穴にハマったアリスたち

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(第10話)ひろがるスカイ!プリキュア「むむむ!思い出の料理ってどんな味!?」感想

2023年04月09日 | ひろがるスカイ!プリキュア
■(第10話)ひろがるスカイ!プリキュア「むむむ!思い出の料理ってどんな味!?」感想


(「ひろがるスカイ!プリキュア」第10話より)

3人目の正式加入でOPやアイキャッチも更新。スカイさんはこういうポーズさせると魅力増し増しだと思う。

その3人目ことツバサくんのプリキュア歓迎会をすることになり、彼の思い出の料理・ヤーキターイを作ることに。
作り方はすぐに判明、材料も判明。但しスカイランド産の小麦もどきや小豆もどきがいるらしい。
ではそれらを探しに行こう!となるかと思いきや、似たもので代用しよう!の方向に。

とりあえず鯛焼きに似ているのでその製法で作ってみる。当然、何かが違う。
次に様々な材料で作ってみて、味を試行錯誤。
結局ヤーキターイそのものはできなかったけど、ツバサくんが欲していたのはヤーキターイそのものではなく、それを食べた時の温かい雰囲気。
だから3人でわいわい楽しくやったことで、とても楽しい会になった。

これはソラさんの「ヒーロー」、ツバサくんの「空を飛ぶ」にも当てはまります。
幼少のころから努力をして、ヒーローや自力飛行に憧れた。だけど実際には力及ばず、プリキュアという一種のチートで代替して実現した。
努力は無駄だったのか。夢は叶わなかったのか。

ヤーキターイに求めていたのが温かい雰囲気だったように、ヒーローや自力飛行もそれそのものが大事だったのではなく、「子供を救うこと」等が主。ならば彼女らの夢は叶ったといってよいはず。

ただこの文脈だと「プリキュア」が代替品なんですよね。
ヒーローにはなれなかった。だからプリキュアで代用した。
ぷに麦粉が手に入らなかった。だから小麦で代用した。

カバトンの口癖「俺TUEEEE」はチートの象徴ともいえる。プリキュアに変身して敵を叩きのめすのは、見ようによっては「俺TUEEEE」です。
ぷに麦粉を作ろうと苦心惨憺している人の前で、買ってきた小麦粉で得意気になったら、やっぱり感じは悪い。

それらとソラさん達の何が違うかといえば目的や気持ちなんでしょうけど、20周年記念作ですから「プリキュア」に対して何かもっと意味づけがありそうな気がする。

今作は4人とも親元を離れていて、しかも学校が主体にならない。
新社会人(初代プリキュアを見ていた世代)の環境に近く、「プリキュア」に「職業、仕事」のイメージはかなり被せてるはず。

今の流れだと、クライマックスでは生身で挑むような大穴もあるかもしれない。リアル社会でいうなら、「就職してみたら、自分が夢描いたのとは微妙に違っていた。それはそれで目的を達成してはいたが、いよいよとなった時、会社を離れた素の自分で立ち向かった」のような感じ。その展開なら「プリキュアとして過ごして学んだこと(会社の業務で学んだこと)」が問題解決のキーになりそう。

あるいは逆に「プリキュアでないとできないこと」に意味を見出す方向かもしれない。現実としても、特定の会社に所属しているとか免許を持ってるからこそ出来ることは多々あるものな。ある意味で個人の努力の限界だから負のイメージで捉えられなくはないけれど、そればっかりでもない。

ヒロガリズムの歌詞に「無敵だと強くなれない 優しいだけじゃ越えられない」とあり、結構重要なフレーズじゃないかと思ってます。
『プリキュア』と『生身』とも、『ソラ』と『ましろ』のこととも取れそう。

ましろさんが優しさ推しをされまくってるのは、ちょっと違和感はあります。
ソラやツバサも十二分に優しいし、プリズムが戦力的に極端に弱いかといえばそうは見えない。

彼女は「明確な夢がない」そうですから、上述の「夢の次善策としてプリキュア」が直接には当てはまっておらず、そのあたりで何か読み取れるのかも。
バランスで考えるなら4人目もこのタイプなのかなと思えるのですけど、あげはさんは「保育士が夢」と明言してるしで、まだまだ色々と仕掛けがありそう。

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(第9話)ひろがるスカイ!プリキュア「勇気の翼、飛べキュアウィング!!」感想

2023年04月02日 | ひろがるスカイ!プリキュア
■(第9話)ひろがるスカイ!プリキュア「勇気の翼、飛べキュアウィング!!」感想


(「ひろがるスカイ!プリキュア」第9話より)

前回の感想で「自力飛行に拘って頑張ってきたのに、プリキュアに変身したから飛べました、で満足できるのか?」と疑問を書きましたが、そこはやっぱり安心のプリキュアさん。ちゃんとケアされてた。

ツバサくんはエルちゃんを助けるために頑張った。残念ながら非力で、格好よくカバトンを倒すことはできなかったけれど、その身を犠牲にして奮闘なされた。
だけれど、赤ちゃんにはそういうの分かりません。ナイトの犠牲を許さない。ツバサくんの犠牲を看過できず、結果的に彼の奮闘をも無駄にしてしまう。

傍目にはイライラする行動ですが、赤ちゃんにはそういうの分からないんです。犠牲を受け入れろというのも、ある意味で大人扱いというか、子供のキャパを超えています。仮にここでツバサくんが死んでエルちゃんを救ったとしても、彼女の心に深い傷を残しそうです。ここで捕まったらそんなこと言ってられないんですけど、そういう計算は赤ちゃんには通じない。

