私の妄想の前提となっている「2033年のプリキュア」について書いてみる。
※勝手に「ハグプリ36話の朝日奈さんらは、2033年から来ていた」説を唱えています。 参考(左記の記事では33年ではなく30年と記載しています)
【プリキュア30周年】
これまでの記念シリーズを見るに、プリキュアさんは「最初の視聴者の年齢」を意識した展開をされています。
初期シリーズを5歳ごろに見たとして、
(1)プリキュア10周年「ハピネスチャージ」15歳前後
プリキュアたちと同じ年齢になったが、憧れていたあの世界は空想に過ぎず、現実の不幸の前に子供時代の宝物は砕かれた。
(2)プリキュア15周年「HUGっと」20歳前後
これまで様々なことを頑張って成長してきた。しかしいよいよ社会に出る段になり、そんな努力が無に帰すような理不尽に直面する。
※「〇〇周年」のカウントの仕方が微妙に違うのはご愛嬌
これに則ると、2033年の30周年シリーズでは、35歳前後を意識したテーマが扱われると思われます。ではそれは何か。
10数年後も先の社会情勢は分からないですが、大枠は今と変わらないとして、その年代が抱える問題は「決まってしまったことへの行き詰まり感」かなと思う。
「これから何かを頑張る」とか「これから不幸が訪れる」とかではなく、「決定したこと」への漠然とした不安。
「もっと違うことをしたかった」とか「こんなはずじゃなかった」ではなく、「望んだことなのだけど、何故か湧き上がる」不安。
結婚した、子供が生まれた、転職した、昇進した、家庭に入った、家を買った等々へのマイホームブルーやマリッジブルーのようなイメージです。今の選択に後悔はないのに、他の選択肢が消えたことに対する閉塞感は、実際のメンタルヘルスなどでも強調して取り扱われる問題です。
プリキュアの物語でいえば、「なんでも得意で好きだったけど、特に野球が好きだったので野球部に入り、他を辞めた」とか。
「プリキュアになったし、プリキュアとして世界を守るのは大好きなのだけど、結果的に他の時間がなくなった」とか。
テーマとして成立するかを見るために、プリキュアたちが勝てるかどうかを考えてみます。
15年の総決算たるミデンに対し、1~15年シリーズのプリキュアさんらは、それぞれの番組テーマを元に次々と解答を示しました。では、上記のようなテーマを背景に、30周年でもミデンのような敵が現れたとして(以下、新ミデンと呼称)、1~15年シリーズのプリキュアは勝てるのか?
おそらく無理に思えます。
例えばスイートチーム。「何もない」と嘆くミデンに対しては、「『ない』ではない。それは『悲しい』だ。そして『悲しい』は私たちも知っている。だから私たちは分かり合える」と示せた。でもマリッジブルーに対しては「結婚おめでとう」としか言いようがないです。当人も「基本的に幸せ」なのは分かっているし、結婚を失敗とか不幸とかとは思っていない。「私たちもそうだった」では救いにならない。
例えばアラモードチーム。「大好きを諦めるな」とスパルタでミデンを叱咤しましたが、新ミデンは「仕事が辛くて嫌だ」とかそういうわけではない。
例えばハートキャッチ。「何もない自分のために、事情は分からねど奮闘してくれている人がいる」のは救いになりますが、新ミデンは「育児が大変だから助けて欲しいとか、そういう状況ではない」ので、事情が分からないままそのまま素通りしてしまいます。
ドキドキチームは善戦しそうですが、彼女たちの主眼は「選ばれなかった方」に向いているので、いまいち綺麗には刺さらない。
一方、16年~30年のプリキュアだとどうか。
分かっているのは「スタプリ」と「ヒープリ」だけですが、この2つは「新ミデンには通用するが、ミデンには勝てない」ように見えます。
スタプリ:
「星座」などという固定観念から脱却しよう。もっと自由に星をつなげて好きな絵を描けばいい。
これから転じて「選択肢は狭まってはいない」という回答。
子供が産まれたからといって「親」という役割に固定されるのではない。
「主婦」の定義は現代では曖昧だ。ある時は仕事を中心に、ある時は家庭を中心に、精神面でも実際のタスク面でも状況状況で変わるのが常。
「仕事とはこういうものだ」のような固定観念は捨てよう。
ヒープリ:
(如何せん全容がまだ見えないですが、「特別なたった一人のヒーローが解決するのではなく、無力に見える名もなき存在が、経験を繰り返すことで強くなる」のような話だと仮定します)
選択は終着点ではない。同じように見える日々の家事も、繰り返すたびに成長や改善がある。更にこの経験が次のステージに生きてくる。
一人暮らしの独身時代の経験をもとに理想の家を買ったように、今の生活を踏まえて次の住居を考えられる。
今のこの選択は、次の選択のためのものだ。選択肢は狭まってはいない。
いずれも突破口になりうると思う。
逆にこの2シリーズはミデンには無力です。固定観念を捨てるも何も、そもそも何もないんだからどうしようもない。次に活かしたくても、その「次」がないから泣いてるんだ。
1~15年シリーズはミデンに勝てるが、新ミデンには勝てない。
16年~30年シリーズは新ミデンには勝てるが、ミデンに勝てない。
色分けができているので、テーマとして有りではないかしら。
【トラウムの戦い】
以上を念頭に、トラウムの2033年における対オールスターズ戦を見てみる。
2044年の戦いが終わった後、彼は2033年を経由し、2018年に戻り36話の戦いを起こし、そして消滅する…と私は決めつけています。創作設定の嵐で何が何やらですが。
「選択したことに対する漠然とした不安や後悔」は、破滅が待つ未来(2018年)に向かうトラウムの心境に合致します。
彼自身が望んだことであり、別の道を選びなおしたいのでもない。しかし決まってしまったこと、引き返せないことへの不安。そしてスタプリの「固定観念からの脱却(自分は破滅の袋小路に突き進んでいるのではない)」、ヒープリの「これまでの経験が次に生きる(18年の自分の戦いがそれ以降の歴史へと続く)」に勇気づけられ、2018年の最後の戦いに赴いたと。
意外とちゃんとまとまったかもしれない。謎だったトラウムの行動に、少し説明がついた気がする。
参考:
●HUGっと!プリキュア 愛崎えみる研究室問題考察(一覧)
※勝手に「ハグプリ36話の朝日奈さんらは、2033年から来ていた」説を唱えています。 参考(左記の記事では33年ではなく30年と記載しています)
【プリキュア30周年】
これまでの記念シリーズを見るに、プリキュアさんは「最初の視聴者の年齢」を意識した展開をされています。
初期シリーズを5歳ごろに見たとして、
(1)プリキュア10周年「ハピネスチャージ」15歳前後
プリキュアたちと同じ年齢になったが、憧れていたあの世界は空想に過ぎず、現実の不幸の前に子供時代の宝物は砕かれた。
(2)プリキュア15周年「HUGっと」20歳前後
これまで様々なことを頑張って成長してきた。しかしいよいよ社会に出る段になり、そんな努力が無に帰すような理不尽に直面する。
※「〇〇周年」のカウントの仕方が微妙に違うのはご愛嬌
これに則ると、2033年の30周年シリーズでは、35歳前後を意識したテーマが扱われると思われます。ではそれは何か。
10数年後も先の社会情勢は分からないですが、大枠は今と変わらないとして、その年代が抱える問題は「決まってしまったことへの行き詰まり感」かなと思う。
「これから何かを頑張る」とか「これから不幸が訪れる」とかではなく、「決定したこと」への漠然とした不安。
「もっと違うことをしたかった」とか「こんなはずじゃなかった」ではなく、「望んだことなのだけど、何故か湧き上がる」不安。
結婚した、子供が生まれた、転職した、昇進した、家庭に入った、家を買った等々へのマイホームブルーやマリッジブルーのようなイメージです。今の選択に後悔はないのに、他の選択肢が消えたことに対する閉塞感は、実際のメンタルヘルスなどでも強調して取り扱われる問題です。
プリキュアの物語でいえば、「なんでも得意で好きだったけど、特に野球が好きだったので野球部に入り、他を辞めた」とか。
「プリキュアになったし、プリキュアとして世界を守るのは大好きなのだけど、結果的に他の時間がなくなった」とか。
テーマとして成立するかを見るために、プリキュアたちが勝てるかどうかを考えてみます。
15年の総決算たるミデンに対し、1~15年シリーズのプリキュアさんらは、それぞれの番組テーマを元に次々と解答を示しました。では、上記のようなテーマを背景に、30周年でもミデンのような敵が現れたとして(以下、新ミデンと呼称)、1~15年シリーズのプリキュアは勝てるのか?
