穴にハマったアリスたち

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トロピカル~ジュ!プリキュア第3話「自分を信じて!キュートいっぱい!キュアコーラル!」感想

2021年03月14日 | トロピカル~ジュ!プリキュア
■トロピカル~ジュ!プリキュア第3話「自分を信じて!キュートいっぱい!キュアコーラル!」感想

前回、「プリキュアになれる人間は存外少ない」とローラさんは気づきました。
なのでもっと積極的に探さないと…!となるかと思っていたのですが、完全に逆だった。
どうせ見つからないから根を詰めるのはやめよう。サマーがいればどうにかなるし。

夏海さんは夏海さんで頭の中は部活やら新しいご友人やらでいっぱい。あれやこれやをやりたくて、どれもこれもをやろうとして、楽しく悩んでいらっしゃる。
この様子を後に涼村さんは「好きなことを自分で決められてうらやましい」と評しましたが、描写的には「決められない」側面が多々描かれてる。後々何かテーマ的に発展することなのかしら。

「自分で決める」といえば、今年はプリキュアさんと謎生物が主体的に別行動をとっています。
ご学友と遊びに行くことになった夏海さんはローラを誘いますが、その過剰なる上から目線にローラは拒否。
一方の夏海さんも特にはこだわらない。じゃ!別行動で!お互いに良い週末を!
何かあるたびに鞄に潜り込んだり、頭の上に乗っけたりしていた時代は終わった。ヒトとサカナは住む世界が違う。

お友達と水族館に遊びに行った夏海さん。それとは特には関係なく先日教えてもらったプールにローラはどぶん。どうやってそこまでたどり着いたのかはわかりません。下水を泳いだのだろうか。
なんにせよ「羨ましかったから」とか「寂しかったから」ではなく、自分の基準で動いているのが心地よいです。
私のかわいいは私が決めるのだ。それでこそ自称・次期女王。

そのローラを涼村さんは発見。かわいい!人魚だ!
これにはローラもにんまり。よろしい、素直なニンゲンだ。どうせならプリキュアになってみる?
しかしながらアイテムは光らず。残念。じゃ!そういうことで!
割り切りが早くてとても良い。意志決定は己れでするのだ。

水族館にプリキュアと次期プリキュア候補と謎生物が会しているのに、特には何も起こらずその日は解散。
地味に驚きました。普通ならここは敵の襲撃→初変身の流れなのに。
今年の敵は、プリキュアの持つ何かを狙っているわけではなく、面倒くさがりなのでイベント事を狙うといった策も立てないので、まったくリンクしないのか。これはこれで厄介だ。いつどこに出てくるのかさっぱり読めない。

翌週。涼村さんは夏海さんに打ち明ける。実は私、自分の好きを口に出せない。
横で聞いていたローラは憤慨。自分のかわいいは自分で決めろ!私はかわいい!
夏海さんも追従します。そうだ自分で決めよう!あとせっかくだし一緒にプリキュアやろう!
あ、それは無理。ローラのテンションが素に返る。そのニンゲンはプリキュアになれない。じゃ!そういうことで!
割り切りが早くてとても良い。

その後、何の脈絡もなく敵襲来。パニックに陥るニンゲンども。
また怪物が出た。そういえば以前の騒ぎのときに近くに人魚もいたらしい。なんてこと、人魚が黒幕か!

しかしながらこの風説の流布に、涼村さんは勇気を出してNoを提示した。
他人の意見に合わせる処世術で生きてきた彼女が、自分の意見を口にした。
そして駆け出して行った夏海さんを追いかけ、自分も戦地へ。

夏海さんことキュアサマーは劣勢に陥っていました。
新人らしからぬ戦闘力とアグレッシブさで見ていて頼もしいのですが、近くの水場に浮かんでる人魚さんが足手まといすぎる。
走って逃げたり隠れたりもできず。手に抱えて戦えるサイズでもなし。収納アイテムには重力制御機能がないので、隔離しても目を回す。結果、適当な水場に放つしかなく、そこを狙い打たれたら庇うしかない。なんてこった。

そんな現場に駆けつけた涼村さん。メイクで勇気に灯をともし、思いのままに動いてみたところ、めでたくプリキュアになれました。キュアコーラル。本名「さんご」ですから、そのまんま。もしかして初?

