20190328今日の一手
1月12日の名南将棋大会から、SさんとMさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。
一昨日の一手の回答
☆ 形勢判断をします。
桂と金(歩)の交換で馬VS馬と金の作り合いです。ほぼ損得なしと見て良いでしょう。
玉の堅さは(相手の駒を考えずに)同程度ですが、先手の穴熊が深いです。
先手の攻め駒は53馬と持ち駒金銀銀で4枚。
後手の攻め駒は今のところ持ち駒金1枚ですが、48と など使えば増えていきます。
総合すれば先手有利か優勢です。
☆ 大局観として
金銀2枚の穴熊ですが遠さが生きています。67馬57と56桂がまだ攻め駒と呼べないくらいです。66馬~48と~39と でも詰めろではないので5手すきくらいでしょう。駒を渡して4手すきになるかもしれませんが、何か指して3手すきになるような攻めを続ければよいです。切れない攻め方はどれでしょうか。
何度も出てきますが寄せのセオリーの順番で考えていきます。王手は早過ぎますし、41金をねらうのも難しそう、52銀が目標です。
△ 実戦は52馬でした。
これが一番早く52銀を攻める手です。52同飛に53銀72飛
後手の飛車の逃げ方が近すぎる気がしますが、61銀82飛52金31金42銀66角
という進行です。この図の先手は61銀が攻め駒とは呼べないので金銀3枚の攻めです。後手は48と~39と と攻めるのがわかりやすいです。後手玉に端から逃げ出されて混戦となり、後手Tさんの勝ちに終わりました。
先手の工夫としては61銀ではなく42銀打
42同金同銀成同玉22金52歩
金銀3枚の攻めでも左右挟撃を目指し、いざとなれば桂香を取れるのですが、まだ寄せきったという感じではありません。形勢不明くらいです。
△ 52銀を取るには2手かかりますが、62金と打てば
飛車当たりですから強く攻めています。(飛車を1手で攻めているというべきかも。)53銀同歩成62飛同と
清算されると と金が離れて行くのが気がかりですが、攻め駒は62と を入れなくても飛を含む4枚になっています。93角(82飛を防いだ)が攻防で、52銀31金61飛48と
この寄せ合いはどちらの勝ちでしょうか?43銀不成同玉31飛成39と(詰めろ)同銀同角成38金48銀
先手玉は詰めろ、後手玉は詰みません。しかし角を入手できるので攻防の手段がありそう、後手玉も安全ではないので形勢不明です。
△ 62銀は
変な感じですが、52馬同金53歩成を見ています。これも2手かけて52銀を取ろうというわけです。利点はありまして、53銀同歩成62飛同と93角の順は、52銀31金41金
持ち駒に金があるのでこの41金が厳しいのです。
しかし62飛が必然ではないので取らずに93角
の時にどうしたものか。61銀不成~72銀不成では48と同金同桂成~38金
で寄せ合い負けです。
93角の時に38金打とか工夫するのでしょうが、はっきりしません。
○ 64歩と打ってみると
歩を使う筋はこれくらいです。64歩~63歩成~52と で3手かけて52銀を取るとみるか、2手で72飛を取るとみるか。(53銀同歩成64歩でも同じですが)64同歩63銀
今度は63銀53馬を両方とられる変化にはなりません。もちろん63同銀同馬~53歩成は歓迎です。53銀同歩成76飛52銀打
攻め駒は十分にあるので銀を打つ方がより確実です。31金43銀不成22玉42と
小駒だけでも4枚で寄せていくことができます。
後手が76飛ではなく82飛ならば最後のところが42銀打
ですが、金を取れるので4枚の攻めのままです。
△ 26馬と逃げるのが普通の手です。
26馬~53歩成~52と 3手かけて52銀を取ろうというわけです。途中でほかの駒に当たらないので速度は下がりますが、リスクは小さいです。66馬53歩成48と
寄せ合いは後手のほうが速そうですから67歩57馬46銀47馬57金
受けることになります。39と47金29と同玉34桂
52と26桂41と69角42金22玉
というのが進行例です。69角が結構厳しい寄せですが、36角か36銀と受けてまだまだ。
× 35馬のほうが13に利きがあるので攻めが強いわけですが44金
を打たれそうです。馬を切るのでは自信なし。36馬76飛53銀
という進行は馬を攻めに使えていないので攻めが細いです。後手は51歩が有効な受けになります。
× 75馬は
飛車を切られるので悪くなるでしょう。
△ 他には38金打
は悪い手ではありません。攻撃力が下がるので、この後にと金を作る攻め(64歩同歩63銀)が必要です。
△ 16歩も
後手玉が端に逃げた時には働くし、先手玉への詰めろが少しかかりにくくなるという面もあります。
☆ まとめ
まだ後手の攻めが速くはないので、筋の良い攻め方はどれか、という問題でした。
先手Mさんのように穴熊専門になると、筋の悪い手が良い場合も多くなる(不思議ですが)ので、切れない攻めはどれか?という方が良いかもしれません。
筋の悪い攻め≒重い攻め≒確実な攻め
筋の良い攻め≒軽い攻め≒受けやすい攻め
が成り立つかもしれません。例外もあります。
小駒3枚で一方から攻めるのは失敗でしょう。小駒4枚ならばなんとかなります。小駒3枚でも上から押さえつけるとか、左右挟撃ならばうまくいくことが多いです。
この場合は馬を逃げて53歩成を目指すのが筋の良い攻め方ですが、後手としては受けやすいかもしれません。
62金は有力ですが、清算されると と金が離れて行くのが気になります。
64歩同歩63銀と工夫すると清算されることはなく、確実に攻めることができます。
第1問

