晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

池井戸潤 『オレたちバブル入行組』

2018-10-15 | 日本人作家 あ
先月ですか、「下町ロケット」を読んで、当ブログで「ドラマの
(半沢直樹)の原作を読みたい)てなことを書いて、ちょっくら
お出かけついでに買ってきました。

(序章)で、慶応の経済学部の学生、半沢直樹は、産業中央銀行
の一次面接に臨んでいます。そして二次、三次面接と進んでいき、
内定をもらった同じ大学の押木、渡真利、苅田と自己紹介をしあ
います。この中の渡真利とは同じ学部の顔なじみで、半沢のこと
を「コイツはヤバイから気を付けろ」みたいに紹介するのですが、
なるほど読み進んでいくにつれて「ヤバさ」が伝わってきます。

ちなみにこの時、一九八八年、バブル絶頂期、この時代に都市銀
に就職できるなんて超エリート、「一生安泰」なんて思われてい
たのですが・・・

それから〇〇年後、半沢は大阪西支店の融資課長になっています。

いきなり大問題。

融資先の「西大阪スチール」が一回目の不渡りを出して、債権の
回収策を話し合っています。西大阪スチールが粉飾をしていた疑
いがあるのですが、支店長の浅野は「もし回収できなかったら、
粉飾を見抜けなかった君のせいだ」と言うのです。
が、そもそもこの融資の話は、支店長の浅野が持ってきた話。
新規の融資先なんてそうそう見つからないのに、浅野が半ば強引
に取り付けたもので、融資金額は五億円。しかも無担保。

しかし、この経緯にどうも不自然な点があると思う半沢。という
のも、いきなりこの話を持ち出してきて、新人にチェックをさせ
て、課長である半沢が確認をする前に翌日の朝イチで会議にかけ
たのです。確かに、支店長の(暴走)を止められなかったという
点については半沢にも責任があるといえばあるのですが、それに
してもこの全責任を半沢一人にかぶせようとするのはあまりにも
理不尽です。

そうはいっても罪の擦り付け合いをしているヒマはないので半沢
はなにはなくとも回収しなければなりません。さっそく西大阪ス
チール本社に行きますが、もちろん社長はいません。

大坂に出張で来ていた同期の渡真利に会い、そこで「お前んとこ
の支店長、ちょくちょく本部に顔出ししてるぞ」と聞きます。
これは責任逃れの根回しなのか。

債権回収できなかったら、このままでは半沢がかぶる羽目に。

ある日、西大阪スチールの状況を調べていると民間の調査会社が
銀行に来ます。そこで半沢は(粉飾されてない決算書)を調査会
社の人に見せてもらうのですが、それを穴のあくほど眺めている
うちに「なにかおかしい」と気付き、西大阪スチールの取引先で
ある「竹下金属」へ向かうのですが・・・

そうこうしてるうちに、半沢と部下に、本部から出頭命令が来て、
状況はますます悪くなってゆきます。さらに支店長は人脈をフル
活用してあの手この手で半沢を追い詰めていきますが、そんな中、
ある一枚の領収書を足がかりに、西大阪スチールの「隠し金」の
存在が・・・
果たして半沢は回収できるのか。そもそもこの融資の話はどうい
う流れで起こったのか。行方をくらましている西大阪スチールの
社長の行方は。

いちおうジャンルとしては「経済小説」に入るのでしょうが、も
う読み始めてから読み終わるまでハラハラドキドキしっぱなしの
「エンターテインメント小説」でした。「下町ロケット」でもそ
うでしたが、本筋とは別に主人公のプライベートな側面がちょい
ちょい描かれているのですが、この塩梅が絶妙ですね。

ちなみにドラマは見てなかったのですが、それでも「倍返しだ」
の例のセリフくらいは知ってまして、そのシーンに至るまでをよ
うやく知ることができました。

そして倒産の定義とは、銀行と国税との関係、などなど、一般人
にはわかりにくいいろいろなことの説明もちゃんとあって、読み
終わって「ちょっとお利口になった」気分にさせてくれるのも、
ちょいと、その、いいですね。

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