「ヒーローは子供を見捨てない」。言い換えると「子供を見捨てることは許されない」し、そこには自己犠牲も含まれます。「命を賭して守る」は勝利条件を満たさない。生きてきっちり勝たねば。

そんな背景を抱えてのプリキュアへの変身です。
赤ちゃんがピンチなのに、自力飛行だの何だの言ってる場合か。ソラさんだって、本心では鍛え上げた生身の自分で格好よく救いたかったんでしょう。だけどそんなこと言ってる場合じゃないんです。使えるものは使え。目的のためには、表面的な夢など妥協しよう。
現実世界でいうなら、働いて働いて働いて、稼いだ末に死んで保険金もでてそれで子供を守ったと言えるのか。

「妥協」と書きましたけど、正確に言うなら「本質をとらえなおした」とかだと思う。
ツバサくんが目指していたことは、「自力で空を飛ぶ」だけでなく「子を救う親」の姿だったはず。
ならば今回のは紛れもなく夢を実現しています。飛ぶべき時に飛べた。手段は些細な話なはず。

まぁそういう意味では携帯飛行器具を開発したりするのが適切な道だったのかもしれませんが、「必要な時には飛んで子供を救える自分になる」のが夢であれば、道具を使うのは確かに何か違うかなという気はします。現実世界でいえば、子供を守るために体を鍛えようは分かるが、銃を買おうは(平和ボケの日本だからこそとは言えますが)何か違うかも。

先日発売されたOP曲、とてもとても20周年らしさを感じていたのですけど、多分「プリキュア」が強く推されていないからだと思う。
振り返ってみれば、スタプリ以降は「プリキュア」の地位が低下したというか、ただの手段になっています。
「プリキュア」になることは目的ではないし、特効薬でもない。たまたま結果的にプリキュアになった。とりあえず目先の課題解決に使えるんだから使え。ローラの変身経緯の精神です。

ひろプリに感じる心地よい違和感の正体は、「プリキュア」が日常化してその先の物語だからなのかもしれない。
ソラさん達は、現実世界でいえばハピネス世代です。10周年のハピネスチャージで「私たちは無力だけどずっと傍にいるよ。だから愛と勇気を忘れないで」と見守ってもらった子たちが、プリキュア世代になった。
今やプリキュアは当然であり、街中にもあふれている。ほんの15年前(ソラさん達が生まれた頃)の5周年のときとは別世界です。
世界の大きな変化と、その上での20周年作ですから、プリキュアを前向きに否定する展開すらありえそうな気がしてます。

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(第8話)ひろがるスカイ!プリキュア「 飛べない鳥と、ふしぎな少年」感想

2023年03月27日 | ひろがるスカイ!プリキュア
■(第8話)ひろがるスカイ!プリキュア「 飛べない鳥と、ふしぎな少年」感想


(「ひろがるスカイ!プリキュア」第8話より)

画面の端々に映りこんでいた謎の鳥ことツバサくんが正体を現しました。スカイランド原産の飛べない鳥だそうで。

彼の種族は飛べない代わりに人の姿と技能を得た。だけど彼の夢は飛ぶこと。

夢見ることは悪いことではない。しかしながら劇中でも明言されたように「適材適所」はあります。

アクシデントでこちらの世界に迷い込んだ彼は、航空力学の勉強をせっせと行い、飛ぶ夢に邁進されています。
てっきり「飛行機を作る」のかと思いきや、あくまで自力飛行に拘っていらっしゃる。
効率の面でいえば、明らかに悪手です。彼の強みは「人型になれること」「技能に秀でていること」なのだから、飛行機を作った方が良い。自分一人でなく、他の人々の「空を飛びたい」夢も叶えられます。

これはソラさんにも言える。私達的には感覚が麻痺していますが、本来でいえば10代の娘さんは肉弾格闘するヒーローには向いてません。子供を助けたいのなら、もっと別の道の方が「適材適所」だったはず。だけど彼女の夢はヒーローになること。

両者ともに非効率な夢を目指していらっしゃる。先の話でいえば、ツバサくんはプリキュアにも(これまでの常識でいえば)向いていません。ナッツポジションで支援アイテムを作ってる方が、おそらくは「適材適所」と思われます。

幾重にも非効率なことをしているのですが、そうはいっても「夢」に効率も何もない。彼は自分で飛びたいんです。鳥の矜持なのか、父への尊敬なのか、ただただ純粋にあの日の体験が忘れられないのかは分かりませんが、理由だって重要ではない。とにかく飛びたいのでしょう。

今回の話はほぼ家の中だけで進み、戦闘も次週に持ち越しというかなり特殊な構成。ラストで崖から飛び立ったツバサくんは、果たして飛べたのか。飛べてしまったら夢が叶ってしまうので墜落するのかなとも思うのですが、じゃあプリキュア能力で飛べたら彼は満足するんだろうか?満足しなかったとして、変身すれば飛べるのに、生身での飛行への夢を維持し続けられるんだろうか。

言い換えると、ソラさんはプリキュアになったことで満足できるのかとも。

現実世界でいえば、ある職業に憧れて晴れて就職できたとしても、それで目標達成ではない。職に就く(プリキュアになる)ことと、そこから何かを成し遂げる(ヒーローになる)ことはイコールではない。
この方向性でいくなら、最後はプリキュアを捨てて(プリキュアが通用しないとかで)生身で解決に向かう展開もあるかもしれない。

