横浜港北おもちゃ病院の活動記録

ドクターの一人であるYoshi61が代表して記録しています

赤ちゃんビーグル(特殊ギヤの補修 その1)

2018-07-14 12:27:02 | ノウハウ集
七夕の7/7は駒岡地区センターのおもちゃ病院でした。今日は予約もなく7人のドクターは手持ち無沙汰です。11時過ぎにようやく親子(父娘)が動く犬のぬいぐるみの治療にやってきました。持ち込まれたおもちゃは、イワヤというメーカーの「あかちゃんビークル」で、歩いて鳴いて尻尾をかわいらしく振って伏せができる、かわいいビーグルのあかちゃんワンちゃんです。



触診では足は折れていないようですが、電源を入れても動きません。さっそく開腹し中を見ると、左前足のリンク部が折れて、ギヤボックスがロックしていました。さらに分解すると4ヶ所の複雑骨折です。3人のドクターで手分けして骨接ぎ手術です。補強の接着剤が硬化するまで待って再組立てするともう閉院間際、受取りに見えた保護者の前で動作チェックをすると伏せ動作モードでカチカチ音が続き、伏せ動作をしません。骨折だけだと思っていたのですが、他の故障もあったのでした。退院を期待していた女の子の「わんちゃん、まだがんばってね!」の声援を受け、入院することになりました。

持ち帰った(入院した)おもちゃを後日調べてみると、どうやら、ギヤボックスが怪しそうです。そのギヤボックスを分解点検すると、二つの特殊なギヤがそれぞれ歯欠けしていました。第1の特殊ギヤは3つのギヤが一体となっていて、そのうちの9歯のピニオンギヤが2ヶ所4歯欠けていました。そこで、9歯のピニオンギヤをカットし、同形状のピニオンギヤを圧入して補修しました。第2の特殊ギヤは、軸がクランク機構を持ち、31歯のスパーギヤが2ヶ所2歯欠けていました。さて、このスパーギヤの補修は悩みました。軸がクランクなので、第1の特殊ギヤのようにカットして交換することができません。思案の末、ギアの歯欠けをリン青銅板で補修することにしました。欠けている部分に切込を入れ、0.5mmリン青銅版を歯丈に合わせ慎重に取り付けました。



補修したギヤにグリースを塗布し、ギヤボックスを再組立て、電源を入れるとちゃんと伏せ動作をしました。大成功!!翌日、女の子のよろこぶ姿を目に浮かべながら、地区センターへお届けしました。