長岡京エイリアン

日記に…なるかしらん

ヒロインは私よ!! 里村典子の大逆襲  ~『八つ墓村』2019エディション~

2019年10月13日 20時17分16秒 | ミステリーまわり
 ハーイどうもこんばんは! そうだいでございまする。
 いや~、昨日はもう大変な日でしたね。台風19号! とはいいましても、私の住んでいる山形市はほとんど被害もなかったらしく、ケータイはもうしょっちゅう避難勧告でビービーピロピロビービーピロピロ鳴りまくっていたのですが、幸いそれも私の家からはだいぶ離れた地区が対象となったもので、特に大きな被害もなく、嵐も過ぎ去っていきました。
 ただまぁ~、他の地域は本当に大変ですよね、現在進行形で。1日経っていても、まだ決壊する可能性のある川があるっていうんですから。
 昨日の TV画面はもう、全局台風情報のテロップで埋め尽くされている感じでしたね。まさに古今未曽有の大災害の到来した日だったわけです。

 なんでまた、待ちに待った放送日がこんなことになんのよ……

 うむむ……令和の御代になっても、八つ墓明神のたたりは健在だということなのか。おそろしいことであります!


ドラマ『八つ墓村』(2019年10月12日放送 NHK BSプレミアム『スーパープレミアム』 119分)

主なスタッフ
脚本 …… 喜安 浩平(44歳)、吉田 照幸(49歳)
演出 …… 吉田 照幸

主なキャスティング
井川 辰弥   …… 村上 虹郎(22歳)
森 美也子   …… 真木 よう子(36歳)
田治見 春代  …… 蓮佛 美沙子(28歳)
田治見 久弥  …… 音尾 琢真(43歳)
田治見 要蔵  …… 音尾 琢真(2役)
里村 典子   …… 佐藤 玲(りょう 27歳)
里村 慎太郎  …… 小柳 友(31歳)
田治見 小竹・小梅 …… 竜 のり子(75歳 2役)
野村 荘吉   …… 國村 隼(63歳)
濃茶の尼    …… 木内 みどり(69歳)
駐在      …… 宮沢 氷魚(25歳)
駐在の妻    …… 佐津川 愛美(31歳)
井川 鶴子   …… 樋井 明日香(28歳)
新居 修平   …… 馬場 徹(31歳)
久野 恒美   …… 久保 酎吉(64歳)
麻呂尾寺の長英 …… 津嘉山 正種(75歳)
麻呂尾寺の英泉 …… 山口 馬木也(46歳)
慶勝院の梅幸  …… 山下 容莉枝(55歳)
諏訪弁護士   …… 酒向 芳(60歳)
井川 丑松   …… 不破 万作(73歳)
片岡 吉蔵   …… やべ きょうすけ(45歳)
34代目・金田一耕助   …… 吉岡 秀隆(49歳)
16代目・磯川常次郎警部 …… 小市 慢太郎(50歳)

※日本ミステリー界の巨星・横溝正史による金田一耕助ものの第4長編『八つ墓村』(1949年3月~51年1月連載)の10度目の映像化
※『八つ墓村』の映像化回数「10回」は、金田一耕助もの作品の映像化された原作の中でも最多となる(次に多いのは映像化「9回」の『犬神家の一族』)
※公式資料によると、原作で本事件の捜査にあたった時点(1948年5月)での金田一耕助の年齢は「35歳」だった


 多少、雨風で外がビュービューうるさくはあったのですが、それでもゆっくりとお茶の間で、この記念するべき『八つ墓村』ディケイドを鑑賞することができたのは、本当に幸せなことでありました。これはありがたいと受けとめないとね。
 そして、放送前に内心、台風情報で画面の外枠が占領されて、10分に1回くらいの頻度でニュース速報がバカスカ流れる惨状の中でドラマを観る覚悟をしていたのですが、今回の放送は「1回だけ速報が流れた」のみで外部情報を抑えるという放送局の英断に、私はまったく感服いたしました。さすがはプレミアム! 数年前に、あるドラマの件でかなり怒りまくったことも、今や過去のことですね。

 決して「金田一ブーム再来」とまでは言えないものの、2016年11月の、あの長谷川博己金田一による衝撃の『獄門島』(と、池松金田一のミニシリーズ)いらい、確実に年1~2のペースで映像化金田一作品の新作がおがめるという幸せな状況が復活したのは素晴らしい僥倖であります。まぁ、一般的な浸透率でいいますと、やっぱり地上波放送のフジテレビによるシゲアキ金田一シリーズの方がインパクトはあるのでしょうが、現在の流れのご本家はあくまでも、この脚本・喜安&監督・吉田による BSプレミアム版シリーズなのです。そして、昨年の『悪魔が来りて笛を吹く』のエピローグにおける予告通り、待望の最新作にして、令和最初の映像化金田一作品として、あの『八つ墓村』がやって来たわけだったのであります! うをを!!

 ちなみに、昨年末のくだんのシゲアキ金田一版『犬神家の一族』の登場によって、「金田一ものの映像化回数ランキング」において、最多の「9回」という記録で『八つ墓村』と『犬神家の一族』がタイで並ぶという状況となっていたのですが、今回の吉岡金田一版の放送によって、記念すべき「10回」となった『八つ墓村』が、再び単独の首位に躍り出ることとなりました。さすがは『八つ墓村』! そ~簡単に首位の座をシェアするわけにはいきませんよね。もんのすごいデッドヒートだ!

 さぁ、そんな経緯もありまして、いやがおうにも期待値が高まる今回の『八つ墓村』だったのですが、正直なところ、私は不安に感じている要素もあるにはありました。


また、『八つ墓村』を2時間でやるなんて……大丈夫なの?


 そうなんです。原作小説『八つ墓村』は、まさに推理+ホラー+アドベンチャー+ロマンスのおもしろ要素てんこもり宝石箱! 高さ60cm の花火つきパフェのような欲ばりエンタテインメント作なのです。これをまともにノーカットで映像化するなんて、2時間じゃあ到底ムリムリ!
 いままで9作もの先達がいならぶ『八つ墓村』ではありますが、それらのことごとく全てが、どこかの部分で必ずなんらかの「ショートカット&改変」をほどこして映像化にこぎつけていました。物語を語る時間制限「尺」という要素で、比較的余裕のある境遇にあった1977年映画版(151分)、1978年ドラマ版(239分)に関しても、原作に忠実どころか、それぞれの事情によって似ても似つかない要素を含んだ作品に仕上がっているため、『八つ墓村』の映像化には、どこか必ず危なっかしいバイパス手術が必要となる難しさがあるという印象があったのでした。
 中には、1977年映画版(渥美金田一のやつ)のように、もう勢いで有無を言わさず突っ切っちゃって独自の良さにしてしまった成功例もあるのですが、まず偉大すぎる原作小説の縮小再生産という印象はぬぐえません。しかし横溝先生は寛大だねぇ! 1977年版はもう、原作小説の論理的ミステリー要素を気持ちいいくらいにカットしちゃってます。
 個人的に最高だと思っている1991年ドラマ版(古谷金田一の2回目)もとってもいいのですが、やっぱりバッサバッサといろんな部分を切り取っちゃった、盆栽のようなちんまり感はありますよね。1996年映画版(豊川金田一のやつ)も、ダブル岸田今日子にご自慢の市川演出で雰囲気はやたら良かったのですが、改変したオリジナルのメイントリックがんまぁ~ひどいもんだったので、落第もいいところの出来となってしまいました。1996年版の真犯人は、逮捕されたかったのか!? あんなもん、金田一耕助いらんわ!!

