『インコは戻ってきたか』の本の帯には、「女の側から書かれた冒険
小説があっていい!」とあり、たしかに女性作家のアクションエンター
テインメント系の小説も少なくありませんが、どうしても主人公は
男になってしまいます。
高村薫や服部真澄といった、ジェットコースターアクションやサスペンス
に長けた女性作家が、女性を主人公にした作品を書いても面白いと
思うのですが、やはり「宝探し」や「秘密基地」といえば男の子の
専売特許というか領域になってしまうのでしょうかね。
個人的に篠田節子という作家を好きな理由は、同性の嫌な部分を露骨に
描けるというところにあります。
(その代表格は桐野夏生を挙げたい)
男からしてみると「ええっ、女性って残酷」と思ってしまうような、
同性だから書けるということもあるのでしょうが。
女性雑誌の編集として働く、既婚で子持ちの響子は、海外旅行の取材で
地中海のキプロスへ向かいます。
しかし、信頼の置けるカメラマンではなく、その代理として檜山という
男が同行することに。
家庭内では義母のどことなく皮肉な物言いに辟易し、職場ではどこか
浮いた存在となり、そしてキプロスに着くと、同行の檜山は方向オンチ
で頼りなく、ついつい響子はきつく当たってしまいます。
女性の喜ぶような、治安の良さは当たり前で綺麗な風景や建物、という
触れ込みでキプロスに来たものの、現実は国内を分断する、ギリシャ系
とトルコ系を隔てる壁があり、ふたりが取材に来る前に、ギリシャ系の
少年がトルコ地区に侵入し射殺されるといった事件もあり、穏やかでは
ありません。
そんな中、きなくさい噂を耳にします。それは、ロシアのマフィアが
キプロスに暗躍しているということ。さらに響子は取材中に誰かに
尾行されていると気づきます。
取材もほぼ終わりに近づいた日の夜、檜山の運転する車が道を誤り、
トルコ系地域に迷い込んでしまいます。ふたりは軍人に捕まり、連行
されてしまいます。そこには、トルコ系地域に取材に来ていた外国人
記者も数名連行されていて、今日じゅうには停戦ラインを越えることは
できないと告げられます。
そして、停戦ラインの向こう側では暴動寸前の騒ぎで・・・
インコとは、ふたりが取材途中で出会った少年が飼っていた鳥で、
この鳥は出稼ぎで非合法にギリシャ系地域に来ていたトルコ系の
男が飼っていたもので、しかし男は捕まってしまい、少年に「必ず
戻るから」と言い残し、インコをあげたのです。
ふたりと少年が会話をしている最中、そのインコは空へと飛んでいって
しまいます。
小さな島で住民が争うキプロスという国と、インコ。この対比が
胸を打ちます。
小説があっていい!」とあり、たしかに女性作家のアクションエンター
テインメント系の小説も少なくありませんが、どうしても主人公は
男になってしまいます。
高村薫や服部真澄といった、ジェットコースターアクションやサスペンス
に長けた女性作家が、女性を主人公にした作品を書いても面白いと
思うのですが、やはり「宝探し」や「秘密基地」といえば男の子の
専売特許というか領域になってしまうのでしょうかね。
個人的に篠田節子という作家を好きな理由は、同性の嫌な部分を露骨に
描けるというところにあります。
(その代表格は桐野夏生を挙げたい)
男からしてみると「ええっ、女性って残酷」と思ってしまうような、
同性だから書けるということもあるのでしょうが。
女性雑誌の編集として働く、既婚で子持ちの響子は、海外旅行の取材で
地中海のキプロスへ向かいます。
しかし、信頼の置けるカメラマンではなく、その代理として檜山という
男が同行することに。
家庭内では義母のどことなく皮肉な物言いに辟易し、職場ではどこか
浮いた存在となり、そしてキプロスに着くと、同行の檜山は方向オンチ
で頼りなく、ついつい響子はきつく当たってしまいます。
女性の喜ぶような、治安の良さは当たり前で綺麗な風景や建物、という
触れ込みでキプロスに来たものの、現実は国内を分断する、ギリシャ系
とトルコ系を隔てる壁があり、ふたりが取材に来る前に、ギリシャ系の
少年がトルコ地区に侵入し射殺されるといった事件もあり、穏やかでは
ありません。
そんな中、きなくさい噂を耳にします。それは、ロシアのマフィアが
キプロスに暗躍しているということ。さらに響子は取材中に誰かに
尾行されていると気づきます。
取材もほぼ終わりに近づいた日の夜、檜山の運転する車が道を誤り、
トルコ系地域に迷い込んでしまいます。ふたりは軍人に捕まり、連行
されてしまいます。そこには、トルコ系地域に取材に来ていた外国人
記者も数名連行されていて、今日じゅうには停戦ラインを越えることは
できないと告げられます。
そして、停戦ラインの向こう側では暴動寸前の騒ぎで・・・
インコとは、ふたりが取材途中で出会った少年が飼っていた鳥で、
この鳥は出稼ぎで非合法にギリシャ系地域に来ていたトルコ系の
男が飼っていたもので、しかし男は捕まってしまい、少年に「必ず
戻るから」と言い残し、インコをあげたのです。
ふたりと少年が会話をしている最中、そのインコは空へと飛んでいって
しまいます。
小さな島で住民が争うキプロスという国と、インコ。この対比が
胸を打ちます。