ありがたいことにコーラルさんは防御技を持っていた。戦線を押し返しさえすれば、水場の塹壕に立て籠るのは利点だ。人魚さんが後方から狙撃し、無事にビクトリーなされました。

なお人魚悪玉説を唱えたご学友も悪意があったわけではない。彼女たちの視点では当然の反応です。
そして駆けて行った夏海さんらを心配して、危険地帯ギリギリで待っていてくれた。

涼村さんの幼少時の思い出でも、友人たちが否定してきたとかではない。「自分の意見を言えない空気がある」のではなく、「勝手に自分で思い詰めた」。往々にしてあることだと思う。これを抑圧されたと誤解すると悲劇に発展する。気を付けたい。

【夢がある】

EDが映画仕様。来週のOPはどうなるんだろう?トロプリ歌に合わせてヒープリ映画が宣伝される稀有な事態になるんだろうか。

いざこうなってみると、ヒープリとプリキュア5がコラボしたのは、テーマ的に納得いきます。考え方が近いし、相互に補完しあうシナジーもある。

じゃあトロプリはといえば、「後回し」はフレッシュに親和性があると思う。
山あり谷あり、されどたどり着く先はひとつ。
後回しにしても、それはやがてやってくる。順番がどうあれ、行き着く先はひとつ。

ただ今回の話はハートキャッチ的だった。外見を変えると中身も影響を受ける。メイクすること自体は直接的な解決にはなってないけど、それで気持ちが変わるならいいじゃないか。

何年か前の投票をみるに、ターゲット層として大きいのはプリキュア5とハートキャッチっぽいので、次のコラボは案外ハトプリなのかもしれない。
まぁ放送順どおりにプッシュしなきゃいけない理由はないし、稼げるところから稼がないと次に続かない。飛ばされたシリーズが冷遇された等々とは思わず、前向きに楽しみたいです。

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「パラレルワールドの正体」: HUGっと!プリキュア 愛崎えみる研究室問題考察

2021年03月14日 | ハグプリ最終回考察
前回「単一世界・未来不変」説と「単一世界・歴史改変」説の統合ができたので、次は「平行世界」説を考えてみよう…と思ったのですが、さっくりと解決できた。

(タイトルも含めて、全ての文章に「~だと私は思った」がつくのですが、冗長なので省略します)

【世界の成り立ち】


(「HUGっと!プリキュア」48話より)

アイデアとしては以前にも書いた「量子自殺」です。

過去に戻ると「歴史が変わった世界」と「変わらなかった世界」に分岐するとします。
分岐なのだから「変わらなかった世界」に属するジョージが必ず生み出される。

何度も何度も繰り返しても、その度に「変わらない世界にひたすら進み続ける」極めて不運なジョージが、必ず一人残ってしまう。
この稀有なパターンが、我々が見たハグプリ世界のジョージです。

若干ややこしいのですが「タイムトラベルした世界」と「タイムトラベルしなかった世界」への分岐ではない。
「タイムトラベルして未来が変わった世界」と「タイムトラベルしたが未来が変わらなかった世界」への分岐です。どちらのジョージもタイムトラベルはしている。(そう解釈しないと、タイムトラベルした時点でジョージは「歴史が変わった」と認識しますから、描写と矛盾してしまう)

この不運なジョージの視点だと未来は不変です。
実際には「未来が変わった」世界もあるのですが、パラレルワールドは観測できないのでジョージには関係ありません。
これなら彼の認識「未来は変えられない」と「平行世界」が矛盾無く両立できる。

前回までの検討と合わせるとこんな流れです。

『タイムトラベルにより「変わった世界」と「変わらなかった世界」に分岐する。我々が見たのは「変わらなかった世界」』

『ハグプリ世界は原則として「未来は変わらない」。しかし今回のループは、我々視聴者が観測していたことにより黒白キュアが召喚され、プリキュアの歴史が持ち込まれたため、過去・現在・未来が変わった。我々が見たのは「分岐で変わらなかった世界が、視聴者の観測により変わった後の世界」』
参考:「タイムパラドックスの真相」

『本質的には「変わらない」世界(※注1)なので、「変わった後」は不変。私たちが視聴した未来がそのまま繰り返される(※注2)』
参考:「ハグプリ最終回に起きたこと」

対立すると思われた「未来は変えられない」「歴史が変わった」「世界は分岐する」は両立します。今のところこれが、最も綺麗に説明できる。

(※注1:「変わらない」のは「変わらなかった世界に分岐したから」ではなく、「分岐したそれぞれの世界の未来は、分岐した後は不変だから」。分岐により変わった世界も、その後は未来不変と思われます)
(※注2:未来世界の時間停止は自然現象なので、クライアスを倒しても解決しない。また「野乃はなの死亡」も解釈の余地があります。小難しい理屈を持ち出さなくても、実はそもそもタイムパラドクスは起きていません)

