映画『地球へ2千万マイル』(20 MILLION MILES TO EARTH 1957年6月公開 82分 アメリカ)
『地球へ2千万マイル』は、1957年に製作されたアメリカの特撮映画。
本作の撮影は1956年9月にイタリア・ローマで行われ、その後10~11月にアメリカでも撮影された。メインキャストの中でローマ撮影に参加したのは主演のウィリアム=ホッパーのみだった。特撮を担当したレイ=ハリーハウゼンはヨーロッパへの旅行を熱望していたため、ヨーロッパを舞台とする映画を企画し、結果的に本作のローマ市内ロケで念願を叶えたという。動物園のシーンでは、ハリーハウゼンが象にピーナッツをやる客と逃げる群衆の1人を演じている。
ハリーハウゼンは本作のカラー撮影を希望していたが、予算の関係で公開当時は断念せざるを得なかった。しかし2007年にコンピュータ着色処理が行われ、公開50周年記念として同年7月にカラー版が発売された。
日本では劇場未公開であるが、大伴昌司によるビジュアル紹介の功績で、多くの日本人 SF映画ファンにも知られている作品である。
宇宙怪獣イーマ
本作の怪物「イーマ」の名は「Ymir」と表記し、北欧神話の巨人ユミルに由来する。日本では「イーミア」「イミーア」「イーミル」など様々に表記されるほか、「イーマ竜」「金星竜」など独特な呼称も存在する。「生きる場所(時代)を間違った生命の悲劇」という劇中での役割においては、『キングコング』(1933年)へのオマージュとなっている。
イーマはゴリラとワニを掛け合わせたような2足歩行生物で、全身にウロコが生えており、手足にそれぞれ3本の指を備え、長い尾を持つ。卵から孵った当初はネコほどの大きさだったが、目に見えるほどの急成長を遂げ、映画の終盤では身長4メートルにまで達した。イーマのデザインは「全体的な体型と姿勢」、「ブルドッグのような頬肉」、「趾行性の脚部」など、翌年公開の『シンバッド七回目の航海』に登場する怪物サイクロプスに通ずる特徴を持っている。体型と姿勢については、ハリーハウゼンの師匠とも言えるウィリス=オブライエンの代表作『キングコング』を強く意識したものである。また脚部の形状については、着ぐるみのように人間が演じているものではないことを視覚的にアピールするためのものであった。
あらすじ
イタリア・シチリア島沖に突如飛行物体が落下した。それは13か月前にアメリカが打ち上げた金星探査ロケットだった。居合わせた漁師により乗員2名が救助されるが、1人はすでに金星の風土病に罹患していたためにほどなく死に、生存者は隊長のカルダー大佐のみとなってしまう。カルダーが意識を回復するのと前後し、島に滞在していたレオナルド博士の元に少年ペペがロケット騒ぎのどさくさに紛れて拾った物体を持ち込み、博士はそれが地球の物でないことに気づく。それは、劣悪な環境下で生きる方法を探るためにカルダーたちが採取していた金星生物の卵だった。
やがて孵化した金星の生命体「イーマ」は、金星と地球との環境の違いにより急速に人間大までに成長する。レオナルドはイーマを動物園に売り渡そうとするが、途中でイーマは逃げ出し、付近の住民を襲い重傷を負わせてしまう。殺処分を主張する現地警察に対して、ヘリボーン作戦でイーマの捕獲に成功したカルダーたちアメリカ軍は、ローマの動物園に収容して記者団に公開する。しかし、その最中に事故で電気系統がショートし、眠っていたイーマは暴れ狂ってローマ市街地へ逃走してしまう。
主なキャスティング
ロバート=カルダー大佐(金星遠征隊隊長) …… ウィリアム=ホッパー(42歳)
レオナルド博士(イタリアの生物学者) …… フランク=プーリア(65歳)
マリザ=レオナルド(レオナルドの孫娘) …… ジョーン=テイラー(27歳)
ジュドソン=ユール博士(アメリカの生物学者)…… ジョン=ザレンバ(48歳)
マッキントッシュ少将(カルダー大佐の上官) …… トーマス・ブラウン=ヘンリー(49歳)
シチリアの警察署長 …… ティト=ヴオロ(64歳)
コンティーノ(イタリア国務省の高官) …… ジャン=アルヴァン(44歳)
シャーマン博士(イーマ研究チーム) …… アーサー=スペース(48歳)
ペペ(シチリア島の漁師の息子) …… バート=ブレイヴァーマン(11歳)
主なスタッフ
監督 …… ネイサン=ジュラン(49歳)
脚本 …… ボブ=ウィリアムズ(?歳)、シャーロット=ナイト(63歳)
製作 …… チャールズ=H=シュニア(37歳)