 ……といった、個性的な9人のお兄さんお姉さんに囲まれた、今回の最新『八つ墓村』。さぁ、それを目の当たりにした私の感想はどうだったのかといいますと~!?


ここにきて、原作小説に最も忠実なバージョンが誕生! 予想以上におもしろかった。びっくりしました!!


 いや~、まさか、2時間でここまで原作の要素をあまさず取り込めるとは。今までの諸先輩方のご苦労が一体なんだったのかという、実にスマートな映像化。ほんとに驚いた。
 手離しに絶賛する、とまでもいかない歯がゆさはあるのですが、ともかく予想していた以上のクオリティであったことは確か。そして、なんといっても原作小説ほんらいの端正な構造を最大限、丁寧に映像化したその姿勢がすばらしかった! その一言に尽きます。まじめ! いい意味でも、そうでない意味でも。

 これまでの映像化された『八つ墓村』群と比較してみますと、今回の2019エディションは、以下の数々のポイントをかなり原作に忠実に描写したものとなっています。

①恐怖の「どっちかが死ねばいい」ペアターゲットリスト(しかし、実は……?)
②作品の本来のヒロインである、里村典子(主人公・寺田辰弥のいとこ)の存在
③「真犯人」の動機に深く関わる、里村慎太郎(典子の兄)の存在
④西屋の当主である野村荘吉の抱いている「ある疑惑」
⑤辰弥の「ほんとうの父親」亀井陽一の存在と、現在の姿
⑥事件の重要なきっかけのひとつである新居修平医師の存在
⑦尼子の落ち武者の財宝はどうなったのか?
⑧「真犯人」の死因

 特に、②と④と⑥をちゃんとおさえているところが、非常に大きいというか、もう2019年エディションの特色と言ってもいい新鮮さにあふれていますよね! ④なんか、今回が初映像化なんじゃないですか? そこを、國村隼という名優がガッチリ演じているんだからすごいんですが……それにはちょっと、功罪相半ばする効果があり……?
 結論から言いますと、この「原作に最も忠実な映像化」という部分がもたらす効果は、「よくない部分」も多少はあった、と私は見ました。

 言いたいことは山ほどあるのですが、まず、私が今回の2019エディションを観て「ここはいいね!」と感じたのは、

・里村典子の大暴れ!
・吉岡金田一の「こわ~いところ」が出てきたぞ~!!

 この2点でした。
 典子に関しては、映像化された『八つ墓村』といいますと、これまでヒロインといえば田治見春代と森美也子という、「オトナの魅力」に満ちたおふたりが若い辰弥をめぐってバチバチやらかすという構図が有名かと思われます(そこは2019エディションもしっかり描いています)。でも、そんなどうしようもないドロドロのしがらみの中で倦み疲れた辰弥を救う真のヒロインは、実はフレッシュな若さとピュアさ(バカっぽさ?)にあふれた里村典子だったのだ! という流れが、今回は非常にしっくりくる演出になっていました。1996年版の、「あんた一柳鈴子ちゃんじゃないの?」と見間違えてしまうほどに危うい典子でもありません。しっかり強い女性です! 典子ちゃんの底の知れない笑顔にかかっちゃあ、さすがの要蔵ミイラもかなわねぇや!!

 ところで、「戦国時代の尼子家の財宝」が、あんなに分かり易い大判の形をしていて良いのだろうか……時代考証的に、ギリギリ OK? でも尼子家だったら、やっぱりほんとは銀なんだろうなぁ。

 吉岡金田一の怖さに関しては、もう見ていただくしかありませんが、なにかというと「ギョロッ!」とむく目がこわいこわい! 何かに気づくたびに、鳥居みゆきさんばりに「逆三白眼」の目つき(黒目が下に寄る)になるのです……田治見要蔵よりも濃茶の尼よりも「真犯人」よりも、金田一さんがいちばんこわ~い!!
 さすがは、吉岡さん。伊達に1977年映画版で辰弥の幼年時代を演じているわけではない、気合の入りっぷりを見ました。
 そういえば、今回の金田一先生は、あざやかなブルーの着物も印象的なのですが、しじゅう来ているマントが、まるで「教誨師」のようなイメージも与える着こなしになっていましたね。うむ、『八つ墓村』の金田一先生は、それでいいかもしんない。

 そうそう、今回の田治見要蔵ほど、「32人、殺せんの!?」と心配になるか弱い要蔵もいませんでしたね。実際、映像の中で村人の反撃に遭いかけてただろ!
 そこはおそらく、「愛の妄執に憑りつかれた哀しい男」という部分を強調したキャラクター造形だったのでしょうが、まるで迷子のような、母親を見失った子どものような表情で村の中をさまよう姿が実に味わい深い田治見要蔵でした。特に、金田一先生がつかの間に見た幻影として現れるラストシーンがよかったなぁ。
 ただ、あれじゃ32人は絶対殺せないでしょ……モデルになった実在の事件の犯人は、かなり周到に計画して、村人が寝静まった深夜にやってたんだもんねぇ。大金持ちのボンボンが思いつきで日中に暴れだしても、相手にはむくつけき農村の若者もいただろうし、ねぇ。

 そんなこんなで、みどころがいっぱいあった今回の2019エディション。少なくとも、過去の映像化作品をまるっとトレースしたような、志の低い更新作業ではなかったという時点で、私は大いに高く評価させていただきましたが、まぁそこはそれ、ファンの勝手なつぶやきということで、ちょっとそこはどうかナ~? と、気になったポイントも、挙げさせていただきましょう。そんな、たいしたことじゃないんですけど、ま、ね!

 「真犯人」の意外性が、めちゃくちゃゼロに近い……いや、これはもう、確信犯的演出なんでしょうけどね!

 はっきりいいまして、この2019エディション、「真犯人」に対するアタリがそうとうキツイ!! ていうか、隠す気が毛頭ない! 事件の事情をほとんど噂くらいでしか知らないと思われる村人までもが、最初っから「真犯人」のことを、「あいつはあやしいぞぉ。」と何の根拠もなく疑っているんです、冒頭から! ひどいよ! まぁ、犯人だけどさ!!
 実はこれ、先ほどにあげた④のポイントをしっかり映像化したってことからも、スタンスははっきりしてるんですよね。逆に言うと、たぶんこれまでの9作品は、金田一先生以外に事件の真相を見抜いていそうな登場人物がいるとミステリーとしてつまんなくなっちゃうから、わざと④を削除していたんでしょう。
 だから、べつに『古畑任三郎』みたいな倒叙ものでもないはずなのに、「真犯人」自体ものっけからあやしいし、周囲の「真犯人」に向けられた視線も、冷たい冷たい! そんなアウェーすぎる状況の中で、ほんとにやってしまう「真犯人」もとんでもない肝っ玉なわけですが、それだけに、余りにも哀しい人生、とも言えますよね。
 いや、そんなもんキャスト表を見たら誰が犯人かなんてすぐわかるだろ、と言われてしまえば身もフタもないのですが、ここまで犯人を隠す気がない『八つ墓村』も初めて観ました。犯人がわかりやすいことで有名な市川崑演出だって、こんなに周囲の人物がこぞって「あいつあやしい! あいつあやしい!」と言うような環境は作らなかったでしょ!?

