《前回までのあらすじ》
来るべき宿敵・ゲゲゲの鬼太郎との平成初の対決にむけて、着々と武者修行を重ねるぬらりひょん。
「スーパー戦隊」ものへのゲスト出演に続いて彼がおもむいたのは、あの奇跡の超名作妖怪マンガだった!
前回にも触れたように、だいたい1993~95年くらいをピークとして盛り上がった「平成妖怪ブーム」。
これを構成していた「学校の怪談ブーム」と「京極夏彦ブーム」という2つの要素は、のちにそれぞれ「学校の怪談」が映像の世界での「Jホラーブーム」に、京極夏彦が活力をあたえた怪奇小説の世界は、『新 耳袋』を代表とする「実録怪談ブーム」や「都市伝説ブーム」への広がりを見せていくこととなりました。そして、怖い話を創り上げる重要な要素となる「恐怖描写」と「ストーリーテリング」各自に脚光があたった絶好のタイミングで、待望のアニメ第4期『ゲゲゲの鬼太郎』(1996~98年)はスタートした、というわけ。うまくできてんなぁ~!
さて、そういった流れの中での1993年、秋。
日本全国、いや、今や世界中にその名を轟かす人気を誇る天下のマンガ雑誌『週刊少年ジャンプ』(集英社)で、「学校の怪談ブーム」に想をえた新連載が開始されることとなりました。
『地獄先生ぬ~べ~』(1993年10月~99年6月 全276話)
いや~。大好きだったなぁ、わたし。語りのうまさ、怪奇な事件、展開のバランス、テーマ性、エロ、いろんな方面でたいっへん! 勉強になりました。
この『地獄先生ぬ~べ~』は、簡単に説明すればジャンルは「妖怪ホラーアクションエロギャグマンガ」ということになるかと。なんと欲張りな。
作者は、原作・真倉翔(連載当初29歳)と作画・岡野剛(たけし 同・26歳)のコンビ。
お話の筋は基本的に一話完結の形式となっているのですが、関東地方のどこかにあると設定されている架空の町「童守町(どうもりちょう)」に巻き起こる、現代科学では解明できない謎に満ちた数々の事件を、「童守小学校」5年3組の担任教師をつとめる鵺野鳴介(ぬえの めいすけ 通称ぬ~べ~)先生が解決していくというもの。
たいていの事件の犯人は「霊」や「妖怪」といった科学の通用しない存在なのですが、なんでまた小学校の先生であるぬ~べ~がそんな方面に立ち向かっていけるのかといいますと、なんとぬ~べ~は強力な除霊能力を持った「鬼の手」を自身の左手に封印しており、その上「白衣観音経(びゃくえかんのんきょう)」を駆使することもできる霊能力教師だったのです! さすがは『ジャンプ』の主人公~。
こういった流れなのでストーリーの本筋は「ホラーアクション」となるわけなのですが、毎週毎週ゲストが変わる一話完結ものをおよそ6年も続けることができたのは驚異的なことでした。これはつまり、ゲスト妖怪の出現した理由やその退治法を毎回ひねり出していたってことなんですからねぇ。これはまさに原作と作画との分業スタイルの利点が活きた、特に原作者である真倉先生の功績によるところが大きいでしょう。
ちなみに、真倉先生はのちにアニメ第5期『ゲゲゲの鬼太郎』(2007~09年)でも2話分の脚本を手がけており、変わらず絶妙なストーリーテリングを披露されています。
ただし、リアルタイムで『地獄先生ぬ~べ~』を愛読していた私としましては、当時夢中になっていたこの作品の魅力は、むしろその本筋に「かたち」を与える作画の部分にありました。
まぁ~岡野先生の絵がいいんだなぁ。
今になって、文庫化して再発売された『地獄先生ぬ~べ~』を読みなおしてみると、「絵がうまい」というよりもむしろ、「絵がわかりやすい」んですね。すっごく少年マンガらしいんです。