位取り中飛車の理想形を目指します。
A 65歩 B 45歩 C 68飛
第2問

強く反発しました。
A 24同歩 B 36歩 C 75歩
第3問

かなり受けにくいですが。
A 36銀 B 39玉 C 26金
第4問

後手玉は詰めろ。自玉の詰みを読みます。
A 86同竜 B 88玉 C 98玉
昭和40年10月、二上達也先生と第4期十段戦第1局です。

大山先生の中央位取り中飛車です。

二上先生は工夫した組み方で玉頭位取りへ。

大山先生は四間飛車にして58金左の形が良いですが

二上先生も好形で待ちます。大山先生の66角が揺さぶりの手。85歩は86歩同歩88飛ですね。62飛なら元に戻りそうですが

73桂と跳ねれば当然84角で

8筋の受けが

間に合いました。

二上先生は2筋の歩を突き捨てて合わせるのですが、ゆっくり25同銀~24角でも良いところです。

大山先生は3筋の歩を取り込み

銀をぶつけました。

二上先生はゆっくりできなさそうなので85桂。85同飛73銀で良いとも言えませんが、激しくなります。

大山先生は少しおとなしく角を引いたので、二上先生は13桂から26歩を打ち

香を取って

飛車は2筋に回ります。この飛車の筋は止められるのですが

歩の裏に香を打てます。

36歩の催促には、金を取るのではなくて26歩を打ち

桂を使って

2筋の攻めが強烈です。

大山先生はかわしていくしかないです。

玉を逃げきれるかどうか。

少し安全になってきましたが

駒損するので寄せ合いに出ます。

角を取り34歩で詰めろ。

この先手玉は詰みそうで詰まないです。

二上先生は金を逃げましたが、24桂の王手は逃げると詰みます。24同竜同金、桂をもらっても先手玉は詰まず、投了です。
二上先生の追い上げが厳しく、1手違いになりました。最後先手玉が詰まなくて、大山先生が僅差の勝利でした。
#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.40 棋譜ファイル ----
開始日時:1965/10/29
手合割:平手
先手:大山十段
後手:二上達也8段
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 8四歩(83)
3 5六歩(57)
4 3四歩(33)
5 5五歩(56)
6 6二銀(71)
7 5八飛(28)
8 5二金(61)
9 4八玉(59)
10 4二玉(51)
11 3八玉(48)
12 1四歩(13)
13 1六歩(17)
14 3二銀(31)
15 6八銀(79)
16 4四歩(43)
17 2八玉(38)
18 4三銀(32)
19 3八銀(39)
20 7四歩(73)
21 6六歩(67)
22 6四歩(63)
23 6七銀(68)
24 6三銀(62)
25 4六歩(47)
26 3三角(22)
27 5六銀(67)
28 3五歩(34)
29 6八飛(58)
30 6二飛(82)
31 5八金(69)
32 3二玉(42)
33 9六歩(97)
34 9四歩(93)
35 2六歩(27)
36 3四銀(43)
37 2七銀(38)
38 4三金(52)
39 6五歩(66)
40 同 歩(64)
41 同 銀(56)
42 6四歩打
43 5六銀(65)
44 4二金(41)
45 3八金(49)
46 6一飛(62)
47 4七金(58)
48 2四歩(23)
49 6六角(88)
50 5四歩(53)
51 同 歩(55)
52 同 銀(63)
53 5五歩打
54 6三銀(54)
55 9七香(99)
56 7三桂(81)
57 8四角(66)
58 7二銀(63)
59 8六歩(87)
60 8一飛(61)
61 8五歩(86)
62 5二金(42)
63 8八飛(68)
64 2五歩(24)
65 同 歩(26)
66 2四歩打
67 3六歩(37)
68 2五歩(24)
69 3五歩(36)
70 同 銀(34)
71 3六銀(27)
72 3四歩打
73 2五銀(36)
74 8五桂(73)
75 4八角(84)
76 1三桂(21)
77 1四銀(25)
78 2六歩打
79 8二歩打
80 9七桂成(85)
81 同 桂(89)
82 2一飛(81)
83 2二歩打
84 同 飛(21)
85 2三歩打
86 2一飛(22)
87 8一歩成(82)
88 2四香打
89 8二飛成(88)
90 6三銀(72)
91 3六歩打
92 2七歩成(26)
93 同 金(38)
94 2六歩打
95 3七金(27)
96 2五桂(13)
97 同 銀(14)
98 同 香(24)
99 3五歩(36)
100 2三飛(21)
101 3六銀打
102 2七銀打
103 3九玉(28)
104 3六銀成(27)
105 同 金(37)
106 2七歩成(26)
107 4九玉(39)
108 3五歩(34)
109 同 金(36)
110 3八と(27)
111 同 玉(49)
112 2八香成(25)
113 4九玉(38)
114 2七飛成(23)
115 5八玉(49)
116 5七歩打
117 6七玉(58)
118 5八銀打
119 7七玉(67)
120 4七銀(58)
121 3四歩打
122 4八銀(47)
123 3三歩成(34)
124 同 金(43)
125 3四歩打
126 5八歩成(57)
127 6七歩打
128 6八角打
129 8八玉(77)
130 8七歩打
131 同 玉(88)
132 8六歩打
133 9八玉(87)
134 4三金(33)
135 2四桂打
136 投了
まで135手で先手の勝ち
第1問

