晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

T・スコーシア、F・ロビンソン 『タワーリング・インフェルノ』

2009-01-10 | 海外作家 サ
この本を読むまで知らなかったのですが、もともと原題は
「The Glass Inferno(ガラスの地獄)」というもので、
他にほぼ同時期に出版された「The Tower(ザ・タワー)」
という作品があって、どちらも高層ビル火災の恐怖を扱ったもの。
映画会社のワーナー・ブラザーズと20世紀FOXがそれぞれ別々に
映画化をする予定だったものが、内容がだいたい同じようなもので、
制作費がバカ高くなりそうだったので、この2社は企画を合作にして
発表。このおかげで、ポール・ニューマンとスティーブ・マックイーン
という、夢のような共演(もともと別々に出演する予定だった)が実現。

ビルのオーナー、デザイン担当、ビル内入居会社の社員、警備、掃除婦、
警察、消防と、さまざまな人物の心境、境遇が描かれており、スリリング。

冷静に努めようとする者、我を押し通そうとする者のせめぎ合いが絶妙。
地元では「グラスタワー」と呼ばれる、高層ビルから火災が発生。
ビル内部の人物描写の合間に、火の進捗が説明されていくのですが、
まるでモンスターのように描写。発生した火を「幼い獣」と形容し、引火物を
その獣の食べ物と扱い、獣は食べ物を摂取し成長してゆく、といった
描写は、ただのビル火災にさらなる恐怖を感じさせます。

舞台となるビルは、総工費を抑えるために、結果手抜きとなってしまいます。
しっかりとした避難経路を確保して、フロア面積を少なくさせるか、
見栄えを優先して、安全面をおざなりにするのか。
原作が発表されてから30年以上経ちますが、こんな根本の問題すら、
いまだ解決できていないですね。


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