【パラレルワールドの問題点:物語面】

検証のため、以前に私自身が提起したパラレルワールドの課題を解消してみます。まず物語面での齟齬。

『ジョージは「未来は変えられない」と確信していた。歴史の改変が可能だったり、平行世界に分岐するなら(歴史の復元力等を想定したとしても)そんな結論には至れない。物語として不自然すぎる』
参考:「パラレルワールドへの疑念(物語面)」

既に記載したとおり、「タイムトラベルして未来が変わった世界」と「タイムトラベルしたが未来が変わらなかった世界」に分岐したとすれば解決できます。

分岐説を採用した場合、なんとなく「ジョージ最愛の人がいた世界」と「ハグプリ世界」に分岐したかのような先入観がありましたが、そこが違ったらしい。

「最愛の人」や「ルールーがいた未来」は、放送されたハグプリ世界の話。
分岐先の世界は放送されておらず、誰も内容は知らず。もしかしたらいきなり地球が崩壊して人類が滅んでるかもしれないし、もっとずっと良い解決策に辿り着いてるのかもしれない。

【パラレルワールドの問題点:人物面】

『ルールーは「未来で待つ」と繰り返し発言している。別の未来や平行世界に旅立ったのなら矛盾してしまう。
また、えみるの主観では「未来は改変不可」としか認識できないため、齟齬が生まれる』
参考:「パラレルワールドへの疑念」(人物面)

ルールーは元々改変後の未来から来ているので問題なし。帰った先は改変後の未来であり、えみるのいる世界と同じ。ルールーはえみるを未来で待てます。

分岐も同様。「分岐する前の世界=ルールーのいた世界」「新たに分岐した世界=えみるの世界」ではない。
「分岐する前の世界=えみるやルールーのいる世界」「新たに分岐した世界=詳細を知りえない別世界」です。

それでいてハグプリ世界は「未来が変わらない」世界ですから、えみるの主観「未来は変わらない」とも矛盾は起きません。
他、「はぐたん・はぐみ別人問題」などもクリアできます。

【パラレルワールドの問題点:テーマ面】

『ハグプリのテーマ「なんでもできる」とは「過去にタイムトラベルすれば挫折をなかったことにできる」といった意味ではなく、「挫折や失敗はなくせないが、それでも立ち上がれる」だ。タイムトラベルにより未来の破綻を無かったことにしてしまったらメッセージが弱まる』
参考:「パラレルワールドへの疑念(テーマ面)」

ハグプリ世界を変えたのは、視聴者の観測によりプリキュアの歴史(これまでの自分の人生の歩みの象徴)が持ち込まれたから。

未来に起きる破綻は避けられない(ハリーらが語った未来の破滅は、改変後の未来なので霧消はしていない)が、挫けてしまった改変前と違い、思い出の力で踏ん張り立ち向かえた。

これがハグプリテーマと矛盾しないのは、オールスターズメモリーズのとおり。

【パラレルワールドの問題点:ミラクルリープ】

『ミラクルリープを使えば何度でも改変に挑める。改変可能な世界ならば、この手法を試さないのは奇妙だ』
参考:「パラレルワールドへの疑念(ミラクルリープ)」

ハグプリ世界は改変不可。登場人物の視点でも改変不可。ミラクルリープは元々99回繰り返すのが正史であり、未来は変わっていない。
歴史が変わったのは「視聴者の観測」という外からの影響なので、ミラクルリープでは変えられない。
よってミラクルリープで改変に挑まなくても何ら不思議はない。

もしかしたら繰り返し毎に世界は分岐するかもしれないが、分岐先はこちらの世界と全くの無関係なので、あってもなくても変わらない。

【なんでもできる、なんでもなれる】

以上、半年前に自分が提起した疑問を突破できました。素直に自画自賛したい。半年前の自分を乗り越えた…!
「歴史を変えた原因は、タイムトラベルではない」「世界は分岐したが、我々が見たのは「変わらなかった元の世界」の方」は、ちょっとしたエウレカじゃないかしら。

「未来不変」「歴史改変」「分岐世界」は対立するものだと思い込んでいたけど、実はひとつに統一できた。半年前に「これで解けた」と思ったのは、あまりに自惚れが過ぎました。考えれば前に進める。正に「なんでもできる」。
ひとまず区切りは付けられたものの、まだまだ何かあるかもしれないので、引き続き考えていきたいです。

えみるのおかげで視野が広がった気がする。ありがとうハグプリさん。

参考:
●HUGっと!プリキュア 愛崎えみる研究室問題考察(一覧)

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