店主敬白(悪魔の囁き)

栄進大飯店の店主さがみやがおくる日々の悪魔の囁き。競馬予想や文学・音楽・仕事のグチやちくりまでいろいろ。

地雷女バンザイ

2007-10-02 17:51:47 | 小説・読んだ本
 はい、ひさしぶりに更新してます。
 最近は面白いマンガがなかなか見つからないので、もっぱら古い少女マンガを読み返しています。
 手始めに萩尾望都あたりからはじめてみましたが、こっちは素直に感動。
 いつ見てもネームのひとつひとつさえ新鮮で斬新に思える。
 「ひとつのものをきわめて繊細にていねいに、これでもかと積み上げていく才能」は、この人と竹宮恵子が双璧だと思う。今でも。
特に「ポーの一族」の独特の、ちょっと混乱するような流れのネームを読んでいると、あの世代の複雑でごちゃついた心理をよくあらわしているようで、本当に、「イイなぁ、こういうこと思いついて」
 と素直に感動してしまうのだ。
 で、前置きが長くなったけど、読み返してみておもしろかったのは、しらいしあいの「ばあじん♪(♪はこれじゃないけどさ)おんど」なのだ。
 等身大のオンナのコ、を描かせるとこの人はやっぱりうまい。
 二股かけちゃうような、
「いつかどこかで誰がしちゃうかもしれない罪」をさらりと、カルーく描いてくれるのだ。
 主人公はフツーの家庭にフツーに育ち、年頃になれば誰でものぞいてしまう男と女の世界を、好奇心たっぷりにつき進んでいく。
 ドライだけど単純、醒めてるフリしてぐらぐら揺れる心。
 でもって主人公は、その旺盛なる好奇心と、追求好きな性格のせいか、ばんばん地雷を踏むのだ。
 地雷とは恋人の複雑な家庭環境だったり、恋人の、人には見せたくない心だったり、二股体験だったりする。
 あまりにも地雷を踏むので、
「たいがいにしろよ」
 と言いたくなるのだが、それは「オトナのおせっかい」というものだと思う。
 おかしい、わかんないと思ったことを無理して抑えてゆがんだ方向へいっちゃう
(そういったキャラも、ここには出てくる)よりも、いっそ何度でも体当たりして、そこから新しい道をみつければいい。
 それが若さなのだ、迷いながらも道を行き続ける。
 だから若いってことはステキなのだ。
 だから主人公はさみは、「私たちのはさみ」であるのだ。
 そう思った。

 今は「トラウマ」なんて便利な言葉があって、何でもそのせいにして、何でもそれで解決したことにする。
 だけどはさみは、ごくフツーの家庭で育ち、ごくフツーすぎるぐらいだ。
 そんなトラウマの入る余地はないし、トラウマがらみの恋愛話に疲れてくると、いっそはさみは、すがすがしくさえ思える。
「好きなんだからいいじゃん」
 恋愛の基本は結局コレなのだ。