21世紀に入ってひさしい現在、30すぎのオッサンになってしまった私の目から見てみますと、『ジャンプ』をはじめ、数多くの少年マンガ雑誌で連載されている諸作の中には、「絵はうまいんだろうけど、独自の世界ができあがりすぎていてとっつきにくい。」とか、極端な話、「絵のうまさが鼻について読む気がわかない!」と感じるものもあるんですね。確実に年々レベルが上がってきていることはわかるのですが、「一見さんお断り」っぽい個室営業が増えている気がするのね、同じ1冊の雑誌の中ででも。
でもねぇ、『地獄先生ぬ~べ~』の岡野先生の絵はいいんですよ。お店にたとえると間口が広い広い! 男子でも女子でも、ホラー好きでもバトル好きでもギャグ好きでもエロ好きでも気軽に読めるのよね。
しみじみ、こういうのが「少年マンガ」なんだなぁ~、と感心しちゃうんですよねぇ。まさしく、クラスの生徒、ひいては童守町の住民全員を愛するぬ~べ~のキャラクターと岡野先生の来る者をこばまない筆は一心同体となっているんだなぁ。悪人は容赦なく殺されちゃうけど。
また、絵の明快さに輪をかけてフットワークが軽いのがギャグ&エロ方面で、小学生にバッチリ照準をあてたくだらないギャグと中高生のハートをズドンと撃ち抜く直球エロカットは数多くの若者たちに甚大な心的後遺症をのこすこととなりました。
ギャグに関しては、15年も前のTVCM ネタや時事ネタ、同じ時期に『ジャンプ』で連載されていた他のマンガのパロディなどもあるため風化している部分も少なくないのですが、エロはまぁ~すごいですね。
美少女小学生、巨乳小学生、雪女、いたこギャル、美少女人魚、魔女先生、ナイスバディ河童、取り憑いた男に逆におむつプレイを強要される美女妖怪……もうムチャクチャです。
今はこのくらいのエロ描写も許されない出版事情になっているかもしれませんが、こういうアブないマンガもあってこその少年誌だと思うしなぁ。ともあれ、今現在もちゃ~んと単行本の形で『地獄先生ぬ~べ~』全作品を楽しむことができるのは素晴らしいことですよ。
最初にのべたように、折からの「学校の怪談ブーム」の乗った形で始まった『地獄先生ぬ~べ~』は、比較的まじめでショッキングな残酷描写も多かった初期こそ人気低迷にあえいでいたものの、むしろブームの定型からはずれた作品そのもののストーリーのおもしろさやキャラクターの魅力が発揮された頃から徐々に支持されていくようになり、最終的には同時期に連載されていた『るろうに剣心』(作・和月伸宏 1994~99年連載)などとともに、『ONE PIECE』にいたるまでの『ジャンプ』人気をささえた長寿タイトルとなりました。現在はコミックス版の他に文庫版やコンビニコミックの形でも手軽に読むことができ、連載終了からずいぶんと時のたった今もなお累計2000万部を超える現役の人気作となっていることは言うまでもありません。
こちらも長期連載となっているのですが、『地獄先生ぬ~べ~』の人気キャラクターだった「いたこギャルいずな」が主人公となったスピンオフ作品『現代都市妖鬼考 霊媒師いずな』も、同じ真倉・岡野コンビによって2007年8月から連載中なのはもうおなじみですよね(『隔週刊スーパージャンプ』で連載されていたが、掲載誌の休刊により2011年12月から創刊される『隔週刊グランドジャンプ』に移籍予定)。
さぁさぁ、やっと本題。そんな大ヒット妖怪マンガ『地獄先生ぬ~べ~』に我らがぬらりひょん先生が登場したのは、連載開始から1年以上たってバラエティあふれる内容もノリにノッてきた1995年2月掲載の第69話!
『ペテン師妖怪!?ぬらりひょん』の巻
だったのですがぁ~。
あら、字数かさんできちゃった!? じゃあ、続きは次回ということで。
『地獄先生ぬ~べ~』で月またいじゃった! 「ぬらりひょんサーガ」興奮の平成飛翔編は、まった来月~。
来るべき宿敵・ゲゲゲの鬼太郎との平成初の対決にむけて、着々と武者修行を重ねるぬらりひょん。
「スーパー戦隊」ものへのゲスト出演に続いて彼がおもむいたのは、あの奇跡の超名作妖怪マンガだった!
