『わが身世にふる、じじわかし』芦原すなお 東京創元社 2007
作家の“ぼく”と妻は夫婦二人暮らし。八王子の辺鄙なところで穏やかな日常を送っている。そんな彼らの元を賑やかに訪れるのが“ぼく”の友人である河田警部。難事件を抱えるたびに、妻の謎解きの才能を頼ろうというのだ。
待ちに待った「ミミズクとオリーブ」シリーズ第3作。アメリカから帰国後も相変わらず元気に二人の家へやってくる警部なのであった。
優しくて料理上手な奥さんは、話を聞いただけで事の真相を見抜いてしまう、
いわゆる安楽椅子探偵。事件はあえて殺伐とした描写を抑えてあるので、
コージーミステリ好きにも読みやすいです。
次々登場する讃岐料理もすごく美味しそうなんだな!(食べたくてジタバタします)
“ぼく”と奥さんのほのぼのした夫婦の関係も実にいい感じ。
(稚気の残る旦那様を包み込むような温かい奥さんだけど、
長い間連れ添っている旦那様からとても愛されていて、羨ましいくらい)
変わらない世界観が嬉しいです。
そして毎度毎度、図々しく人の奥さんに甘える河田さん(笑)。
お酒を飲みながら当たり前のように美味しいご飯をご馳走になって、
事件のヒントまでいただいて帰るのですからね。
お土産を持ってくるだけ良心的だけど、調理法までさりげなく指示してるし、
大半胃袋に入れて回収している気がするし。
旦那さんと河田さんに甘えられっぱなしでも、負担に思わない奥さんは偉いなぁ…。
(天然でこんな良妻になれたらいいのにね!)
そういえば、収録作品「薄明の王子」ではプロレス用語が分からなかったので、
隣でゲームをしていた夫にいちいち質問していたら、
「何を読んでいるの?」と不思議そうに聞き返されました(笑)。
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また夫が口約束を忘れ、、
「そんなこと言った覚えは無いよー」と開き直りました。
こちらは夫婦の合意事項と思っていたもので、深く怒る。
あちらが熟睡している時に、少しずつ間合いをつめて、
布団の3分の2を占領してやりました。(…仕返しが小さい)
「ミミズクとオリーブ」の奥さんのように、いざという時は
静かに怒るだけで男の人たちを恐縮させるような迫力が欲しいです。
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