うまく先手の攻めを誘導しました。
A 55歩 B 84角 C 65銀
第2問

この手が利いて有利になりました。
A 56馬 B 36馬 C 31飛
第3問

まだ難しく思えますが。
A 71金 B 56歩 C 13角
第4問

厳しい寄せでした。
A 58馬 B 57金 C 46角
今日の棋譜20190326
昭和40年10月、原田泰夫先生と東京新聞杯です。
大山先生の向い飛車、原田先生は棒銀です。
原田先生が仕掛けを少し待ったので、大山先生は角を引いて
かなり後に流行する形に近いのですが、45歩には64角があります。
68金上と待つのもありますが、原田先生は左銀を66へ。
中央の位を取り
銀を立て直します。こういうのはやってはいけない例ですね。急戦と持久戦をミックスしても良い形にはなりません。
大山先生が54歩同歩同銀と動いたので
原田先生は34歩~44角とさばけました。
角は交換になり
大山先生が先に角を打ち込みます。この時に先手玉がもう少し堅ければ(57銀56歩型)先手も悪くはないのですが
37角成と取られる手があるので後手よしだろうと思っていたら、大山先生は桂を逃げて飛車取りが二重です。悪い形ですが
46角成で良しと見たんですね。銀の浮き駒がひどいです。33歩成には
56馬に32と は45馬が両取りです。25桂のほうを取ると飛車に逃げられます。
原田先生としては飛車を追って13香を取るのは妥当なところですが、24銀があります。
57香や52歩を利かせても、両取りに対応するしかなくなりました。
角と桂香の交換は駒損でもないですが、29桂19香は取り残されているのです。
寄せ合いを選びますが
大山先生の攻めはわかりやすいです。
適当な受けはなく
21飛も当然無視されて受け無しの2手すき。
飛車を渡せば詰まされます。
攻め将棋の原田先生の将棋には見えませんでしたが、39手目35歩を打つ辺りではずいぶん悩んだのでしょう。玉が薄いまま駒損から終盤になって、良いところが出せませんでした。
#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.40 棋譜ファイル ----
開始日時:1965/10/08
手合割:平手
先手:原田泰夫8段
後手:大山名人
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 2六歩(27)
4 4四歩(43)
5 2五歩(26)
6 3三角(22)
7 4八銀(39)
8 4二銀(31)
9 5六歩(57)
10 4三銀(42)
11 6八玉(59)
12 2二飛(82)
13 7八玉(68)
14 6二玉(51)
15 5八金(49)
16 7二玉(62)
17 3六歩(37)
18 8二玉(72)
19 9六歩(97)
20 9四歩(93)
21 6八銀(79)
22 7二銀(71)
23 4六歩(47)
24 5二金(41)
25 3七銀(48)
26 1四歩(13)
27 2六銀(37)
28 3二飛(22)
29 3八飛(28)
30 1三香(11)
31 5七銀(68)
32 5四歩(53)
33 1六歩(17)
34 4二角(33)
35 3五歩(36)
36 5三角(42)
37 3四歩(35)
38 同 銀(43)
39 3五歩打
