共和党全国大会でトランプ氏の大統領候補指名が正式に決定した(15日、米ウィスコンシン州ミルウォーキー)
【ミルウォーキー(米ウィスコンシン州)=高見浩輔、八十島綾平】
共和党は15日開幕した全国大会でトランプ氏を同党の大統領候補に正式決定した。伴走者となる副大統領候補もJ.D.バンス上院議員に決まった。銃撃事件で党内の結束が強まるなか、11月5日投開票の大統領選に向けた体制が固まる。
共和党全国大会に参加した各州・地域の代議員が大統領と副大統領の候補指名を決めた。選挙公約にあたる政策綱領も採択した。
党大会には代議員のほか、党の有力者や大口献金者などが集まった。「彼こそが米国の勇敢な心だ」などトランプ氏を支持する意見表明が相次いだ後、ジョンソン下院議長が正式指名を宣言すると会場はロック音楽が鳴り響くなか熱狂的な歓声に包まれた。
「米国は団結を」。トランプ氏は現地入りした14日に、自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」に短くこう書き込んだ。党内だけでなく、民主党を含めた米国全体の結束を呼びかけた。
もっとも現地に駆けつけた支持者らは民主党こそが分断をあおり、トランプ氏のイメージを悪化させたことが凶行につながったと怒りを募らせている。
採択した政策綱領は「トランプ減税」の恒久化や不法移民への「史上最大の強制送還措置」など、トランプ氏の主張を色濃く反映する。増税や柔軟な国境対策を掲げる民主党とは真っ向から食い違う内容だ。
18日の指名受諾演説でトランプ氏が団結のメッセージをどう打ち出すのか注目される。
トランプ氏には追い風が吹く。同日には米連邦地裁が機密文書を不適切に扱ったというトランプ氏の疑惑を巡る検察の起訴を却下した。捜査を指揮した特別検察官を議会ではなく司法長官が任命したことが憲法違反にあたると判断した。
民主党のバイデン大統領が選挙戦を継続するかどうか危ぶまれるなか、襲撃を受けてもなお健在ぶりを示すトランプ氏の勢いが目立っている。
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トランプ氏が誰を副大統領候補にするか注目されていたが、2022年の選挙でトランプ氏の支援を受けて当選した39歳のJ.D.バンス上院議員に決まった。
他にも有力候補がいたが、バンス議員がイデオロギー的に一番近く、「忠実的」だということがあったのではないか。
また、39歳という若さで自らの高齢とのバランスを取ったとも考えられる。
海兵隊員上がりで、若い頃はトランプに批判的だったと言われるが、トランプが大統領時代に熱狂的なファンになり、2020年の選挙は不当だったとのトランプの主張を全面的に支持。
不法移民問題や妊娠中絶問題などでもトランプ路線を踏襲。民主党からは既に保守強行派との批判が出ている。
2024年に実施されるアメリカ大統領選挙に向け、現職のバイデン大統領やトランプ氏などの候補者、各政党がどのような動きをしているかについてのニュースを一覧できます。データや分析に基づいて米国の政治、経済、社会などに走る分断の実相に迫りつつ、大統領選の行方を追いかけます。
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