映画『十一人の賊軍』(2024年11月1日公開 155分 東映)
『十一人の賊軍』は日本の映画作品。PG12指定。
江戸幕末の慶応四(1868)年一月に勃発した戊辰戦争のさなかで、新政府軍と対立する幕府方の奥羽越列藩同盟にしぶしぶ加担していた新発田藩の新政府軍への寝返り事件をもとに、たった十一人の罪人が新発田藩の命令により砦を守る壮絶な戦いに身を投じていく群像模様を描く。
本作の撮影は新潟県新発田市(新発田城、市島邸)、南魚沼市(雲洞庵)、宮城県白石市(白石城)、千葉県鋸南町などで行われた。
もともと本作のプロットと脚本は、映画『仁義なき戦い』初期四部作(1973~74年)や『大日本帝国』(1982年)などの脚本で知られる笠原和夫(1927~2002年)が1964年に執筆したものであったが、主人公側である賊軍が全員死んでしまう結末が当時の東映京都撮影所所長だった岡田茂(1924~2011年)の意にそぐわず却下され、企画はいったん打ち切りとなった。当時、激怒した笠原は原稿用紙350枚分もの脚本(ホン読み・検討会議用の第1稿)を破り捨ててしまい、プロットだけが残されていたという。
後年、笠原のインタビュー本『昭和の劇 映画脚本家・笠原和夫』(2002年 太田出版)でそのエピソードを知った映画監督の白石和彌は、笠原が描こうとした本作のドラマこそが現代の日本が抱える社会問題とシンクロすると確信し、東映での映画化が決定した。
また白石は、「物語のラストについてはプロットから改変しています。時代が変わるときに、誰が生き残って未来を見ていくのか。この作品のヒロイックさ、物語の強さは笠原さんにしか思い付かなかったものがある。僕らはそれを信じて、今の時代へのメッセージを込めました。」と語っている。
生前の笠原が遺した本作のシノプシス(物語のあらすじ)は、『笠原和夫 人とシナリオ』(2003年 シナリオ作家協会)に収録されている。
あらすじ
慶応四(1868)年七月。
江戸幕府の重要港である新潟を守る越後国新発田藩の城代家老・溝口内匠頭は進退窮まっていた。
江戸幕府方の奥羽越列藩同盟と新政府軍との日本を二分する戊辰戦争が激化する中、新発田藩は密かに奥羽越列藩同盟から新政府軍への寝返りを画策するが、新発田城には奥羽越列藩同盟の軍勢が出兵を求めて押しかけていた。そんな折、ついに新政府軍の到来が迫る。新発田城を出ない同盟軍と新政府軍とが鉢合わせしてしまっては、新発田は戦火を免れない。
絶体絶命の状況に一刻の猶予も無くなった内匠頭は一計を案じ、新政府軍の進撃を食い止める起死回生の一手として、新発田藩境にある砦への籠城作戦を命じる。集められたのは殺人、賭博、火付け、密航、姦通など人道を外れた罪で死罪を申し渡された十名の罪人たち。彼、彼女らに課された圧倒的に不利な命懸けの作戦とは、「新政府軍が砦を突破して新発田領内に侵攻することを防ぐこと」、ただそれだけだった。
死を覚悟していた罪人たちに見えた、「生き残る」という一筋の希望。勝てば無罪放免という約束を信じ、罪人たちは己のために突き進む。新発田藩、新政府軍、同盟軍、三者の思惑が交錯する中、それぞれの執念が渦巻く十一人の壮絶な戦争が始まる。
おもなキャスティング
侍殺しの政(まさ)…… 山田 孝之(41歳)
