の5度目の映像化

※横溝正史の金田一耕助シリーズと直接の関連はないが、1992年10月に『週刊少年マガジン』(講談社)で「金田一耕助の孫を自称する少年」が主人公の推理マンガ『金田一少年の事件簿』(原作・金成陽三郎 作画・さとうふみや)の連載が開始されて話題となる

ドラマ『名探偵金田一耕助の傑作推理 病院坂の首縊りの家』(1992年12月放送 TBS 『月曜ドラマスペシャル』)
 15代目・金田一耕助   …… 古谷 一行(48歳)
 12代目・等々力大志警部 …… ハナ 肇(62歳)
 金田一耕助の最後の事件『病院坂の首縊りの家』の2度目の映像化

ドラマ『名探偵金田一耕助の傑作推理 三つ首塔』(1993年7月放送 TBS 『月曜ドラマスペシャル』)
 15代目・金田一耕助   …… 古谷 一行(49歳)
 12代目・等々力大志警部 …… ハナ 肇(63歳)
 金田一耕助もの長編『三つ首塔』の5度目の映像化

ドラマ『名探偵金田一耕助の傑作推理 迷路の花嫁』(1993年9月放送 TBS 『月曜ドラマスペシャル』)
 15代目・金田一耕助   …… 古谷 一行(49歳)
 12代目・等々力大志警部 …… ハナ 肇(63歳)
 金田一耕助もの長編『迷路の花嫁』(1954年4~9月連載)の唯一の映像化
 ※この作品が放送された9月20日の直前の10日にハナ肇が肝ガンで死去していたため、結果として古谷一行の金田一耕助シリーズで通算19回刑事役を演じたハナの遺作となった

ドラマ『横溝正史シリーズ 悪魔の手毬唄』(1993年9月放送 フジテレビ『金曜エンタテイメント』)
 22代目・金田一耕助   …… 片岡 鶴太郎(39歳)
 11代目・磯川常次郎警部 …… 加藤 武(64歳)
 金田一耕助もの長編『悪魔の手毬唄』の6度目の映像化

ドラマ『名探偵金田一耕助の傑作推理 女王蜂』(1994年4月放送 TBS 『月曜ドラマスペシャル』)
 15代目・金田一耕助 …… 古谷 一行(50歳)
 亀井警部      …… 名古屋 章(63歳 2003年没)
 金田一耕助もの長編『女王蜂』の5度目の映像化
 ※前年の等々力警部役のハナ肇の死去により、等々力警部にあたる役割の「亀井警部」が登場している

ドラマ『名探偵金田一耕助の傑作推理 悪魔の唇』(1994年8月放送 TBS 『月曜ドラマスペシャル』)
 15代目・金田一耕助 …… 古谷 一行(50歳)
 河合警部      …… 谷 啓(62歳 2010年没)
 金田一耕助もの長編『悪魔の百唇譜(ひゃくしんふ)』(1962年10月発表)の唯一の映像化
 ※この作品から、原作の等々力警部にあたるオリジナルキャラクター「河合警部」がレギュラー出演する

ドラマ『横溝正史シリーズ 犬神家の一族』(1994年10月放送 フジテレビ『金曜エンタテイメント』)
 22代目・金田一耕助   …… 片岡 鶴太郎(40歳)
 11代目・磯川常次郎警部 …… 加藤 武(65歳)
 金田一耕助もの長編『犬神家の一族』の6度目の映像化

※横溝正史の金田一耕助シリーズと直接の関連はないが、1995年4月に推理マンガ『金田一少年の事件簿』が堂本剛(KinKi Kids )の主演で単発ドラマ化されて本格的ブームが始まる( TVシリーズ化は同年7月から)

舞台『悪魔の手毬唄 名探偵・金田一耕助の恋』(1995年8~9月放送 演出・井上思)
 24代目・金田一耕助   …… 田村 亮(49歳)
 13代目・磯川常次郎警部 …… 山谷 初男(61歳)
 金田一耕助もの長編『悪魔の手毬唄』の初舞台化
 ※俳優の田村3兄弟はなにかと金田一耕助シリーズと縁があるが、金田一耕助本人を演じたのは末弟の亮だけ

ドラマ『名探偵金田一耕助の傑作推理 悪魔の花嫁』(1995年9月放送 TBS 『月曜ドラマスペシャル』)
 15代目・金田一耕助 …… 古谷 一行(51歳)
 河合警部      …… 谷 啓(63歳)
 横溝正史の独立短編『悪魔の家』(1938年6~7月連載)を金田一耕助ものに改変した唯一の映像化

ドラマ『横溝正史シリーズ 八つ墓村』(1995年10月放送 フジテレビ『金曜エンタテイメント』)
 22代目・金田一耕助   …… 片岡 鶴太郎(41歳)
 11代目・磯川常次郎警部 …… 加藤 武(66歳)
 金田一耕助もの長編『八つ墓村』の7度目の映像化

ドラマ『名探偵金田一耕助の傑作推理 呪われた湖』(1996年1月放送 TBS 『月曜ドラマスペシャル』)
 15代目・金田一耕助 …… 古谷 一行(51歳)
 河合警部      …… 谷 啓(63歳)
 金田一耕助もの短編『湖泥』(1953年1月掲載)の唯一の映像化

ドラマ『名探偵金田一耕助の傑作推理 黒い羽根の呪い』(1996年3月放送 TBS 『月曜ドラマスペシャル』)
 15代目・金田一耕助 …… 古谷 一行(52歳)
 河合警部      …… 谷 啓(64歳)
 金田一耕助もの短編『鴉』(1951年7月掲載)の唯一の映像化

ドラマ『横溝正史シリーズ 女怪』(1996年4月放送 フジテレビ『金曜エンタテイメント』)
 22代目・金田一耕助   …… 片岡 鶴太郎(42歳)
 11代目・磯川常次郎警部 …… 加藤 武(67歳)
 17代目・等々力大志警部 …… 石黒 賢(30歳)
 金田一耕助もの短編『女怪』(1950年9月)と『霧の中の女』(1957年1月)を組み合わせた作品
 ※片岡金田一シリーズに等々力警部が登場する唯一の作品で、等々力警部が金田一耕助よりそうとう年下というキャスティングも珍しい

ラジオドラマ『八つ墓村』(1996年7~11月放送 TBSラジオ 『角川ドラマルネッサンス』)
 25代目・金田一耕助   …… 鈴置 洋孝(47歳 2006年没)
 14代目・磯川常次郎警部 …… 佐藤 正治(51歳)
 金田一耕助もの長編『八つ墓村』の2度目のラジオドラマ化
 ※同年10月に公開された映画『八つ墓村』のタイアップ番組だったが、なぜフジテレビ製作の映画を TBSラジオが応援!?

ドラマ『横溝正史シリーズ 悪魔が来りて笛を吹く』(1996年10月放送 フジテレビ『金曜エンタテイメント』)
 22代目・金田一耕助   …… 片岡 鶴太郎(42歳)
 11代目・磯川常次郎警部 …… 加藤 武(67歳)
 金田一耕助もの長編『悪魔が来りて笛を吹く』の5度目の映像化
 ※この作品は、フジテレビが東宝と共同製作した映画『八つ墓村』の公開前日の10月25日に放送された

映画『八つ墓村』(1996年10月公開 監督・市川崑 東宝)
 26代目・金田一耕助   …… 豊川 悦司(34歳)
 8代目・等々力大志警部 …… 加藤 武(67歳)
 金田一耕助もの長編『八つ墓村』の8度目の映像化
※加藤武の等々力警部は17年ぶりの復活となるが、公開直前にTV に登場していた磯川警部とはまるで性格が違う



これで全部ですか!? 金田一耕助ものメディア化作品リスト・フルヤとゆかいな耕助たち期 ~1990年代後半から現在へ~


ドラマ『名探偵金田一耕助の傑作推理 幽霊座』(1997年1月放送 TBS 『月曜ドラマスペシャル』)
 15代目・金田一耕助 …… 古谷 一行(53歳)
 河合警部      …… 谷 啓(64歳 2010年没)
 金田一耕助もの中編『幽霊座』(1952年11~12月連載)の唯一の映像化

ドラマ『名探偵金田一耕助の傑作推理 獄門島』(1997年5月放送 TBS 『月曜ドラマスペシャル』)
 15代目・金田一耕助 …… 古谷 一行(53歳)
 河合警部      …… 谷 啓(65歳)
 金田一耕助もの長編『獄門島』の5度目の映像化

ドラマ『名探偵金田一耕助の傑作推理 悪魔の仮面』(1998年3月放送 TBS 『月曜ドラマスペシャル』)
 15代目・金田一耕助 …… 古谷 一行(54歳)
 河合警部      …… 谷 啓(66歳)
 金田一耕助もの短編『薔薇の別荘』(1958年6~9月連載)と横溝正史の独立短編『神楽太夫』(1946年3月)を組み合わせた作品

ドラマ『横溝正史シリーズ 女王蜂』(1998年4月放送 フジテレビ『金曜エンタテイメント』)
 22代目・金田一耕助   …… 片岡 鶴太郎(44歳)
 11代目・磯川常次郎警部 …… 加藤 武(68歳)
 金田一耕助もの長編『女王蜂』の6度目の映像化
 ※片岡鶴太郎の金田一耕助シリーズの9作目にして最後の作品

※1998年には、NTT コミュニケーションズのインターネットサービス事業「OCN 」の TVコマーシャルに SMAPの木村拓哉(26歳)が金田一耕助の扮装をして出演していた

ドラマ『名探偵金田一耕助の傑作推理 悪霊島』(1999年3月放送 TBS 『月曜ドラマスペシャル』)
 15代目・金田一耕助 …… 古谷 一行(55歳)
 河合警部      …… 谷 啓(67歳)
 金田一耕助もの最後の長編『悪霊島』の3度目の映像化

ドラマ『名探偵金田一耕助の傑作推理 トランプ台上の首』(2000年10月放送 TBS 『月曜ドラマスペシャル』)
 15代目・金田一耕助 …… 古谷 一行(56歳)
 河合警部      …… 谷 啓(68歳)
 金田一耕助もの中編『トランプ台上の首』(1959年2月発表)と『黒猫亭事件』(1947年12月掲載)を組み合わせた作品