今までのプリキュアでは何となくスルーしてきた「留守中に襲われるかもしれない」もなかなかに深刻で、ソラさん一人ではどうにもなりません。
これも現実世界で言うなら、赤ちゃんを置いて働きに出るようなものか。現実だったら保育園や祖父母に頼るのですが、その役目をツバサくんがやるのかしら。

「ヒーロー」という直球のテーマを扱っている20周年作なのに、どんどん不穏な空気が漂ってる気がします。着地点がまるで見えない。オトナプリキュアやらオールスターズF等々、現実の方も超絶楽しみだけど何をやろうとしてるのか全容が見えない企画が待ち構えていて、お祭り感というよりザワザワ感が堪りません。どこに向かおうとしてるんだろう。

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(第7話)ひろがるスカイ!プリキュア「ドキドキ!転校生はヒーローガール!! 」感想

2023年03月19日 | ひろがるスカイ!プリキュア
■(第7話)ひろがるスカイ!プリキュア「ドキドキ!転校生はヒーローガール!! 」感想


(「ひろがるスカイ!プリキュア」第7話より)

ハレワタールさんがご転入なされた。
スカイランドのことは秘密にしたい。しかしながら彼女は正直な子。
だから目立たないようにして、質問攻めを回避しよう。

対策になってない気がしてなりませんでしたが、ソラさんの本心としては悪目立ちして孤立したくなかったとのこと。
故国での学園生活が偲ばれる。

とはいえ何せ正直な子なので、規格外の運動能力を皮切りに、結局はヒーロー志望のことまで大公開されました。
そしてそれを温かく迎え入れられた。

似た話はハグプリの野乃さんでもあった。
野乃さんは転校前の学校で上手くいかなかった。転校先では己を偽ることなく、生活できた。
違いは何だったのか…といえば、直接的なところだと薬師寺さんの存在が大きい。

では今回はといえば、やっぱりましろさんの存在に依っていると思う。
ソラが「異常者」「異端者」ではないことは、ましろさんが仲良しということで担保されています。
そしてそれに続く、ましろさんの友人らしき謎のモブ・あさひくんの「よく分からんが頑張れヒーローガール」の一言が大きい。
これで彼女は受け入れられた。「ソラさんが正直だったから」ではなく、周囲の環境に恵まれた。

仮にましろさんとふたりはプリキュアしないままに、いきなりこのクラスに転入していたら、同じことをやっても悲劇になっていたかもと思うとなかなかに怖い。
カバトンも、もしもこの学校内に「友人」がいたなら、もう少しまともな受け入れられ方をしていたかもしれない。
(学食のパンは購入しているあたり、おそらく給食のシステムを知らず、食べ放題と勘違いしたようにも思う)

また、明らかな「異邦人」なので、言動が多少おかしくても「そういうものか」で納得できる。
ソラさんは勘違いなされていましたけど、転入生が友人を作るなら、異邦人ボーナスが効いて目立っている内が勝負です。クラス替え後のシャッフル中に乗り遅れると、後々厳しいのと同じ。
実際、体力測定のあの異様な結果がないままに「実はヒーローを目指しています!」と言ったら胡乱な目で見られたに違いない。

正直に、と言ってもスカイランドの件は秘匿されたまま。
「向こうの言葉で喋ってみてよ」は鉄板のネタだと思うのですけど、どうにか乗り切ろう。
言葉は同じだが文字が違う、というのはかなり奇異なので、多分「何か事情があるな」と察して、触れられないようになると思う。
極端に異質だと、逆に受けいれられる現象。

…こうして見ると、「社会人になって苦労する」というより「社会人になったので苦労が報われた」話のようにも見えるな。
スカイランドとソラシド市には、学校と会社のような関係性はありませんが、学生の頃には重たくて避けられていたこと(「社会のために頑張る!」とか「より良き家庭を作りたい!」とか)が、報われて花開いたというか。どういう着地を目指すんだろう?

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(第6話)ひろがるスカイ!プリキュア「伝えて!ソラの本当の気持ち」感想

2023年03月12日 | ひろがるスカイ!プリキュア
■(第6話)ひろがるスカイ!プリキュア「伝えて!ソラの本当の気持ち」感想


(「ひろがるスカイ!プリキュア」第6話より)

かなり奇妙で違和感のある回でした。プリキュアさんは序盤で違和感を覚えたところはテーマに関わっているので、ちょっと怪しんでみる。

ましろさんと距離を置こうとしていたソラさんですが、今やすっかり、ましろん中毒患者と化してしまいました。
彼女が学校に行っている間が落ち着かない。完全に依存症です。過剰な優しさは、人格に悪影響がある。

「ふたりはプリキュア」リスペクトということで、ここまでかなり「ふたり」が強調されてきました。
が、そうなると「ひとりではダメなのか」「ふたりの弊害」がカウンターとして沸き上がってきます。

まず「ひとりではダメなのか」。
ハグプリでも「思い出があるから踏ん張れる」に対し、「思い出がない者は救われないのか」が突き付けられました。
同じことが、ひろプリでも言えそう。