駕籠かき人足。妻さだを手籠めにした新発田藩士の善右衛門を殺害して死罪を言い渡されるが、新発田藩境の砦を守り抜けば無罪放免だと言われ、不本意ながらも決死隊とともに戦場に駆り出される。
鷲尾 兵士郎 ……仲野 太賀(31歳)
新発田藩の剣術道場の道場主で直心影流の使い手。城代家老・溝口内匠頭の命により砦を守る決死隊に参加する。
博奕打ちの赤丹(あかに)…… 二世 尾上 右近(32歳)
武士から金を巻き上げていたイカサマ博徒。
火付けのおなつ …… 鞘師 里保(26歳)
新発田の女郎。子を堕胎させられた恨みで男の家に放火した。
花火屋のノロ …… 佐久本 宝(26歳)
新発田の花火師の息子。捕らえられた政を死んだ兄と思い込み脱獄を助けた。
女犯の引導 …… 千原 せいじ(54歳)
檀家の娘を手籠めにするなど、数多くの女犯に及んでいた坊主。
医者のおろしや …… 岡山 天音(30歳)
医師の息子。医学を学ぶためにロシア帝国へ密航しようとした。
死にぞこないの三途 …… 松浦 祐也(43歳)
貧乏百姓。⼀家心中を図るが自分だけ死ねなかった。
二枚目 …… 一ノ瀬 颯(27歳)
新発田随一の色男。武家の女房と恋仲になり姦通で捕らえられた。
辻斬り …… 小柳 亮太(元・大相撲前頭筆頭豊山 31歳)
新発田藩内の村で大人数の村人を無差別に殺害した浪人。
爺っつぁん …… 本山 力(55歳)
新発田で名主の強盗殺人を犯した剣術家。
入江 数馬 …… 野村 周平(31歳)
罪人たちとともに砦を守る命を受けた決死隊の隊長。城代家老・溝口内匠頭の重臣で溝口の娘・加奈の婚約者。
溝口 内匠頭 清端 …… 阿部 サダヲ(54歳)
新発田藩城代家老。藩の実権を掌握し、領地が戦火に見舞われぬよう画策する。
溝口 加奈 …… 木竜 麻生(30歳)
溝口内匠頭の娘。入江数馬の許嫁。
さだ …… 長井 恵里(28歳)
政の女房。耳が不自由である。
溝口 伯耆守 直正 …… 柴崎 楓雅(16歳)
新発田藩第十二代藩主。
山県 狂介(のちの有朋)…… 玉木 宏(44歳)
新政府軍先鋒総督府参謀。新発田藩を新政府方に取り込もうと画策する。
岩村 精一郎 高俊 …… 浅香 航大(32歳)
土佐藩士。新政府軍先鋒総督府軍監。山県の右腕として働く。
色部 長門守 久長 …… 松角 洋平(47歳)
米沢藩国家老。奥羽越列藩同盟新潟港総督。新発田藩に新政府軍との決戦を迫る。
斎藤 主計頭 作兵衛 …… 駿河 太郎(46歳)
米沢藩士で色部の側近。奥羽越列藩同盟参謀。
荒井 万之助 …… 田中 俊介(34歳)
小暮 総七 …… 松尾 諭(48歳)
杉山 荘一郎 …… 佐野 和真(35歳)
水本 正虎 …… 佐野 岳(32歳)
水本 正鷹 …… ナダル(39歳)
寺田 惣次郎 …… 吉沢 悠(46歳)
里村 官治 …… 佐藤 五郎(45歳)
溝口 みね …… 西田 尚美(54歳)
世良 荘一郎 …… 安藤 ヒロキオ(42歳)
仙石 善右衛門 …… 音尾 琢真(48歳)
おもなスタッフ
監督 …… 白石 和彌(49歳)
脚本 …… 池上 純哉(54歳)
音楽 …… 松隈 ケンタ(45歳)
録音 …… 浦田 和治(75歳)
音響 …… 柴崎 憲治(69歳)
特撮 …… 神谷 誠(59歳)
制作 …… ドラゴンフライエンタテインメント
配給 …… 東映
≪血なまぐさい、顔の脂ギトギト、長い!! だが、それがいい……本文まだだなやぁ~≫