40 4三銀(34)
41 6六銀(57)
42 6四歩(63)
43 5五歩(56)
44 6三金(52)
45 5四歩(55)
46 同 銀(43)
47 5五歩打
48 4三銀(54)
49 5七銀(66)
50 7四歩(73)
51 5六銀(57)
52 6二角(53)
53 6八金(69)
54 5四歩打
55 同 歩(55)
56 同 銀(43)
57 3四歩(35)
58 8四角(62)
59 4四角(88)
60 6二角(84)
61 3五銀(26)
62 4四角(62)
63 同 銀(35)
64 3七歩打
65 同 飛(38)
66 2八角打
67 3三歩成(34)
68 同 桂(21)
69 3四歩打
70 2五桂(33)
71 2七飛(37)
72 4六角成(28)
73 3三歩成(34)
74 5六馬(46)
75 2五飛(27)
76 3一飛(32)
77 2二角打
78 4一飛(31)
79 4二歩打
80 5一飛(41)
81 1三角成(22)
82 2四銀打
83 5七香打
84 3八馬(56)
85 5二歩打
86 1一飛(51)
87 2四馬(13)
88 同 歩(23)
89 同 飛(25)
90 5六歩打
91 2二飛成(24)
92 5七歩成(56)
93 同 金(58)
94 5六歩打
95 5八金(57)
96 5七香打
97 1一龍(22)
98 5八香成(57)
99 同 金(68)
100 4九馬(38)
101 6九銀打
102 4六角打
103 2一飛打
104 5八馬(49)
105 同 銀(69)
106 7九金打
107 8八玉(78)
108 6八角成(46)
109 6一飛成(21)
110 同 銀(72)
111 同 龍(11)
112 7八金(79)
113 投了
まで112手で後手の勝ち
20190326今日の一手
1月12日の名南将棋大会から、MさんとTさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。
一昨日の一手の回答
☆ 形勢判断をします。
金と飛桂の交換で と金を作っていますから先手の駒得です。終盤なので評価は控えめに。
玉の堅さは後手のほうが堅いです。
先手の攻め駒は97角は数えにくく、持ち駒飛銀桂の3枚。
後手の攻め駒は47銀36金で2枚。
総合すれば先手が少し有利です。
☆ 大局観として
先手は玉の堅さだけ劣っているのですが、先手玉を後手玉よりも堅くすることは難しいです。(入玉になれば別ですが。)
後手玉は金銀2枚の穴熊ですから、どこかで寄せ合いを考えるのでしょう。
当面は飛銀が当たっています。被害を最小限にとどめつつ、反撃に移るチャンスをねらいましょう。
△ 実戦は44飛と逃げました。
銀1枚とられるのは仕方なしと見たのですね。まだ少し駒得は残ります。57歩成同金55銀
ここがチャンスだったのですが、34飛56歩67金46金
後手の攻め駒が3枚で、57歩成もあるのでかなり受けにくくなっています。75角から受けたのですが
77桂も取られそうな形で、上から迫られているので受けがなくなりました。
チャンスと書いた55銀のところで75桂を打てば
62金引54飛はうまいです。44銀63桂不成56歩71桂成同銀
47金か、67金か、66金かは悩ましいですが、その後で寄せ合いに出て有望でした。
