穴にハマったアリスたち

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読んだので批判する:「プリキュアでカウンセリングを呼びかけるべき」(アゴラ)

2013年06月13日 | 王様の耳はロバの耳
ああ、またこの馬鹿な人だ…。

プリキュアでカウンセリングを呼びかけるべき(アゴラ)

根本的な議論のやり方を理解していない人にツッコむのも悲しいものがあります。
多分この人は、何を言われても理解できないのだろうと思う。
ただ、「読んだ第三者」には伝える意味があると思うので、書いてみる。

[引用]
 しかし、規制反対派は、因果関係の有無や、代償行為の必要性といった理由ではなく、「表現の自由」というきれい事を楯に抗議しています。これでは勝てるはずはない。
[引用終]


「相手が実際にはしていないことを、勝手に捏造して攻撃する」。
典型的なダメパターンの一つですね。

実際には言うまでもなく、因果関係の有無は反対の最大根拠の一つとしてあげられていますし、代償行為の必要性も同様です。
「漫画の無い時代や地域の方が性犯罪が多い」は、まさにこの両方。

[引用]
私はプリキュアは「幼児性的犯罪の必要条件」と言ってよい(比喩)と思っています。
(中略)
「必要条件(比喩)」というのは、「幼児に性的魅力を感じない人」もプリキュアを観るかどうかは関係なく、「幼児に性的魅力を感じる人」は、ほぼプリキュアに釣られてしまうでしょう。ということを言ってるに過ぎません。
「必要条件とは言えない」というなら、「プリキュアなんて全く興味がないけれど、幼児には猛烈に性的魅力を感じる」という人が出てくるなら、反証できるのですけれど……。そんな比喩はどうでも良い。
[引用終]


「必要条件である」というご自分の主張は、「比喩である」ことを強調しているのに、
「必要条件ではない」という反論に対しては、「比喩はどうでもいい」そうです。

実際にはもちろん「どうでもいい」では済みません。
というか、書いてて恥ずかしくならないんだろうか、この人…。

果たして「必要条件」(児童に性的興味があるものは、圧倒的大多数がプリキュアに興味がある)は正しいのか?

答えは即答できますね。「NO」です。

ちょっと想像力を働かせよう。

ここでいう「児童」は「18歳未満」です。
中学生や高校生に対するレイプや痴漢等も含みます。
さて、それらの犯罪者は、圧倒的多数が「プリキュア」に興味があるのか?

…それこそ偏見かもしれないので申し訳ないが、要するに粗暴だったり素行不良だったりする人たちですよね、それ。
体育会系か文化系かでいえば、体育会系の人たち。あるいは中年オヤジ。
(おっと、「体育会系」や「中年」であることは「十分条件」ではなく「必要条件だし比喩だ」と書けばいいんでしたっけ?)

で、こういった人たちは最も「プリキュア」から遠い層だと思うのですよ。
従って「十分条件ではないのはもちろんのこと、必要条件でもない」ですね。

ここでよくあるジョークを一つ。

 「犯罪を起こしそうなタイプと聞いて連想するのは?」⇒「根暗なオタク」
 「刑務所にいるタイプと聞いて連想するのは?」⇒「いかついおっちゃん」

…矛盾してることに気付いて欲しいものです。

[引用]
 子供は意味を分からず真似をするものですから、児童ポルノが子供の目につくところにあるのは、絶対に避けなくてはなりませんが、そもそも、「児童ポルノを規制しよう」という動きが出るのは、「そんな物は観たくない」「子供に見せたくない」と思っている人にも目につくからで、「表現の自由」の前に、「観たくない人達」の権利を先に侵害しているということに気づくべきでしょう。
[引用終]


見なければいいだけでしょう。
「いや街の看板にあると見えてしまうのだ」というなら、「看板の規制」等を行えばよいのであって、「単純所持禁止」と全く関係がない。
関係ない事柄を根拠に使ってる時点で、論として破綻しまくってます。

子供でも購入可能な漫画にも性的表現があるというのなら、それはまさに漫画にとっては一大事。
「表現の自由」を求めて反発することになるでしょう。まさしく今の現状。

なお筆者は「ハレンチ学園」を例に挙げています。
なるほど。ところでそれって、過去の漫画ですよね。
なんだ、「単純所持」を禁止しなくても、自主規制が進んで「改善」されてますね。
どうやらゾーニングは順調に進んでいるようです。

[引用]
「観たくない人達」、「子供に見せたくない人達」の権利を著しく侵害しながら、「表現の自由」を楯に争うなら、ポルノに限らずあらゆる規制に反対の私ですら、そんな馬鹿共の「表現の自由」は規制すべきと、言わざるを得ない。
多数決では到底勝てないですよ。
[引用終]