 だから、今回の2019年版は、原作にこんなに忠実でありながらも、結局はあの1977年版同様に「ミステリーであることを放棄している」『八つ墓村』になっているわけなんです。不思議だな~!! 方向性は全く違うのに。
 なのでたぶん、「ウソー! まさかあの人が真犯人だったなんて!」とクライマックスを見て驚愕する人は、まずいないんじゃない? そういう意味で、カタルシスのはなはだしく欠如した作品になってしまった感はあります。あぁ、なるべくしてなったんだなぁ、みたいな無力感が……

 あと、吉田演出にロマンを求めるべきでないのは当たり前なのですが、なんか、クライマックスにいくにしたがってクラシックやら洋楽ロックやらがジャカジャカつぎこまれていった騒がしさがあって、今までの2作品(『獄門島』の洋楽ロックと『悪魔が来りて笛を吹く』のフルート)にあった一貫性が崩れた印象は受けました。無理矢理ロマンを作ろうとした感じというか。なにをか焦ることやはある!?
 それに、ラストのブラックジョーク的なオチシーンにあんな華々しいクラシックを用いるべきではなかったし(見てもなんの爽快さもない)、そもそも辰弥と典子のシーンで終わりにしてよかったんじゃないかと。その点、同じ結果を招くシーンだったにしても、そこに多治見(この表記でいい)家の炎上というスペクタクルをドッキングさせた、1977年版の橋本忍脚本は、やっぱりちゃんと考えてらっしゃるんだなぁ、と今更ながら感じ入ってしまいました。


 う~ん、やっぱり、「原作に忠実にすりゃいいってもんじゃないよ」ってことなんですかねぇ? 難しいなぁ、映像化って!
 様々なチャレンジ精神に満ちた出来でありながらも、その一方で「若さ」「愚直さ」も目立つ『八つ墓村』2019エディションであると見ました。


 ま、なにはなくとも、「亀の湯」が出てくる次回作が楽しみ……って、それ、シゲアキ金田一が年末にやるやつじゃないの!?
 それに、『悪魔の手毬唄』は、原作小説の時間軸だと『八つ墓村』の7年後の事件ですよ~! 7年間、「亀の湯」を目指して旅をするのか!? 岡山県そんなに広かったっけ!?
 今まで割とまともだった、BSプレミアムシリーズの時間軸が、ついにゆがんできてしまった……余談ですが、本編中でちゃんと「鬼首村の事件」と言及するくらいのファンサービスをするのならば、いっそのこと令和の『夜歩く』を映像化して欲しかった……かなわぬ夢か~!

 まま、まずはフジテレビの『悪魔の手毬唄』を楽しみにしております! よろしくお願いいたしますよ~!!
コメント (34)
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これは……ジョーカーなのか? ~映画『ジョーカー』~

2019年10月10日 09時29分23秒 | ふつうじゃない映画
 みなさま、どうもこんにちは! そうだいでございます。

 いや~、もう世の中どうなっとるんでありましょうか!? つい先日に日本の悪役キャラを代表するおぬら様が大復活を遂げられたかと思ってたら、それに呼応するかのように、海を越えたアメリカの超有名ヴィランまでもがリニューアル登板ときたもんでい! 今年の秋も忙しいなぁ~。

 というわけでありまして、私も観てきました、この映画! 楽しみにしてたんですよぉ。
 あいや~……えらいもん観てもうた。


映画『ジョーカー』(2019年10月4日公開 122分 アメリカ)
 『ジョーカー(原題:Joker)』は、DCコミックスの『バットマン』シリーズに登場するスーパーヴィランであるジョーカーを主人公とするサイコスリラー映画。R15+ 指定作品。
 本作は、「DC エクステンデッド・ユニバース」シリーズ作品をはじめ、過去に製作された『バットマン』の映画・TVドラマ・アニメ作品のいずれとも世界観を共有しない、完全に独立した作品である。ジョーカーの原点を描いた内容ではあるが、本作以前の映像作品に登場しているどのジョーカーの過去にも当たらない。
 公開時のキャッチコピーは、「本当の悪は笑顔の中にある」。

 本作の主人公であるジョーカーは、DCコミックスのアメコミ『バットマン』に登場するスーパーヴィランで、主人公のバットマン(ブルース=ウェイン)の対極に位置づけられる最悪の悪役として活躍している。ジョーカーの明確なオリジンは確立されておらず、またジョーカー自身が狂人であるため、語る度に発言が変化すると設定されている。それらの中でも最も有名なエピソードとして、「元々は売れないコメディアンで、強盗を犯したところをバットマンから逃げる途中に化学薬品の溶液に落下し、白い肌、赤い唇、緑の髪、常に笑みをたたえる裂けた口の姿に変貌した」という説が一般に浸透している。
 しかし本作では、このエピソードや他のメディアミックス作品などとの関連性は撤廃され、脚本を手がけたトッド=フィリップスとスコット=シルヴァーによって、ゴッサムシティで母と暮らす「アーサー=フレック」というまったく新たな前身が設定されたが、同時に本作のジョーカーを「信用できない語り手」とすることで、この設定もまた真実であるかどうかは全く不明という、原作コミック以来の伝統を踏襲している。

 監督を務めたトッド=フィリップスは、本作がアメリカの社会格差を風刺する作品として話題を集めたことを認めつつ、映画の目標はあくまでもアーサー=フレックという個人がいかにしてジョーカーという悪役へ変遷するかを描く人物研究であると語っている。この構想を立てたフィリップスは、スコット=シルヴァーと共におよそ1年をかけて脚本を執筆した。脚本は『タクシードライバー』(1976年)や『キング・オブ・コメディ』(1983年)などのマーティン=スコセッシ監督、ロバート=デ・ニーロ主演の作品群に影響を受け、原作コミックから大きく逸脱する内容に完成した。作品の舞台は原作コミックに共通するゴッサムシティであり、1981年当時のニューヨークをモチーフにして創造された。

 本作におけるジョーカーことアーサー=フレックには、個性派俳優として知られるホアキン=フェニックスがキャスティングされた。メガホンを取ったフィリップスは、脚本の執筆段階からフェニックスを意識してジョーカーのイメージを手がけ、彼以外の起用は考えられないと語っている。ジョーカーに次いで重要な役どころとなる TVの大物芸人のマレー=フランクリンにはロバート=デ・ニーロが起用された。

 本作に登場するジョーカーの姿は、原作コミックや先行する映像作品で見られる「白い肌」、「緑の髪」、「赤く笑ったように裂けた唇」といった特徴が踏襲されているが、これらはすべて、コメディアンになりたいジョーカーことアーサーが自ら手がけたメイクとして描かれている。衣装は原作コミックのようなスーツ姿ではあるもののカラーリングは一新され、赤系統色のジャケットが特徴となる。ジョーカーを演じるにあたって主演のフェニックスは、撮影開始前に80kg以上あった体重を「1日をりんご1個と少量の野菜のみで過ごす」過酷な食量制限によって58kgにまで減量した。