「ひろプリは20代半ばを意識している」説に則れば、ここまでの「ふたり」描写は、後の配偶者や頼れる同期との出会いと言えそうです。
子供時代を終えて、親元から独立した。同級生とも疎遠になる人が多いでしょう。
今までとは異なる未知の世界で孤独になるものの、これからの一生を共にするような頼れる人と出会い、共に切り抜けていく。
とても「美しい」し、「正しい」と思う。理想的なライフプランだ。

ですが現実には、そんな人には巡り合わないケースもあるわけで。

カバトンはまさにそのパターンとも言える。同僚も伴侶も居ない。これはカバトンが悪かったのか?…といえば、まぁ彼の性格からして自業自得のような気もしますが、現実には「たまたまそうなった」も大いにあります。
「毎日職場を往復するだけで出会いがない」は、20代半ばの悩みとしてリアルだと思う。

これに回答しようとすると、

・新しい場所に飛び込んで、好悪はさておき、まずは知ってみよう(スタプリ)
・自分の価値観を曲げる必要はない。ただ時には何かを犠牲にしてでも前に進み(ヒープリ)
・それが何の役に立つかは分からないが、目の前のものを楽しめば(トロプリ)
・自分はひとりではない、世界には様々な愛が溢れていると気が付ける(デパプリ)

といった感じでしょうか。
ハグプリ以前のシリーズだと上手く回答できないので、そこそこ当たってるかもしれない。

「ふたりの弊害」は今回のお話。
ソラさんは明らかに「弱く」なっている。

頼まれたお使いを投げ出し、立ち入り禁止の看板を無視しています。ソラさんの性格的にも、プリキュアコンテンツ的にも違和感がある。

カバトンとしては「プリズムが別行動をしているから、スカイを足止めして1対1での勝負をしようとした」のかもしれませんが、ストーリー上まったく意味がない。奇しくもソラさんが語ったように「尺の無駄」です。ただの倒木や、普通に工事をしていたので迂回して山道を走破した、とかでも良かったはず。

学校に行きたい動機も、学びではなく「ましろさんと一緒にいたいから」というのも納得感が薄い。
これまでの彼女の言動からすると、「せっかくのこの機会、多くのことを学んでヒーローとして成長します!」でも良かったと思う。
実際に自発的に文字の勉強をしていますし。

精神的に孤独を抱えていることは繰り返し描写されているので、矛盾だとは思わない。そういう意味では自然な描写なのですが、これを「よし」としたのに違和感。
現実でも、伴侶や同僚との協力は確かに「美しい」し「正しい」のだけど、依存してしまうと問題です。

今回の描写は、「仕事一筋だった人が、恋人ができて視野が広がった」というポジティブなものなのか、「恋愛に夢中になって生活が崩れた」のネガティブなものなのか。どちらとも見えるので、今後なにかがありそうな気配を感じます。

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(第5話)ひろがるスカイ!プリキュア「手と手をつないで!私たちの新しい技! 」感想

2023年03月05日 | ひろがるスカイ!プリキュア
■(第5話)ひろがるスカイ!プリキュア「手と手をつないで!私たちの新しい技! 」感想


(「ひろがるスカイ!プリキュア」第5話より)

プリキュアが二人に増えました。
カバトンは恐怖で職務放棄し、ソラさんはましろさんを巻き込んだ恐怖に慄く。
敵味方共に余裕がない。

ソラさんを「初代を見ていた初期視聴者(現20代半ば)」に例えてみると、彼女のヒーロー像は「専業主婦と子供を養って戦う大黒柱」に近しいです。
かつての流行語「24時間戦えますか」のノリ。家庭を離れて、職場で一人戦う。心身を壊し、家族とも疎遠になっていくけれど、ヒーローとは孤独を恐れないものなのだ。

しかしながら今は現代。その戦い方ではやっていけません。
夫が一人で24時間戦うよりも、妻も12時間働いて、夫の仕事は12時間に減らす。その分で夫が家庭に参加できれば妻も働きやすくなる。
ポイントは「ふたりでやると負担が半分になる」。「ふたり揃って、どちらも24時間戦えますか」ではない。

ましろさんがプリズムとして戦えば、ソラの負担は半分に減る。同時に、「エルちゃんを守る」という負担も半分になる。

先日の河原や専門学校での戦いのように、エルちゃんを抱っこして逃げる方もかなり大変です。
どちらかが未変身のまま生身で逃げねばならないなら、運動能力で圧倒するソラの方こそが実は適任。プリズムに戦いを任せて、ソラが抱っこしてる逃げる。
実際、前回の専門学校での戦いも、捕まってたのがましろさんで、逃げたのがソラ&あげはさんwith金属バットだったら、生身で戦って勝てそうな気配すらある。

この種の発想の転換は現実の生活でもあって。
例えばテレワークと、やんちゃ盛りの子供の世話を比べると、体力的にきついのは後者です。
だったら体力がある夫が育児をし、妻が働くのは有力な選択肢といえます。
(しばしば批判される子育て政策・男女政策も、この視点で見ると納得できることが多い)

ソラさんは幼いころからずっと「自分が守らねば」の思いで鍛えてきた。その覚悟は悪いことではないのですが、そうは上手くいかないのも現実。
任せられるところは頼む。逆に、自分が受け取れることは引き取る。その範囲が大きくなるように頑張る。
お互いが一極集中で専任するよりも、安定性が格段に上がります。

