宮部みゆきの時代小説は、おもに江戸時代の深川近辺が舞台で、
登場人物は料理屋夫婦、女中、岡っ引きといった市井の人々。
彼らの人情話であったり、幽霊が出てくる怪談話であったりする
のですが、そもそも時代小説といっても、リアリティーを追求し
たければ史実や史料に基づいて書いたとしても、それらが事実や
真実であると断定はできないのであって、ましてや当たり前です
が、その時代に生きていて、いまも現存している人なんていません
ので、確実な証言も取れない。つまり舞台設定は読者にとって、想像の
範疇であるということ。
さらに、非科学的だと一蹴するつもりはありませんが、化学的に
実在するとは断言できない、幽霊が登場してくる。
これに作者のユーモアと筆力と想像力が結集すると、あら不思議、
ファンタジーになるのですね。
『あかんべえ』は、江戸市中で孤児だった少年が、料理人として
出世して、結婚しますが、なかなか子宝に恵まれず、ようやく娘
が授かると、料理人の師匠である旦那から独立して、料理屋をま
かされることになります。
ようやく引越しも済み、いろいろ下準備にかかろうとすると、娘
が生死をさまようような重い病気に罹ってしまい、その時に娘は、
夢の中で川岸にたたずみ、川岸にいたお爺さんと会話します。
目が覚めると、お坊さんが娘の体を指圧してくれています。その
お坊さんは「これでお前の病気は治る」といって、すっと消える
のです。
じじつ娘の容態は良くなり、しかし、娘はこの新しい料理屋に、
なにも喋らず娘と目が合うと「あかんべえ」をしてくる女の子や、
二枚目のお侍さん、遊女などといった、さまざまな幽霊がいること
が分かります。この幽霊は、娘の両親も、娘がおばちゃんと慕って
いる女中にも見ることはできません。
幽霊がこの料理屋に居座っている理由とは・・・、なぜ成仏できて
いないのか・・・、女の子の「あかんべえ」の意味とは・・・
見事といえる伏線で、これらすべて解明されていくのですが、ほんと
うにおもしろい。話に無理もなければ無駄もない。
登場人物は料理屋夫婦、女中、岡っ引きといった市井の人々。
彼らの人情話であったり、幽霊が出てくる怪談話であったりする
のですが、そもそも時代小説といっても、リアリティーを追求し
たければ史実や史料に基づいて書いたとしても、それらが事実や
真実であると断定はできないのであって、ましてや当たり前です
が、その時代に生きていて、いまも現存している人なんていません
ので、確実な証言も取れない。つまり舞台設定は読者にとって、想像の
範疇であるということ。
さらに、非科学的だと一蹴するつもりはありませんが、化学的に
実在するとは断言できない、幽霊が登場してくる。
これに作者のユーモアと筆力と想像力が結集すると、あら不思議、
ファンタジーになるのですね。
『あかんべえ』は、江戸市中で孤児だった少年が、料理人として
出世して、結婚しますが、なかなか子宝に恵まれず、ようやく娘
が授かると、料理人の師匠である旦那から独立して、料理屋をま
かされることになります。
ようやく引越しも済み、いろいろ下準備にかかろうとすると、娘
が生死をさまようような重い病気に罹ってしまい、その時に娘は、
夢の中で川岸にたたずみ、川岸にいたお爺さんと会話します。
目が覚めると、お坊さんが娘の体を指圧してくれています。その
お坊さんは「これでお前の病気は治る」といって、すっと消える
のです。
じじつ娘の容態は良くなり、しかし、娘はこの新しい料理屋に、
なにも喋らず娘と目が合うと「あかんべえ」をしてくる女の子や、
二枚目のお侍さん、遊女などといった、さまざまな幽霊がいること
が分かります。この幽霊は、娘の両親も、娘がおばちゃんと慕って
いる女中にも見ることはできません。
幽霊がこの料理屋に居座っている理由とは・・・、なぜ成仏できて
いないのか・・・、女の子の「あかんべえ」の意味とは・・・
見事といえる伏線で、これらすべて解明されていくのですが、ほんと
うにおもしろい。話に無理もなければ無駄もない。