知らぬ顔で

人は、あるいは宇宙を知っているかもしれない。

でも、自分自身は知らない。

　　　　　　　　　　　　　　　　－チェスターソン－





「貴女も、結婚して子供を持つと解かるわ。」

そんな言葉を、持って回った様に口にする女がいる。

所謂、経験至上主義な人間なんだろう。



多分、そんな発言をする女は

持っていないものの事を気にし過ぎて

持っているものを無駄に過ごしている事を

知らずにいるのだ。





確かに、

世の中に、自分で試してみないでわかる事なんか

一つもないかも知れない。

でも、

もしその言葉を発した相手である彼女が

子供を産めない場合（年齢的リスクの問題ではなく）

その言葉は、とてつもなく

想像力と思いやりの欠片も持たない言葉と化すだろう。




女が「母親になること」はなんでもないことだ。

でも「母親たること」は、なかなか出来ることではない。

それを証拠に、

TVを賑わすニュースでは

母親が子供に売春をさせたり、子殺しや虐待も多い。

子供を産んだからと言って人間的成長が必ずしも

その人に訪れる訳ではないのだ。









知らぬ顔で、とても静かに

その姿を見ている人がいる事を、忘れてはいけない。

沈黙という木には、平和という実がなる事を知っている賢者が

ただ黙っているだけに過ぎないからだ。











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