一方でカバトンには「友達」がいません。
己の腕っぷしにアイデンティティを感じていた点は、ソラさんと同じ。
でも残念ながら彼にはパワハラ上司しかいなかった。辛い。
屋台のおでんを掻っ食らい、頬をこけさせながら上司に追いたてられて現場へ。まさしく「24時間戦えますか」です。

今回の戦いはランボーグにだけ任せるのではなく、カバトン本人も戦いに参加しています。
そういう意味では、「ふたりはプリキュア」側と同じといえば同じなのですが、彼には何が足りなかったのか。
まぁ本人の性根とか目的とかが大違いなんですけど、「ずっと一緒に戦ってる」のが違ったのかも。

あのランボーグに運転手が必要だったのかは知りませんが、カバトンとランボーグで挟み撃ちにするとか、別々に戦われていた方が厄介だった気がする。
ちょうど前回の戦いでの「プリズムが小柄なランボーグを抑え込んでる間に大技を決める」とか、今回の「スカイが動けないのでプリズムが引き付けて離脱」みたいに。

先ほどからの例でいえば、夫婦そろって「24時間戦えますか」をするのではなく、各々が12時間ずつに分担する。そこだけを見ると楽をしてるだけに見えても、総合的にはそっちの方が強い。

他、エルちゃんの浮遊も、「祖父母の協力や託児所があれば、抱っこ役が不要になり戦いに参加できる」のメタファーとも言えそう。
同じく子育てを扱っていたハグプリにはなかった視点です(ハグプリでも、ワンオペを防ぐために周囲の協力がかなり意識して描写されていますが、「預ければ戦える」はなかったように思う)。

【プリキュアオールスターズ】
9月公開の「プリキュアオールスターズF」。「F」ってなんだ。
(正確には「f」ですが、とりあえず以下では「F」と表記)

歴代映画と比べて異色のタイトルです。
「DX」や「NS」だって、長々した副題がついていました。

しかも「F」。「S」や「Z」なら雰囲気は分かりますけど「F」…?
「P」と字の形が似ている(宣伝映像を見ると「F」が反転して「P」に見える瞬間がある)ので、そこに何か意味があるのか。
正確には「F」ではなく「f」なのも、「反転するとP」に見せるため?

「Friends」や「Forever」なら、素直に「プリキュアオールスターズフォーエバー」にすると思うんですよね。
じゃあ何かのダブルミーニングかといえば、そういう複雑な真似を子供向けコンテンツたるプリキュアでやる意味がない。
それこそ「プリキュアオールスターズF 永遠の友達」とでもすればいいんであって。

上記を踏まえると、真っ先に思い浮かぶのは「Final」の略で、プリキュアシリーズが終わる。
現時点で終了を告知してしまうと販売戦略に関わるので、伏せたタイトルにした。
ただ今年の20周年記念の大攻勢を思うと、ここでコンテンツ終了はちょっと理解できない。

以上から、とりあえず2つの仮説を立ててみた。

(1) 20代半ば(初代をリアルタイムで見ていた世代)を呼び込みたい。恥ずかしさがハードルにならないように、露骨に子供っぽいタイトルを避けた。
公式様は20代をコアターゲットの一つとして認識していらっしゃるので、この種の配慮はありえるかもしれない。全プリキュア展も「大人も楽しめる子供向けの企画」ではなく、「大人をターゲットにした企画」でした。

(2) 「プリキュアオールスターズF」という有料の定期配信コンテンツを予定している。映画で大々的にお披露目予定。設定等の基本説明&宣伝を行い、課金に繋げる。
これなら長々しいサブタイトルがないのも分かる。
仮面ライダーさんたちのように、旧シリーズのスピンオフや後日談を有料配信するのはビジネスとしていかにもありそう。素人考えですが、実写よりアニメの方がやりやすそうな印象もある。

できれば(2)が正解だと大変に喜ばしいので、続報を期待して待ちます。

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(第4話)ひろがるスカイ!プリキュア「わたしもヒーローガール!キュアプリズム登場!! 」感想

2023年02月27日 | ひろがるスカイ!プリキュア
■(第4話)ひろがるスカイ!プリキュア「わたしもヒーローガール!キュアプリズム登場!! 」感想


(「ひろがるスカイ!プリキュア」第4話より)

ましろさんが変身なされました。大変に見目麗しい。光属性らしくキラキラ輝いていらっしゃいます。何か物凄く正統派というか清純派というか優秀なプリキュアさんだ…。

さてそれ自体は良いことなのですけれど。
ましろさんが参戦されたことで、ソラさんの立ち位置が難しくなりました。

ソラ・ハレワタールさんは幼少の頃からヒーローに憧れて、毎日鍛錬に明け暮れていた。
異世界にやってきた今日この頃も、ジョギングやら文字やらの訓練をかかさない。
そんな彼女がプリキュアになるのは分かる。まさしくヒーローだ。

しかしながら、取り立てて取り柄のない凡人(本人自称)たるましろさんも、プリキュアに変身して戦えた。
これではソラさんの立場がない。

もちろん、ましろさんは「強い」。ソラさんもそこは確信している。視聴者的にも異存はない。
のだけど、やっぱりこの状況は難しい。

ましろさんが変身するかを逡巡するシーンにて、ソラさんはたまたま口を塞がれて喋ることができません。
絶妙の演出です。もし喋れたなら、どうしたんだろう?
カバトンが「脇役」呼ばわりしたので、あげはさんが叱咤する流れになり、ソラさんも頷いていましたが、仮に喋れたならカバトンより先に「逃げて!!」を言っていた気がする。

