わが母の所へご機嫌伺いの日。
天変地異が起こりそうな出来事です。
自慢ではないけれど、私一人で親元に出かけることなどめったにありません。
不便な場所にあるので、一番近い電車の駅からタクシーで行くことにしました。
初めて降りる駅。
タクシーの走っている場所がつかめません。
なんということ、タクシーに乗ってから母の住所も定かではないことに気がつきました。
たしか4丁目のはず。
しかし、そこは見知らぬ場所。
とりあえずタクシーを降りて、電話をしました。
なんと母の家は1丁目だったのです。
重い荷物を持って、テクテク歩きました。
歩きながら、
「親不孝をしているから、親の住む場所も分からないのだ。」
と、思わず笑ってしまいました。
ありがたいことに、今日はよいお天気。
1丁目を探し、カンを頼りにテクテク、てくてく。汗が出ました。
夕方、夫が車で迎えに来てくれました。
車から外をぼんやり眺めていると、
空の低い位置に黄色い穴がぽっかり開いていました。
コンパスで引いたような丸い穴。
大きな満月でした。
写真に撮ると、その時の感動も驚きも小さくなっていて、がっかりします。
あんなに大きく見えた月も、写真では小さくて
{穴が開いた}という表現が大袈裟に感じます。
私を追いかけてきた月は、家に着いたときにはずいぶん上にあり、晴ればれと輝いていました。