『十一人の賊軍』は日本の映画作品。PG12指定。
江戸幕末の慶応四(1868)年一月に勃発した戊辰戦争のさなかで、新政府軍と対立する幕府方の奥羽越列藩同盟にしぶしぶ加担していた新発田藩の新政府軍への寝返り事件をもとに、たった十一人の罪人が新発田藩の命令により砦を守る壮絶な戦いに身を投じていく群像模様を描く。
本作の撮影は新潟県新発田市(新発田城、市島邸)、南魚沼市(雲洞庵)、宮城県白石市(白石城)、千葉県鋸南町などで行われた。
もともと本作のプロットと脚本は、映画『仁義なき戦い』初期四部作(1973~74年)や『大日本帝国』(1982年)などの脚本で知られる笠原和夫(1927~2002年)が1964年に執筆したものであったが、主人公側である賊軍が全員死んでしまう結末が当時の東映京都撮影所所長だった岡田茂(1924~2011年)の意にそぐわず却下され、企画はいったん打ち切りとなった。当時、激怒した笠原は原稿用紙350枚分もの脚本(ホン読み・検討会議用の第1稿)を破り捨ててしまい、プロットだけが残されていたという。
後年、笠原のインタビュー本『昭和の劇 映画脚本家・笠原和夫』(2002年 太田出版)でそのエピソードを知った映画監督の白石和彌は、笠原が描こうとした本作のドラマこそが現代の日本が抱える社会問題とシンクロすると確信し、東映での映画化が決定した。
また白石は、「物語のラストについてはプロットから改変しています。時代が変わるときに、誰が生き残って未来を見ていくのか。この作品のヒロイックさ、物語の強さは笠原さんにしか思い付かなかったものがある。僕らはそれを信じて、今の時代へのメッセージを込めました。」と語っている。
生前の笠原が遺した本作のシノプシス(物語のあらすじ)は、『笠原和夫 人とシナリオ』(2003年 シナリオ作家協会)に収録されている。
あらすじ
慶応四(1868)年七月。
江戸幕府の重要港である新潟を守る越後国新発田藩の城代家老・溝口内匠頭は進退窮まっていた。
江戸幕府方の奥羽越列藩同盟と新政府軍との日本を二分する戊辰戦争が激化する中、新発田藩は密かに奥羽越列藩同盟から新政府軍への寝返りを画策するが、新発田城には奥羽越列藩同盟の軍勢が出兵を求めて押しかけていた。そんな折、ついに新政府軍の到来が迫る。新発田城を出ない同盟軍と新政府軍とが鉢合わせしてしまっては、新発田は戦火を免れない。
絶体絶命の状況に一刻の猶予も無くなった内匠頭は一計を案じ、新政府軍の進撃を食い止める起死回生の一手として、新発田藩境にある砦への籠城作戦を命じる。集められたのは殺人、賭博、火付け、密航、姦通など人道を外れた罪で死罪を申し渡された十名の罪人たち。彼、彼女らに課された圧倒的に不利な命懸けの作戦とは、「新政府軍が砦を突破して新発田領内に侵攻することを防ぐこと」、ただそれだけだった。
死を覚悟していた罪人たちに見えた、「生き残る」という一筋の希望。勝てば無罪放免という約束を信じ、罪人たちは己のために突き進む。新発田藩、新政府軍、同盟軍、三者の思惑が交錯する中、それぞれの執念が渦巻く十一人の壮絶な戦争が始まる。
おもなキャスティング
侍殺しの政(まさ)…… 山田 孝之(41歳)
駕籠かき人足。妻さだを手籠めにした新発田藩士の善右衛門を殺害して死罪を言い渡されるが、新発田藩境の砦を守り抜けば無罪放免だと言われ、不本意ながらも決死隊とともに戦場に駆り出される。
