バイデン米大統領(左端)に輪島塗のコーヒーカップなどを贈る岸田首相=9日、
米ワシントンのホワイトハウス(内閣広報室提供、共同)
岸田文雄首相は9日夜(日本時間10日午前)、バイデン米大統領夫妻の招待を受けて非公式の夕食会に出席した。
会場となったのは2020年大統領選への出馬をうかがうバイデン氏にジル夫人が決断を促したというゆかりのあるレストランだった。
夕食会はワシントン市内のシーフードレストラン「ブラックサルト」で2時間ほど開いた。米東海岸の伝統料理でカニの身を揚げ焼きした「クラブケーキ」などに舌鼓をうった。
米誌のジル夫人へのインタビュー記事によると、夫人は18年12月にバイデン氏にこの店で「(出馬)判断の時は近づいている」と語りかけ、バイデン氏は初めて大統領への意欲を示したという。
11月の大統領選で再選をめざすバイデン氏と自民党総裁の続投を狙う首相が親交を深めるのは絶好の場所となった。
両首脳は会場まで大統領専用車「ビースト」に同乗した。ビーストに他国の首脳を乗せるのは異例だ。
首相は夕食前に日本から持参した桜の苗木や、1月に能登半島地震が発生した石川県の伝統工芸品「輪島塗」のコーヒーカップやボールペンなどを贈った。
輪島塗について、若手職人が100以上の工程を経て制作したものだと説明した。沖縄県産コーヒー豆や人気ゲーム「スーパーマリオ」のグッズも添えた。裕子夫人はジル夫人に富山県の「高岡銅器」のアクセサリーをプレゼントした。
バイデン米大統領に贈呈された輪島塗のコーヒーカップ=共同
バイデン氏も首相に記念品を贈った。ホワイトハウスによると米歌手ビリー・ジョエルさんのサイン入りLPレコードとリトグラフを用意した。
革製の化粧箱に入った米国の楽曲をそろえたビンテージレコードなどもそろえた。裕子夫人には2023年にホワイトハウスに植えた桜を描いた絵画などを渡した。
岸田首相のX(旧ツイッター)に投稿されたバイデン米大統領(左)との写真
首相とバイデン氏は、X(旧ツイッター)に笑顔で写るツーショットの写真を投稿し、首相は「バイデン大統領夫妻との夕食会に向かう車中での様子です」と記した。
バイデン氏は「首相を米国に再び迎えられてうれしい」とつづった。
今村卓丸紅 執行役員 丸紅経済研究所長・グローバル総括部長
別の視点
岸田首相に贈られたビリージョエルのレコードには80年代初めのヒット曲「アレンタウン」も収録されていると思います。同氏がライブでも必ず歌う曲です。
製鉄業の衰退とともに失業者が増え廃れるペンシルベニア州に実在の街を描いたこの曲。首脳会談は日鉄のUSスチール買収を議題にしないようですが、レコードを通じて両首脳とも意識するのでは。
この曲には「工場は全て閉鎖、組合員も逃げ出した」など意味深い歌詞も含まれます。 とはいえ、この歌の最後は「それでもこのアレンタウンに住んでいる」。未来を信じるというメッセージを込めたこの歌が、日米の結束強化と日鉄の買収の進展にも通じることを期待します。
日経記事2024.04.10、4.11更新より引用
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キーマンは、リーダーシップがあって親分肌のジル夫人のようですね。 まるまるとして柔らかそうな裕子夫人と合うのでしょう。