 本作は、アメリカでは公開初日からの3日間で約9,620万ドルを記録。日本では公開初週の土日を含めた3日間で動員49万8千人、興行収入7億5千万円を記録し、5日間で10億2千万円を記録した。
 このように興行的には大成功を収める一方で、本作は物語がマーティン=スコセッシ監督作品の『タクシードライバー』や『キング・オブ・コメディ』の影響が強い点、暴力や殺人を美化する内容、精神疾患に関する描写から、評論家による評価は賛否両論となった。


あらすじ
 1981年のゴッサムシティ。大都市でありながらも財政の崩壊により街には失業者や犯罪者があふれ、貧富の差は大きくなるばかりだった。そんな荒廃した街に住む道化師のアーサー=フレックは、派遣ピエロとしてわずかな金を稼ぎながら、年老いた母親ペニーとつつましい生活を送っていた。彼は緊張すると発作的に笑い出してしまう病気のため定期的にカウンセリングを受け、大量の精神安定剤を手放せない自身の現状に苦しんでいる。しかしアーサーには、一流のコメディアンになるという夢があった。ネタを思いつけばノートに書き記し、尊敬する TV界の大物芸人マレー=フランクリンが司会を務めるトークショーが始まれば、彼の横で脚光を浴びる自分の姿を夢想する。
 ある日、アーサーはピエロ姿で店の看板を持ちながらセールの宣伝をしていると、不良の若者たちに暴行を受けてしまう。後日、アーサーは派遣会社から看板を壊したことと仕事を途中で放棄したことを責められるが、アーサーを心から気にかけてくれるのは小人症の同僚ゲイリーだけだった。アーサーの生活は酷く困窮しており、母ペニーは30年ほど前に自分を雇っていた街の名士トーマス=ウェインへ救済を求める手紙を何度も送っていたが、一向に返事は届かない。不運が続くアーサーの心のよりどころは、同じアパートに住むシングルマザーのソフィー=デュモンド。アーサーはソフィーとは挨拶をする程度の関係だったが、アーサーは度々ソフィーの後をつけ、その姿を眺めていた。

 またある日、アーサーはピエロの仕事中、同僚のランドルから護身用にと強引に手渡されていた拳銃を子ども達の前で落としてしまい、上司からクビを宣告される。ランドルが保身のために自分は関係ないと嘘を吐いたことも分かり、絶望したアーサーが地下鉄に乗っていると、1人の女性が酔っ払ったスーツの男3人に絡まれていた。アーサーは見て見ぬふりをしようとするも神経症の発作が起きて笑いが止まらなくなり、気に障った3人から暴行を受けると、反射的に拳銃を取り出して全員を射殺してしまう。混乱と焦燥感に襲われ駅から駆け出すアーサーだが、次第に言い知れぬ高揚感が己を満たしていく。


おもなキャスティング(年齢は映画公開当時のもの)
アーサー=フレック / ジョーカー …… ホアキン=フェニックス(45歳)
マレー=フランクリン      …… ロバート=デ・ニーロ(76歳)
ソフィー=デュモンド      …… ザジー=ビーツ(28歳)
ペニー=フレック        …… フランセス=コンロイ(65歳)
トーマス=ウェイン       …… ブレット=カレン(63歳)
ギャリティ刑事         …… ビル=キャンプ(58歳)
バーク刑事           …… シェイ=ウィガム(50歳)
ランドル            …… グレン=フレシュラー(51歳)
ゲイリー            …… リー=ギル(?歳)
カール             …… ブライアン=タイリー・ヘンリー(37歳)
アルフレッド=ペニーワース   …… ダグラス=ホッジ(59歳)
ブルース=ウェイン       …… ダンテ=ペレイラ・オルソン(11歳)

おもなスタッフ(年齢は映画公開当時のもの)
監督 …… トッド=フィリップス(48歳)
脚本 …… トッド=フィリップス、スコット=シルヴァー(?歳)
音楽 …… ヒドゥル=グドナドッティル(37歳)
撮影 …… ローレンス=シャー(49歳)
配給 …… ワーナー・ブラザース・ピクチャーズ


 ものすごい映画でしたね~。湿度 MAX、タバコ臭さ MAX、そして観た後の激重だる感も MAX!!

 最初にこれは言っておかねば、とは思うのですが、本作の主人公アーサーが成り果ててしまう道化師のメイクをした連続殺人犯は、やっぱりどこからどう見ても、あの『バットマン』サーガでバットマンと丁々発止の名勝負を永遠に繰り広げるヴィランのジョーカーとは、まるで別人と言わざるを得ません。
 それはまぁ、作中に登場した大富豪の御曹司ブルース=ウェインと30歳以上の年の差があるという時系列から見ても明らかではあるのでしょうが、やっぱり「中身」というか、アーサーの「ギャグセンスが皆無」というところがずっと変わっていない以上、やはりあのジョーカーとは本質的に別の存在かと思うんですよね。
 たぶんフィリップス監督としては、本作でのアーサーの犯罪に影響されたゴッサムシティの若者の中のひとりがジョーカーになったという雰囲気をにおわせる程度で、あくまでもそのパンドラの匣を開けるトリガーとして、大都市の不条理と自身の冷酷な運命にボロ雑巾のようにめちゃくちゃにされたアーサーという名もなき中年男をいけにえに選んだのでしょう。

 この作品に登場するアーサーは、生活上の必要から大道芸人になったり、自身の夢を追ってスタンダップコメディアンを目指したりするわけですが、自分も他人も心の底から笑わせることができないという絶望的な苦境にあえぎながら生きている哀れな中年男です。彼の突発的な爆笑が、どうやら幼少期の DVの後遺症からきているらしい心理的な障害であるという設定も、あまりにも意地が悪すぎますよね……


 ここでちょっと話を脱線させまして、これまでの映像化されたバットマンシリーズにおける歴代ジョーカーの「笑いのスタイル」を振り返ってみましょう。私が好きなジョーカーは、こっち!

 シーザー=ロメロの初代ジョーカー(1966~68年)は何のてらいもない純粋なお騒がせ愉快犯として笑いを提供しており、いわば植木等~志村けん的なスタイルだったと思います。映画版『バットマン』(1966年)では悪人連合の使いっぱしりを笑って引き受けていたし、なんだったら調子に乗ったペンギンやリドラーの暴走を制止しようとする人の好さも露呈していましたからね。「お前、頭おかしいんじゃないの?」というセリフをジョーカーが言うとは……

 現代におけるサイコパスな犯罪者としてのエポックメイキングとなった、ご存じティム=バートン版『バットマン』(1989年)でジャック=ニコルソンが演じた2代目ジョーカーは、面白いんだか何だかよくわかんないけど、その強引すぎる狂気のハイテンションと言動の勢いを持って「面白いよな!? お前も笑えよ!!」と周囲をグイグイ巻き込んでいく1980年代ビートたけし的スタイルと言ってよいかと思います。まさに毒ガス!