※2000年には、野村證券の TVコマーシャルに 金田一耕助の扮装をした田辺誠一(31歳)と、どこからどう見ても等々力警部な加藤武(71歳)が出演していた(BGM には映画『犬神家の一族』の「愛のテーマ」が流れていた)

ドラマ『名探偵金田一耕助の傑作推理 水神村伝説殺人事件』(2002年4月放送 TBS 『月曜ミステリー劇場』)
 15代目・金田一耕助 …… 古谷 一行(58歳)
 河合警部      …… 谷 啓(70歳)
 金田一耕助もの中編『車井戸はなぜ軋(きし)る』(1955年5月発表)の唯一の映像化

ドラマ『金田一耕助ファイル 迷路荘の惨劇』(2002年10月放送 テレビ東京『水曜女と愛とミステリー』)
 27代目・金田一耕助   …… 上川 隆也(37歳)
 18代目・等々力大志警部 …… 二世 中村 梅雀(46歳)
 金田一耕助もの長編『迷路荘の惨劇』の2度目の映像化

ドラマ『名探偵金田一耕助の傑作推理 人面瘡』(2003年3月放送 TBS 『月曜ミステリー劇場』)
 15代目・金田一耕助 …… 古谷 一行(59歳)
 河合警部      …… 谷 啓(71歳)
 金田一耕助もの短編『人面瘡』(1960年7月発表)の唯一の映像化

ドラマ『金田一耕助ファイル 獄門島』(2003年10月放送 テレビ東京『水曜女と愛とミステリー』)
 27代目・金田一耕助   …… 上川 隆也(38歳)
 18代目・等々力大志警部 …… 二世 中村 梅雀(47歳)
 金田一耕助もの長編『獄門島』の6度目の映像化

ドラマ『金田一耕助シリーズ 犬神家の一族』(2004年4月放送 フジテレビ『土曜プレミアムステージ』)
 28代目・金田一耕助 …… 稲垣 吾郎(31歳)
 4代目・橘警察署長 …… 塩見 三省(56歳)
 金田一耕助もの長編『犬神家の一族』の7度目の映像化

ドラマ『名探偵金田一耕助の傑作推理 白蝋の死美人』(2004年4月放送 TBS 『月曜ミステリー劇場』)
 15代目・金田一耕助 …… 古谷 一行(60歳)
 河合警部      …… 谷 啓(72歳)
 金田一耕助もの短編『蝋美人』(1956年2月掲載)と『雌蛭』(1960年9月掲載)を組み合わせた作品

ドラマ『金田一耕助シリーズ 八つ墓村』(2004年10月放送 フジテレビ『土曜プレミアムステージ』)
 28代目・金田一耕助 …… 稲垣 吾郎(31歳)
 4代目・橘警察署長 …… 塩見 三省(56歳)
 金田一耕助もの長編『八つ墓村』の9度目の映像化
 ※『八つ墓村』の「9回」は横溝正史作品の中でも最多の映像化回数

単発ドラマ『明智小五郎 VS 金田一耕助 炎の不可能密室殺人』(2005年2月放送 テレビ朝日『土曜ワイド劇場』)
 29代目・金田一耕助 …… 長瀬 智也(26歳)
 明智小五郎     …… 松岡 昌宏(28歳)
 ※物語は脚本家の深沢正樹によるオリジナルであり、江戸川乱歩にも横溝正史にも原作となった作品は存在しない
 ※金田一耕助と明智小五郎以外のキャラクターはオリジナルであり、等々力警部らは登場していない
 時代設定は「2000年代現在」になっており、金田一耕助はまったく無名の私立探偵となっている

ドラマ『名探偵金田一耕助の傑作推理 神隠し真珠郎』(2005年7月放送 TBS 『月曜ミステリー劇場』)
 15代目・金田一耕助 …… 古谷 一行(61歳)
 河合警部      …… 谷 啓(73歳)
 もともと金田一耕助ものではなかった中編『真珠郎』の3度目の映像化
 ※2012年5月現在、古谷一行が金田一耕助を演じた通算48作目にして最後の作品

ドラマ『金田一耕助シリーズ 女王蜂』(2006年1月放送 フジテレビ『土曜プレミアムステージ』)
 28代目・金田一耕助 …… 稲垣 吾郎(32歳)
 4代目・橘警察署長 …… 塩見 三省(57歳)
 金田一耕助もの長編『女王蜂』の7度目の映像化

映画『犬神家の一族』(2006年12月公開 監督・市川崑 東宝)
 14代目・金田一耕助     …… 石坂 浩二(65歳)
 8代目・等々力大志警察署長 …… 加藤 武(77歳)
 金田一耕助もの長編『犬神家の一族』の8度目の映像化
 ※映画監督・市川崑の齢91にしてのリメイク作だったが、2008年2月に死去したため遺作となった

ドラマ『金田一耕助シリーズ 悪魔が来りて笛を吹く』(2007年1月放送 フジテレビ『土曜プレミアム』)
 28代目・金田一耕助 …… 稲垣 吾郎(33歳)
 4代目・橘警察署長 …… 塩見 三省(58歳)
 金田一耕助もの長編『悪魔が来りて笛を吹く』の6度目の映像化

舞台『八つ墓村』(2008年12月 脚本&演出・関智一 劇団ヘロヘロQカムパニー)
 30代目・金田一耕助   …… 関 智一(36歳)
 15代目・磯川常次郎警部 …… 辻 親八(52歳)
 金田一耕助もの長編『八つ墓村』の舞台化
 ※劇団ヘロヘロQカムパニーは、声優・関智一が主宰する劇団

ドラマ『金田一耕助シリーズ 悪魔の手毬唄』(2009年1月放送 フジテレビ『土曜プレミアム』)
 28代目・金田一耕助 …… 稲垣 吾郎(35歳)
 4代目・橘警察署長 …… 塩見 三省(60歳)
 金田一耕助もの長編『悪魔の手毬唄』の7度目の映像化
 ※稲垣吾郎の金田一耕助シリーズの5作目にして、2012年5月現在での金田一耕助もの最後の TVドラマ作品

舞台『悪魔が来りて笛を吹く』(2010年8月 脚本&演出・関智一 劇団ヘロヘロQカムパニー)
 30代目・金田一耕助   …… 関 智一(37歳)
 19代目・等々力大志警部 …… 辻 親八(53歳)
 金田一耕助もの長編『悪魔が来りて笛を吹く』の舞台化


 どっひゃ~、毎回毎回、長くなっちゃって本当にごめんなさい!!
 でも、これこそが「金田一耕助の歴史」の重みなのだ……っていうことで、ひとつ。

 ほんじゃ、まったね~。
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もっといい役あんだろ!!

2012年05月28日 00時03分46秒 | 日記
『平清盛』高橋愛、大河ドラマ出演 「清盛の嫡男・重盛を支える妻」経子役
 (オリコンスタイル 5月6日の記事より)

 元モーニング娘。の高橋愛(25歳)が、NHK大河ドラマ『平清盛』(毎週日曜午後8時から)に松山ケンイチ(27歳)演じる平清盛の嫡男・重盛の妻・経子役で出演することが5日、わかった。高橋の大河ドラマ出演は今回が初めてで、6月17日の放送回より登場する。

 高橋は、昨年9月末に10年1ヶ月間在籍したモーニング娘。を卒業後、女優業に軸を移してから初めてつかんだドラマのレギュラー。『平清盛』で演じる経子は、平氏に一目置く貴族・藤原家成(佐藤二朗)の娘であり、強大になった平氏と縁を深めるため、後白河帝の近臣である兄・成親(吉沢悠)の提案で、清盛の長男・重盛に嫁ぐことになる。

 重盛を演じるのは同じく大河初出演の俳優・窪田正孝(23歳)。実直な人柄で出世を重ねる重盛と気立てのよい経子は円満な家庭を築くが、「鹿ヶ谷の陰謀」事件で成親が清盛を裏切るなど、後白河の巧みな政治術に翻弄されることになる。やがて重盛は悲運の死を遂げることとなり、平家没落は重盛の死をもって始まる。


 NHK、その高橋さんに対する忘恩ぶり、許しがたし。
 それが、他ならぬてめぇの局の連続ドラマで主役もやったことのある女優さんにふる役か!? 無礼にも程があるわ!!

 高橋さんには申し訳ないですが、『平清盛』どころか、NHK の放送全体を視聴する気がうせました。TV が観られない生活になってて、ほんとによかったよ……受信料はらってたら、悔しさのあまりに憤死してたかもしれんわ。

 よくぞまぁ~高橋さんという千載一遇の逸材を、てめぇの話題づくりのために軽~くあつかってくれたなァ! こういうのをほんとの意味の「役不足」っていうんだよ!!

 おれが崇徳院になりかわって呪ってくれるわ!! きえ~。『花の乱』ヨリシタマワレシタマワレシタマワレ……
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金田一耕助に帰ってきてほしいオレの事件簿  Vol. KIKU (きく)

2012年05月25日 13時24分49秒 | ミステリーまわり
 はいは~い、どうもこんにちは! そうだいでございます。
 いやはや、順調にジメジメした季節になってまいりましたねぇ。春ももうおしまいですか。

 前にもここでお知らせしたように、私は今月末から翌月はじめにかけて、劇団の受付スタッフをやる都合で毎日、東京の西にあたる下北沢に通うことになります。

 いや~、楽しみだねェ、歩くのが!!

