先日読んだ「泥の川」と「蛍川」、そして『道頓堀川』の3作で
「川3部作」を読了いたことになりましたが、宮本輝作品はほか
にも「流転の海」がシリーズとしてあり、これはまだ読んでいない
ので、今から楽しみです。
それにしても、この「川3部作」は、なんというか、昭和を描いて
いるのに、明治の香りが漂ってくる、そんな作風で、この3作に
共通しているのは、「死」が身近で起こり、それなりに登場人物に
影響をおよぼすわけではありますが、あざとくお涙頂戴にしない
というか、自然主義よりも自然に人間を描く追求が感じられるあたりが、
明治文学とどこか通ずるものがあるのでは。
両親をはやくに亡くしてしまった邦彦。大学に通うも、親の遺してくれた
金額では生活も苦しく、道頓堀川近くの喫茶店「リバー」に住み込みで
働かせてもらいます。
マスターの武内は妻を病気で亡くし、息子の政夫がいますが、毎日遊び
にくりだして、家にはあまり帰ってきません。
武内は、終戦で引き上げて大阪に帰って来て、生活の糧として、ヤミ市で
働き、そのうち、子どものころから上手だったビリヤードで稼ぎだします。
ヤミ市時代に知り合った未亡人の女性を出会い、やがて結婚。
市場で成功し、ちゃんとした店を構えるまでになっても、賭けビリヤード
はやめることができず、妻と幼い息子のいる家庭を顧みず勝負に夢中。
やがて、妻は息子を連れて、男と消えるのです・・・
邦彦の父にかつて世話になったという料理屋の主人や、その父の愛人、
顔見知りの水商売のまち子姐さん、まち子の飼っている3本足の犬、と
いったサブキャラクターもいい味を出していて、華やいだ街の中にあって
そこに暮らす人たちは、ごく普通の生活をしていて、困ったときには助け
合い、別に派手派手というわけではありません。
一見、地味とも思える、淡々と話は進み、ドラマチックな大展開も特に
なく、それでも読ませる、というのは、前に読んだことがあったな、と
思い出したのが、半村良の「雨やどり」という作品。
こちらは歌舞伎町が舞台となっていて、東西違えど大繁華街で暮らす人々を
描いており、そこには、都会では廃れてしまったと思われた人情や心意気が
しっかりと残っていて、濁流に抗いながらも生きていく、そんなたくましさ
が見えます。
「川3部作」を読了いたことになりましたが、宮本輝作品はほか
にも「流転の海」がシリーズとしてあり、これはまだ読んでいない
ので、今から楽しみです。
それにしても、この「川3部作」は、なんというか、昭和を描いて
いるのに、明治の香りが漂ってくる、そんな作風で、この3作に
共通しているのは、「死」が身近で起こり、それなりに登場人物に
影響をおよぼすわけではありますが、あざとくお涙頂戴にしない
というか、自然主義よりも自然に人間を描く追求が感じられるあたりが、
明治文学とどこか通ずるものがあるのでは。
両親をはやくに亡くしてしまった邦彦。大学に通うも、親の遺してくれた
金額では生活も苦しく、道頓堀川近くの喫茶店「リバー」に住み込みで
働かせてもらいます。
マスターの武内は妻を病気で亡くし、息子の政夫がいますが、毎日遊び
にくりだして、家にはあまり帰ってきません。
武内は、終戦で引き上げて大阪に帰って来て、生活の糧として、ヤミ市で
働き、そのうち、子どものころから上手だったビリヤードで稼ぎだします。
ヤミ市時代に知り合った未亡人の女性を出会い、やがて結婚。
市場で成功し、ちゃんとした店を構えるまでになっても、賭けビリヤード
はやめることができず、妻と幼い息子のいる家庭を顧みず勝負に夢中。
やがて、妻は息子を連れて、男と消えるのです・・・
邦彦の父にかつて世話になったという料理屋の主人や、その父の愛人、
顔見知りの水商売のまち子姐さん、まち子の飼っている3本足の犬、と
いったサブキャラクターもいい味を出していて、華やいだ街の中にあって
そこに暮らす人たちは、ごく普通の生活をしていて、困ったときには助け
合い、別に派手派手というわけではありません。
一見、地味とも思える、淡々と話は進み、ドラマチックな大展開も特に
なく、それでも読ませる、というのは、前に読んだことがあったな、と
思い出したのが、半村良の「雨やどり」という作品。
こちらは歌舞伎町が舞台となっていて、東西違えど大繁華街で暮らす人々を
描いており、そこには、都会では廃れてしまったと思われた人情や心意気が
しっかりと残っていて、濁流に抗いながらも生きていく、そんなたくましさ
が見えます。
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