他には75桂ではなく(34飛でもなく)47金
44銀36金
後手の駒を取ってしまうのも有力です。
後手としては55銀では危ないので56歩
のほうが良いです。47金同金同飛58銀は受けきれない感じなので、66金57歩成75桂・・・は互角くらいです。
△ 45飛と逃げると
後手の55銀を消しているのですが、先に書いたように55銀自体は怖い手ではありません。違いはあまりないですが、57歩成同金56歩66金57歩成52飛
56銀成同金67銀88玉56と22飛成46金
後手の36金を使いやすくしてしまう変化があるかもしれません。飛車の位置で少し当たりが変わります。
× 56銀として歩を取ると
46金47銀同金
後手が47金を含めて飛車を含む攻め駒3枚になるので先手不利です。例えば52飛28飛48歩66歩
72銀同金同飛成48飛成
後手玉は詰まず、先手玉は詰めろです。
○ 56飛として歩を取れば
56同銀成同銀59飛
両取りを打たれるのですが、この図の時点では後手の攻め駒は2枚しかありません。「両取り逃げるべからず」で寄せ合いです。64歩62金引63桂72金上53と
(72金上ではなく61金寄のかたちでも53と同金21飛です。)53同金32飛62歩22飛成
61銀を見て優勢です。
○ 47飛として銀を取ると
57歩成は同飛ですね。47同金しかなく、56銀46金67銀引
やはり後手の攻め駒は2枚だけなのです。66歩同銀56金67銀
67同金同玉89飛88銀
銀を打たずに寄せ合いでも悪くはないですが、一度受けておいてから寄せを考えるほうが手堅いです。
△ 36同飛として金を取ると
57歩成同金36銀成
これは36成銀を含めて後手の攻め駒が3枚なのです。ただ36成銀が攻め駒にならないように、52飛28飛58銀66歩59歩56歩
攻められた時に飛を引き成って粘ることはできます。
× 48銀と逃げると
銀のほうは取ってもらえません。46金47銀同金
後手の攻め駒は3枚、57歩成もあるので受けきれません。
× 他の手は駒取りを無視して52飛(51飛もあるか)
57歩成に66飛
と逃げます。65歩同飛64歩66飛68と同飛
手順に銀金を取られてしまうのですが、47銀36金が重い(まだ攻め駒として働いていない)です。56歩75桂58金66飛62金引22飛成55銀
反撃はできますが、べたべた金銀を打たれて先手不利です。
× 75桂を打って
62金引としてもらえれば21飛が厳しくなります。しかし57歩成66飛65歩
65同飛に74金がぴったりですから失敗です。
× 64歩の利かしも
入りません。57歩成66飛68と同飛56歩
63歩成では勝てません。
☆ まとめ
一見は駒損しそうな問題図でしたが、元は少し駒得です。飛銀交換に持ち込めばまだ駒得で、後手の攻め駒は飛金の2枚だけでした。少し受けて寄せ合いに出れば有望です。
飛を逃げると銀損ですから、飛銀交換よりも劣ります。
36同飛は飛銀と金の交換ですから、皿に劣ります。
飛を2手後で逃げることもできますが、銀金を取られるともっと悪くなりそうです。
駒の損得で見ているのではなくて(ある意味正しいですが)後手の攻め駒が何枚であるかが重要なのです。いくら穴熊で攻められている状況でも、攻め駒が2枚だけならばなんとかなるはずです。
第1問

