晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

浅田次郎 『天切り松 闇がたり 残侠』

2012-12-24 | 日本人作家 あ
大正時代に大活躍(?)した、盗っ人の「目細の安吉」一家、
そこに小僧として弟子入りした松蔵が、現代になって昔の出来
事を留置場で同部屋に入ってきた犯罪者、または警官に話を聞
かせる、といったシリーズで、前作の「闇の花道」では、見事
に泣かされてしまいました。

目細の安吉親分の弟子、松の兄貴分、姐貴分には、英治、寅、
常、おこん、と4人いて、この人たちがまたカッコイイ。

シリーズ2巻になって、安吉含め5人のバックグラウンドが
明らかになってきて(全部ではありませんが)、そして今作
でも、ビッグゲストが登場します。

新年、寅兄ィは松を連れて初詣でに。そこで大道芸を見て
いると、江戸時代の格好そのままの老人がやってきて、見事
な居合抜きを披露します。

そのまま寅は博奕へ出かけます。するとそこに、先程の老人
がいて、老人はすごいツキで勝ち続けています。

翌日、安吉の家に、その老人が訪ねてきます。玄関先で仁義
を切り、「遠州の政五郎」と名乗ります。
なんと、死んだといわれていた清水の次郎長の子分、小政だ
ったのです・・・

その他、安吉が警察と手を組む・・・?の「目細の安吉」、
常次郎が見事な詐欺を披露する「百面相の恋」、おこんが
軍人に一目惚れされる「花と錨」、英治が登場する「黄不動
見参」、松が吉原で”筆おろし”をする「星の契り」、そして
最終話「春のかたみに」では、松を盗っ人一家に売った父親
が死んで、母を見殺しに、姉を吉原に売り飛ばした父を許せ
ずに、葬式に出ようとしない松を安吉親分が怒って破門させ
られそうに・・・

今の腐った時代より昔が良かった的な単純な話ではなく、
日本人が置き忘れてきた大事な何かを教えてくれます。
コメント
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