 その一方で、なんとそのニコルソンジョーカーという高すぎる壁を跳び越えうる存在となった『ダークナイト』(2008年)のヒース=レジャー演じる3代目ジョーカーの笑いのスタイルはと言いますと、本人はひたすらムスッとして笑うことなんかほとんどないのに、そのローテンションな言動がなぜかキュートでハイセンスで面白いという、1990年代の松本人志的スタイルということになるのではないでしょうか。あの、言っときますけど、2000年代以降の、ゲストのたいして面白くもない発言にニャハニャハ笑ってる松本さんとは全然ちがいますからね? 今の松本さんはもう、面白いは面白いんだろうけど TVサイズの人間になっちゃったって感じですよ。1990年代は完全にジャンルや人間の領域を超えてましたからね。

 この3大ジョーカー俳優以後は、2015年から TVドラマシリーズ『ゴッサム』で4代目ジョーカーを好演しているキャメロン=モナハンと、映画『スーサイド・スクワッド』(2016年)で5代目ジョーカーを演じたジャレッド=レトが続くわけなのですが、モナハンジョーカーは私も大好きではあるのですが過去の映像版ジョーカー像を巧みに再編集したいいとこどりであるがゆえにオリジナリティがあるとは言い難いジレンマがあり(むしろ『ゴッサム』はハーレイ・クインが最高!!)、レトジョーカーは出演時間的にギャグを言う暇も無かったので判定不能です。
 まぁ、モナハンジョーカーは無理やりお笑いに変換すれば「コロッケ的笑い」ということになりますかね……とっつぁん坊や七変化!

 そんな感じの中で通算6代目ということになる今作のホアキンジョーカーはどうなのかと言いますと、とにかくその生き方のみじめさで人々の嘲笑を浴びるリアクション芸人的な笑いということになるでしょうか。まぁ、映画を観ても分かる通り、演じるホアキンさんもそうとう身体張ってますからね……
 でも、このスタイルってやっぱり、私の大好きな「犯罪道化師ジョーカー」とは違うような気がするんだよなぁ。カリスマ性のあるヴィランになるとは到底思えないのです。アーサーや彼の母親が憧れの対象としていた TV界の大御所司会者マレーを憎悪するようになる展開も、ある意味で過去のエンタメキャラとしてのジョーカー像を打ち砕くという下剋上の意味があるのでしょうが、アーサーのスタイルである「天然リアクション芸」というものが、祭り上げられ愛された途端に面白さを失う種類の笑いであることは間違いないのです。笑われていることを自覚したら終わり……それをずっと続けられている出川哲朗さんって、やっぱ天才なんだなぁ。

 お話を映画に戻しますが、この映画がバットマンシリーズのジョーカーを、そのまんまスピンオフさせた作品でないことは間違いありません。ひたすら暗く、テンションが低く、落ち込む展開が続く映画……でも、それなのに本作は異様に観る者を引き込む「面白い」映画になっているのです。
 それはどうしてなのかと言いますと、それはやはり、ジョーカーというブランド名にあぐらをかかない、というか徹底的に過去のジョーカー像を排斥した上で、純粋なひとつの映像作品として十二分に楽しめる「サイコサスペンス劇」になっているからだと思うのです。
 バットマンシリーズのキャラのスピンオフ作品としては、かつて2004年にオスカー女優のハル=ベリーを主演に擁した伝説の映画『キャットウーマン』があったのですが、あれがああなっちゃって今回の『ジョーカー』がああならなかったのは、ストイックなまでにジョーカーに頼らない「脱ジョーカー」な構成が功を奏したのではないでしょうか。もはや、ジョーカー関係なくてもおもしろいのです。

 ……え……じゃあ、この映画の主人公が「ジョーカー」である意味って……ま、ぶっちゃけ、無いっすね。

 ただ、ここで声を大にして言いたいのは、フィリップス監督とホアキンさんが「バットマンのジョーカーなんか出てこねぇよバーカ!」という姿勢を最後の1カットまで取り続けているということは、お客さんから「金返せバカヤロー!!」とゴミなり食べかけのリンゴなりバナナの皮なりを『バットマン・リターンズ』のペンギンみたいに投げつけられる覚悟をガン決まりに決めた上で、このとんでもなくアウェーな賭けに出ているということなのです。そしてその結果、この『ジョーカー』はかなり多くの方々の「ジョーカーじゃないけど、いいよ!!」という赦しと賞賛を得るという大勝利をつかみ取りました。これ、ものすごいことよ。
 実際に私も、私が愛してやまない、あの全身紫色のジョーカーが出てこないのはちと気になりはしましたが、今作のおいしいおいしい焼いもみたいな黄色シャツに真っ赤なジャケットの道化師が登場するシーンを見て満足してしまったのです。

 裏切られはしましたが、確かにこの映画は面白い。「だまされたと思って観てみてヨ。」なドッキリを、プロの才能が集まって頭おかしいくらいの本気度で取り組んで仕掛けた結果、ほんとに世界を騙す大傑作が爆誕しちゃったわけなんだな!


 ここからは、バットマンサーガうんぬんとは無関係の部分での本作の面白さを考えてみたいのですが、私が映画館で観た限り、その魅力のポイントは大きく分けて3つあったかと感じました。


1、「信頼できない語り手」としてのアーサー視点の可視化

 この作品は、ほんとはフィリップス監督じゃなくてリドラーが撮ったんじゃないかってくらいに、ボーっと見ていると「あれ、こことあのシーン、つながってなくない?」とか、「あのシーンってほんとにあったの? 想像?」みたいな違和感がじわじわ観客の脳内に侵食してくる謎、謎、謎だらけの映画となっております。おちおちチリドッグを食べてるヒマもありゃしねぇぜ!

 主人公のアーサーの精神状態がかなりヤバいことは明らかなわけなんですが、そのアーサーが実際に直面している現実世界のシーンなのか、それともアーサーがあまりの現実のつらさから自身の「こうであってほしい」願望に逃避している幻影のシーンなのかが、この作品はわざとはっきりボンヤリさせた上でさくさく話を進めていくので、観客の猜疑心を高めてアーサーの心理状態に近づけていくというテクニックがかなり成功しているのが、この映画の本当に恐ろしいところです。
 本作、上の情報で述べたように R指定になっている映画なのですが、作品自体を画づらだけで見ていくと、そりゃまぁ話の行きがかり上、残酷な殺人はあるにしても、適度な遠景で撮影しているので昨今のホラー映画ほどエグい描写にはなっていませんし、ましてやエッチな展開などまるで出てきやしません。ハーレイ・クインなんか出てくる気配もありゃしねぇや!

 それなのにがっつり R指定になっているというのは、明らかにこの作品が、残酷さやエロさとは別の「なにか」で危険なしろものになっているということなのです。それはやっぱり、観客の精神状態を直接的に不安定なものにしてしまう、ほとんどプロパガンダや催眠のような強制力なのではないでしょうか。そして、物語の大半でひどい目にばっかり遭わされ続けてきたアーサーが最終的に選び、一部の民衆が熱狂的に受け入れた自己救済の道は「殺人」だったのです。これは……倫理的にヤバいにもほどがあります!!

 たぶん、劇場で何度も集中して鑑賞したり、のちにリリースされるはずのソフト商品を繰り返し観たら、具体的にどこが現実パートでどこが妄想パートなのか、フィリップス監督はちゃんとわかるようにヒントなり解答なりをちりばめているのでしょうが……こんな映画、何回も観たくねぇ!!

