路地猫~rojineko~

路地で出会った猫と人。気付かなければ出会う事のない風景がある。カメラで紡いだ、小さな小さな物語。

アメとカリカリ

2012-01-08 | ★ほんの日常




寒くなればなるほど

子供も大人も人っ子一人出て来ないお正月って奴は

邪魔の入らない猫の撮影日和だったりする。

でも、今年の正月は雨か雪。

ほぼ曇り空の事が多く、少し日の差す夕方に

ぶらりと出掛けてみた。



ワラワラと逃げる三毛の子猫の姿を追っていると

団地の一階のベランダ下に

なにやら段ボール箱の様なモノがある。

覗いてみると、中にはちゃんとタオルやフリースのような

温か素材が詰められていて、心地よい寝床の中にホッコリ納まった

キジトラの雄猫が、余り迫力の無い怒り方をしていた。



「気持ちよく寝てたのに、何だよ」って顔をして

シャーシャー言っていたのを写真に納めた。

すると、上の方から声がする。

「三毛の子猫じゃなかろ?」

杖を持ったおばぁちゃんがこれまた怒った顔をして

こっちを一階のベランダから覗き込んでいた。



「はい、キジトラみたいです」と言うと

持っていた杖を私に差し出し

「コレで追い出して!いっつもそいつがそこに入るけん

 子猫が入れんでおると。ご飯もそいつが全部食べよるし…」

と凄い剣幕で言われたが、ヤドカリ猫が気の毒になった。

私が杖で追い出せずにいると、おばぁちゃんがグイっと

杖をベランダから伸ばしカンっと鉄の部分を叩いた音で

ビックリした猫は慌てて飛び出した。



余程心地よい寝床だったのか、

離れるのが惜しいらしく暫く私の顔を見て

「言い訳」をいう様に鳴いていたが

猫は直ぐに諦めて木陰に逃げ込んだ。

遠くから三毛の子猫の視線が二つ、

私の動きを捕らえて警戒中だったので

諦めて帰ることにした。




帰り道、貧しい国の話をテレビで話していたのを思い出す。

ご飯もろくに食べられない程の貧困の国では、

他国の人が子供にあげたアメを取り上げて大人が食べるし、

子供に着せてくれと渡した筈のTシャツを親が着ている。

それが当たり前で、その国の常識なのだと。




猫の世界も貧困の国も変わらないと思うだろうか。

一見、先進国を装っている我が国はどうだろう。

子供手当と言いながら増税で吸い上げる

アメもTシャツも始めから国民の物だ。









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コメント (2)
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