『それはまた別の話』の続編、読みました♪
和田誠と三谷幸喜が、一回の対談に一本ずつ、
計12本の映画を語りつくすという、前作と同じ形式で。
今度も名作ばかりです。相変わらず二人の薀蓄がすごい。
和田氏が基本の道筋を作り
(どちらかがそうしないと、限りなく話がそれていく)、
三谷氏が嬉しそうにからんでいくという、楽しい二重奏。
この二人は本当に映画が好きなんだなぁ、とまた感心。
そして職業的な観点からの批判もやっぱり冴えてるなぁ、と思う。
『タイタニック』とか、わたしも公開時に観て、だーっと涙したクチなんですが、二人の指摘を読むと、あッ!騙された!!という気がする。
主観と客観と、視点がころころ変わるとか、ローズが婚約者の束縛の証である、ダイアモンドを大事にするのはおかしいとか。
…だよねー。あの時、映画館でも多少の矛盾は感じていたけれど、ここ、泣くポイント!という空気に、強引にねじ伏せられてしまったみたい(だから再度観たいという気持ちにあまりならないのですね)。
でも初見だと最後まで魅せてしまうあのテクニックはすごいっていう、二人の評価も妥当です。しかし、やはりキャメロン監督に手玉に取られた感があるのでしょうね、ここまで詳細に指摘するところをみると(笑)。
『男はつらいよ』では、フリークの助っ人さんが登場。誰それがマドンナとして出てくるのは第何作でしょうね、と二人が尋ねると、それは第○○作です、とすぐ答える、薄気味悪いひと(笑)。
好きな映画のアラを徹底的に批判して喜ぶ、という自虐的な楽しみ方は、マニアにも少ないのかしら。この助っ人さん、どんな顔して二人の話を聞いていたのでしょう。
(夫は寅さん否定派です。わたしも少女の頃は馬鹿にして観なかったのだけど、卒業後の暇な日曜日、テレビで放映されている寅さんシリーズを何度も観てたらしみじみしてしまって、大人になったな自分…と思ったです。とらや、大人の味です)
取り上げられている映画の大半が(またしても)観てなかったけど、題名ぐらいしか知らない映画よりこの二人の話の方が面白そう(失礼)と思って、ネタバレにも構わず読み進めました。
興味があるのは『5つの銅貨』と『ニノチカ』と、『カサブランカ』『雨に唄えば』(今まであらすじだけ聞いて満足してたっ)です。
『薔薇の名前』は、初め観た時は衒学的すぎてそれほどの映画とは思わなかったけど、あらためてもう一度観直しましょう。
これからもこの二人の対談は出して欲しいなぁ。お願い、キネ旬!
そうそう、和田誠監督の映画『怖がる人々』について。昔ならではの映画館で上映していたんだけど、5話オムニバスのどれもがちょっとおかしくて、すごく怖かった…。
折に触れて思い出すのですが、もう一回は観れないです、未だに。あの飛行機の話のラストとか、「吉備津の釜」で熊谷真実が紹介状の中を見るところとか(←あ、これが対談中に出てきたから、思い出したんですね)、ぐわっ!と怖い。
ホラーを観ると後日まで引きずるので、よく、そこまで怖がる?と呆れられますが、ああいうものは想像力がたくましいタイプ(妄想が働く、と言い換えてもいいけど)ほど、ざわざわっと怖いのです。
“これもまた別の話”になりますが、台詞で登場人物の設定が決まる時もあるという話から、三谷氏脚本の『12人の優しい日本人』、“死んじゃえ”が“○○○○○○○”に似てることから始まったという、衝撃の事実が発覚!(笑)一番強引なところから考えた訳だ。この対談、こういうこぼれ話も面白いです。
『これもまた別の話』和田誠 三谷幸喜 キネマ旬報社 1999
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