ちょっと良い手です。
A 56銀 B 56歩 C 58飛
第2問

これが良い構想でした。
A 56銀 B 65歩 C 86歩
第3問

思い切ってさばきに出ます。
A 37桂 B 65歩 C 46銀
第4問

手堅いです。
A 29金 B 71角 C 23銀成
昭和40年9月、佐藤大五郎先生と第6期王位戦第4局です。

大山先生の四間飛車ですが、この頃は56歩を突いていることが多いです。中央位取りを避けたのだと思いますが、佐藤先生は中央の歩を交換して

位取りを目指すような形になりました。58飛に対応して52飛です。

大山先生は8筋から動きました。

8筋の歩を切ったのは良いけれど、5筋を謝らせられたのですから互角です。ただ先のことを考えると、72金を動かせないので後手玉は堅くなりません。

駒組が進み、玉の堅さに差が出てきました。

大山先生は4,6筋の歩を突いて、56歩を取ってしまいました。

佐藤先生は飛車交換ができないのですが、交換した銀を打つのでは少し悪いです。

端攻めがうまくいけばよいのですが

香交換ではたいしたことはないです。

大山先生は馬を作って有利です。

佐藤先生は17桂成を決めてから玉を逃げておきます。

大山先生は左右挟撃を目指して、82歩から62歩

香を打って6筋から攻めていきます。

これで金が取れて

好調です。ただ後手の飛車が2段目だと83飛成82香と返されますから、それほど簡単ではないです。

54金を打って角を取りに行きました。佐藤先生は11歩で

角金の総交換です。

62歩成に同飛は54桂ですね。

佐藤先生は28桂合をみて62と を払います。

角を殺す29金に13香

角銀の取り合い、と最善を尽くしている感じがありますが、先手玉が安全になってしまいました。

大山先生は63歩から61角

と金と馬を作って寄せていきます。

これで駒得が約束されました。

佐藤先生も反撃しましたがここまで。
大山先生は最初の駒組がおかしくても(定跡を避けるので違和感がある)、金銀を繰り替えていくと有利な態勢を作るのがうまいです。本局は72金をくぎ付けにした構想がうまくいきました。
佐藤先生のほうは4連敗、力を出し切る前に終わってしまいました。
#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.40 棋譜ファイル ----
開始日時:1965/09/09
手合割:平手
先手:大山王位
後手:佐藤大五郎7段
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 8四歩(83)
3 7八銀(79)
4 3四歩(33)
5 6六歩(67)
6 6二銀(71)
7 6八飛(28)
8 4二玉(51)
9 4八玉(59)
10 3二玉(42)
11 3八玉(48)
12 1四歩(13)
13 1六歩(17)
14 5四歩(53)
15 5六歩(57)
16 4二銀(31)
17 2八玉(38)
18 5三銀(62)
19 3八銀(39)
20 5五歩(54)
21 同 歩(56)
22 同 角(22)
23 6七銀(78)
24 5四銀(53)
25 5八飛(68)
26 5二飛(82)
27 7五歩(76)
28 7二金(61)
29 7七角(88)
30 2二角(55)
31 8六歩(87)
32 6四歩(63)
33 8五歩(86)
34 同 歩(84)
35 8八飛(58)
36 5五銀(54)
37 8五飛(88)
38 8三歩打
39 8六飛(85)
40 5六歩打
41 5八歩打
42 4四角(22)
43 6八角(77)
44 5一飛(52)
45 4六歩(47)
46 3三銀(42)
47 4七銀(38)
48 2四銀(33)
49 3八金(49)
50 4二金(41)
51 3六歩(37)
52 3三桂(21)
53 4五歩(46)
54 7一角(44)
55 6五歩(66)
56 同 歩(64)
57 5六銀(67)
58 同 銀(55)
59 同 飛(86)
60 5五銀打
61 8六飛(56)
62 1五歩(14)
63 同 歩(16)
64 6六歩(65)
65 8七飛(86)
66 1七歩打
67 同 香(19)
68 2五桂(33)
69 1六香(17)
70 1五香(11)
71 同 香(16)
72 同 銀(24)
73 1四銀打
74 1六銀(15)
75 1三角成(68)
76 1七桂成(25)
77 3七玉(28)
78 4一玉(32)
79 8二歩打
80 同 金(72)
81 6二歩打
82 同 角(71)
83 6五香打
84 6四香打
85 同 香(65)
86 同 銀(55)
87 6三香打
88 5三角(62)
89 6二歩打
90 1二歩打
91 同 馬(13)
92 5二飛(51)
93 6一歩成(62)
94 7二金(82)
95 6二と(61)
96 同 金(72)
97 同 香成(63)
98 同 飛(52)
99 6三歩打
100 8二飛(62)
101 5四金打
102 1一歩打
103 5三金(54)
104 1二歩(11)
105 4二金(53)
106 同 玉(41)
107 1七桂(29)
108 同 銀(16)
109 6二歩成(63)
110 1九角打
111 2八桂打
112 6二飛(82)
113 2九金打
114 1三香打
115 1九金(29)
116 1四香(13)
117 4八玉(37)
118 5五桂打
119 6三歩打
120 5二飛(62)
121 6一角打
122 5四飛(52)
123 6二歩成(63)
124 6五銀(64)
125 7二角成(61)
126 4一金打
127 7七桂(89)
128 2八銀成(17)
129 同 金(19)
130 4七桂成(55)
131 同 金(38)
132 4六香打
133 同 金(47)
134 6七歩成(66)
135 1一角打
136 投了
まで135手で先手の勝ち
第1問

