魔法が解けたそのあとで

結婚、出産、育児、介護、お仕事。来た球を打ち返す、毎日のつれづれをつづりました。

スープ

2007-10-07 17:17:25 | 結婚できるかな編
ホテルに戻った。

彼は寝ている。全然起きねーし…
わたしが出かけたことも気づいてない。

ちょっとばたばたしていたら、目を覚ました。

「ねえ」

寝ぼけている彼に話しかけた。

「どうするの?」

「俺寝ちゃった、ごめんな」

「ねえ、決めて」

「?」

「やめる?する?どっちかに決めて」

そこでやっと彼はことの重大さに気付いたようだ。

しばらく考えて、言った。

「正直言って、すごく驚いた。あんな風に言うのって信じられなかった。

だから、交通事故に遭った時みたいに、心臓がドキドキして、消化できなかった。だから寝ちゃったんだ、もう対処できなくて。食事も終わってからしようと思っていたから、食べてなかった。だから体調も悪くなってしまった。

あんな風にいつも言われるの?」

わたしは小さい頃からずっと、どういうように言われたか、されたか、詳しく話した。
うちの母は特別だとは思わない。頑張って父と一緒に三人きょうだいを育ててくれたと思う。
ただ、あまり普通でない生い立ちがあり、とても偏ったところが時たま顔を出すのだ。

「リツコ、可哀想だったなあ」

まあ、慣れてますから。

「分かった。今回はたしかに俺が悪かった。俺のミスだと思う。これからのことを考えよう」

それから彼はわたしを抱きしめた。

この人に付いて行けるんだろうか?
やめよう、と言ってしまったこの人を、四度目に信じられるだろうか?

昨日の昼からなにも食べていない彼に、何か食べさせようと思って、またコンビニに行った。スープを買ってきて、お湯を沸かした。自分もお風呂に入った。明日は仕事だ。東京に戻らなければならない。

身支度を整えて、少し眠った。30分くらい。
帰る前に一度、彼の部屋に行って忘れた物を取ってこないといけない。
もしかしたら、もう行かないかもしれないから。
少し眠ったら彼が起きた。
スープを飲むように言って、少し寝た。

とても、とても疲れていた。

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