 そうとう予定が狂っていないかぎり、渋谷から下北沢まで歩くというのが目下の私の計画なのですが、コース自体はもう数年来つかっている道ではあるものの、道のりのバランスがいいんですよね。だから何回も歩いてしまうんでしょうか。
 渋谷の日本最高レベルの人ごみからスタート、落ち着いた松涛を横目に見て、環八をまたいだら時間の流れがとたんにゆっくりな駒場、神泉。このへんの住宅街と学校とささやかな駅前商店街とのグラデーションがたまりません。ギリギリ1980年代生まれの私は『3丁目の夕日』みたいな昭和中期の風景を見てもなんの感慨もわかないのですが、ここらあたりの町並みはストライクど真ん中でいいですね! もっと田舎だったけど。

 また、かかる時間もちょうどいいくらいで、のんびり歩いてだいたい片道40分。天気がよければ最適な散歩時間なんじゃないでしょうか。
 でも、雨が降ったら降ったでこれもよくて、濡れるアスファルトのにおいね! たまんないですね。イィ~ヒッヒッヒ。

 そんな途上の楽しみに加えて、なにかとひとりで考え事ができるのも非常にありがたいです。いろいろ今後のことを考えている最中の私なのですが、40分もほっつき歩いてりゃあ、なんか妙案が思いつくだろ! みたいな実に安易な発想ですね。

 私が勝手きままに立てていた「桜木町ひとりツアー」もいちおうの終結をむかえてしまいましたんで、別のプランを立てなきゃと思ってるところだったし。一生懸命に受付のお仕事をさせてもらいながら楽しく歩かせてもらいたいという所存でございますよ。
 せっかく「2本足歩行の最新スペックモデル・ひと」という乗り物をさずかったんですから、これは乗りまわさなきゃあ損ですよ! 無理をしない程度にエンジョイ・ドライビ~ン。


 さて、今回も今回とて、「日本でいちばんパッとしない名探偵」こと、金田一耕助の映像化された作品の歴史をひもといてみようという企画の続きでございます。

 いや~、前回はまさしく「爆発期」! 映画に TVにと、「お釜帽によれよれのはかま姿」というおなじみのスタイルの金田一耕助がついに大活躍を開始する時期でした。

 この「第2期」は、言ってみれば「第1期」で徹底的に隠されていた「パッとしないが実はスゴい金田一耕助」というイメージが、逆にど真ん中にクローズアップされるようなブームだったのではないでしょうか。
 つまり、第1期が「横溝正史ブーム」だったのに対して、第2期は「金田一耕助ブーム」というべきものだったのではないかと思うんですね。

 かつて、1970年代初頭には「金田一耕助をカットした金田一耕助もの」という、金田一耕助にとっては非常に屈辱的な TVドラマも放映されていた過去もあったわけなのですが、第2期にそういった演出がほどこされる可能性はまったくありえませんでした。原作どおりのくたびれた格好で登場し、ときに間のぬけた言動が目立ち、ときに容貌が誰よりも怪しいと警察に疑われることもあった金田一耕助が、クライマックスに神がかった推理力を発揮して大事件の真犯人をあばくというストーリーラインは、第1期でのヒーロー然とした金田一耕助がもっともらしく事件を解決するスタイルよりもさらに強烈なカタルシスを人々にあたえることとなったのです。

 この第2期をささえた最大の貢献者は、これはもう、なんと言っても当時「現代のカリスマ」とたたえられていた角川春樹がひきいていた角川書店といわざるをえないでしょう。
 1970年代には70代となり、ほぼ楽隠居の大御所という位置にあった原作者・横溝正史の金田一耕助ものを再発見したのは、角川春樹が新たに開拓した「映画プロデュース事業」の第1作にあの『犬神家の一族』が選ばれたことが端緒であり、実質的にはここに始まった第2期ブームの牽引はもちろんのこと、誰でも知っている名作から、横溝正史ご本人も「いや、そこまでやらなくとも……」と若干ひいていたという、10代でのデビュー作から戦前のさほどおもしろいとは言えないショートショートまで、ほぼ全作品を角川文庫からリリースするなどといった、角川書店のゴリゴリにゴリ押しの両面戦略が第2期の動力源となっていたことは間違いありません。

 ちなみに、私がこの第2期の作品群の中でランキングをつけるとすれば、トップ5はこんな感じになります。


1、『本陣殺人事件』中尾ヴァージョン
2、『悪魔の手毬唄』石坂ヴァージョン
3、『病院坂の首縊りの家』
4、『悪霊島』
5、『八つ墓村』渥美ヴァージョン


 いや~、やっぱ第2期のスタートを飾る『本陣殺人事件』はハズせませんわ!!

 実は、この『本陣殺人事件』は時系列でいけば明らかに第2期の最初の作品であるわけなのですが、大手映画会社には実現できないテーマや演出を駆使して、低予算で良質の作品を制作することをむねとする ATG(アート・シアター・ギルド)作品の一環として世に出たものであるため、日本全国に横溝正史ブームの復活を喚起するというほどの規模では公開されませんでした。そのため、やっぱりブームの起爆剤となったのがどれなのかというと、これはやっぱり『本陣殺人事件』の翌1976年に公開された『犬神家の一族』にゆずらざるをえない哀しさがあるわけなのです。とはいっても、むろんのこと『本陣殺人事件』の公開が角川春樹に強いインスピレーションをあたえたことは間違いありません。

 でもよぉ! それはそれとしても、この『本陣殺人事件』はいいんだなぁ~!!

 まずはなんといっても、「原作の忠実な映像化」というところでの精度の高さね。特に『本陣殺人事件』は複雑な人間ドラマと数学的な犯罪トリックとがミラクルに合体した作品であるため、これを余計な雑味をくわえずにどう映像化するかが生命線となるんですね。
 そして、原作の『本陣殺人事件』は、小説としてのボリュームがふつうの長編よりもちょっと短い「ギリ中編サイズ」なんです。ここも2時間ほどの映像化には最適なんだよなぁ~。

 これは横溝作品にかぎったことではないのですが、文庫本にして3~400ページをゆうに超える容量のミステリー小説を、ひとりの登場人物もひとつの伏線ももらさずに2~3時間の映像作品におさめることは不可能です。
 そのために、映像化されるミステリー作品は、必ずどこかの部分で省略や改変を余儀なくされてしまう必要性があり、わかりやすい横溝作品の例でいうのならば、9回も映像化されている『八つ墓村』は、どの作品でもどこかに必ず他の兄弟作とは違った要素が入り込んでいたりカットされていたりするのです。

 要するに、母体となっている「小説の『八つ墓村』」という名のバイキングセットから、どの料理とどの料理を皿にもってテーブルに帰ってくるかで、同じ『八つ墓村』でも盛りつけがまるで変わってきちゃうんですね。これは規模に多少の差こそあれ、『犬神家の一族』でも『女王蜂』でも同じことです。
 ってな感じでバイキング料理にたとえてみたんですけど、「多治見要蔵」とか「双子の老婆」がならんでるテーブル……激しく嫌だ!!

 ともかく、これをもって私が言いたいのは、「第1期にくらべて第2期のほうが横溝正史の小説に近い」ということは決してない! ということなんです。石坂浩二や古谷一行の出ている金田一耕助シリーズを観て、原作小説を読んだような気になってはイカンのです。

 確かに、第2期のほとんどで原作に近い風貌になって活躍している金田一耕助なのですが、むしろ「正体不明の解決者」というポイントが強調されすぎて人間ばなれした存在になってしまい、原作にあった人間くささやダーティさが意図的に排除されている感もいなめないのです。特に市川崑監督のシリーズでは、金田一耕助が「人間の悪をあばく天使」といったところまで持ち上げられているきらいもあって、そのあたりを観たあとで原作を読んで驚かれた方も多いのではないでしょうか。言葉づかいはワイルドだし、ヘビースモーカーだし、和服好きのくせに朝はパン食派だしねぇ。

 あと、『本陣殺人事件』は予算の都合で時代設定を「1970年代現在」にせざるをえなかった事情があったらしいのですが(時間は短いが繁華街のシーンがある)、この第2期の中でも飛びぬけて有名な渥美清バージョンの『八つ墓村』が、特に横溝正史の原作からかけ離れた1970年代の現代劇に改変されていることも無視するわけにはいきません。

 内容については説明の余地もないこの1977年バージョン『八つ墓村』は、本来ならば「真犯人が犯罪を隠すために利用した風聞」だったはずの「八つ墓村のたたり」が、真犯人の利益を押しのけて前面にズズズイと押し出してくるという、推理ミステリーとしてはムチャクチャな展開になっており、とてもじゃないですが横溝正史の『八つ墓村』を忠実に映像化したとはいいがたいものになっています。

 ところが、そういった破綻ぶりを逆手にとって、犯罪だの利害関係だのといった人間の思考の範疇を超えた超自然現象としての「たたり」が、もしかしたら現代のこの世にもあるのかもネ……といったオリジナルな味わいをかもしだすことに成功していることも事実なのです。だからこそ、製作陣は物語の時代設定を原作どおりの「1948年」という過去にはせずに、ジャンボジェット機が悠々と空を飛んでいる現代に引き寄せたのでしょう。今だからこそ、たたりも逆に信じたくなってしまうのです。

 だもんで、この1977年の『八つ墓村』に登場した渥美清の金田一耕助をさして、「役に立たねぇ~」と非難してはいけないんですよ。だって解決できるわけねぇじゃん、たたりなんだから!! ここでの金田一耕助は解決者じゃなくて、解説者なんです。
 
 ともかく、こういった感じで第1期とはまた違った方向性でめいめいのオリジナリティを発揮することとなった第2期の面々だったわけなのですが、映画のほうのブームは市川崑監督シリーズの最終作となる『病院坂の首縊りの家』をもって実質的な終息をむかえ、奇しくも公開直後に横溝正史その人の死去の報を受けることとなった篠田正浩監督の『悪霊島』によって、完全に幕を閉じることとなります。

 ここがまたすごいんですけど、『病院坂の首縊りの家』や『悪霊島』といった長編は、この第2期ブームの大爆発に触発された横溝正史が70代後半にして再び世に出した最晩年の作品群だったんですよ!?
 すばらしいですね……第1期を飾った傑作群にまさるかどうかは別にしても、はっきり長編ミステリーとして成立している、しかもそのひとつは名探偵・金田一耕助の「最後の事件」となるにふさわしい大事件になっているんだから、もう感涙ものです。とてつもねぇお人だ!