来週どういう経緯で喧嘩なさるのか次第ですが、ソラさんがイメージしていたのは「ましろ姫に後ろから支えて貰いながら、彼女を守るために戦う英雄ソラ」だと思う。
ただ皮肉にも「プリキュア」は本来「普通の女の子」なんですよね。ソラさんみたいに鍛錬してる方が少数派で、すぐに思い浮かぶのは月光さんやまこぴー。どちらも敗戦プリキュア…。

ヒーロー=プリキュアだとしたら、ソラさんの苦労は無駄であり、彼女こそが「何もない人」になってしまう。
さすがにそれはないでしょうから、「ヒーロー」は「プリキュア」の上位概念なのかしら。過去作でいうとグランプリンセスみたいなの。
ただ私らにとって「プリキュア」は紛れもなく「ヒーロー」です。ここから何を付加するんだろう?

現段階で無理に推理するなら、ソラさんにとって「ヒーロー」は目的になってしまってるので、「ヒーローになって何をするのか」あたりかな。
今のソラさんの認識は「ヒーローは赤ちゃんを助けるもの」であって、「赤ちゃんを助けるためにヒーローになった」のではない、みたいな。
でも明らかにエルちゃんを助けるために、プリキュアになってはいるんだよな…。

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(第3話)ひろがるスカイ!プリキュア「シクシクホームシック!泣かないでエルちゃん!」感想

2023年02月19日 | ひろがるスカイ!プリキュア
■(第3話)ひろがるスカイ!プリキュア「シクシクホームシック!泣かないでエルちゃん!」感想


(「ひろがるスカイ!プリキュア」第3話より)

ソラさん、素手ででかい岩を叩き割る。

当たりさえすれば、生身でも敵さんと渡り合えそう。
普通の女の子だったプリキュアさんは、20年を経て人外と化してしまった。

なお、カバトンが壊した岩は復活描写がありました。
ソラさんが割ったのはどうなったんだろう…?
あの岩、たぶんカバトンが丸くして置いていたんでしょうけど、化石が見つかったあたり、近くの学者さんが切り出したのとかだったら困惑しそう。というか自然石だとしたら、まん丸なのは貴重品だったのでは…。

祖母の正体はスカイランド人でした。ましろさんは少なくとも1/4はスカイランドの血を引いてる。
スカイランド出身なので、通信手段もあった。
通信に必要な動力源は、家の裏山にある。取りに行こう。

作劇の都合と言えばそれまでですが、おそらくは「裏山にスカイジュエルがあるから、ここに居を構えた」「スカイジュエル(もしくはスカイランド縁の何か)があるから、ソラさんはここに落っこちてきた」のでしょう。
偶然のように見えることが、昔からの流れで繋がっていたというのは、20周年のテーマと何か関係があるのかもしれない。

ましろ父母はどこか遠くで働いているようで、タブレットで連絡を取り合っているようです。前作の和実さん状態。
エルちゃんも似たような状況。父母と離れてはいるが、通信はできる状態。
ソラさんのご家族は完全に不明。思えばここまで父母と離れたシリーズはなかったかも。

ハグプリのはぐたんと違い、エルちゃんは(今のところは)正真正銘の赤ちゃんです。
何らかの力は秘めているようですが、不思議パワーで援護する謎生物ではなく、若返っているとかでもない。
ソラさんも完全なる赤の他人。立ち位置的には、はぐたんとハリー、シフォンとタルト、フワとプルンス等々なのに、関係性が希薄です。
「エルちゃんが(はーちゃんやコメコメのように)急激に成長する」とも思えません。

ハグプリの考察では、「はぐたんが赤の他人だとしたら肩透かしにすぎる」ことが、野乃はな母親説のスタートラインになっています。
ひろプリでは他人だと明示されている。
表面的には似ているのに、中身が全く違うのは何らかの意図があるのかしら。

ましろさんのやっていた「赤ちゃんの気持ちを察する」のは、実際の育児でも大事だと思う。
「この玩具で遊んであげよう!」ではなく、主体性にまずは任せて、その流れに乗っかるの重要。

【歴代様】
ED登場はプレシャスさんでした。
ざわめく界隈。一人ずつの出演だと、残り話数が残りプリキュア数より少ない!出演できない子がでてくる!!

普通に考えるなら、黒白や花鳥とかはセットで登場でしょうか。








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(第2話)ひろがるスカイ!プリキュア「ヒーローがおうちにやってきた!?」感想

2023年02月12日 | ひろがるスカイ!プリキュア
■(第2話)ひろがるスカイ!プリキュア「ヒーローがおうちにやってきた!?」感想


(「ひろがるスカイ!プリキュア」第2話より)

異世界に取り残されてしまったソラさん&エルちゃんは、行きずりのましろさん宅に泊めて貰うことになりました。
デカい屋敷。何故かあるミルクにオムツ。気前のよいご飯に寝床。
歴代の異世界人と違い、自活手段が皆無のソラさんとしては恐縮しまくり。
せめて騎士として姫に忠誠を…!