 悪夢や……悪夢なんやけど、なんか惹かれるものがある悪夢なんや! なんか、個人的にはアンジェイ=ズラウスキー監督の『ポゼッション』(1981年)にかなり近いもののある酩酊感をもよおす作品だと思うんですよね、この『ジョーカー』って。
 そういや、あの映画も主演俳優さんにそ~と~なプレッシャーをかけてたな! 監督、こわすぎ……


2、ホアキン=フェニックスの入魂過ぎる役作り

 こりゃあもう、実際に観ていただくより他ないのですが、ホアキンさんの役作りがもう、頭おかしいとしか言いようのない熱の入れようなんですよね。ニコルソンジョーカーとヒースジョーカーという、絶対に相手にしたくない激高ハードルを前にしても、ホアキンさんは全く臆することなく真剣に真正面から、文字通り「身体一つ」でぶち当たっているのです。このうちの誰が一番すごいのかという議論は、もはや好みの問題なのでいちいち言及しませんが、ホアキンさんが負けているということは絶対に無いと断言できるでしょう。ほんと……身体をいたわれ!!

 だって、あの背中、観た!? つまりホアキンさんは、メイクも演出も CGも全く必要とせずに、正真正銘その肉体のみで、アーサーの歪んだ半生や心理状態、そしてその先に待ち受けている異形のものへの変身を、セリフすら使わずに数秒で表現しきっているのです。

 なんでも身体を張りゃいいってもんでもないけど、今回の主人公アーサーに限って言うのならば、ホアキンさんという依り代が無ければ絶対に成功しえないキャラクターだったのではないでしょうか。ふくよか系のニコルソンジョーカー、隠れマッチョ系のヒースジョーカーときて、今度はガリガリ系のホアキンジョーカーですか……う~ん、よりどりみどり!!


3、ヒドゥル=グドナドッティルの音楽のものすごい存在感&ジャストフィット感

 これもまぁ、四の五の言わずに作品を観てみてくださいって話なんですけれどもね。
 本作は劇中で流れる音楽に関して、フランク=シナトラやゲイリー=グリッターといった、作中の時代設定である1981年から見るとひと昔かふた昔にあたるなつかしの歌謡曲やジャズナンバーが多用されている部分が目立つのですが、それと同時に、アーサーの「堕ちていく」危機的状況を明示する音楽として、ヨーロッパ極北の島国アイスランド出身のチェリストであるヒドゥル=グドナドッティル女史の奏でる、異常に重力のあるナンバーが要所要所でその存在感を発揮しています。無理やり日本語で表現するのならば、まさに「ずぅぅ~ん」とか「どよよぉお~ん」としか言いようのない調べですよね……

 人生の中での「笑う / 笑われる」シーンをテーマにした、誰もが知っている有名なポップスが陽気に次々と流れていく一方で、あたかも車の両輪、陽と陰の関係にあるかのように、ふとした瞬間にアーサーの背後に現れ、首根っこをつかんで地面に叩きつける悪魔のような役割を果たしているグドナドッティルさんの音楽は、フィリップス監督の演出、ホアキンさんの演技と同程度に本作の完成度の高さに寄与している重要なファクターだと思います。サントラ買っちゃいますよ、こんなもん! まぁ、ドライブとかデートで流せるアルバムじゃないですけど……

 よく「笑いとは緊張と緩和のバランス効果である。」と言われますが、本作のフィリップス監督がコメディ映画で名を挙げたお人であるということからわかるように、この映画は非常に陰鬱な作品であるのに、さらにはまともな冗談すら全く思いつかないアーサーを主人公にしているというのに、なぜかその転落人生に時を忘れて見入ってしまうのは、フィリップス監督のバランスセンスの良さにあると思います。キツイ展開が続いて息が詰まりそうになると、アーサーの必死なあがきがなぜか滑稽に見えてしまう細やかな描写が差しはさまれるんですよね。この、ギャグ的な息継ぎが絶妙だから観ていられるのです。ここらへん、似たような感じの映画でも『ブラック・スワン』(2010年)や『ダンサー・イン・ザ・ダーク』(2000年)には無かったアドバンテージだったように感じました。

 そして、そういった意味でも緩和がアメリカのオールディーズナンバーで、緊張がグドナドッティルさんのチェロの調べという白黒はっきりした采配が大成功していたのではないでしょうか。本当に、この映画は完成度が高い!


 以上、こんな感じで「ジョーカーの全く出てこない映画」なのに世界的な大ヒットを収めている『ジョーカー』を観た感想をつづってきたのですが、これ、やっぱ大ヒットしたってことは続編、出るんでしょうかね? でも、本作はラストのラストでアーサーが「全てはジョークさ……」と嘘いつわりのない微笑を浮かべた時点で充分すぎる程にオチていると思うので、続きを作るだけ野暮のような気もするんですが。

 続編を出すってことは、この世界におけるバットマンのデビューとか、アーサーに心酔した若者が「のちのジョーカー」になるっていう展開も観られるのでしょうか。う~ん、それ観たいか!?

 個人的な話になるのですが、私、『タクシードライバー』は観てるんですが、なんとも勉強不足なことにデ・ニーロの『キング・オブ・コメディ』をまだ観てないんですよ! あの、コサキンラジオで小堺さんが「気持ち悪すぎて吐いた。」って言ってた、伝説の作品です!!
 これ、ちゃんと観ないとなぁ。本作にかなり近い作品ですよね。

 そういえば、本作の最初に丸っこい「 W」の赤文字が迫ってくる1980年代のワーナーブラザースのロゴは、キューブリック監督の『シャイニング』(1980年)でも使われていたバージョンでしたよね。『ジョーカー』でも、『シャイニング』へのオマージュと思われるシチュエーションのシーン、ありましたよね! まさか、ブルースのおやじがあんなにいけ好かない奴だったとは……いや、あれも妄想なのか。

 いろいろ感じるところの多い大傑作ではありましたが、それはそれとして、DCコミックス陣営としてド正統なバットマンシリーズの映画新作も、早く出してほしいかな!? そして、新たなる若き7代目ジョーカーのご登場も、楽しみにしております! モナハンジョーカーの銀幕デビューでも全然いいけどね!!

 とりあえずは、ホアキンさん大変お疲れさまでございました! ごはん食べてね!!
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令和の総大将、ガラケーと高級料亭で始動!!

2019年10月06日 23時43分33秒 | ゲゲゲの鬼太郎その愛
 いや~、黒幕感がものすんごい序章となりましたね、第76話!
 今回はさらっと一度観た感想だけにしちゃうんですが、『ゲゲゲの鬼太郎』、非常によくできた最終章の始動エピソードになったと思います。

 それにしても、一言一言からびしびしと伝わってくる、大塚明夫さんの入魂の演技! 畏れ入りました……
 というか、ご存命だったとしたら大塚周夫さんなんじゃないかと思うくらいに、声音がお父様に近かった!! つまりは、「ねずみ男じゃないサイド」のダーク周夫さんテイストですよね。まずは名刺代わりといった感じで、きわめて冷徹な語り口です。
 まだエピソードに大きく関わってきてもいないのに、すでにかつての「塾の塾長」だとか「建設会社の社長」だとか「ヤクザ屋さんの組長」だとかいったステータスをはるかに超えた、「億くらいポンと使える国のフィクサー」という立場にいるらしい巨悪ぶりがちらほら。今後のご活躍への期待感が、いやがおうにもエスカレーション!!
 アニメオリジナルでも、原作マンガ(『週刊少年マガジン』版)準拠でもない、水木しげるの妖怪画を忠実に再現したキャラクターデザインなのも、実にいいですね。アクションは苦手そうですが、そこは見事にふくれあがった頭の中の知性で勝負ということで。

 これから、毎週日曜日がさらに楽しみになるな~。これで蛇骨のおばばの声が榊原良子さんだったりしたら、もう落涙どころか落命ものですよね!!
 今回の土転びも非常におもしろいキャラクターだったのですが、次回のゲスト妖怪が猫仙人というのも、よくわかっていらっしゃる! 第3期ぬらりひょんに転生する前の青野老師の役柄ですもんね。そのへんのつながりで、西村知道さんが来週猫仙人の声をやってらっしゃってたら、最高だなオイ!

