Renaissancejapan

哲学と宗教、財閥、国際政治、金融、科学技術、心霊現象など幅広いジャンルについて投稿しています

ルネサス、逆風下の市況抵抗力 減益でも利益率3割維持

2024-04-25 20:09:01 | エレクトロニクス・自動車・通信・半導体・電子部品・素材産業

 

ルネサスエレクトロニクスが半導体の市況悪化に対する抵抗力を示している。

25日に発表した2024年1〜3月期連結決算(国際会計基準)は、純利益が前年同期比24%減の798億円となった。一方、営業利益率(非経常項目などを除くベース)は3割台を維持した。安定した収益力を身につけ、M&A(合併・買収)など成長投資に打って出る。

 

ビジネスTODAY
ビジネスに関するその日に起きた重要ニュースを、その日のうちに深掘りします。過去の記事や「フォロー」はこちら

「(半導体市況の)ダウンサイクルの中でも及第点を取れた」。ルネサスの柴田英利社長は同日のオンライン会見でこう話した。

 

中国市場を中心に産業機器などが低迷し、売上高にあたる売上収益は2%減の3517億円と減った。

一方、利益率は32.3%と、同社が長期目標として掲げる25〜30%を上回った。

 

 

株価が一時5%上昇

23日に1〜3月期決算を発表した米車載半導体大手のテキサス・インスツルメンツは純利益が35%減だった。

営業利益率は35.1%とルネサスよりも高いものの、前年同期と比べると9ポイント下落した。ルネサスの落ち込みは相対的に低かったことが好感され、25日のルネサス株は午前9時の決算発表後に一時前日比5%上昇する場面があった。

 

同社はかつては半導体市況の影響を受けやすい収益体質で、市況が悪化すると利益率も下がっていた。

 

 

21年までに相次ぎ実施した大型M&Aが収益構造の改善につながった。

17年には米インターシル、19年に米インテグレーテッド・デバイス・テクノロジー(IDT)、21年に英ダイアログ・セミコンダクターといった半導体メーカーを買収し、圧力や温度などのデータを処理するアナログ半導体の技術を手に入れた。

 

ルネサスが強みを持つ機器の動きを制御する「マイコン」の技術と、買収先の半導体製品を組み合わせ、新たなシステムを顧客に提案する。注文が来てから半導体を単品で売るのに比べ、付加価値を付けやすい。

システムに組み込んだ部品が正しく動くかの検証はルネサス側で済ませているため、顧客が新たな製品を開発する時間を短縮できる。産業機器や通信などの市場も開拓し、半導体の市況が変動しても営業利益率は大きく振れなくなった。

 

特約店との取引見直し

自社と顧客の持つ在庫管理を徹底した効果も出てきた。その1つが特約店と呼ばれる専門商社との取引の見直しだ。

生産計画では特約店から受け取る受注予測などを参考にする。契約社数を絞ることで商流を把握しやすくし、在庫が膨らむリスクを抑制する。

 

ルネサスは10年4月に国内市場向けに約30社の日系商社と契約していた。収益性や受注予測の精度が優れる特約店に絞り、直近の取引は5社前後まで減った。

取引を継続する特約店でも扱う製品を絞るなどしてきた。24年9月には新たに半導体商社の新光商事との特約店契約を終了する。

 

ルネサスが同日公表した24年1〜6月期の売上収益(非経常項目などを除いた非GAAPベース)は前年同期比3%減の7067億円前後を見込む。営業利益率は3.5ポイント減の31.4%とした。

柴田社長は「1〜6月期が市況のボトム(底)なのは変わらない。産業機器やモバイル向けは当面顧客の在庫調整が続く」と話す。

 

ルネサスは次の成長に向けて、半導体の開発環境などソフトへの投資を拡大している。

24年2月には約9000億円で米ソフトメーカーのアルティウムを買収すると発表した。各国当局の承認などを得たうえで24年中に買収を完了する予定で、巨額買収に向けて自己資本を蓄積する必要がある。市況変動への抵抗力を保てるかが、次の成長の条件となる。

(向野崚)

 

 


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。