路地猫~rojineko~

路地で出会った猫と人。気付かなければ出会う事のない風景がある。カメラで紡いだ、小さな小さな物語。

寂しい夜に

2014-10-03 | ★ほんの日常





ここ最近、夜の散歩で『サビィ』の姿が見えなくなって

ほぼ2~3週間になる。

いつもおじいさんの庭先から登場する姿が見えないと

流石に気になって仕方ない。

何処かに住み替えたのか?

結構歳だったから死に際を感じて姿を隠したのか?

もしかして交通事故に遭ったのか?

嫌な考えがグルグル巡る。

おじいさんの夕方の鴨の餌やりの傍らには

必ず『サビィ』の姿があったのに

先日、遠くから確認したおじいさんの餌やりの時間にも

その姿は無かった。




…やはり、交通事故か何か事件があったのか?

姿が見えなくなっても毎日同じ夜の散歩は続けていた。

主のいない所へ声を掛けては、挨拶が宙に浮いたまま。

しかし、その日は姿は見えずとも

『サビィ』のいつものか細い声だけが2回ほど、聞こえた。

「あ、居るには居るんだ。」と確認は出来たが

その日は姿を確認することは出来なかった。




翌日、再び声を掛けてみた。

昨日よりは少しはっきりとした猫の声が

おじいさんの車の下から聞こえた。

屈み込んで車の下を覗いてみたら『サビィ』らしき姿が

奥の方に蹲っていた。ホッとした瞬間だった。

私が居ると気が付いた『サビィ』は少しだけその姿を見せた。

左目から膿のような液体を流していて

その目は見えているのかすら解からなかった。

しかしいつもの様に触れられる程近付いては来ない。

その時、病気で姿を隠していたのだと改めて解かった。




猫は病気を一人で治す為に姿を隠すことがある。

見た感じではまだ完全に病気は癒えていない様子だった。




私も病気の時には人に会いたくなくなる方だが、

たまに人恋しくなる時もある。

寂しい夜に、猫だって体が弱っていても心を許した相手なら

病気の時に会ってくれるのかも知れない。

もしくは、少し快復に向かっている事を伝えるため、

私に会ってくれたのだと思いたい。



















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コメント (3)
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