多数決で勝てないことの根拠が不明です。
実際、筆者も「物議を醸しだした」等、禁止に反対する層が多数存在することを認めてる。

前回の記事でも思いましたが、この人はどういう人たちが「プリキュア」や漫画等々に関わってると思ってるのだろう?
一応、「多くの人が関係している」とは書かれていますが、現実をちゃんと見ていないとしか思えない。

この法案の問題点の一つは、「多くの人が関係している」プリキュア等を所持していたことによって、罰せられる可能性があるというもの。
そんな危険な橋は渡れないので、過剰な自主規制の結果、「プリキュア」や漫画等々は、少なくとも現在の形では存在できなくなる。

平たく言えば、「プリキュアが児童ポルノとして禁止される可能性がある。お子さんのグッズも全て焼却処分しないと逮捕されるかもしれない」。
これを聞いて賛成する人間が圧倒的多数だと、本気で思ってるんでしょうか。

誰も(性的被害者が実在する)「児童ポルノ」の規制には反対していない。
全く無関係のものが、無根拠に規制され、文化や生活が破綻するから反対してるんです。

[引用]
本当に「表現の自由」を守りたいなら、「観たくない人達」、「子供に見せたくない人達」の権利を守ること(ゾーンニング・レイティングの徹底)と、自分たちで「児童ポルノは犯罪の原因ではなく、犯罪の抑止力になり得る」という主張の裏付けとなる統計資料を作るべきなのです。
(もちろん、恣意的に作ってはダメですが……)
[引用終]


主張の裏付けとなる統計資料が必要なのは、反対派ではなく推進派です。

例えば受動喫煙を防ぐべく、煙草の規制が進んだのは、「害がある」と主張する側が、害を証明したから。
同様に、児童ポルノを規制したいのなら、「害がある」と主張する側が、害を証明しないといけない。

もっとも実際には「犯罪の原因ではなく、抑止力になりうる」は、まさしく反対派の主張の一つ。
因果関係がないことを示す統計は出ていますね。
(ただしこの筆者は以前の記事では「仮に性犯罪を減らす要因である場合も因果関係があるという。問題だ」と述べています。
 犯罪を抑止する要素であったとしても、制約をかける必要があるらしい)

しかも散々「十分条件ではなく必要条件(比喩)だと言ってる」と繰り返してたのに、何故か十分条件になってしまってます。
せめて最後まで格好をつければ良かったのに…。


一般的に「児童ポルノ」と聞いて連想するものは、「実在する小学生以下の少女に、性的被害を加えている写真や動画」だと思う。
ところがこの法案で目の敵にされているのは、「高校生アイドルの水着グラビア」や「18歳くらいに見える女性キャラが登場する漫画」等が含まれてる。
卒業アルバムも危険ですね。学生時代に片思いしてたあの子の制服姿の写真を眺め続けている内に、屈折した感情に火が付いて少女愛好者になった…なんてのは、ストーリーとして十分ありうるでしょう。
「児童ポルノ」として処罰する必要性がありますね。賛成派の理屈に則れば。

そこら辺をきちっと説明した上で、
「あなたの持つ●●も児童ポルノと判断される可能性があります」(例えばワンピースやドラゴンボールや卒業アルバム)
「法案が可決した場合、速やかに処分することが求められます」
「それで貴方は規制に賛成ですか?反対ですか?」と是非聞いて欲しいものです。

「そんな懸念は極端だ」というのなら、そんな極端な懸念をしなければならないような法案が問題なのです。


【蛇足】

「17歳の女性に性的魅力を感じたらアウト」というのが、そもそも狂ってるのでしょうね。
なんで結婚可能な年齢の女性に魅力を感じることが、批判対象になるのか。

年齢差を問題視するのなら、60歳が40歳に興味を持ってもアウトでしょう。
経験のない子供だからというのなら、中卒で働いている17歳の方が、22歳大学生よりもよほど社会人として一人前でしょう。

「実際に性行為を行ったらアウト(本人の合意があっても)」なら、まだ理解の余地はあります。
「本人の合意のない写真等を保持していてもダメ」も、まだ分かる。(風景写真にたまたま入りこんだだけ、等による「冤罪」を防止する明確な規定があれば)

ですが、「本人の合意のある写真もアウト」。
それどころか「実在しないキャラクターでも、持っていただけでアウト」。
もはや意味不明すぎます。

(追記:続きを書いた)

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