 『病院坂の首縊りの家』。もう、タイトルだけで百点満点です。タイトルセンスがすごいんですよね、『車井戸はなぜ軋(きし)る』とか、『悪魔が来りて笛を吹く』とか。

 残念ながら、映画の『病院坂の首縊りの家』と『悪霊島』は、どちらもそれぞれの事情で原作を縮小せざるをえない内容になっているために「原作以上におもしろい!」とは言えないのですが、各自に独特の「さよなら金田一耕助」エンディングがあるのが味わい深いです。どちらの金田一耕助も非常に印象的な背中のショットで退場していくんだ。

 『悪霊島』はとにかく若々しい鹿賀丈史の長ぐつ金田一耕助が最高なんですが……なんでジョン=レノンの悲報で物語がスタートしているのに主題歌がポール中心の『レット・イット・ビー』なのか。う~ん、ヒッピー青年の頭ん中はよくわからんわ。


 さてさてこんな流れで、横溝正史ご本人の逝去によって第2期は完全に終わりを迎えましたが、それから間もない1983年には、今度は TVの世界に主戦場を移した、ゆるやかなペースの「金田一耕助のいる日常」が始まっていくこととなります。

 ってなわけで、お次はこんなんです。


これで全部ですか!? 金田一耕助ものメディア化作品リスト・フルヤ期 ~1980年代中盤から90年代初頭~


ドラマ『名探偵金田一耕助の傑作推理 本陣殺人事件』(1983年2月放送 TBS 『土曜ザ・サスペンス』)
 15代目・金田一耕助 …… 古谷 一行(39歳)
 2代目・日和警部  …… ハナ 肇(53歳 1993年没)
 金田一耕助もの第1作『本陣殺人事件』の4度目の映像化
 ※古谷一行による不定期スペシャルドラマシリーズ『名探偵金田一耕助の傑作推理』の第1作

ドラマ『名探偵金田一耕助の傑作推理 ミイラの花嫁』(1983年8月放送 TBS 『土曜ザ・サスペンス』)
 15代目・金田一耕助 …… 古谷 一行(39歳)
 2代目・日和警部  …… ハナ 肇(53歳 1993年没)
 1938年3月に掲載された横溝正史の「由利麟太郎もの」短編『木乃伊(ミイラ)の花嫁』を金田一耕助ものに改変した唯一の映像化

ドラマ『横溝正史の真珠郎 金田一耕助の愛した女・怪しい美少年の正体は……』(1983年10月放送 テレビ朝日『土曜ワイド劇場』)
 20代目・金田一耕助   …… 小野寺 昭(40歳)
 もともと金田一耕助ものではなかった中編『真珠郎』の2度目の映像化
 ※小野寺昭は、テレビ朝日が製作した金田一耕助ものの中でただひとりシリーズ化した俳優

ドラマ『名探偵金田一耕助の傑作推理 獄門岩の首』(1984年3月放送 TBS 『土曜ザ・サスペンス』)
 15代目・金田一耕助 …… 古谷 一行(40歳)
 2代目・日和警部  …… ハナ 肇(54歳)
 金田一耕助もの短編『首』(1955年5月掲載)の唯一の映像化

ドラマ『名探偵金田一耕助の傑作推理 霧の山荘』(1985年5月放送 TBS 『水曜ドラマスペシャル』)
 15代目・金田一耕助   …… 古谷 一行(41歳)
 12代目・等々力大志警部 …… ハナ 肇(55歳)
 金田一耕助もの中編『霧の山荘』(1961年1月発表)の唯一の映像化
 ※この作品からハナ肇の演じる刑事が「等々力警部」になるが、キャラクターはまったくいっしょ

ドラマ『名探偵金田一耕助の傑作推理 死仮面』(1986年5月放送 TBS 『水曜ドラマスペシャル』)
 15代目・金田一耕助   …… 古谷 一行(42歳)
 12代目・等々力大志警部 …… ハナ 肇(56歳)
 金田一耕助もの中編『死仮面』(1949年5~12月連載)の唯一の映像化
 ※原作の『死仮面』は、原作者・横溝正史の存命中には原稿が紛失しており単行本化されていなかった

ドラマ『名探偵金田一耕助 仮面舞踏会 嵐の夜、妖しい女が殺人を呼ぶ!』(1986年10月放送 テレビ朝日『土曜ワイド劇場』)
 20代目・金田一耕助   …… 小野寺 昭(43歳)
 金田一耕助もの長編『仮面舞踏会』の2度目の映像化

ドラマ『名探偵金田一耕助の傑作推理 香水心中』(1987年5月放送 TBS 『水曜ドラマスペシャル』)
 15代目・金田一耕助   …… 古谷 一行(43歳)
 12代目・等々力大志警部 …… ハナ 肇(57歳)
 金田一耕助もの短編『香水心中』(1958年11月掲載)の唯一の映像化

ドラマ『名探偵金田一耕助の傑作推理 不死蝶』(1988年2月放送 TBS 『月曜ドラマスペシャル』)
 15代目・金田一耕助   …… 古谷 一行(44歳)
 12代目・等々力大志警部 …… ハナ 肇(58歳)
 金田一耕助もの長編『不死蝶』の2度目の映像化
 ※本作が放送された時期のみ、TBS の2時間サスペンスドラマ枠は月曜日に移転していた

ドラマ『名探偵金田一耕助 三つ首塔 妖しく燃える女相続人の華麗な戦い』(1988年7月放送 テレビ朝日『土曜ワイド劇場』)
 20代目・金田一耕助   …… 小野寺 昭(45歳)
 13代目・等々力大志警部 …… 角野 卓造(39歳)
 金田一耕助もの長編『三つ首塔』の4度目の映像化
 ※金田一耕助よりも等々力警部のほうが若いという、そうとう珍しいキャスティング

ドラマ『名探偵金田一耕助の傑作推理 殺人鬼』(1988年7月放送 TBS 『土曜ドラマスペシャル』)
 15代目・金田一耕助   …… 古谷 一行(44歳)
 12代目・等々力大志警部 …… ハナ 肇(58歳)
 金田一耕助もの中編『殺人鬼』(1947年12月~48年2月連載)の唯一の映像化

オーディオドラマ『金田一耕助の冒険 悪魔の降誕祭』(1988年12月リリース 角川書店カドカワカセットブック)
 21代目・金田一耕助   …… 神谷 明(42歳)
 14代目・等々力大志警部 …… 八奈見 乗児(57歳)
 金田一耕助もの長編『悪魔の降誕祭』(1958年7月発表)の唯一のメディア化
 ※ただし、長編版の原型となった短編版の『悪魔の降誕祭』(1958年1月掲載)はかつてラジオドラマ化されている

オーディオドラマ『金田一耕助の冒険2 怪獣男爵』(1989年2月リリース 角川書店カドカワカセットブック)
 21代目・金田一耕助   …… 神谷 明(42歳)
 14代目・等々力大志警部 …… 八奈見 乗児(57歳)
 1948年11月発表の横溝正史のノンシリーズ・ジュブナイル長編『怪獣男爵』を金田一耕助ものに改変した唯一のメディア化

ドラマ『名探偵金田一耕助の傑作推理 死神の矢』(1989年3月放送 TBS 『土曜ドラマスペシャル』)
 15代目・金田一耕助   …… 古谷 一行(45歳)
 12代目・等々力大志警部 …… ハナ 肇(59歳)
 金田一耕助もの長編『死神の矢』(1956年5月発表)の唯一の映像化

ドラマ『名探偵金田一耕助の傑作推理 薔薇王』(1989年10月放送 TBS 『月曜ドラマスペシャル』)
 15代目・金田一耕助   …… 古谷 一行(45歳)
 12代目・等々力大志警部 …… ハナ 肇(59歳)
 1939年4~5月連載の横溝正史のノンシリーズ短編『薔薇王』を金田一耕助ものに改変した唯一の映像化


なにがあった!? うたかたの奇跡「金田一耕助がいっぱいイヤー1990」

単発ドラマ『横溝正史傑作サスペンス 犬神家の一族』(1990年3月放送 テレビ朝日)
 21代目・金田一耕助                …… 中井 貴一(29歳)
 テレビ朝日オリジナルの金田一耕助の助手・池田明子 …… 松本 伊代(25歳)
 金田一耕助もの長編『犬神家の一族』の5度目の映像化
 ※この作品では「スーツ姿の金田一耕助」と「金田一耕助の女性助手」が復活している
 ※原作の「橘警察署長」にあたる「徳島警部補」の役を荒井注(61歳 2000年没)が演じている

ドラマ『名探偵金田一耕助 夜歩く女 呪われた結婚申し込み・首なし死体がふたつ!』(1990年9月放送 テレビ朝日『土曜ワイド劇場』)
 20代目・金田一耕助   …… 小野寺 昭(47歳)
 15代目・等々力大志警部 …… 秋野 太作(47歳)
 金田一耕助もの長編『夜歩く』の2度目の映像化
 ※小野寺昭の金田一耕助の最後の作品

ドラマ『横溝正史シリーズ 獄門島』(1990年9月放送 フジテレビ『昭和推理傑作選』)
 22代目・金田一耕助   …… 片岡 鶴太郎(36歳)
 11代目・磯川常次郎警部 …… 加藤 武(61歳)
 金田一耕助もの長編『獄門島』の4度目の映像化
 ※片岡鶴太郎の金田一耕助シリーズで磯川警部を演じる加藤武は、過去作品とはうって変わって温厚なキャラクターになっている
 ※本作によって、加藤武は2012年5月現在、横溝正史の小説に登場する有名な刑事キャラクター「磯川警部」「等々力警部」「橘警察署長」のすべてを演じたただ1人の俳優となっている

単発ドラマ『横溝正史傑作サスペンス 女王蜂』(1990年10月放送 テレビ朝日)
 23代目・金田一耕助   …… 役所 広司(34歳)
 16代目・等々力大志警部 …… 石立 鉄男(48歳 2007年没)
 2代目・池田明子    …… 伊藤 かずえ(24歳)
 金田一耕助もの長編『女王蜂』の4度目の映像化

ドラマ『名探偵金田一耕助の傑作推理 悪魔の手毬唄』(1990年10月放送 TBS 『土曜ドラマスペシャル』)
 15代目・金田一耕助   …… 古谷 一行(46歳)
 12代目・磯川常次郎警部 …… 藤岡 琢也(60歳 2006年没)
 12代目・等々力大志警部 …… ハナ 肇(60歳)
 金田一耕助もの長編『悪魔の手毬唄』の5度目の映像化
 ※原作では実現しなかった「磯川警部と等々力警部の共演」が観られる非常に珍しい作品


 こぉれはもう! 「フルヤ期」ってしか言いようがないですよねぇ!!

