晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

スティーヴン・キング 『呪われた町』

2010-07-15 | 海外作家 カ
思えば、つい数年前まで本を読む習慣が無かったのが嘘のように、
ある日を境に突然本をむさぼり読むようになり、それまでは年に
せいぜい1,2冊読めばいいほうだったのが、1月に5冊、やがて
1月に10冊前後に増え、去年はだいたい150冊くらい読んだ
のですが、キングは去年はじめて読んだのでした。

宮部みゆきのあとがきなどを見ると、キングが小説の師匠的存在だ、
などとあり、いつか読もうと思っていたのですが、ずいぶんと先送り
してしまい、そして去年から今年にかけて、遅れた分を取り戻す勢い
で、キングを読み漁っている状態。

『呪われた町』は、デビュー作「キャリー」に続く2作目の作品で、
次の作品、3作目がキングを不動の売れっ子作家ならしめた「シャイニング」
でということで、いわばこの『呪われた町』は、3段跳びでいうところの
「ステップ」にあたるのでしょうかね。

舞台は、アメリカ北東部、メイン州にある、セイラムズ・ロット(正式には
ジェルーサレムズ・ロット)という小さな町。ここで、ある不可思議な出来事
が起きます。それは、突然町の住人がいっせいに姿を消したのです。

アメリカには、金やオイルを求めて一攫千金を狙おうと、各地に小さな町が
できては消え、できては消え、一般に言う「ゴーストタウン」がたくさんあり、
さほど珍しくもないのですが、セイラムズ・ロットは20世紀に入ってからの
話で、地域限定の伝染病というわけでもなし、町から出た住人で、その行方が
わかっているのは、ほんの数人だけ。まさに「忽然と」消えてしまったのです。

ここに、アメリカ各地を転々と旅し、メキシコに入った男と少年の2人連れが
います。彼らは、メキシコの教会で、ある告解をするのです。それは・・・

ベン・ミアーズという作家が、久しぶりに故郷セイラムズ・ロットに戻って
きます。彼は少年時代、この町で叔母と暮らし、不幸な事故で愛する人を失って
からは、足を踏み入れませんでした。
車で町内を走り回ると、変わらない街並みが目に入ってきます。そして、変わらない
といえば、高台に建つ、不気味な館もそう。

この館はその持ち主の名から「マーステン館」と呼ばれていて、住人は家の中で
死んでいるのを発見、それから借り手もいなく、不気味な様相でたたずんでいます。
少年だったベンは、年長の仲間に入れてもらいたくて、度胸試しにと、マーステン館
に忍び込み、家の中の何かを持って帰ってこいと言われ、館に侵入。
ベンは、ガラス製のペーパーウェイトを持ち帰ろうとしますが、そこで見たものは、
とっくに片付けられているはずの、館の主人だったマーステンの死体だったのです。

あれは幽霊だったのか、幻覚だったのか、大人になっても分からず、次の小説の舞台を
生まれ育った町セイラムズ・ロットにしようと、旅館に泊まって、原稿を書くことに。

彼が町に戻ってきた時を同じくして、ある一人の男が、マーステン館を買います。
ストレイカーと名乗るこの男は、セイラムズ・ロットで骨董家具屋を開きたいと
いうのです。

やがて、この町で、奇妙な出来事が起こりはじめます。墓地の門扉に、犬の死体が
吊られていたのです。それから、住人が姿を消す、ある住人は謎の死因で亡くなり、
検死にまわされて安置所に置かれた死体が消え、そして、深夜、亡くなったはずの
人間が窓の外に・・・

ベンと、町で出会った恋人のスーザン、高校教師のマット、マットの教え子で医師の
ジミー、そしてオカルトに詳しい少年マークが、この町で起こる事件は、あの高台に
建つマーステン館の新しい住人、ストレイカーが怪しいとにらみ・・・

もう、読み始めてからとまらず、時期の悪いことにワールドカップも見たくて、
おかげで読み終わるまで、寝不足。
翻訳された永井淳さんの解説では、キング作品は明快でも流麗でもないけど、型どおり
のエンターテインメント路線とは異なる別な文体の魅力がある、と評しています。
ここに、永井さんの流麗な日本語訳が加わり、さらに面白い、というわけ。


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2 コメント

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懐かしい~ (hi-lite)
2010-07-17 10:44:02
昔、キングにハマってた時期があり、「呪われた町」も読みました。
吸血鬼の話ですよね。
小野不由美さんの「屍鬼」なんかは、このキングの「呪われた町」と萩尾望都の「ポーの一族」をミックスしたやつとの印象を持ってます。
キング、自分はあと「ファイアースターター」好きですね。
ラストが良い!
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Unknown (ロビタ(管理人))
2010-07-17 14:18:18
hi-liteさん>

コメントありがとうございます!
そうですね、小野不由美「屍鬼」はオマージュ的
小説だとどこかに書いてありました。
「ファイアスターター」は、買って書棚に入ってます・・・
早く読みたいけど、まだ他に読む本がいっぱい(笑
返信する

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