久しぶりに、本を読むのは「楽(らく)」することではなく「楽しい」もの
なのだ、と心から感じる作品に出会えた気がします。
5月に入ってから読み始めたのですが、読む時間がなかったという言い訳は
別にしても、何度か途中で読むのやめようかなと思うくらい先に進まず、
挙句、中断して別の本を読んでしまいました。
というのも、東西冷戦時のスパイ小説で、ソ連側の話のときは、当然ですが
登場人物はロシア人で、ロシアの小説を読んだ方ならお分かりかと思いますが、
とにかく名前が覚えられないのです。普通に苗字で統一してくれればいいの
ですが、「そうだろう、ミハイル・セミョーノヴィッチ」「だがしかし、ゲンナジー・
ウラジーミロヴィッチ」「私もそうだ、ジミトリー・チモフェーエヴィッチ」
なんて会話が繰り広げられたら、混乱して誰が誰だか。
ましてや、例えばミハイルだったら、仲の良い人は愛称の「ミーシャ」なんて
読んだりするから、混乱に拍車がかかります。
前に「罪と罰」を読んだときも、誰が誰だかわけがわからなくなって、自分で
相関図を作って、ああ、この人はこれか、というふうに読んだことを思い出しました。
さて、内容はというと、東西冷戦の終わり頃でしょうか、核の縮小会議が米ソ間で
行われて、ソ連書記長ナルモノフはアメリカ大統領と会談の予定で、政治体制も
変わろうとしています。
しかし、東西の話し合いはすれ違い、なかなか着地点にたどり着けません。
そんな中、ソ連の南、タジクの基地から、謎の光線が発射され、”何か”を
撃ち落とした、という衝撃のニュースがアメリカの軍、政府関係者を驚かせます。
じつはアメリカも、来るスターウォーズ時代のためレーザー光線の開発を急いで
いて、先にソ連の「輝く星プロジェクト」が成功を収めたよう。
さっそく、CIAはソ連側のスパイ「枢機卿」に、「輝く星」の詳細な報告を求め
ます。この「輝く星」プロジェクトは極秘で進められており、これを知る者は
軍の中でもわずか、トップクラスの将校しか知り得ないのですが、では「枢機卿」
とは軍のトップクラスなのか・・・
ところで、この『クレムリンの枢機卿』には、「レッドオクトーバーを追え」に
出てきた、ソ連の潜水艦の艦長ラミウスと、CIA分析官のライアンが登場します。
ライアンは、核縮小会議にも参加していて、そして「輝く星」に関する報告を
スパイする「枢機卿」とは、会議でちらりと会っていたのですが、その時はまさか
彼がスパイだとは知りませんでした。
さっそく、「枢機卿」はフィルムを作成して、2重、3重の用心で運ぼうとしますが、
なんと途中でKGBにバレてしまったのです。
KGB大佐のヴァトゥーチンは、スパイが軍の将校クラスだとつかみ、「枢機卿」は
逃げようとしますが・・・
「枢機卿」は、30年もスパイ活動を続けていて、KGBに捕まったことを知ったCIAは
アメリカ大統領に彼を助けたいので亡命させる許可をもらおうとしますが、核縮小会議に
影響が出ないかが気がかりになり、即決はできません。
一方、KGBもアメリカのレーザー光線プロジェクトの動向を見張っていて・・・
かなり序盤で「枢機卿」の正体はわかるのですが、これが物語の最初のビックリなので
ネタバレは避けます。
米ソのスパイ合戦、ソ連の政治の駆け引きなどが描かれる中、「射手」と呼ばれる
アフガニスタンのゲリラが登場します。
「射手」とは何者なのか。ソ連を憎むことになった理由は。そして彼は何を狙うのか。
文庫本の上巻を読み終わるのに、かなり時間がかかりましたが、下巻に入るとそれまで
ページをめくるのが苦痛だったのが、もう面白くて止まらなくなり、まさにむさぼるよう
に読み進めました。
交渉の緊迫感、スパイ行動のスリリングさはゾクゾクします。
終わりの方で、ある登場人物が死ぬのですが、その死の瞬間を、直接的な表現を使わずに
描写していることに、感動と言ったら語弊がありますが、なんというか「美しい」とすら
思ってしまいました。もう凄いとしかいいようがありません。
