川沿いの道は犬の散歩をする人が多い。
可愛らしいおばあちゃんがあまり動かない小型犬を連れて知人と立ち話をする姿が見える。
近づいてみると、リードの先には犬ではなく、猫。
それも、大きなチンチラ猫だった。
この辺り(外)ではあまり見ない血統書付きの立派な奴だ。名前は『ジュリー』。
飼い主のおばあちゃんが話し込んでいる間、遊ばせてもらっていると……
まるで手加減無しの問答無用。猫パンチに猫キック…強烈で、こっちが泣きそうになっても、
何故かおばあちゃんに気付かれる前に止める強者だった。
団地の一階のベランダにネットを付けて逃げない様に飼っているが、
猫がそのネットをハンモック代わりに寝ている姿を見て、ベランダのすぐ横の道を通る人が笑う。
私もその一人で、良くネットにモップがひっかっかた様な姿で、
猫が丸まっているのを目撃した事がある。
ハンモックのモップを4~5日見掛けなかった。
偶然、買い物に出てきたおばあちゃんに会ったので、
猫の事を聞くと『ジュリー』は肝臓が悪く入院中と言う。
鬼の霍乱か。
たとえ、猫パンチと猫キックをしこたまお見舞いされてもやはり心配だ。
ずっと気になっていたら、久々にリード付きのお散歩の姿が見えた。
また猫と遊ばせてもらっていると、通りすがりの人が猫の名前をおばあちゃんに聞いた。
「リョウスケよ。」とおばあちゃんは平然と答えた。
名前なんて何でも良いから、長生きしてね、おばあちゃんも。猫も。