 実は、私が本当に最初に「名探偵・金田一耕助」に接することとなったきっかけも、第2期の映画群じゃなくて、こっちのサスペンス劇場のほうだったんですよね……

 ということで、またまた続きは、まった次回!

 安心して、今月中には終わるから☆
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金田一耕助に帰ってきてほしいオレの事件簿  Vol. KOTO (こと)

2012年05月22日 15時07分13秒 | ミステリーまわり
 ヘヘイヘ~イ。どうもこんにちは、そうだいでございます!
 いや~、今日の千葉はほんとに一日中の雨のようで。本日開業の東京スカイツリーにはずいぶんといじわるな天気になっちゃいましたねぇ。

 そんな今日とはまるで正反対にいいお天気だった昨日、私は東京・渋谷に行ってあるお方と会ってきました。

 その方は私と同じ年次で同じ大学にいたステキなステキな女性で、私が当時在籍していた演劇サークルとは別の演劇サークルで、いわばそこの看板女優のような役割をになっておられたお方。
 卒業後は、そこのサークルの有志と集まって劇団を立ち上げており、つい昨年のはじめごろにも、私は下北沢の劇場で舞台に上がっている彼女のあで姿、というか勇姿を拝見していました。

 自分もほぼ同時期に役者をやっていた、という話はちょっとおいときまして、私は純粋に観客として彼女のファンです。
 こんなあやしげなブログを書きつらねているわたくしなので、今これを読んでおられる皆様もだいたい察しがつくのではないかと思うのですが、大学時代からつい昨日にいたるまで、私は彼女と積極的に差し向かいで話す機会を避けていました。これが「きらい」と180°間逆の感情からくるものであることは、説明の余地はねぇよなぁ。

 『平家物語』のクライマックスシーン「壇ノ浦合戦」の章の記述によると、平氏本陣が隠していた天皇家の秘宝中の秘宝「三種の神器」に不用意にさわろうとした源氏軍の雑兵は、たちまち鼻血を出して卒倒してしまったという……
 まぁ、こういうことですよ。会話だなんて私にはもったいない~!! ってくらいの存在だったんですね。いや、彼女の立ち居振る舞いにそういう「敷居の高さ」があったんじゃなくて、勝手に私がそう意識してたってだけです。

 それで昨日、10年以上もの想いを胸に彼女と会ったわけなんですけど。

 いや~、変わらずステキなままで!
 結婚もされていて、もちろん学生だったころから確実に時間は経過しているわけなのですが、なんというか、現在の彼女は「生き方」でずいぶんと輝きがましているなぁ、という印象がありました。
 男女にかかわらず、もしかしたら10~20代はある程度は「自分の願望や魅力」だけで輝いていけるエネルギーに満ち満ちている時期なのかも知れませんが、周囲に広がる世界のいろんな事情を知り、経験という、自分で物事を考える判断材料もぼちぼち集まってくるようになるのが30代。そういう意味で、私は今回、彼女から「人間関係ぜんたい」で輝く生き方のステキなヒントをいただいたような気がします。

 ホントに話ができてよかったわぁ。やっぱり、やりがいを見つけてる方の輝きってのは、いいもんですねぇ。

 こ、こんどカラオケ行こうってお願いして快諾されてしまった……

 身にあまる光栄!! あ~しィ~たァ~、く~た~ばァ~るゥ~か~も~しれなァ~い♪


 さぁ、あんまり幸せなことばっかり言ってると不幸がやってくるので、今回もさっさと、おどろおどろしい猟奇殺人事件が満載の企画にうつってみたいと思います。金田一先生、事件で~す!

 前回にリストアップした「第1次横溝正史ブーム」は、簡単に言ってしまうと、現在「横溝正史」と聞いて真っ先に頭に浮かんできてしまうような、あの特徴的なくたびれた和服の名探偵「金田一耕助」のキャラクターが前面に押し出されたものではありませんでした。

 むしろどうやら、この時代のメディア化に際しては、そういった原作での金田一耕助のイメージは積極的に隠すような流れになっていたようで、「和服のパッとしない印象の小男」とはまるで違った「パリッとしたスーツ姿のヒーロー然とした伊達男」といった名探偵・金田一耕助が活躍していたのです。金田一耕助像のこの大幅な改変は、やっぱり「絵的にわかりやすい正義の味方」のイメージと、「洋風の新しい価値観が日本の古い因習に起因する犯罪を解決する」といった構図を大いに強調させるねらいがあったのではないでしょうか。それなりの必要性はあったんだろうなぁ。

 つまり、「第1次横溝正史ブーム」とは、まさしく「横溝正史の小説」を純粋にフィーチャーしたメディア化ブームのことで、金田一耕助のキャラクターよりも、作品世界の持っている雰囲気や犯罪トリックの妙を再現することに主眼をおいた流れだったのではないでしょうか。もちろん、それが「原作の忠実な再現」とは別の話であることは一目瞭然なわけなのですが……

 「第1次」において、横溝正史はまごうことなく「現役バリバリの流行作家」であり、連載終了直後、できたてほやほやの話題作を長編、短編にかかわらず次々とメディア化していくという動きは、現在でいう東野圭吾のような「時代の寵児」に、当時の横溝正史がまつりあげられていた、ということになります。そして当然これは、それだけのクオリティが作品になければなれないポジションですよね。

 横溝正史は1902年5月24日に兵庫県神戸市で誕生し、薬屋の跡継ぎとして薬剤師の免許も持っていた秀才だったのですが、19歳のときに人気文芸雑誌『新青年』に応募したユーモア小説(ショートショートに近いリドルストーリー)が入選したことが作家人生のスタートとなっており、いったんは家業を継いだものの、あの江戸川乱歩神先生の誘いを受けて東京におもむき『新青年』などの文芸誌の編集長を歴任し、20代はそういった編集業のかたわらで作品を執筆、その後30歳になってはじめて専業作家になったのでした。
 ところが、正史はまもなく当時難病だった肺結核を患ってしまい、時局も第2次世界大戦さらに太平洋戦争といった流れで悪化の一途をたどったため、長野県の諏訪や岡山県の真備町への療養を兼ねた疎開を余儀なくされ、創作活動も1945年の終戦まで中断することとなってしまいました。
 そしてここからが「探偵小説の鬼」とたたえられた横溝正史の本領発揮たるところで、復帰第1作となった『本陣殺人事件』からクリーンヒットをとばす大傑作に。戦前はロジックよりも耽美的な描写に傾倒していた横溝作品でしたが、ここからはまさに、「探偵小説ならではの数学的ロジック」と「日本の社会に根ざした因習」と「犯罪に走らざるをえない人間の業」といったものとが絶妙に渾然一体となった「横溝ワールド」が全開にときはなたれることとなったのです。

 こういった感じで、戦後の「第1次横溝正史ブーム」をささえたのは間違いなく「横溝正史本人の現役執筆活動」だったわけで、ほんとに終戦直後の1940年代後半から新作長編のラッシュが落ち着くこととなった1960年代初頭まで、なんと10年あまりもの間、このブームは続いていました。
 この期間は横溝正史4~50代という、男盛りもいいところの時期だったのですが、たまりにたまった創作意欲を存分に爆発させて数多くの長編傑作をものしていった勢いはとてつもないものがあったといえます。それはもう、前回のメディア化作品のラインナップを見ても歴然としたものがありますね。
 『八つ墓村』、『犬神家の一族』、『悪魔が来りて笛を吹く』、そして『獄門島』……1作だけでも書いていたら日本ミステリー史上に残る大作家として記憶されるレベルの傑作を次々と発表していく、その神がかり具合! インパクトの強い長編の影にかくれがちですが、『黒猫亭事件』や『殺人鬼』や『~の中の女』シリーズのような短編の名手であったことも忘れるわけにはいきません。もうパーペキ!!


 さて、1960年代に入った横溝正史は多数の同時連載に追われるスケジュールからも開放され、忙しい時期に短編形式ですませた作品を長編作品にブローアップする活動を中心に悠々自適な余生を送ろうかとしていたのですが、しばらくたった1970年代中盤に、降ってわいたような「第2次横溝正史ブーム」が到来することとなります。横溝先生70歳になっての突然の再燃!!

 っつうことで、次なるメディア化ブームの内容はこんな感じだったのでございますよ。
 みなさま、おまんたせいたしました。いよいよご存知、よれよれ和服の名探偵のご登場でございますよ~!