ましろさんはそれを拒否なされた。
まずはお友達からとおっしゃってくれ、ソラさん的にも嬉しそうではあるものの、彼女の立場だと距離感をつかみづらいのは分かる。

服を買うシーン。
ジャージばかりを選択肢にしていたことを「ヒーロー一筋でよく分からないから」と説明していました。
が、故郷では普通に服を着てるんですよね。

察するに、彼女が「分からない」のはセンス的な意味での服選びではなく、「一方的にご厚意に甘える状況で、どこまで希望してよいのか」だったんじゃなかろうか。彼女の思う「ヒーロー」は服を買って貰ったりはしないので、こんな時にどうすればよいか分からない。
ジャージしか選択肢になかったのは、貸してくれたのがジャージだったからでは。

例えるなら、新卒社会人が先輩上司に飲みに誘われて、「好きなもん頼んでいいよ。ここは驕りだ。無礼講だ」と言われた時に、恐縮して「乾杯で頼んだんだからビールはOKだよな」とチビチビやってるような感じというか。
年の離れた弟さんがいるようで、自然と気配りが身についているのかも。そしてそれ故に、自分の知識が通じない状況だと選択肢を狭めてしまう。

自分から「分からない」と素直に認めて対話できてるのは良い感じなので、トラウマや欠点というほどではないと思う。
ただ結果的に、元々着ていたのと似たテイストの服を選んでる。これは、ましろさんの方が気を遣ったのかもしれない。ソラさんの心理としても、似た服なら言い訳(誰に対してのものか微妙ですが)がたつ。

この微妙な距離感が大変に良いです。
実際、ソラさんは本当に右も左も分からぬ状況ですから、気を張ったり、殊更に感謝するのは自然。
金がない、こちらの常識がない、生活の場もない、帰還のあてもなし、戸籍もない。ついでに敵の目的も保護してる赤ちゃんの正体も分からない。
言葉が通じるのがせめてもの救いですが、プリキュア能力すら直接の役には立っていない。

※一瞬リコさんとかアースさんのことを思い出しましたが、比べるのはやめておこう。あの子らも良い子なんだ。
洗脳して潜り込んだものの、育児疲れして気の毒な感じだったルミナスさんとかもいたな…。
同じく「騎士」的なまこぴーと比べると、色々面白そうな気はする。

そこにカバトンが再襲来。プリキュア能力が唯一機能する瞬間です。撃退しよう。
捕縛して拷問して謎トンネルを開かせれば帰還できそうな気もしますが、まだそこには考えが至らないらしい。

ただ「プリキュアが役立つのが受動的な防衛だけ」なのはテーマにも関わってきそう。
ソラさんは確かにヒーロー(プリキュア)になった。だけど生活のすべてを他者に依存していて、役立つのは「敵が襲ってきたときに撃退する」のみ。
それも超重要な役割なわけですが、ソラさんが思い描いていた「ヒーロー」とは何か違うような気がする。

一周回って見てみるなら、「私にはヒーローしかないから怖くても戦う」とも言えます。
ソラさんは元からヒーローに憧れていてスカイランドでも生身で挑んでいましたから、嫌々やってるのでは決してないけれど、一歩間違えるとヒーローへの逃避、依存を起こしかねない。

このあたりのことは、他のプリキュア仲間ができたら見えてくるように思う。
第2話でいきなりましろさんが変身してたら、この雰囲気にはならなかったろうな。じっくり描くからには、何かあるはず。

あと、お祖母ちゃんが謎です。
「出会いに偶然はない」とか、ちょっとトロプリ的なこと(『どんな出会いにも全部ちゃんと理由があるんだ』)をおっしゃってる。
謎アイテムを使いこなし、最新のスカイランド事情(赤ちゃんの名前)も知っている。

これが「母」だったら「20年前はプリキュアやってたんだろうな」とも思えますが、お祖母ちゃんです。20年前に娘がプリキュアをやってたとか?
ご本人がプリキュアでも良いですけど「20周年」とのつながりはなんだろう。雪城祖母のオマージュかしら(当時「祖母は先代プリキュア?」とか言われてた)

次回からは歴代様もEDにご出演されるようです。最新技術で美翔さんの雄姿がブラウン管に帰ってくる!
「カバトン」の名前の呼び違いとかも、意識した歴代ネタ(スプラッシュスター)なんだろうか。20年も続いていると、何を見ても何らかのこじつけはできてしまいそうだから、意図的かどうか難しいな。

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(第1話)ひろがるスカイ!プリキュア「わたしがヒーローガール!?キュアスカイ参上!!」感想

2023年02月05日 | ひろがるスカイ!プリキュア
■(第1話)ひろがるスカイ!プリキュア「わたしがヒーローガール!?キュアスカイ参上!!」感想


(「ひろがるスカイ!プリキュア」第1話より)

20年目のメモリアルシリーズ。各種イベントや話題も盛り沢山で、満を持しての発進です。

主人公たるソラさんは、プリキュアになるべくしてなった超絶優秀な娘さん。本当に優秀です。
言動の一切が「ヒーロー」を体現しており、兵士を蹴散らす悪に生身で果敢に立ち向かいます。
相手がどんなに強くても正しいことをする。確固たる決意。それを実行に移す勇気。幼き頃から積み重ねた憧れと修練。

非の打ち所がない。それ故、そこが弱点なんじゃないかとすら思う。

従来シリーズであれば、冒頭の「ソラさんがスカイランド城下にやってくる」シーンには、「鳥の上でバクバク何かを食べて、お祭りが楽しみだと騒ぐ」「友達出来るかなと期待する」ようなのが入ります。今回はそれがない。彼女は純粋にヒーローを目指していらっしゃる。

