漁師のおやじさん。
海女のおかみさん。
海に潜りました。
海の底、岩に住みついておだやかに暮らしていたサザエたち。
この二人に、無理やり陸に上げられました。
トロ箱いっぱいのサザエたちが「手土産品」となりました。
おやじさんの行きつけのカラオケスナック店へ持ち込まれたのです。
店に居合わせたお客にもふるまわれた。
ママさんが手際よく調理したのです。
折しも、居合わせたY君。
帰り際に、かの「手土産品」を手土産に持たされました。
どうしたものかと思案気に家に帰ったY君。
「こんなのもらって来て、どうするん~」
「どうせなら、調理済みをもらったらええのにぃ~」
さんざんヨメに冷たくあしらわれた、大きなサザエ五個たち。
貝にあたったらこわいので、すぐ火を通す方がいいと結論がでた。
深夜12時過ぎに、ヨメはおもむろに網を取り出した。
ここからがサザエの悲劇。
網に乗せられ、ガス火の「火あぶりの刑」
キューキューと断末魔の叫び声
醤油をドボドボ「醤油漬けの刑」
ブクブク煮あがれば後は金串で身をつかれる「串刺しの刑」
殻から無理やり出されて、「さらし刑」
「やぁ~グロテスクやな~」とさげすまれ・・・
深夜1時まで悲劇が続いた。
さんざんな目にあった、大きなサザエ五個の身の上話。