前回にも触れたように、だいたい1993~95年くらいをピークとして盛り上がった「平成妖怪ブーム」。
これを構成していた「学校の怪談ブーム」と「京極夏彦ブーム」という2つの要素は、のちにそれぞれ「学校の怪談」が映像の世界での「Jホラーブーム」に、京極夏彦が活力をあたえた怪奇小説の世界は、『新 耳袋』を代表とする「実録怪談ブーム」や「都市伝説ブーム」への広がりを見せていくこととなりました。そして、怖い話を創り上げる重要な要素となる「恐怖描写」と「ストーリーテリング」各自に脚光があたった絶好のタイミングで、待望のアニメ第4期『ゲゲゲの鬼太郎』(1996~98年)はスタートした、というわけ。うまくできてんなぁ~!
さて、そういった流れの中での1993年、秋。
日本全国、いや、今や世界中にその名を轟かす人気を誇る天下のマンガ雑誌『週刊少年ジャンプ』(集英社)で、「学校の怪談ブーム」に想をえた新連載が開始されることとなりました。
『地獄先生ぬ~べ~』(1993年10月~99年6月 全276話)
いや~。大好きだったなぁ、わたし。語りのうまさ、怪奇な事件、展開のバランス、テーマ性、エロ、いろんな方面でたいっへん! 勉強になりました。
この『地獄先生ぬ~べ~』は、簡単に説明すればジャンルは「妖怪ホラーアクションエロギャグマンガ」ということになるかと。なんと欲張りな。
作者は、原作・真倉翔(連載当初29歳)と作画・岡野剛(たけし 同・26歳)のコンビ。
お話の筋は基本的に一話完結の形式となっているのですが、関東地方のどこかにあると設定されている架空の町「童守町(どうもりちょう)」に巻き起こる、現代科学では解明できない謎に満ちた数々の事件を、「童守小学校」5年3組の担任教師をつとめる鵺野鳴介(ぬえの めいすけ 通称ぬ~べ~)先生が解決していくというもの。
たいていの事件の犯人は「霊」や「妖怪」といった科学の通用しない存在なのですが、なんでまた小学校の先生であるぬ~べ~がそんな方面に立ち向かっていけるのかといいますと、なんとぬ~べ~は強力な除霊能力を持った「鬼の手」を自身の左手に封印しており、その上「白衣観音経(びゃくえかんのんきょう)」を駆使することもできる霊能力教師だったのです! さすがは『ジャンプ』の主人公~。
こういった流れなのでストーリーの本筋は「ホラーアクション」となるわけなのですが、毎週毎週ゲストが変わる一話完結ものをおよそ6年も続けることができたのは驚異的なことでした。これはつまり、ゲスト妖怪の出現した理由やその退治法を毎回ひねり出していたってことなんですからねぇ。これはまさに原作と作画との分業スタイルの利点が活きた、特に原作者である真倉先生の功績によるところが大きいでしょう。
ちなみに、真倉先生はのちにアニメ第5期『ゲゲゲの鬼太郎』(2007~09年)でも2話分の脚本を手がけており、変わらず絶妙なストーリーテリングを披露されています。
ただし、リアルタイムで『地獄先生ぬ~べ~』を愛読していた私としましては、当時夢中になっていたこの作品の魅力は、むしろその本筋に「かたち」を与える作画の部分にありました。
まぁ~岡野先生の絵がいいんだなぁ。
今になって、文庫化して再発売された『地獄先生ぬ~べ~』を読みなおしてみると、「絵がうまい」というよりもむしろ、「絵がわかりやすい」んですね。すっごく少年マンガらしいんです。