おそらく無理に思えます。
例えばスイートチーム。「何もない」と嘆くミデンに対しては、「『ない』ではない。それは『悲しい』だ。そして『悲しい』は私たちも知っている。だから私たちは分かり合える」と示せた。でもマリッジブルーに対しては「結婚おめでとう」としか言いようがないです。当人も「基本的に幸せ」なのは分かっているし、結婚を失敗とか不幸とかとは思っていない。「私たちもそうだった」では救いにならない。
例えばアラモードチーム。「大好きを諦めるな」とスパルタでミデンを叱咤しましたが、新ミデンは「仕事が辛くて嫌だ」とかそういうわけではない。
例えばハートキャッチ。「何もない自分のために、事情は分からねど奮闘してくれている人がいる」のは救いになりますが、新ミデンは「育児が大変だから助けて欲しいとか、そういう状況ではない」ので、事情が分からないままそのまま素通りしてしまいます。
ドキドキチームは善戦しそうですが、彼女たちの主眼は「選ばれなかった方」に向いているので、いまいち綺麗には刺さらない。
一方、16年~30年のプリキュアだとどうか。
分かっているのは「スタプリ」と「ヒープリ」だけですが、この2つは「新ミデンには通用するが、ミデンには勝てない」ように見えます。
スタプリ:
「星座」などという固定観念から脱却しよう。もっと自由に星をつなげて好きな絵を描けばいい。
これから転じて「選択肢は狭まってはいない」という回答。
子供が産まれたからといって「親」という役割に固定されるのではない。
「主婦」の定義は現代では曖昧だ。ある時は仕事を中心に、ある時は家庭を中心に、精神面でも実際のタスク面でも状況状況で変わるのが常。
「仕事とはこういうものだ」のような固定観念は捨てよう。
ヒープリ:
(如何せん全容がまだ見えないですが、「特別なたった一人のヒーローが解決するのではなく、無力に見える名もなき存在が、経験を繰り返すことで強くなる」のような話だと仮定します)
選択は終着点ではない。同じように見える日々の家事も、繰り返すたびに成長や改善がある。更にこの経験が次のステージに生きてくる。
一人暮らしの独身時代の経験をもとに理想の家を買ったように、今の生活を踏まえて次の住居を考えられる。
今のこの選択は、次の選択のためのものだ。選択肢は狭まってはいない。
いずれも突破口になりうると思う。
逆にこの2シリーズはミデンには無力です。固定観念を捨てるも何も、そもそも何もないんだからどうしようもない。次に活かしたくても、その「次」がないから泣いてるんだ。
1~15年シリーズはミデンに勝てるが、新ミデンには勝てない。
16年~30年シリーズは新ミデンには勝てるが、ミデンに勝てない。
色分けができているので、テーマとして有りではないかしら。
【トラウムの戦い】
以上を念頭に、トラウムの2033年における対オールスターズ戦を見てみる。
2044年の戦いが終わった後、彼は2033年を経由し、2018年に戻り36話の戦いを起こし、そして消滅する…と私は決めつけています。創作設定の嵐で何が何やらですが。
「選択したことに対する漠然とした不安や後悔」は、破滅が待つ未来(2018年)に向かうトラウムの心境に合致します。
彼自身が望んだことであり、別の道を選びなおしたいのでもない。しかし決まってしまったこと、引き返せないことへの不安。そしてスタプリの「固定観念からの脱却(自分は破滅の袋小路に突き進んでいるのではない)」、ヒープリの「これまでの経験が次に生きる(18年の自分の戦いがそれ以降の歴史へと続く)」に勇気づけられ、2018年の最後の戦いに赴いたと。
意外とちゃんとまとまったかもしれない。謎だったトラウムの行動に、少し説明がついた気がする。
参考:
●HUGっと!プリキュア 愛崎えみる研究室問題考察(一覧)