鷲尾 兵士郎 ……仲野 太賀(31歳)
新発田藩の剣術道場の道場主で直心影流の使い手。城代家老・溝口内匠頭の命により砦を守る決死隊に参加する。
博奕打ちの赤丹(あかに)…… 二世 尾上 右近(32歳)
武士から金を巻き上げていたイカサマ博徒。
火付けのおなつ …… 鞘師 里保(26歳)
新発田の女郎。子を堕胎させられた恨みで男の家に放火した。
花火屋のノロ …… 佐久本 宝(26歳)
新発田の花火師の息子。捕らえられた政を死んだ兄と思い込み脱獄を助けた。
女犯の引導 …… 千原 せいじ(54歳)
檀家の娘を手籠めにするなど、数多くの女犯に及んでいた坊主。
医者のおろしや …… 岡山 天音(30歳)
医師の息子。医学を学ぶためにロシア帝国へ密航しようとした。
死にぞこないの三途 …… 松浦 祐也(43歳)
貧乏百姓。⼀家心中を図るが自分だけ死ねなかった。
二枚目 …… 一ノ瀬 颯(27歳)
新発田随一の色男。武家の女房と恋仲になり姦通で捕らえられた。
辻斬り …… 小柳 亮太(元・大相撲前頭筆頭豊山 31歳)
新発田藩内の村で大人数の村人を無差別に殺害した浪人。
爺っつぁん …… 本山 力(55歳)
新発田で名主の強盗殺人を犯した剣術家。
入江 数馬 …… 野村 周平(31歳)
罪人たちとともに砦を守る命を受けた決死隊の隊長。城代家老・溝口内匠頭の重臣で溝口の娘・加奈の婚約者。
溝口 内匠頭 清端 …… 阿部 サダヲ(54歳)
新発田藩城代家老。藩の実権を掌握し、領地が戦火に見舞われぬよう画策する。
溝口 加奈 …… 木竜 麻生(30歳)
溝口内匠頭の娘。入江数馬の許嫁。
さだ …… 長井 恵里(28歳)
政の女房。耳が不自由である。
溝口 伯耆守 直正 …… 柴崎 楓雅(16歳)
新発田藩第十二代藩主。
山県 狂介(のちの有朋)…… 玉木 宏(44歳)
新政府軍先鋒総督府参謀。新発田藩を新政府方に取り込もうと画策する。
岩村 精一郎 高俊 …… 浅香 航大(32歳)
土佐藩士。新政府軍先鋒総督府軍監。山県の右腕として働く。
色部 長門守 久長 …… 松角 洋平(47歳)
米沢藩国家老。奥羽越列藩同盟新潟港総督。新発田藩に新政府軍との決戦を迫る。
斎藤 主計頭 作兵衛 …… 駿河 太郎(46歳)
米沢藩士で色部の側近。奥羽越列藩同盟参謀。
荒井 万之助 …… 田中 俊介(34歳)
小暮 総七 …… 松尾 諭(48歳)
杉山 荘一郎 …… 佐野 和真(35歳)
水本 正虎 …… 佐野 岳(32歳)
水本 正鷹 …… ナダル(39歳)
寺田 惣次郎 …… 吉沢 悠(46歳)
里村 官治 …… 佐藤 五郎(45歳)
溝口 みね …… 西田 尚美(54歳)
世良 荘一郎 …… 安藤 ヒロキオ(42歳)
仙石 善右衛門 …… 音尾 琢真(48歳)
おもなスタッフ
監督 …… 白石 和彌(49歳)
脚本 …… 池上 純哉(54歳)
音楽 …… 松隈 ケンタ(45歳)
録音 …… 浦田 和治(75歳)
音響 …… 柴崎 憲治(69歳)
特撮 …… 神谷 誠(59歳)
制作 …… ドラゴンフライエンタテインメント
配給 …… 東映
≪血なまぐさい、顔の脂ギトギト、長い!! だが、それがいい……本文まだだなやぁ~≫
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