日光東照宮といえば有名なのは眠り猫、左甚五郎作と伝えられています。
牡丹の花に囲まれ日の光を浴び、うたたねをしているところから「日光」に因んで彫られたとも言われています。
これより奥宮に通じます。
神厩舎(ご神馬をつなぐ厩)には昔から猿が馬を守るとされているところから、長押上には猿の彫刻が8面あり、人間の一生が風刺されています。
今回、高校の修学旅行以来、何十年ぶりかに行きましたが、三猿って、これだけじゃなかったのですね。
ガイドさんの説明によりますと、この三猿は8面で形成され、人の生涯の生き方を教える手本と言われています。
(1)赤ん坊時代
子猿を引き寄せた母猿が手をかざして遠く(実り多い子供の将来)を優しい眼差しで見つめています。
子猿は信頼しきった表情で母猿の顔をのぞき込んでいます。
(2)幼年期
両手でそれぞれ耳、口、目を押さえた三匹の猿。
いわゆる、『見ざる、言わざる、聞かざる』の三猿の教え。
物心のつく幼少期には、悪いことを見たり、言ったり、聞いたりしないで、良いものだけを受け入れ、素直な心のまま成長せよという教えが暗示されています。
(3)独り立ち直前
赤ん坊時代や幼年期と異なって、彫られているのは一匹の猿です。
孤独感の漂う、いくらか苦渋の表情をした一匹の猿が座ったまま将来を見つめています。
自力で『独り立ち』しようとする姿が暗示されています。
(4)青年期
崖下を覗き込む猿とその猿を慰める猿、崖っぷちを飛び越えようとする猿。
まっすぐ人生に立ち向かおうとするなかで立たされる崖っぷち。
慰め慰められることを体験しながら、挫折を乗り越えて行こうとする姿が暗示されています。
(5)挫折と慰め
口をきっとへの字に曲げ、天を仰ぎ見る二匹の猿。
右側には青い雲がたなびいています。
『青雲の志』を抱く青年期が暗示されています。
(6)恋に悩む
あぐらをかいて思い悩む猿とその横で木の枝にぶらさがっている(去っていこうとしている?)猿。
伴侶を得るための恋愛中の悩ましさが暗示されています。
(7)夫婦で乗り越える荒波
結婚して仲むつまじい2匹の猿ですが、2人の前には『人生の荒波』を暗示する波が横たわっています。
(8)お腹の大きい猿
妊娠してお腹が大きくなった一匹の猿が彫られています。
子猿もやがて母猿になります。親になって知る苦労や喜び。
子供が生まれると、物語は(1)の赤ん坊時代に戻ります。
2017年3月31日 - 三猿をはじめとする神厩舎の猿の彫刻は昨年の6月に取り外され、彩色と錺金具の美装 化修理が行われて来ましたが、この度、8面すべてが ... 猿の彫刻は前回、昭和27年3 月に修理を終えていて、それ以来、65年ぶりの修復だったそうな。