これで全部ですか!? 金田一耕助ものメディア化作品リスト・爆発期 ~1970年代中盤から80年代初頭~


映画『本陣殺人事件』(1975年9月公開 監督・高林陽一 ATG + 大映)
 10代目・金田一耕助   …… 中尾 彬(33歳)
 4代目・磯川常次郎警部 …… 東野 英心(33歳 2000年没)
 金田一耕助もの第1作『本陣殺人事件』の2度目の映像化
 ※金田一耕助もの初のカラー映画作品
 ※原作小説にきわめて忠実な内容だが、時代設定が原作の「1937年」ではなく「1970年代現在」に修正されている
 ※白木静子は登場するが(演・村松英子)、原作小説どおりの「証言者のひとり」としてであり、金田一耕助の助手ではない

ラジオドラマ『悪魔が来りて笛を吹く』(1975年8月放送 NHK第1)
 11代目・金田一耕助    …… 宍戸 錠(42歳)
 金田一耕助もの長編『悪魔が来りて笛を吹く』の初ラジオドラマ化

ラジオドラマ『鴉(からす)』(1975年11月放送 NHK第1)
 12代目・金田一耕助   …… 佐藤 英夫(50歳 2006年没)
 5代目・磯川常次郎警部 …… 溝田 繁(51歳)
 金田一耕助もの短編『鴉』(1951年7月掲載)の初メディア化

ラジオドラマ『悪魔の手毬唄』(1976年8月放送 NHK第1)
 13代目・金田一耕助   …… 緒形 拳(39歳 2008年没)
 6代目・磯川常次郎警部 …… 長門 勇(44歳)
 金田一耕助もの長編『悪魔の手毬唄』の初ラジオドラマ化
 ※磯川警部役の長門勇は、翌年に古谷一行の金田一耕助シリーズの「日和警部」役を演じている

映画『犬神家の一族』(1976年10月公開 監督・市川崑 角川春樹事務所 + 東宝)
 14代目・金田一耕助 …… 石坂 浩二(35歳)
 2代目・橘警察署長 …… 加藤 武(47歳)
 金田一耕助もの長編『犬神家の一族』の3度目の映像化
 ※本作は「興行収入17億円」を記録する大ヒットとなった

映画『悪魔の手毬唄』(1977年4月公開 監督・市川崑 東宝)
 14代目・金田一耕助   …… 石坂 浩二(36歳)
 7代目・磯川常次郎警部 …… 若山 富三郎(48歳 1992年没)
 金田一耕助もの長編『悪魔の手毬唄』の3度目の映像化
 ※石坂浩二の金田一耕助の前作に登場した加藤武が、橘警察署長に酷似した別人の「橘警部」役で出演している

TVドラマシリーズ『横溝正史シリーズ』(1977年4~10月 全6作27話 TBS)
 15代目・金田一耕助   …… 古谷 一行(33歳)
 初代・日和勇警部    …… 長門 勇(45歳)
 8代目・磯川常次郎警部 …… 有島 一郎(61歳 1987年没)
 7代目・等々力大志刑事 …… 早川 保(41歳)
 3代目・橘警察署長   …… ハナ 肇(47歳 1993年没)
・『犬神家の一族』(4月放送、4度目の映像化)
・『本陣殺人事件』(5月放送、3度目の映像化)
・『三つ首塔』(5~6月放送、3度目の映像化)
・『悪魔が来りて笛を吹く』(6~7月放送、2度目の映像化)
・『獄門島』(7~8月放送、2度目の映像化)
・『悪魔の手毬唄』(8~10月放送、4度目の映像化)
 ※古谷一行の金田一耕助シリーズオリジナルの「日和警部」というレギュラーキャラクターが登場する
 ※日和警部は『犬神家の一族』と『獄門島』には登場しない
 ※このシリーズでの等々力刑事は日和警部の部下という設定になっている
 ※このシリーズでの磯川警部は『獄門島』、等々力刑事は『三つ首塔』『悪魔が来りて笛を吹く』、橘署長は『犬神家の一族』にしか登場しない
 ※このシリーズで橘署長役を演じたハナ肇は、のちの古谷一行の金田一耕助シリーズで3作「日和警部」、15作「等々力警部」を演じている

映画『獄門島』(1977年8月公開 監督・市川崑 東宝)
 14代目・金田一耕助   …… 石坂 浩二(36歳)
 8代目・等々力大志警部 …… 加藤 武(48歳)
 金田一耕助もの長編『獄門島』の3度目の映像化
 ※この映画の公開は古谷一行版『獄門島』の放送直後だったため、真犯人の設定が変更されている
 ※原作に登場する刑事は磯川警部だが、石坂浩二版の磯川警部(若山富三郎)は登場しない
 
映画『八つ墓村』(1977年10月公開 監督・野村芳太郎 松竹)
 16代目・金田一耕助   …… 渥美 清(49歳 1996年没)
 9代目・磯川常次郎警部 …… 花沢 徳衛(66歳 2001年没)
 たたりじゃ~っ!! 金田一耕助もの長編『八つ墓村』の4度目の映像化
 ※本作は、金田一耕助が登場する映画の中では歴代最高の「興行収入19億9千万円」を記録している
 ※時代設定が原作の「1948年」ではなく「1970年代現在」に修正されている

単発ドラマ『横溝正史の吸血蛾 美しき愛のバラード』(1977年10月放送 テレビ朝日『土曜ワイド劇場』)
 17代目・金田一耕助   …… 愛川 欽也(43歳)
 9代目・等々力大志警部 …… 北村 和夫(50歳 2007年没)
 金田一耕助もの長編『吸血蛾』の2度目の初映像化
 ※時代設定が原作の「1955年」ではなく「1970年代現在」に修正されている
 ※等々力警部役の北村和夫は、1964年にラジオドラマ『支那扇の女』で金田一耕助役を演じている

映画『女王蜂』(1978年2月 監督・市川崑 東宝)
 14代目・金田一耕助   …… 石坂 浩二(37歳)
 8代目・等々力大志警部 …… 加藤 武(49歳)
 金田一耕助もの長編『女王蜂』の2度目の映像化

TVドラマシリーズ『横溝正史シリーズⅡ』(1978年4~10月 全9作30話 TBS)
 15代目・金田一耕助   …… 古谷 一行(34歳)
 初代・日和勇警部    …… 長門 勇(46歳)
・『八つ墓村』(4~5月放送、5度目の映像化)
・『真珠郎』(5月放送、1936年10~37年2月に連載された横溝正史の「由利麟太郎もの」中編を金田一耕助ものに改変)
・『仮面舞踏会』(6月放送、1974年11月に完成した長編『仮面舞踏会』の初映像化)
・『不死蝶』(7月放送、1958年3月に完成した長編『不死蝶』の初映像化)
・『夜歩く』(7~8月放送、1948年2月~49年12月に連載された長編『夜歩く』の初映像化)
・『女王蜂』(8月放送、3度目の映像化)
・『黒猫亭事件』(9月放送、ラジオドラマ化はされていたが唯一の映像化)
・『仮面劇場』(9~10月放送、1938年10~11月に連載された横溝正史の「由利麟太郎もの」中編を金田一耕助ものに改変)
・『迷路荘の惨劇』(10月放送、1975年5月に完成した長編『迷路荘の惨劇』の初映像化)
 ※日和警部役の長門勇は、これ以降の古谷一行の金田一耕助シリーズには出演していない

映画『悪魔が来りて笛を吹く』(1979年1月公開 監督・斎藤光正 東映)
 18代目・金田一耕助   …… 西田 敏行(32歳)
 10代目・等々力大志警部 …… 夏八木 勲(39歳)
 金田一耕助もの長編『悪魔が来りて笛を吹く』の3度目の映像化

映画『病院坂の首縊りの家』(1979年5月公開 監督・市川崑 東宝)
 14代目・金田一耕助   …… 石坂 浩二(38歳)
 8代目・等々力大志警部 …… 加藤 武(50歳)
 金田一耕助もの長編『病院坂の首縊りの家』(1975年12月~77年9月連載)の初映像化
 ※昭和に制作された石坂浩二の金田一耕助シリーズの最終作
 ※原作では、物語は20年かかって1973年に完結し金田一耕助最後の事件になっているが、映画版は事件発生の年にあっさり解決している

映画『金田一耕助の冒険』(1979年7月公開 監督・大林宣彦 角川春樹事務所 + 東映)
 15代目・金田一耕助   …… 古谷 一行(35歳)
 11代目・等々力大志警部 …… 田中 邦衛(46歳)
 番外・金田一耕助    …… 三船 敏郎(59歳 1997年没)
 番外・等々力大志警部  …… 三橋 達也(55歳 2004年没)
 金田一耕助もの短編『瞳の中の女』(1958年6月連載)をもとにしたあんまり笑えないセルフパロディ作
 ※古谷一行の金田一耕助にとって唯一の映画作品だが、あんまり笑えない
 ※劇中で「金田一耕助と等々力警部を演じている俳優」として三船敏郎と三橋達也が特別出演しているが、あんまり笑えない
 ※原作者・横溝正史もあんまり笑えない特別出演を果たしているが、これが映画出演としての遺作となった

映画『悪霊島』(1981年10月放送 監督・篠田正浩 角川春樹事務所 + 東映)
 19代目・金田一耕助   …… 鹿賀 丈史(31歳)
 10代目・磯川常次郎警部 …… 室田 日出男(44歳 2002年没)
 横溝正史が執筆した最後の金田一耕助もの長編『悪霊島』(1978年7月~80年3月連載)の初映画化
 ※映画作品で金田一耕助を演じた俳優の出演時の年齢としては、鹿賀丈史の「31歳」は歴代最年少( TVドラマでの最年少は長瀬智也の26歳)
 ※映画の公開直後、1981年12月に原作者・横溝正史が死没する(享年79歳)


 こんなものすごい勢いだったんですねェ~。あなたは、どの金田一耕助がお好き?

 ってなもんで、「角川じるし満点」の第2次ブームにかんするあれこれは、まった次回~。
 加藤武、かっこいい~!! まるで役に立たないけど。
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あたってハジけた!! モーニング娘。コンサートツアー2012 春・新垣里沙・光井愛佳卒業スペシャル

2012年05月19日 12時07分59秒 | すきなひとたち
 どうもこんにちは!! そうだいでございます。

 今日もいいお天気ですね~。みなさんはどんな休日を過ごす予定でしょうか? 私は当然のように、土日連続でお仕事。あんまり休日が関係ないものですので。
 いえいえ、イヤな気持ちなんてじぇんじぇんございませんよ~。がんばってはりきって働かせていただきますよぉ~い。労働労働!

 そりゃあもう、昨日18日金曜日にあんなに幸せな想いを味あわせていただいたんですからね~。ここ2~3ヶ月間の休日の楽しみはすべて! 昨日に濃縮されていたと言ってもいいくらいの一日でございましたから、気分も新たに5月の後半戦へ GO!ってなもんでねぇ。

 昨日、つまり2012年5月18日金曜日は、とてもかけがえのない経験を楽しんだとてつもない日となりました……


モーニング娘。コンサートツアー2012 春・ウルトラスマート 新垣里沙・光井愛佳卒業スペシャル (東京・日本武道館)


 行けた!! 入れたんだよぉ、武道館の中にぃ~。そして、まさかあんなにすごい座席にすわってコンサートを楽しめたとは!