なのだ、と心から感じる作品に出会えた気がします。
5月に入ってから読み始めたのですが、読む時間がなかったという言い訳は
別にしても、何度か途中で読むのやめようかなと思うくらい先に進まず、
挙句、中断して別の本を読んでしまいました。
というのも、東西冷戦時のスパイ小説で、ソ連側の話のときは、当然ですが
登場人物はロシア人で、ロシアの小説を読んだ方ならお分かりかと思いますが、
とにかく名前が覚えられないのです。普通に苗字で統一してくれればいいの
ですが、「そうだろう、ミハイル・セミョーノヴィッチ」「だがしかし、ゲンナジー・
ウラジーミロヴィッチ」「私もそうだ、ジミトリー・チモフェーエヴィッチ」
なんて会話が繰り広げられたら、混乱して誰が誰だか。
ましてや、例えばミハイルだったら、仲の良い人は愛称の「ミーシャ」なんて
読んだりするから、混乱に拍車がかかります。
前に「罪と罰」を読んだときも、誰が誰だかわけがわからなくなって、自分で
相関図を作って、ああ、この人はこれか、というふうに読んだことを思い出しました。
さて、内容はというと、東西冷戦の終わり頃でしょうか、核の縮小会議が米ソ間で
行われて、ソ連書記長ナルモノフはアメリカ大統領と会談の予定で、政治体制も
変わろうとしています。
しかし、東西の話し合いはすれ違い、なかなか着地点にたどり着けません。
そんな中、ソ連の南、タジクの基地から、謎の光線が発射され、”何か”を
撃ち落とした、という衝撃のニュースがアメリカの軍、政府関係者を驚かせます。
じつはアメリカも、来るスターウォーズ時代のためレーザー光線の開発を急いで
いて、先にソ連の「輝く星プロジェクト」が成功を収めたよう。
さっそく、CIAはソ連側のスパイ「枢機卿」に、「輝く星」の詳細な報告を求め
ます。この「輝く星」プロジェクトは極秘で進められており、これを知る者は
軍の中でもわずか、トップクラスの将校しか知り得ないのですが、では「枢機卿」
とは軍のトップクラスなのか・・・
ところで、この『クレムリンの枢機卿』には、「レッドオクトーバーを追え」に
出てきた、ソ連の潜水艦の艦長ラミウスと、CIA分析官のライアンが登場します。
ライアンは、核縮小会議にも参加していて、そして「輝く星」に関する報告を
スパイする「枢機卿」とは、会議でちらりと会っていたのですが、その時はまさか
彼がスパイだとは知りませんでした。
さっそく、「枢機卿」はフィルムを作成して、2重、3重の用心で運ぼうとしますが、
なんと途中でKGBにバレてしまったのです。
KGB大佐のヴァトゥーチンは、スパイが軍の将校クラスだとつかみ、「枢機卿」は
逃げようとしますが・・・
「枢機卿」は、30年もスパイ活動を続けていて、KGBに捕まったことを知ったCIAは
アメリカ大統領に彼を助けたいので亡命させる許可をもらおうとしますが、核縮小会議に
影響が出ないかが気がかりになり、即決はできません。
一方、KGBもアメリカのレーザー光線プロジェクトの動向を見張っていて・・・
かなり序盤で「枢機卿」の正体はわかるのですが、これが物語の最初のビックリなので
ネタバレは避けます。
米ソのスパイ合戦、ソ連の政治の駆け引きなどが描かれる中、「射手」と呼ばれる
アフガニスタンのゲリラが登場します。
「射手」とは何者なのか。ソ連を憎むことになった理由は。そして彼は何を狙うのか。
文庫本の上巻を読み終わるのに、かなり時間がかかりましたが、下巻に入るとそれまで
ページをめくるのが苦痛だったのが、もう面白くて止まらなくなり、まさにむさぼるよう
に読み進めました。
交渉の緊迫感、スパイ行動のスリリングさはゾクゾクします。
終わりの方で、ある登場人物が死ぬのですが、その死の瞬間を、直接的な表現を使わずに
描写していることに、感動と言ったら語弊がありますが、なんというか「美しい」とすら
思ってしまいました。もう凄いとしかいいようがありません。
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