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「はぐたんは若返っていない説/ハグプリ未解決問題」: HUGっと!プリキュア 愛崎えみる研究室問題考察

2023年02月22日 | ハグプリ最終回考察
エルちゃんとの相違を整理する意味も込めて、はぐたんの疑問をまとめてみる。


(「HUGっと!プリキュア」40話より)

はぐたんとハリーには不可解な謎が残されています。
まずそれらを列挙し、仮説「はぐたんは本当に赤ちゃんで、トゥモローが若返ったのではない」を考えてみる。

謎①「ハリーの奇妙な言動」
ハリーの言動には不思議な点が多々あります。特に第1話。

後々の説明(主に40話)とも合わせると、あの時のハリーは「クライアスの追手からトゥモローと一緒に逃走。タイムトラベル後にトゥモローが赤ちゃんになった」と受け取るのが自然な理解です。しかしその割には動揺が見られません。
40話の回想では「何やこれは!?」「(赤ちゃんのトゥモローを見て)なんでやねーん!!」と驚いてはいます。が、その後の野乃邸では、(この事態を説明できる人物はいなかったにも関わらず)落ち着いてミルクを用意し状況を受け入れています。

謎②「はぐたんに、トゥモロー時代の記憶はあるのか」
(1) 記憶があるし、トゥモローとしての人格もある
(2) ない。完全に赤ちゃんになっている
(3) ぼんやりと記憶はある

特定できる描写はありません。はぐたんは敵に立ち向かう等、赤ちゃんらしからぬ動きもしてはいますが、「記憶はない」としてもおかしいというほどではないでしょう。
ハリーにオムツを替えてもらうのを嫌がっていませんから、「記憶はない」とした方が自然ともいえます。二人は既に、そういうことを任せられるほどの深い間柄だったのかもしれないので、何とも断言はできませんが。

謎③「トゥモローに、はぐたん時代の記憶はあるのか」
(1) 記憶があるし、はぐたんとしての人格を継続している
(2) ない。忘れている。
(3) ぼんやりと記憶はある

思春期の娘さん的には、オムツ替えの記憶が残るのはかなりきつそう…。しかも「ハリーを父親と誤認しかねない」罠までついてきます(だからハリーは、自分のことを「パパ」と呼ばせていないと思われる)。
記憶が残らなかったなら、それはそれで寂しいものがある。最終回の「ママ…」の呟きはなんだったのか。

謎④「トゥモローは、なぜ赤ちゃんになったのか」
「アスパワワが枯渇したから」がハリーの説明ですが、眉唾物です。
「ミライクリスタルを集めても復活しなかった」「同様の事例がない。トゲパワワが増えても時間が止まるだけ(トゲパワワの増殖と、アスパワワの枯渇がどう関連するのかは不明ですが)」など、否定材料はいくつかあります。

原理に踏み込んでも仕方ありませんが、ミデンの時の「記憶を失ったから子供になった」と比べて、「アスパワワ(明日への希望)がなくなったから若返る」は納得感が薄いです。「アスパワワがなくなったから時間が止まる(未来に進みたくないから)」なら分かる。

ついでに言うなら、これが事実ならジェロスさんの老い問題は解決しますね。アスパワワをなくせば赤ちゃんになれる。
(いや、解決すると思ったら希望が湧いてくるので、結局は赤ちゃんになれない…のか)

謎⑤「トゥモローはどうやって元に戻ったのか」
皆目不明です。未来に帰ったらいつのまにか戻っていた。
「過去に居続けるために力を使い続けていたからだ」と考えられなくもないですが、その割には普通に成長しています。

ちなみに、はぐたんの成長速度は普通です。
赤ちゃんの首が座るのは月齢2~4カ月ごろ、離乳食の開始が5~6カ月ごろ。
1歳になる頃には、見た目には大人とほぼ同じ食事ができるようになります。塩分や加熱時間、味付け、食材等に違いはありますが、見た目には分かりません。ミルクだけ飲んでいる期間は意外と短いです(なのでオールスターズメモリーズで、マシェリにミルクをあげようとするのはおかしい。野乃さんがいかに混乱していたかが分かる、密かな名シーン)。

確か走る描写はなかったと思いますので(一般には1歳6カ月以降)、ハグプリの劇中期間が半年~1年ぐらいなら、彼女の成長描写はリアルとちょうど当てはまります。
言葉は早い方ですが、超常の力を想定するほどではないというか、演出の都合の範囲かなと。
細かいことに拘るのであれば、人見知り・場所見知りで泣かないのは変とか、病気や体力の問題の方が厄介です。

【思考実験】
以上を踏まえて仮説を立ててみる。

●仮説
『はぐたんは2030年から来ている。若返ったトゥモローではなく、2030年時点の赤ちゃんそのものである』

●大まかな流れ
2043年10月:
窮地に陥ったトゥモローとハリーは、2030年10月にタイムトラベルした。
理由は「プリキュアに助けを求めた」「マザーの力を使った」ので、プリキュアである母が、自分を出産する時代が無意識に選択された。