 ちょっと時間をさかのぼって、最初から順番どおりに記していきましょう。内容にうそいつわりはねぇぜ! 思い込みはあるけど。

 運命の18日を目前にひかえた17日深夜。いつもどおり仕事から帰ってきた私は、悶々とした想いを抱えて一睡もできずにいました。

「うむむ、明日の武道館コンサート、なんとしても行きたい!! でも、チケットは持ってねぇ……」

 なんとも不甲斐ないことに、ここは思いっきり財政難と忙しさのせいにしてしまいますが、私は先月に販売開始となったコンサートチケットの購入に失敗してしまっていました。さらに、それ以降に2度にわたって追加販売された「サイドスタンド席」「サイドスタンドB席」にも完全に乗り遅れるというていたらく。この不心得者!!

 嗚呼、余裕でチケットを確保して、楽しさで一睡もできなかった昨年9月の高橋愛さん卒業コンサートがなつかしい。
 愛さんの武道館コンサートはもともと2日間のスケジュールになっていたため、チケットセンターでも「特別先行予約」という枠がもうけられており、あのときはステージ全体をとらえるには申し分のないポジションである「2階席南スタンド」をゲットしていたのでした。ステージのドまん前!! 人生初の日本武道館を体験する人間にとっては過分な座席でした……

 それにひきかえ、今回の武道館公演はたったの1日1回だけ! しかも、予定されていた第7代リーダー・新垣里沙の卒業に加えて、たった2週間前、コンサートツアー中にメンバーの光井愛佳も18日の公演をもっての「志半ば」での卒業を発表するという異例の事態となりました。

 これは……はっきり言って、当日券で日本武道館に入ることはそうとう厳しいんじゃないだろうか。少なくとも、最初の追加販売の時点で「機材などにより出演者およびステージ、演出が見えにくいお席となります。」というただし書きが入ってしまっているので、昨年のような優良な座席を入手することはもはや不可能でしょう。

 チケットセンターのホームページでは、当日券の発行予定は「未定」という表示になっています。

 どうしようか……運よく当日券を手に入れたとしても、コンサートを楽しむことができる座席かどうかははなはだ怪しい。その点、生中継されるメンバーの表情を、映画館のスクリーンでどアップかつ楽に鑑賞できる「ライヴビューイング」のほうがいいのかも……チケット料金も半額だし!
 一瞬、武道館でなく映画館で、という選択肢も浮かびましたが、映画館は映画館で、全国11都道府県13スクリーンで同時中継される予定の今回のライヴビューイングは、たとえば近場の「新宿バルト9」がすでにチケット売り止めになっています。そっちもそっちで、確実に座席が確保できるかどうかは心もとない。しかも、チケットがその映画館でなく「チケットぴあ」の販売所でしか扱っていない、というのも地味にめんどくさい。

 イヤイヤ待て。そうだい、お前は昨年の武道館コンサートで何を楽しんだのかね? 自問自答するわたし。
 はっきり言って、前回の2階席は、肉眼ではメンバーの表情を確認することはできませんでした。しかし、私はステージの上にすえつけられている、メンバーの表情をカメラでとらえたスクリーンを観ることも忘れて、サイリウムをふりまわしてコンサートを盛り上げていくファンの、観客の一体感にイチコロになってしまったのです。表情の変化はいちいちわからなくても、私よりも数段若いはずなのに多くの戦場をくぐり抜けてきた日本を代表するトップアイドルグループがそこに確実にいるという、その空気に感激したのです。

 ならば、なにをか悩むことやは、ある。
 私の行くべき場所は東京・九段下の江戸城北ノ丸の中にある日本武道館。ここしかありません。

 とはいえ……どのくらい早く行ったら、確実に当日券はゲットできるんだろうか? 眠れない時間は過ぎていきます。

 もしかしたら、こうやって千葉の自宅でのうのうと夜明けを待っている時点でゲームオーバーなのでは……すでに武道館では、当日券窓口の前に長蛇の列ができているのかも!?
 これは、私も家に帰るなんてのんきなことを言わずに、夜の仕事が終わった足で総武線の終電に乗り、武道館に乗り込むべきではなかったのか?
 そういった一抹の不安も胸をよぎったのですが、ちょうど午前2時から3時くらいにかけて、びっくりするくらいビートのきいた雷雨が千葉を襲ったので、「やっぱ、ちゃんとひと休みして朝になってから行こう。ほら、体調も大事だし☆」という気分になって、2~3時間の眠りにつきました。徹夜組の方、お疲れさまでございました。

 さて、夜は明けて午前7時半。
 私は朝食をとり、財力を確認して意気揚々と電車に乗りました。
 予定通り、総武線と地下鉄東西線を乗り継いで九段下の日本武道館に着いたのが午前9時。天気予報は「雨」でしたが、空は曇りがちであるものの、まだ降り出すほどには暗くなっていません。

 さぁ、当日券は出るのか!? 出るとしたら、どの列に並べばいいんですか!?
 不安を隠しきれない表情で、恐る恐るスーツ姿の係員さんにたずねます。


「あの、すみません……モーニング娘。コンサートの当日券って、出ますかね……」

「(ちょっと驚いた顔で)え……正面入り口のあの窓口で出ますけど、販売は15時からですよ。」


 あ、そう。
 いまは、午前9時。窓口は当たり前のように閉まっており、行列の「ぎょ」の字もありません。
 当日券って、早く行けばいいってもんでもないんですね。またひとつ賢くなりました。

 こんな感じで、あっけなさすぎるほどにあっけなく、いちおう第一段階の「日本武道館に入る」という目標は確保することができました。しかし同時に、「9時から昼過ぎの3時まで、まるまる6時間なにすんの?」という大問題が出来。日本人の平均睡眠時間いっこぶんじゃねぇかァ!!

 この日ほど、「長蛇の列」のありがたさを味わったときはありませんでしたね。
 なぜかっつうと、当日券の列はできていなくとも、武道館にはがっつりと「コンサート限定グッズ」の販売開始を待つ長蛇の列が出来上がっていたのです。何人ぐらいだろ、300人はいましたよね?

 すっごくいい時間つぶしになりました。グッズの販売開始は昼前の11時で、私がやっとグッズを買えたのは午後1時。
 ほんっっっっとに、文庫本もってきてて良かった……雨も1回だけ強いのが降ったくらいで、かなり理想の読書タイムとなりました。伊坂幸太郎はおもしろいねぇ。

 ということで、4時間待ったすえに私が買ったのは、前回と同じ「ミニタオル1枚とサイリウム2本」。

 びっくりするほどお金を落とさない客で本当にすみません……でも、やっぱりまだまだ、私にとってのコンサートは「スポーツ」という感覚が強くて、記念にTシャツやらパーカーやらを買ったりする余裕はないんです。ミニタオルも「汗をふくため」っていう実用性のみでの採用!
 今回のオリジナルグッズは、新垣リーダーによるデザインのものも含めて、アイドルグッズらしからぬあか抜けたおしゃれさがあって良かったんですけどねぇ。次こそは、買うぞ!
 あと、これも余裕がないからなのかも知れませんけど、私は生写真や DVDをコンサート会場で買うのって、ちょっとできないんだなぁ。
 だって、これから本物に会えるんですから。本物が見られるってだけで、私は充分すぎるほどにおなかいっぱい! 記録はいらねぇんだ、記憶が残るから。

 まぁそんな味気ないことを考えている私なのですが、そんなことはおかまいなしで、他のお客さんはアレにコレにコレにアレと、1万円をゆうに超える買い物をしていきます。なんてったって4時間以上ならんでいる猛者たちばっかなんですから。
 そんな中で「ミニタオル1枚とサイリウム2本ください。」って言うと、ほんとに冗談抜きで、

「おい……こいつ、正気か!?」

 っていう雰囲気が、販売員さんと私の近くにいるお客さんのあいだに流れるんですよ。
 前回で味をしめちゃったんですけど、これがまた、楽しいんですよねェ~!! 西部劇のならず者ばっかがいるバーにひとりで入って「親父、ミルク。」って注文するみたいで。性根がゆがんでます。

 まぁそんなことや、江戸城北ノ丸の散策などをへて、午後3時。
 ぜんぜん関係ありませんが、江戸城って一角の北ノ丸だけで、うちの故郷にある山形城とか、この前に行った岡山城みたいな地方の城が、まるまるひとつぶんすっぽり入っちゃう広さがあんのね……あいかわらず入り口の田安門も規格外のでかさだし。さすがは天下の首府。どんだけ~!?

 当日券販売開始の時刻になって、私は実にあっけなく、念願の当日券を購入することができました。

 そして、このときの座席の選択が、のちに大変な収穫をもたらすことに! 今回ばかりは、自分で自分をホメてあげたい。

 選べる当日券の種類は、「サイドスタンド席」と「サイドスタンド・ファミリー席」と「サイドスタンド立ち見席」。むろんのこと、すべてにおいて「見えにくい」というただし書きはついています。立ち見席が千円くらい安い。

 ここで私は思いっきりひよって、「サイドスタンド・ファミリー席」を選んでしまった!
 なぜかって!? もぉ~寝不足だったり立ちんぼだったり歩きづめだったりして、足腰がガタガタになっていたからさ!!
 「ファミリー席」とはつまり、「公演中に立ってはいけない座席」のことです。お子さん連れの家族でも視界を確保して楽しめるように用意されている座席のことですね。

 ところが、ここでうれしい誤算が。
 私が買ったファミリー席はなんと、「お子さんのために立ってはいけない座席」ではなく、「1階の最前列で落下の危険があるために立ってはいけない座席」だったのです……

 そう、私がゲットした座席の位置とは、「1階北西スタンドの最前列」!!

 説明させてほしい! 「1階北西スタンドの最前列」とは、ステージの観客正面から見て左のほう、つまり舞台用語で言う「下手(しもて)」側の真横に位置する座席であり、かつ、ステージの左右にのびている「花道」の下手側の真後ろに位置する座席である。この説明でわからなかったら、「日本武道館 座席」でググッていただきたい。

 午後5時に予定通りの開場が始まり、おそるおそる入場して指定の座席にすわった私は、そこから見える風景を見て驚愕しました。

 !! 下手側の花道との距離が2メートルもないくらい!! ここに走ってきたメンバーがこっちを見たら、確実に目があう……錯覚におちいることができる。しょせん世界は夢芝居。
 これはもう、今回の日本武道館公演の舞台監督さんに土下座して感謝しなければなりません。グッジョブいたみいる!

