ちょっと技術のある作家ですと、さまざまな作風に挑戦してみて、
それでも作家本人の確立された「色」が見えれば、有意義だと周り
も評価するし、読者も新鮮さと良い意味での裏切りが楽しめるので
すが、まあ中には、ちょっと欲をかいてしまったのか、違った作風
に挑戦したはいいけど、これじゃこの作家の長所が台無しじゃない
かと失望してしまう、あえて褒め言葉でいうと「意欲作」(ひらた
くいえば努力賞的なモノ)といった作品になり、読者はこの作家の
新作に手を出しにくくなってしまうでしょう。
森絵都『風に舞いあがるビニールシート』は、短編集なのですが、
そのいずれも、これはほんとうに同じ作家が書いたのかと思ってし
まうほど、ヴァラエティ豊か。
ほかの作家の作風にたとえるのは、手前勝手な先入観と偏見がある
のですが、強いて、ということで了承していただくと、重松清のよ
うな視点の人間ドラマのようでもあり、浅田次郎のような温かさも
あり、村山由佳のような恋愛世界のようでもあるという、だからと
いって、個性が無いというわけではなく、多様性と柔軟性、そして
器用なんだなあ、という印象を持つことができます。
オススメは、作題「風に舞いあがるビニールシート」と、「ジェネ
レーションX」、あと「鐘の音」という3作品。
それでも作家本人の確立された「色」が見えれば、有意義だと周り
も評価するし、読者も新鮮さと良い意味での裏切りが楽しめるので
すが、まあ中には、ちょっと欲をかいてしまったのか、違った作風
に挑戦したはいいけど、これじゃこの作家の長所が台無しじゃない
かと失望してしまう、あえて褒め言葉でいうと「意欲作」(ひらた
くいえば努力賞的なモノ)といった作品になり、読者はこの作家の
新作に手を出しにくくなってしまうでしょう。
森絵都『風に舞いあがるビニールシート』は、短編集なのですが、
そのいずれも、これはほんとうに同じ作家が書いたのかと思ってし
まうほど、ヴァラエティ豊か。
ほかの作家の作風にたとえるのは、手前勝手な先入観と偏見がある
のですが、強いて、ということで了承していただくと、重松清のよ
うな視点の人間ドラマのようでもあり、浅田次郎のような温かさも
あり、村山由佳のような恋愛世界のようでもあるという、だからと
いって、個性が無いというわけではなく、多様性と柔軟性、そして
器用なんだなあ、という印象を持つことができます。
オススメは、作題「風に舞いあがるビニールシート」と、「ジェネ
レーションX」、あと「鐘の音」という3作品。