2030年10月21日:
はぐたん誕生。43年から来たトゥモロー、「ママ…」と呟く

2031年2月:
何らかのトラブルが起き、生まれたばかりの「はぐたん」(月齢4カ月ごろ)が2018年にタイムトラベルしてしまう。
巻き込まれてハリーも2018年へ。トゥモローは2030年に残留。

2018年2月~2019年:
ハグプリ本編。最終回にて2031年に戻る。
はぐたんを2031年の野乃さんに返し、トゥモローとハリーは最終決戦へ。

これだと「トゥモローが43年から30年に13年分タイムトラベルした反動で、赤ん坊のはぐたんが31年から18年に13年分タイムトラベルした」のような、なんとなくの数字の符丁も見て取れます。意味があるかはともかくとして。

【仮説の利点】
この仮説を採用すると、先に述べた謎①~⑤が解決します。

謎①:ハリーは赤ちゃんの存在を知っていて、事前準備もできるのだから、すぐに冷静になって当然である。
謎②:トゥモローが若返ったのではないので、記憶は当然ない
謎③:成長と共に普通に忘れている
謎④:若返っていないので考察不要
謎⑤:同上

綺麗に解ける。
他、いくつか補足します。

第40話の回想は、普通に見ればどう考えても「2043年から逃亡した時の描写」ですが、数瞬のカットの間に「2030年が挟まっていた」としても矛盾はしない。

同じく40話の回想にて、タイムトラベルをしたハリーが混乱している描写があります。ただこの回想の中では「なんで赤ちゃんになってんねん!?」のような決定的な台詞は発していません。
例えば「2030年でトゥモローとはぐたんがいる状況で交戦中に、タイムトラベルが発動。ふと横を見たら、トゥモローがいなくてはぐたんしかいない」の経緯でも、同じような反応をしそうです。
元々2030年ではぐたんと行動を共にしていたのなら、ミルクを用意していても納得できる。

ハリーは「ミライクリスタルを集めれば、はぐたんが復活する」と認識し、そうならなかった際に慌てていました。
これは「集めれば未来に戻れる」のような理解をしていたのなら不自然ではない。ハリーには嘘をつく動機があるのだから「未来への帰還」を「はぐたんが元に戻る」とごまかしてもおかしくはありません。

クライアスは若返ったと認識していたようにも思えますが、ハリーが隠蔽していたならありえるでしょう。
そもそもクライアスは、はぐたんをいまいち軽視しているように見えます。
例えばジョージが「(はぐたんが)マザーの力に目覚めたようだ」と語ったりしていますが、未来での戦いや過去へのタイムトラベルの発動は、マザーの力に該当しなかったのか…?
はぐたんが赤ちゃんそのものであるなら、まだプリキュアになっていませんから、「力が目覚めた」はむしろ自然に受け取れる。
他、ビシンの反応も、「トゥモローが若返っている赤ちゃん」よりも「これからトゥモローに成長する赤ちゃん」だとした方が、納得できる…ような気がする。

最終回で「ママ…」と呟いているトゥモローは、2043年からタイムトラベルしてきた直後。
あの描写は、2018年からハリーが帰還した後ではなく、ハリーが2018年に旅立つ前と思われます。

この解釈だと「ママ…」の呟きの意味が変わるので、謎③の懸念が消えます。
「育ててもらったハグプリ本編を想って呟いた」のではなく、「これから育ててもらうハグプリ本編を想って呟いた」。
「明日」の名を持つキュアトゥモローの台詞として考えると、過去を想ってよりも、未来を想っての方が似合っている気はする。

【仮説の欠点】
問題点は明らかで、個々の劇中描写と整合せず「嘘をついていた」「描写が省略されている」のようなごり押しの嵐です。
(ハリーは意識的に情報を隠しているので、「嘘をついた」にも一定の確かさはあるのがまた面倒くさい)

しかもこんな大掛かりなギミックを持ち出す必然性がありません。確かに謎は解けますが、他の方法でも解けなくはないです。
謎①は「普通に大混乱に陥ったハリーだったが、トゥモローを守るために奮起した」…で納得できるし、謎②や③はトゥモローさんに強く生きていただければ良い。オムツ替えの記憶が残った程度で、心折られるトゥモローさんではない。

仮にこの説でいくなら、テーマに何か新しい視点をもたらせるとかに期待したいのだけど、(元が完璧すぎるので)特にはなさそう。
2030年や2043年のシリーズにとっては、この構成が重要な意味を持つ可能性もあるので、もしそうなったら狂喜乱舞してみる。

【蛇足】
プリキュアコンテンツであることを無視するのであれば、
「2030年に戻った際にトゥモローは死亡している。同じく野乃はなも死亡」
「2018年から2030年に帰還したハリーは、(野乃さんが死亡しているので)そのまま赤ちゃんを普通に育てて、2043年を迎える」
「育ったはぐたんはトゥモローになり、2043年のハリーに巡り合い、過去にタイムトラベルをする。そして死亡」
も、時間ギミックとしてはありえそう。

この場合、ハリーの恋は実らない。また、おそらくは縁者に助けを求めると思われます。つまりは、同年代に成長した2030年の輝木さんと、はぐたんを育てる展開も想像はできる。輝木さん的には、何とも複雑な心境でしょうけれど。

参考:
●HUGっと!プリキュア 愛崎えみる研究室問題考察(一覧)

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