 しかしまぁ~、ことし2019年は我が『長岡京エイリアン』的に、ものすんごいアニバーサリーイヤーでございますよ!!
 だってだって、5月にはおギドラさま、10月にはなんと、ジョーカーさんにおぬら様に、あの田治見要蔵までが復活するというじゃねぇか!! 名だたるレジェンド悪役たちが、生まれ変わって雨後の筍状態……大丈夫か、令和!? ちなみに、去年の「首だけギドラ」はあったりまえのように、この並びからは除外させていただきます。

 『ジョーカー』は本日観たのですが、感想はまた、あらためて。すごい映画でしたね~。でも、クライマックスの完成形ジョーカーさんが、服の色合いの関係で焼きいもに見えてしょうがなかった。作品の色合いは『ブラック・スワン』とか『バードマン』に似てたでしょうか。

 さぁ、腹黒おぬらさまのご活躍を楽しみにして、また一週間、清く正しく生きていこうっと!!
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ドラマシリーズ 『ゴッサム』第2シーズン

2019年10月04日 03時15分32秒 | 特撮あたり
『GOTHAM / ゴッサム』(2014年9月~19年4月放送 5シーズン全100話 各話44~49分)

 『GOTHAM / ゴッサム』は、ブルーノ=ヘラーが企画し、DCコミックスの『バットマン』シリーズを基とし、青年期のジェイムズ=ゴードンと少年期のブルース=ウェインと、若き日のオズワルド=コブルポット(のちのペンギン)を中心に描いた、ゴッサム・シティを舞台にしたアメリカ合衆国の犯罪テレビドラマである。ゴードン、ウェイン、コブルポットの3人を中心に様々なキャラクターが登場し、中には後にバットマンとなるブルースと深い因縁を持つことになるキャラクターも多数いる。
 主人公である青年期のゴードンはベンジャミン=マッケンジーが演じ、ダニー=キャノンがエグゼクティブ・プロデューサーとパイロット版監督を務めている。第1シーズンは2014年9月よりフォックスで放送された。2015年9月からは第2シーズンが、2016年9月からは第3シーズンが、2017年9月からは第4シーズンが、最終シーズンとなる第5シーズンは2019年1月3日から全12話の構成で放送された。

 ゴッサムシティ市警新入りのジェイムズ=ゴードンは、ベテラン刑事のハーヴェイ=ブロックとペアを組み、トーマスとマーサ=ウェイン夫妻殺害事件解決を目指す。捜査中、ゴードンはウェイン家の執事のアルフレッド=ペニーワースに育てられる夫妻の遺児ブルースと知り合い、殺人犯逮捕をより一層決意する。捜査を通じてゴードンはフィッシュ・ムーニー、ドン・カーマイン=ファルコーネ、サルヴァトーレ=マローニといったゴッサムのマフィアたちと関わり合いになる。最終的にゴードンはブルースと友人となり、後にバットマンとなる少年の未来を形作る手助けとなる。
 本シリーズでは、ペンギン、リドラー、キャットウーマン、ジョーカー、ポイズン・アイヴィー、スケアクロウ、ヒューゴ=ストレンジ、トゥーフェイス、ミスター・フリーズ、ミスター・ザーズといったバットマンの悪役たちのバックストーリーも語られる。


主なキャスティング(俳優の年齢は、第2シーズン放送当初のもの)
ジェイムズ(ジム)=ゴードン …… ベン=マッケンジー(37歳)
 ゴッサムシティ警察の刑事で、退役軍人。父親はゴッサムシティの地方検事だったが、ジェイムズが13歳の時に自動車事故で亡くなっている。
 ゴッサム市警を解雇された後にコブルポットとの取引でゴッサム市警に復帰するも、その過程で借金の取立てを行ったクラブの店主を殺してしまう。

レスリー=トンプキンス …… モリーナ=バッカリン(36歳)
 アーカム・アサイラムの女性病棟で働いていた精神科医。
 ゴッサム市警に検視官として入るが、法を犯してでも犯罪者との危険な戦いにのめり込んでいき、バーバラとの関係に苦悩するゴードンに不安を覚えていく。

バーバラ=キーン …… エリン=リチャーズ(29歳)
 ジェイムズ=ゴードンの元婚約者でアートギャラリーのオーナー。過去にレニー・モントーヤと恋愛関係にあった。
 ジェロームらと共に、ゴッサムに混乱をもたらそうとするテオ=ギャラバンの手引きでアーカム・アサイラムを脱走する。

ハーヴェイ=ブロック …… ドナル=ローグ(49歳)
 ゴードンのパートナーとなるベテラン刑事。
 警察官を辞めてダイナーの主人となっているが、新本部長エッセンの殉職を機に刑事に復帰する。

ブルース=ウェイン …… デイヴィッド=マズーズ(14歳)
 謎の強盗に殺害された大富豪のトーマスとマーサ・ウェイン夫妻の息子でアルフレッド・ペニーワースの世話になっている孤児。
 成人後には「バットマン」として犯罪者と戦うことになる。
 執事アルフレッドから訓練を受けながらも、両親の死の真相を追求し、父の秘密を知って苦悩する。

アルフレッド=ペニーワース …… ショーン=パートウィー(51歳)
 ブルース=ウェインの執事かつ保護者。元特殊空挺部隊。
 ブルースが両親の死の真相や父の秘密を調べる姿を心配するあまり、父のコンピュータを壊してしまい、激怒したブルースによって解雇を言い渡される。だが訓練を施すことを条件に撤回され、コンピュータを修復するために、ウェイン・エンタープライズのルシアスを雇う。旧友レジーを殺害したセリーナを許すことができないが、ブルースが危機に陥った際は、彼女と共闘する。

セリーナ=カイル …… キャムレン=ビコンドヴァ(16歳)
 若いホームレスの泥棒で、自称「キャット」。ブルースとの間にほのかな恋愛感情を育む。しかし、同じ天涯孤独の身ではあっても、裕福な環境である者とそうではない者との違いから擦れ違いを起こしてしまうことも多いが、それでもブルースの存在は次第に大きくなっていく。
 後にバットマンと複雑な間柄の女怪盗「キャットウーマン」となる人物。
 コブルポットの手下になっている一方でブルースを気に掛けているが、レジーを殺害してしまったことからアルフレッドには嫌悪されている。

オズワルド=コブルポット(ペンギン)…… ロビン・ロード=テイラー(37歳)
 「ペンギン」というあだ名で呼ばれる、暗黒街に身を置く男。追い詰められると卑屈になる傾向があるなど情けない面も目立つが、上昇志向が異様に強く、自身を愛してくれたただ一人の人物である母ガートルドのために、闇の世界で伸し上がることを目論む。戦闘能力は決して高くないが、わずかな隙を見逃さずに反撃に転じる狡猾さと、持ち前の強い悪運で、何度も死の淵の危険に晒されながらも、しぶとく生き延びており、再起を繰り返している。
 警察官を解雇されたゴードンと取引をして借金の取り立てをさせ、ローブを脅してゴードンを復帰させるのと同時に市警本部長を辞任させる。
 シーズン2の時点では31歳。