21世紀に入ってひさしい現在、30すぎのオッサンになってしまった私の目から見てみますと、『ジャンプ』をはじめ、数多くの少年マンガ雑誌で連載されている諸作の中には、「絵はうまいんだろうけど、独自の世界ができあがりすぎていてとっつきにくい。」とか、極端な話、「絵のうまさが鼻について読む気がわかない!」と感じるものもあるんですね。確実に年々レベルが上がってきていることはわかるのですが、「一見さんお断り」っぽい個室営業が増えている気がするのね、同じ1冊の雑誌の中ででも。
でもねぇ、『地獄先生ぬ~べ~』の岡野先生の絵はいいんですよ。お店にたとえると間口が広い広い! 男子でも女子でも、ホラー好きでもバトル好きでもギャグ好きでもエロ好きでも気軽に読めるのよね。
しみじみ、こういうのが「少年マンガ」なんだなぁ~、と感心しちゃうんですよねぇ。まさしく、クラスの生徒、ひいては童守町の住民全員を愛するぬ~べ~のキャラクターと岡野先生の来る者をこばまない筆は一心同体となっているんだなぁ。悪人は容赦なく殺されちゃうけど。
また、絵の明快さに輪をかけてフットワークが軽いのがギャグ&エロ方面で、小学生にバッチリ照準をあてたくだらないギャグと中高生のハートをズドンと撃ち抜く直球エロカットは数多くの若者たちに甚大な心的後遺症をのこすこととなりました。
ギャグに関しては、15年も前のTVCM ネタや時事ネタ、同じ時期に『ジャンプ』で連載されていた他のマンガのパロディなどもあるため風化している部分も少なくないのですが、エロはまぁ~すごいですね。
美少女小学生、巨乳小学生、雪女、いたこギャル、美少女人魚、魔女先生、ナイスバディ河童、取り憑いた男に逆におむつプレイを強要される美女妖怪……もうムチャクチャです。
今はこのくらいのエロ描写も許されない出版事情になっているかもしれませんが、こういうアブないマンガもあってこその少年誌だと思うしなぁ。ともあれ、今現在もちゃ~んと単行本の形で『地獄先生ぬ~べ~』全作品を楽しむことができるのは素晴らしいことですよ。
最初にのべたように、折からの「学校の怪談ブーム」の乗った形で始まった『地獄先生ぬ~べ~』は、比較的まじめでショッキングな残酷描写も多かった初期こそ人気低迷にあえいでいたものの、むしろブームの定型からはずれた作品そのもののストーリーのおもしろさやキャラクターの魅力が発揮された頃から徐々に支持されていくようになり、最終的には同時期に連載されていた『るろうに剣心』(作・和月伸宏 1994~99年連載)などとともに、『ONE PIECE』にいたるまでの『ジャンプ』人気をささえた長寿タイトルとなりました。現在はコミックス版の他に文庫版やコンビニコミックの形でも手軽に読むことができ、連載終了からずいぶんと時のたった今もなお累計2000万部を超える現役の人気作となっていることは言うまでもありません。
こちらも長期連載となっているのですが、『地獄先生ぬ~べ~』の人気キャラクターだった「いたこギャルいずな」が主人公となったスピンオフ作品『現代都市妖鬼考 霊媒師いずな』も、同じ真倉・岡野コンビによって2007年8月から連載中なのはもうおなじみですよね(『隔週刊スーパージャンプ』で連載されていたが、掲載誌の休刊により2011年12月から創刊される『隔週刊グランドジャンプ』に移籍予定)。
さぁさぁ、やっと本題。そんな大ヒット妖怪マンガ『地獄先生ぬ~べ~』に我らがぬらりひょん先生が登場したのは、連載開始から1年以上たってバラエティあふれる内容もノリにノッてきた1995年2月掲載の第69話!
『ペテン師妖怪!?ぬらりひょん』の巻
だったのですがぁ~。
あら、字数かさんできちゃった!? じゃあ、続きは次回ということで。
『地獄先生ぬ~べ~』で月またいじゃった! 「ぬらりひょんサーガ」興奮の平成飛翔編は、まった来月~。