音楽 …… ミーシャ=バカレコフ(66歳)
配給 …… コロムビア映画
『地球へ2千万マイル』は、1957年に製作されたアメリカの特撮映画。
本作の撮影は1956年9月にイタリア・ローマで行われ、その後10~11月にアメリカでも撮影された。メインキャストの中でローマ撮影に参加したのは主演のウィリアム=ホッパーのみだった。特撮を担当したレイ=ハリーハウゼンはヨーロッパへの旅行を熱望していたため、ヨーロッパを舞台とする映画を企画し、結果的に本作のローマ市内ロケで念願を叶えたという。動物園のシーンでは、ハリーハウゼンが象にピーナッツをやる客と逃げる群衆の1人を演じている。
ハリーハウゼンは本作のカラー撮影を希望していたが、予算の関係で公開当時は断念せざるを得なかった。しかし2007年にコンピュータ着色処理が行われ、公開50周年記念として同年7月にカラー版が発売された。
日本では劇場未公開であるが、大伴昌司によるビジュアル紹介の功績で、多くの日本人 SF映画ファンにも知られている作品である。
宇宙怪獣イーマ
本作の怪物「イーマ」の名は「Ymir」と表記し、北欧神話の巨人ユミルに由来する。日本では「イーミア」「イミーア」「イーミル」など様々に表記されるほか、「イーマ竜」「金星竜」など独特な呼称も存在する。「生きる場所(時代)を間違った生命の悲劇」という劇中での役割においては、『キングコング』(1933年)へのオマージュとなっている。
イーマはゴリラとワニを掛け合わせたような2足歩行生物で、全身にウロコが生えており、手足にそれぞれ3本の指を備え、長い尾を持つ。卵から孵った当初はネコほどの大きさだったが、目に見えるほどの急成長を遂げ、映画の終盤では身長4メートルにまで達した。イーマのデザインは「全体的な体型と姿勢」、「ブルドッグのような頬肉」、「趾行性の脚部」など、翌年公開の『シンバッド七回目の航海』に登場する怪物サイクロプスに通ずる特徴を持っている。体型と姿勢については、ハリーハウゼンの師匠とも言えるウィリス=オブライエンの代表作『キングコング』を強く意識したものである。また脚部の形状については、着ぐるみのように人間が演じているものではないことを視覚的にアピールするためのものであった。
あらすじ
イタリア・シチリア島沖に突如飛行物体が落下した。それは13か月前にアメリカが打ち上げた金星探査ロケットだった。居合わせた漁師により乗員2名が救助されるが、1人はすでに金星の風土病に罹患していたためにほどなく死に、生存者は隊長のカルダー大佐のみとなってしまう。カルダーが意識を回復するのと前後し、島に滞在していたレオナルド博士の元に少年ペペがロケット騒ぎのどさくさに紛れて拾った物体を持ち込み、博士はそれが地球の物でないことに気づく。それは、劣悪な環境下で生きる方法を探るためにカルダーたちが採取していた金星生物の卵だった。
やがて孵化した金星の生命体「イーマ」は、金星と地球との環境の違いにより急速に人間大までに成長する。レオナルドはイーマを動物園に売り渡そうとするが、途中でイーマは逃げ出し、付近の住民を襲い重傷を負わせてしまう。殺処分を主張する現地警察に対して、ヘリボーン作戦でイーマの捕獲に成功したカルダーたちアメリカ軍は、ローマの動物園に収容して記者団に公開する。しかし、その最中に事故で電気系統がショートし、眠っていたイーマは暴れ狂ってローマ市街地へ逃走してしまう。
主なキャスティング
ロバート=カルダー大佐(金星遠征隊隊長) …… ウィリアム=ホッパー(42歳)
レオナルド博士(イタリアの生物学者) …… フランク=プーリア(65歳)
マリザ=レオナルド(レオナルドの孫娘) …… ジョーン=テイラー(27歳)
ジュドソン=ユール博士(アメリカの生物学者)…… ジョン=ザレンバ(48歳)
マッキントッシュ少将(カルダー大佐の上官) …… トーマス・ブラウン=ヘンリー(49歳)
シチリアの警察署長 …… ティト=ヴオロ(64歳)
コンティーノ(イタリア国務省の高官) …… ジャン=アルヴァン(44歳)
シャーマン博士(イーマ研究チーム) …… アーサー=スペース(48歳)
ペペ(シチリア島の漁師の息子) …… バート=ブレイヴァーマン(11歳)
主なスタッフ
監督 …… ネイサン=ジュラン(49歳)
脚本 …… ボブ=ウィリアムズ(?歳)、シャーロット=ナイト(63歳)
製作 …… チャールズ=H=シュニア(37歳)
音楽 …… ミーシャ=バカレコフ(66歳)
配給 …… コロムビア映画