エドワード=ニグマ(リドラー)…… コーリー・マイケル=スミス(28歳)
 ゴッサム市警で働く鑑識官。仕事に関してはそれなりに優秀であるのだが、なぞなぞ形式で情報を提供することを好むなど奇行が目立っており、ゴードンやブロックを辟易させる。また、普段は大人しく無害であるのだが、内面は自惚れが非常に強く、自分を否定されると暴力的な衝動が抑えられなくなり、やがて高圧的かつ暴力的な「リドラー」というもう一つの人格を持った二重人格者へと陥っていく。リドラーの人格は常に自信に満ちているが、その分自惚れの強さから油断してしまう悪癖があり、それが原因で度々足元をすくわれている。
 ニグマが殺害したドアティ刑事が去ったと思い込んでいる同僚クリステンと急速に接近する。

テオ=ギャラバン(アズラエル)…… ジェイムズ=フレイン(47歳)
 ウェイン家に復讐を誓いゴッサムに混乱をもたらそうとする実業家。表向きは温和な紳士を演じているが、かつてウェイン一族の先祖に不具にされ追放されたケイレブ=デュマの子孫で、「ゴッサムの息子」と呼ぶブルース=ウェインを殺害しウェイン家を滅亡させることを使命としている狂人。ゴッサム市長オーブリー=ジェイムズを誘拐して妹のタビサに拷問させ、更にはアーカム・アサイラムに収監されたジェロームやバーバラを脱走させて結成した犯罪集団マニアックスを放ち残虐非道な犯罪を行わせてゴッサムを混乱に陥れる。

タビサ=ギャラバン …… ジェシカ=ルーカス(30歳)
 テオの妹で鞭使い。テオの忠実な右腕である。

シルヴァー=セントクラウド …… ナタリー・アリン=リンド(16歳)
 テオ=ギャラバンおよびタビサの姪。ブルースと同じ学校に入学する。

ブッチ=ギルジーン …… ドリュー=パウエル(39歳)
 暗黒街の仕置人。コブルポットに仕えている。

ルシアス=フォックス …… クリス=チョーク(28歳)
 ウェイン・エンタープライズに所属する天才技術者。両親の死を調べ続けるブルースと出会い、自身もウェイン・エンタープライズの抱えている闇について共に調べていくことになる。
 後にウェイン・エンタープライズの CEOとなり、バットマンの使用するガジェットやツールの多くを開発することになる。

サラ=エッセン …… ザブリナ=ゲバラ(42歳)
 ゴッサム市警の殺人課課長でゴードンとブロックの上司。周辺の汚職行為を止めたいと思っている真っ当な警察官である。
 ローブ本部長の陰謀によって解雇されたゴードンがペンギンと取引をしてローブを辞任に追い込んだ結果、新たに本部長に昇進する。

ナサニエル=バーンズ …… マイケル=チクリス(52歳)
 エッセン本部長の殉職後にゴッサム市警に赴任し捜査指揮を執る主任警部。若手警官の精鋭からなるアルファ部隊を創設する。
 規律に厳しくやや融通の利かない頑固な面もあるが、不正は許さない高潔さも持つ人物で、自分と同じ元軍人であるゴードンと良好な関係を築く。

ハーヴェイ=デント …… ニコラス=ダゴスト(35歳)
 ハンサムで暖かく、魅力的な地方検事代理。
 後にヴィラン「トゥーフェイス」となる人物。

オーブリー=ジェイムズ …… リチャード=カインド(58歳)
 ゴッサム市長。物語の冒頭からテオに拉致・監禁されている。

ギリアン=B=ローブ …… ピーター=スコラーリ
 ゴッサム市警本部長。ゴードンを失脚させようと暗躍する。

ジェローム=ヴァレスカ …… キャメロン=モナハン(22歳)
 スネークダンサーのライラ=ヴァレスカと占い師のポール=シセロの間に生まれた息子。アーカム・アサイラムから自分を脱走させたテオ=ギャラバンの手下となる。

ヴィクター=ザーズ(ミスター・ザーズ)…… アンソニー=カリガン
 凄腕の殺し屋。殺人のたびにその数を肌に彫って記録する。コブルポットに仕える。

ガートルード=カプルプット …… キャロル=ケイン(63歳)
 オズワルド=コブルポットの過保護な母親。

ブリジット=パイク(ファイアフライ)…… ミッシェル=ヴェインティミラ(22歳)
 連続放火魔。パイク兄弟に虐待される義理の妹で、セリーナの友人。

クリール神父 …… ロン=リフキン(75歳)
 追放されたデュマ一族の縁者で、カルト教団を率いる。

ヴィクター=フライス( Mr.フリーズ)…… ネイサン=ダロウ(39歳)
 難病の妻ノーラを救うために誘拐殺人を繰り返し、人体の冷凍保存技術を研究する。

ノーラ=フライス …… クリスティン=ヘイガー(31歳)
 難病に苦しむヴィクターの妻。

ヒューゴ=ストレンジ教授 …… B・D=ウォン(54歳)
 表向きはアーカム・アサイラムの精神科主任医師であるが、その裏で地下研究施設インディアン・ヒルを支配し、人体実験に情熱を燃やす。自称「哲学者」。

エセル=ピーボディ …… トーニャ・ピンキンズ(53歳)
 ストレンジ教授の助手。

イライジャ=ヴァン・ダール …… ポール=ルーベンス(63歳)
 コブルポットの実の父。由緒ある家柄の資産家で、31年前に屋敷の家政婦だったガートルードと恋愛関係にあった。

グレース=ヴァン・ダール …… メリンダ=クラーク(46歳)
 イライジャの正妻。連れ子が2人いるが、イライジャとの間に子はない。夫の唯一の子であるコブルポットを資産相続の邪魔者として敵視する。

フィッシュ・ムーニー …… ジェイダ・ピンケット=スミス(44歳)
 元ナイトクラブのオーナーであり、ギャングの女リーダー。
 コブルポットとの対決で、ビルの屋上から突き落とされ、転落死したが、ヒューゴ=ストレンジ教授によって蘇生させられ、被験体の中で唯一、元の記憶を保持したままで甦り、触れた相手を意のままにする能力を得る。その後、インディアン・ヒルで起きた騒ぎに乗じて、怪物にされた者たちをバスに乗せて脱走。そこに居合わせたコブルポットやブッチを驚愕させ、余裕に満ちた態度でそのまま姿を消す。


第2シーズンのあらすじ
 第1シーズンの1ヶ月後。実業家テオ=ギャラバンが妹タビサと聖デュマ騎士団の力を借りてゴッサムシティの市長となり、ウェイン家に復讐しようとする。テオは殺されるが、ゴッサム市警はヴィクター=フライスに手を焼く。その頃、アーカム・アサイラムとウェイン・エンタープライズがひそかに所有するインディアン・ヒルでは、ストレンジ教授が狂気の実験を行っていた。


シーズン2 全22話 2015年9月~2016年5月
シーズン3 全22話 2016年9月~2017年6月
シーズン4 全22話 2017年9月~2018年5月
シーズン5 全12話 2019年1月~4月
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