ヒーローを目指すことは悪いことではない。彼女の想定するヒーロー像も完璧です。
何せ「泣いている子供を助けて、おうちに帰る」ですよ。絶対正義だ。

ただあまりにもヒーローとして完璧であるが故に、従来の「プリキュアって言ったって、普通の女の子なんだよ!」を知っている私らとしては、不安を覚えます。
リアル世界でいえば、過労死の危険がある状態。

最初期の視聴者は、現在20台半ば。就職という激動を経験し、社会の洗礼を受け、自分の道を歩み始める年齢です。
自分なりの「理想の仕事像」を持ち、それに邁進する。おそらくは正しい。だけどそれで良いのか?
現代の感覚だと、ワークライフバランスは常識です。

ただ難しいことに、一点集中を貫くプロフェッショナルへの憧れも現にあります。第1話を見る限り、ソラさんは完璧に「正しい」。
「もっとお祭りの食べ物とかに興味を持とうよ」と言ったところで、「いえ、筋トレに邁進していたおかげで、パルクールで敵に追いつけました。今日のトレーニングがあるので失礼しますね」と言われたら納得せざるを得ない。

これまでのメモリアルシリーズを振り返ってみると、

・ハピネスチャージ(10周年。最初期の視聴者が中高生になった頃)
子供時代に「プリキュア」を見て憧れていたあの世界は虚構だった。現実には様々な不運や悪意があり、愛や夢が叶わないことも多々ある。
だけどあの時抱いたイノセントな想いは本物だったはず。
「プリキュア」は確かに無力だけど、それでもずっと傍にいる。だからどうか愛と勇気を忘れないで、立ち上がって。

・HUGっと!プリキュア(15周年。最初期の視聴者が就職や成人を迎える)
懸念されていた破綻が遂にやってきた。これまでの努力は、不可避のイレギュラーで薙ぎ払われた。子供時代の想いなんてガラクタも同然。
だけど、私がなりたかった私は、こんなことで心を折られたりはしない。
無駄でも何でも、ここまで頑張ってきたんだ。だから私たちは諦めない。

端的にいえば、暗い影を背負っています。
元々プリキュアは「未来は破綻していて、それは絶対に回避できない」を前提にしている節がある。
たとえば「スマイル」でいえば、敵を倒してもバッドエンドの針は進む。楽しかった夏休みもいずれは終わる。5人が大切にするものも、いつかは終わることが示唆されているものです(そして小説版ではその終わりが描かれた)。

ハグプリで一旦ここに決着がつき、スタプリからはその破綻した未来をどう生き抜くかが描かれていたように思えます。
イマジネーションと共に色々な経験をし、前に進むために時には何かを切り捨てて、いまはまだ明確な目的や計画に拘らず目の前の一番大事なことをやり、表面的な手段に囚われずに様々なリソースを取り込んで成長しよう。想定年齢20代前半から半ばぐらいまでの心構えとして、物凄く納得できる。

異邦人のソラさん(スカイランドの中でも異邦人。彼女は田舎?から城下町にやってきた)はあちこちを見学、体験して学ぶフォーマットを自然にとれますから、上記の展開も自然にできます。
仮面ライダーや戦隊ヒーローの例でいえば、歴代プリキュアの元を巡って、学んでいく形式もなくはなさそう。

これらを踏まえると、ソラさんの語る「ヒーロー」がバッド要素なのかグッド要素なのか難しいです。

ケース1「バッド要素」
「私の思っていたヒーロー像は間違っていた」として、軌道修正する展開。
たとえば「ヒーローたるもの、一度決めたことは曲げない」のような信念を、「時には柔軟に変えるべきだ」に修正するような。

ケース2「グッド要素」
ヒーロー像は間違っていない。それを補強するような展開。
先の「ヒーローたるもの、一度決めたことは曲げない」の例でいえば、「そして正しく決めるには、様々な経験がいる。私はもっと趣味を持とう」といった感じ。

15周年までの感覚(負の要素がにじむ)だと前者、ただその先を描いた20周年だから後者?あるいは全然違う展開?と思考が止まりません。
とりあえず最初の材料としては、ソラさんの仲間への認識かなと思う。一人で戦うつもりなのか、仲間を歓迎するのか。
特にバタフライさんとは価値基準が違いそうに見えます(偏見)から、どういう反応をするか楽しみです。

個人的にスカイさんの好感度がすこぶる高いこともあって、20周年のこの1年を目いっぱい満喫したいです。
色々書きましたけど、第1話のスカイさんは大変に格好良かった。特に初変身直後の拳を握るところ。望んでいた力が遂に。さて、戦うか。と振り仰ぐ(冒頭の引用画像のシーン)。果たして彼女の想いを通じるのか。
卑近な例でいえば、「幼いころから病人を救いたいと思っていた人が遂に医師になった」のような感じでしょうか。無力な子供を卒業し、念願の表舞台に立てた。温めてきた信念と努力が花開く。さあ戦いはこれからだ。ヒーローの出番です!

【追記】
うまく言葉にできませんが、ハグプリまでのシリーズが「子供時代(プリキュア)を卒業して社会人へ」だったとしたら、今作は「子供時代を卒業して社会人(プリキュア)へ」の視点なのかも。「プリキュア」に象徴されるものが入れ替わってるなら、こちらも意識して視聴しないと過去の幻影を引きずってしまいそう。

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