春うらら。ひたすらに眠い季節…。
ただ集中して本を読み出すと危険です。ページを繰る手が止まらない。
昨日の午後もそれで買い物に行きそびれた…冷蔵庫にあるものを料理して晩ご飯にしたけど。
もっと節度を持って読書しなければいけないですね。
生活の優先順位を自覚しなければ!(と、毎度思う学ばないわたし)。
さて、近頃読了した本のひとくち感想です。
無花果の実のなるころに (お蔦さんの神楽坂日記) (創元推理文庫) | |
西條 奈加 | |
東京創元社 |
望君の真っ直ぐな若さとお蔦さんの人生経験に裏打ちされた成熟とが二重奏となって、好感度の高い本でした。
連作短編である作中で起こる事件は身近なもの。パズルのように客観的に解く訳にはいきません。
ただ真実を暴きだすだけでは丸く収まらないのが一般社会。
解決した後も関係者の人生は続き、探偵役はその後を見守ることになるのです。
祖母と孫は時に同情し、時に憤りながら、入り組んだ問題に誠実に向き合います。
お蔦さんの筋の通った対応が大人として真っ当で格好いいです。
それから、望君の作る料理がうまそう…。一家に一人こんな子がいたらいいのに。
エリザベス王女の家庭教師 (創元推理文庫) | |
スーザン・イーリア・マクニール | |
東京創元社 |
アメリカ育ちのイギリス人、数学に優れた美貌の若い女性マギーが、
毎回歴史上の人物と接触し、その周囲で起こる事件に巻き込まれるシリーズ2作目。
今回マギーはジョージ6世の娘エリザベス王女(現エリザベス2世)の家庭教師になります。
↓ 以下、ネタバレ注意です。多分色々ぶっちゃけてしまっているので未読の方は避けてください。
なんというか…見方が厳しいかもしれないけど…。
今回のマギーは周囲が称えるほど有能とはとても思えませんでした!
暗号解読者としてはともかく、潜入工作員としてはどうなの?と。
まずね、彼女お喋りしすぎです。よく知りもしない人に自分のことを正直に話しすぎ。
いくら他人になり済ましている訳ではないとはいえ、各国のスパイが暗躍する現場で、
よく弱みが握られたり正体がバレたりしないものです。
あと、なんか無計画で行き当たりばったりで運任せじゃないですか。
例えば、ウィンザー城に行く前にもっと王室のマナーとか調べましょうよ…。
そこはMI-5に情報提供されなくても自習しときましょうよ…。
また、感情的で衝動的で公私混同傾向にあるような気が。
両親のことを知りたいのは分かるが、任務中はそれに集中しよう、なっ!などと声をかけたくなる。
それから、上下関係や指揮系統を軽視しがちです。
お前何様やねん、と教官やMI-5長官は突っ込まないけれども。
そう。作者の意図とは別に、こいつ学校の成績はよろしくても実社会で使えないタイプだな、
という印象を受けちゃったのでした。
彼女、自信は人一倍あるんだけどね…組織の歯車にはなれない子みたいね…。
ストーリー自体はとても面白かったし、歴史上の人物が置かれた環境が描かれて楽しいので、
マギーが「才気煥発」設定ではなく、むしろ「無鉄砲な天然ドジッ娘新米諜報員」キャラなら納得がいくかと思いました。
まあ、工作員としての資質が本当に試されるのは次回作かもしれない。散々批判したけれども、次頑張れ。
ちょっとアレ…と感じたことがもうひとつ(ごめん、超ネタバレですよ!)。
いつだろう…前にこんな感じの展開読んだことあるぞ、としばし考え、
コニー・ウィリス&シンシア・フェリスの「アリアドニの遁走曲」を思い出しました。
昔読んで面白かったSFラブコメ青春冒険ものです。
アリアドニの遁走曲(フーガ) (ハヤカワ文庫SF) | |
コニー ウィリス,シンシア フェリス | |
早川書房 |
母ネタがちょっとだけ似てる気がするんですよね。
故にマギーが作中煩悶していても、「まだ気付かないのか」的な上から目線になってしまいました…。
読了後、次回作の内容を少し予想してみたけど、できればそんな予想を覆す大どんでん返しがあってほしいです。
期待。