どんどん攻めたいところですが、自重しました。
A 75銀 B 75歩 C 74歩
第2問

逃げ方は?
A 32玉 B 14玉 C 34玉
第3問

ずいぶん危ないようですが、反撃を見ます。
A 12角 B 64角 C 66歩
第4問

攻める前に指したい手があります。
A 66歩 B 14歩 C 26香
第5問

危ないようですが間に合っています。
A 36歩 B 28成香 C 27銀
昭和40年8月、佐藤大五郎先生と第6期王位戦第3局です。

佐藤先生の振り飛車に見えましたが居飛車です。

相矢倉模様で53銀に57銀で対抗します。

大山先生は二段玉を生かして先攻しました。佐藤先生としては79玉の位置ならば角銀総交換から77金上で反撃する筋があるのですが、序盤の96歩が甘い手になっています。

59角に大山先生は76歩~74歩として

37角のけん制に備えた手でした。

佐藤先生は目いっぱい頑張って

少し模様が良い感じです。

厚みよりは83飛を抑え込もうという感じです。

角がぶつかり交換になり

2,3筋を工作して、72角から

桂を取れたところでは少し先手有利です。

銀交換の後で65桂が利くのです。83飛の両取りには72馬85飛63馬~22歩成があります。

これで飛馬の交換になり

後手玉を捕まえられるかの勝負になりました。

佐藤先生の攻め方が後手玉を上に追っている感じなので有利だとは言い切れません。

大山先生は角を2枚打って頑張ります。

99香と63金の取り合いで後手玉も危ないのですが

26香~29香成で上部を押さえる駒が減っていきます。

佐藤先生は駒を補充しつつ攻めていきます。

攻めとしては切れません。

大山先生も反撃に移り

先手の飛車の位置がずれたので入玉が見えてきました。

もう捕まらないでしょう。

先手玉は左右挟撃の形になり

駒得しながら攻めていきます。

上を押さえておけば寄りです。

12金を取って詰めろ。

入玉がかなわなくなって佐藤先生投了です。
中盤は佐藤先生が押しているのですが、入玉阻止の手順がよくわかりません。馬飛の交換が良くなかったのでしょうか。
第3局で力をみせましたが、3連敗はきついです。大山先生が新しい芽を摘んでしまおうと本気を出したのでしょう。
#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.40 棋譜ファイル ----
開始日時:1965/08/26
手合割:平手
先手:佐藤大五郎7段
後手:大山王位
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 9六歩(97)
4 8四歩(83)
5 6六歩(67)
6 6二銀(71)
7 7八銀(79)
8 5四歩(53)
9 5六歩(57)
10 4二玉(51)
11 2六歩(27)
12 3二銀(31)
13 5八金(49)
14 3三銀(32)
15 4八銀(39)
16 3二玉(42)
17 3六歩(37)
18 5二金(61)
19 7七銀(78)
20 4四歩(43)
21 7九角(88)
22 4三金(52)
23 2五歩(26)