 まっさか、「疲れたからすわりたいよぉ……」というジジイまる出しの発想がこんなグレイトな成果をもたらすとは。やっぱり午前9時に武道館に来て無駄なことはなかったのだ。

 とはいっても、やっぱり私が座った「北西スタンド」は、見やすい座席ではありませんでした。まず目の前にでかでかと下手側スピーカーが鎮座ましましていますし、はっきりいって、ステージの中央で進行されているあれこれは真横から見ることになるので、ダンスの振りつけも満足に楽しむことはできません。ましてや、去年の私のようにステージ全体を眺めわたすことなどはとうてい不可能です。あと、ステージ中央をてらすために反対の上手(かみて)方向からこっち側にむけられている5~6台の照明ライトが基本的につけっぱなしになっていて、それがモロに視界に入ってまぶしいまぶしい。


 でもさぁ!! いざ実際にコンサートが始まってみたら、そんなあれこれが一瞬で吹き飛ぶ「北西スタンドのよさ」が目白押しなワケよぉ!!

 まずはなんといっても、こっち側の花道に来たメンバーがちょちょっと後ろのこっちを向いたときの「キャー、目があった!」感が尋常じゃありません。手を振ったらめんと向かってこたえてくれる……ような気がする。
 立ち位置の関係でさすがにメンバー全員と!というわけにはいきませんでしたが、少なくとも5~6人のメンバーと確実に目があった……ような感覚が得られたのは最高でした。特に鈴木さんの笑顔!! 2回も! あれは兵器だ。

 言うまでもなく、メンバー全員にとっての決めポーズは真正面向きで、それは私にとっては完全なる「後ろ姿」。
 こっちを観てくれるチャンスなんてほとんどないわけなんですが、だからこそォ! 「ちらっ☆」とこっちを見てくれた時のうれしさがハンパなくなってしまうわけなのです。やっぱり、幸せの基準はそれ自体の内容の絶対値じゃなくて、それに出逢える「レア度」で決まるんですなぁ。しみじみ実感。

 あっ、段取り上、下手側から登場したゲストのつんく♂さんとも目があった気が!! すごい眼力でした。そりゃそうだわ。

 それもいいんですが、思い起こすだに鳥肌が立つ興奮がよみがえるのは、北西スタンドからだと、花道ごしに観客席が一望できる! ここなんですよ……
 単なるしょぼくれたおっさんに過ぎないこのわたくしが、日本武道館のステージに立つ一流のアーティストから見える光景とほぼ同じものを体感することができる。これで7000円ちょい……安い!!

 1万人のファンがいっせいに振るサイリウムの光と、その歓声、叫び、合唱、ジャンプ!! これはものすごい絶景です。

 しかも、コンサート経験の少ない私も、堂々と真正面からアリーナ席の気合いの入った振りつけをカンニングできるっていう、この安心設計ね! だぁれも客席の私なんか見てないんだから、心ゆくまで盗み見できます。

 それにしても、花道に立つメンバーの背中と、それごしに見える1万人の観客という風景には心が揺さぶられました。もちろん観客は「敵」ではありませんが、1万人ぶんの期待に応えなければならないという点で、確かに彼女たちは「闘っている」んだなぁ、ということを身をもって思い知りましたよ。からだはやっぱりちっちゃいんですけど、ほんとにプロなのよ~、全員!

 確かにコンサート自体はちゃんと観られないかもしれないんですけど、とにかくお値段以上に楽しむことのできたスペシャルシートだったんですよ、今回は……いろんなポイントで、去年の座席とはまったく正反対!

 ちらっと下を見ると、音響ブースのスタッフさんがたの秒刻みのお仕事も見えたりしてね。
 ふつうにステージが見たいというお客さんにとっては絶望的な位置なんですが、少なくとも生のライヴ感を味わいたいという私にとっては、これ以上にない最高の座席だったわけなのです。仏様に感謝!!


 肝心のコンサートの内容も、ニュースで伝えられているように、新垣リーダーと光井さんの卒業に加えて、また新たな衝撃ニュースが発表されたりして盛り上がりっぱなしの3時間となりました。

 特にここ数年のモーニング娘。は、メンバー構成が変わることによって刻一刻とグループの色彩が変わっていくこと自体が「モーニング娘。らしさ」になっている感があるのですが、まさしく今回のコンサートも、私が去年の秋に観た第6代リーダー・高橋愛さんの卒業コンサートとはまったく色合いが異なるものとなっていました。

 私が観た「コンサート2011 愛・Believe」の初日公演は、満を持しての「第10期メンバー」の発表はあったし、当時リリース直後だった最新アルバムの曲目も多かったものの、歴代の中でも最長のリーダー在任期間記録「4年4ヶ月」を打ち立てた高橋リーダーを中心において、同じ第5期メンバーである新垣さんはもちろんのこと、すでに卒業した同期の小川麻琴さんと紺野あさ美さんも特別ゲストにまねいて、いわば「高橋さんのいた時代の歴史をふりかえる」という内容のものとなっていました。そういう意味では、過去をなつかしむしんみりした味わいのひとときにもなっていたのです。

 ところが! 今回の「コンサート2012春 ウルトラスマート」は、そんな高橋さんと同期で、しかもモーニング娘。の全メンバー中での「最長在籍期間」である「10年9ヶ月」という、これまたとんでもない記録を持った新垣リーダーを送る内容でありながら、新垣リーダーや光井さん個人をメインにすえたソロ楽曲は決めどころだけにしておいて、あくまでもお2人と、お2人を送る現役メンバーたちとが互いに手を取り合って最高のステージを作るという、非常に「前向き、超ポジティブ」な雰囲気にいろどられていたのです。

 これは実に心強い!! もちろん、送る側も送られる側も涙ながらに想いを語るシーンはありましたが、とにかく「あとは任せた!」と、「任せてください!」という両者の立ち姿が本当に頼もしいコンサートになっていたと思うんです。
 今回、急な事情により2人ものメンバーがグループを卒業してしまうということになり、私も内心「ずいぶん沈んだ内容になるんじゃなかろうか……」なんて危惧したりもしていたのですが、そんなことはもぉ~杞憂も杞憂、ウルトラ杞憂でしたよ!! ネタが古い。

 昨日のステージを拝見するかぎりでは、ちょっとまだおぼつかないところもある10期メンバーでしたが、なんといっても9期の4名の成長っぷりがすごかった! 去年9月のコンサートとは全員、まるで人が違ったようにかっこいい。
 鞘師さんのかわいさ、鈴木さんの明るさ、譜久村さんの信頼感。

 どれもすごいんですが、私が特に眼を見張ったのは「生田さんの大丈夫じゃなさ」でした。
 確かに去年のコンサートでの MCトークを観たときには、ホントに余計なお世話なのですが、「大丈夫かな、この娘……」という心配が胸をよぎったのですが、今回わたしは思いをあらためました。

 生田さんの大丈夫じゃなさは、すでに「心配しなくても大丈夫!」なレベルに達した!! 安心して観られる大丈夫じゃなさ。

 キャラクターこそ違いますが、長いモーニング娘。の歴史の中では、ダメダメ感を修正せずに「芸の域」にまで高めた偉大なる先人も多くいたのです。生田さんもそのワクでがんばっていただきたいと! ジーク・ぽけぽけぷう!!

 おそらく、これからしばらくの間はモーニング娘。の歌声は、いい意味でもよくない意味でも「若く」なります。
 私個人がもっとも好きなモーニング娘。史の時代はいわゆるいぶし銀の「プラチナ期」なのですが、向こう数年はその味わいを復活させることはないでしょうし、それをあえてやる必要もないでしょう。
 そこにある程度の寂しさがないわけでもないんですが、9期の面々のように10期も確実に成長していくし、新たなる「11期」の到来もついにカウントダウンが始まってしまいました。

 とにかく、ちょっと見ないうちにどんだけ変わっているのかがまったく読めない、それゆえに次のコンサートで会うのが本当に楽しみになるグループ。それこそが今のモーニング娘。だと言えるのではないでしょうか。

 そして、そうあるためにも、これからの第8代リーダー・道重さゆみとエース・田中れいなとの両輪体制は非常に重要な意義を持ってくるのです。責任は重いかもしれませんが、持ち前の「6期魂」でがんばっていただきたいと!!


 最後のカーテンコールが終わったとき、こっち側の花道にやってきた道重さんを歓声でむかえた私は、ここでも一瞬だけ目があった……ような気がしました。
 先輩とは言っても、「22歳」という若さでこれからのグループを引っぱっていくことになる道重さんです。
 頭の中をいろんな時代の道重さんの表情が駆け巡って、あっという間に胸がいっぱいになってしまいました。
 結局、その千載一遇のチャンスをとらえて私がやっと声に出せたのは、

「がんばって!!」

 という実にありきたりな一言だったのですが、それにたいして道重さんが、いつもの笑顔でなく非常に凛としたひきしまった表情で、確実にうなづいてこたえてくれた……ように見えたのには、おじさんホントにまいっちゃったねぇ~!!
 こんなのは単なるいちオッサンの妄想にすぎないのかもしれませんが、それでも私はかけがえのない一瞬を頂戴したような気がしたんです。

 いい顔だった。「TV によく出てくる有名人」という認識では想像すらできない、ライヴ会場ならではのいろんな感情が共存したすばらしい「いっしょに同じ時代に生きている人間」のお顔だったのです。すべての私の苦労は、これを観るための道のりだったのだ!

 あらたなる第8代リーダーをむかえて船出するモーニング娘。の前途に、光あれ!!

 新垣里沙さん、光井愛佳さん、本当にお疲れさまでした。


 できたら、次回もおんなじ北西スタンドでお願いしたいくらいですね。いいもんがいっぱい観られたコンサートだったなぁ!

 でも、たぶん今回のコンサートの DVDは買うけどね……だって、ステージをちゃんと観た記憶がねぇんだもの。
 あ~。楽しかったけど、疲れた。
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