24 3一角(22)
25 7八金(69)
26 5三銀(62)
27 5七銀(48)
28 7四歩(73)
29 6九玉(59)
30 6四銀(53)
31 6七金(58)
32 8五歩(84)
33 6八角(79)
34 7五歩(74)
35 5九角(68)
36 7六歩(75)
37 同 銀(77)
38 7四歩打
39 6五歩(66)
40 7三銀(64)
41 3七角(59)
42 8六歩(85)
43 同 歩(87)
44 同 飛(82)
45 7九玉(69)
46 8三飛(86)
47 6六銀(57)
48 8六歩打
49 7七桂(89)
50 6四歩(63)
51 8五銀(76)
52 3五歩(34)
53 同 歩(36)
54 9四歩(93)
55 6四歩(65)
56 同 角(31)
57 同 角(37)
58 同 銀(73)
59 2四歩(25)
60 同 歩(23)
61 2二歩打
62 同 銀(33)
63 2三歩打
64 3三銀(22)
65 3四歩(35)
66 同 銀(33)
67 7二角打
68 5三飛(83)
69 8一角成(72)
70 7五銀(64)
71 同 銀(66)
72 同 歩(74)
73 6五桂(77)
74 5一飛(53)
75 6三馬(81)
76 5二金(41)
77 6二銀打
78 6三金(52)
79 5一銀(62)
80 2三玉(32)
81 3五歩打
82 同 銀(34)
83 1五桂打
84 3四玉(23)
85 2二飛打
86 6四角打
87 5五歩(56)
88 同 角(64)
89 3七歩打
90 1二角打
91 5二飛成(22)
92 9九角成(55)
93 6三龍(52)
94 2六香打
95 6八飛(28)
96 6六歩打
97 5七金(67)
98 2九香成(26)
99 2二金打
100 1四歩(13)
101 1二金(22)
102 1五歩(14)
103 5二角打
104 3一桂打
105 5三桂成(65)
106 6七桂打
107 同 金(57)
108 同 歩成(66)
109 同 飛(68)
110 2五玉(34)
111 3八桂打
112 3六歩打
113 4三成桂(53)
114 3七歩成(36)
115 4四成桂(43)
116 3六玉(25)
117 4五成桂(44)
118 2七玉(36)
119 3五成桂(45)
120 5八銀打
121 9七飛(67)
122 9八金打
123 5七飛(97)
124 4八と(37)
125 6八玉(79)
126 3八玉(27)
127 5四飛(57)
128 5六歩打
129 同 飛(54)
130 7六桂打
131 同 銀(85)
132 同 歩(75)
133 5八飛(56)
134 同 と(48)
135 6七玉(68)
136 7五銀打
137 5六玉(67)
138 5五飛打
139 4六玉(56)
140 5七飛成(55)
141 4五玉(46)
142 5五馬(99)
143 3四玉(45)
144 3三歩打
145 2四玉(34)
146 1二香(11)
147 4一角成(52)
148 1三金打
149 投了
まで148手で後手の勝ち