名将会ブログ (旧 名南将棋大会ブログ)

名古屋で将棋大会を開いています。
みなさんの棋力向上のための記事を毎日投稿しています。

大山将棋問題集 20190314

2019-03-14 | 大山将棋研究
先手番大山先生の手を考えます。

第1問


定跡書には出ていない有名な指し手です。
A 85角 B 56角 C 64歩

第2問


好手というよりは俗手です。
A 74歩 B 15歩 C 64同飛

第3問


嫌なところを攻められました。
A 17同桂 B 17同歩 C 26香

第4問


速度計算をしてみましょう。
A 77同歩 B 82飛 C 52成桂
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

大山将棋研究(1189);四間飛車に左64銀急戦(山田道美)

2019-03-14 | 大山将棋研究
今日の棋譜20190314
昭和40年6月、山田道美先生と第24期名人戦第5局です。

大山先生の四間飛車に山田先生は急戦です。75歩と突き捨てて

左64銀、ななめ棒銀ですね。振り飛車としては一度74歩を突きだしてから、75銀に65歩が(今でも)定跡です。

86同銀か22角か、は意見の分かれるところです。

山田先生は22角でした。これに大山先生の85角が有名な手です。この図を見たことがある人も多いでしょう。Hくんと四間飛車名局集で並べました。

山田先生は銀を引いて74歩を取ります。

それから飛車を戻して7筋を攻めました。手数がかかっているので急戦としては失敗しているのでしょう。

64歩から飛車をさばかれるのを嫌って銀を引き

64歩を取れたのですが、

大山先生は飛車を切って83銀

飛車を取り返した図は、77銀が取り残されているので形勢互角くらいです。

山田先生は89桂を取れば銀取りになります。

結局は駒の損得なし、89と が働くかどうか、美濃囲いの堅さが生きるかどうか、という比較です。

大山先生はあまり効果のない84桂を売ってでも と金を作りました。

山田先生も と金を使います。

銀香を先に取れたので大山先生の駒得、優位に立ちました。

端は嫌なところですが、26香は攻防です。

山田先生は先手の美濃囲いを崩し、26香を消去するために桂を打ちました。

先手玉は乱れたものの、駒得なので大山先生がリードを保っています。

銀を打たせて

その銀を取りに行くと、34桂があるので逃げにくいです。

さて山田先生は反撃に移ります。香を捨てて

39金を取る前に55歩がねらいのある手で

竜取りの28銀に45馬(桂を取った)が詰めろ。15桂があるので竜のほうを取るしかありません。

両取りの角打ちがあって逆転です。

先手玉が危なくなりました。

大山先生はどうにか受けるのですが

後手から59金があるものの、96歩が勝負手です。

86馬とさせてから受けると84桂を取られないというのが先の96歩の意味でした。山田先生は59金を打ってしまえば良かったのですが。

山田先生の29金が手順前後です。

後からの77歩成を手抜かれて

先手玉が詰みません。

後手玉は詰みなので投了です。

大山先生の85角がひねり出した手なのですが、正確に応じられると悪くなる手です。四間飛車名局集では鈴木大介先生が84飛~93桂ではないかと書いていました。
大山先生は名人防衛です。山田先生は力をみせましたが、終盤で少し足りなくて負けています。

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.40 棋譜ファイル ----
開始日時:1965/06/03
手合割:平手  
先手:大山名人
後手:山田道美8段
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 8四歩(83)
3 7八銀(79)
4 3四歩(33)
5 6六歩(67)
6 6二銀(71)
7 6八飛(28)
8 4二玉(51)
9 4八玉(59)
10 3二玉(42)
11 3八玉(48)
12 5四歩(53)
13 2八玉(38)
14 5二金(61)
15 3八銀(39)
16 1四歩(13)
17 1六歩(17)
18 4二銀(31)
19 5八金(69)
20 7四歩(73)
21 4六歩(47)
22 5三銀(42)
23 3六歩(37)
24 4二金(41)
25 9六歩(97)
26 9四歩(93)
27 4七金(58)
28 8五歩(84)
29 7七角(88)
30 7五歩(74)
31 同 歩(76)
32 6四銀(53)
33 7四歩(75)
34 7五銀(64)
35 6五歩(66)
36 7七角成(22)
37 同 銀(78)
38 8六歩(85)
39 同 歩(87)
40 2二角打
41 8五角打
42 7二飛(82)
43 9七香(99)
44 8四銀(75)
45 5八角(85)
46 7四飛(72)
47 7六歩打
48 7二飛(74)
49 4八金(47)
50 8二飛(72)
51 4七角(58)
52 7五歩打
53 6四歩(65)
54 7三銀(84)
55 7五歩(76)
56 6四銀(73)
57 同 飛(68)
58 同 歩(63)
59 8三銀打
60 同 飛(82)
61 同 角成(47)
62 8八歩打
63 8二飛打
64 8九歩成(88)
65 6八銀(77)
66 8八飛打
67 5九銀(68)
68 8六飛成(88)
69 8一飛成(82)
70 7七角成(22)
71 7四歩(75)
72 4四馬(77)
73 8四桂打
74 1五歩(14)
75 7三歩成(74)
76 1六歩(15)
77 1八歩打
78 7九と(89)
79 6二と(73)
80 同 馬(44)
81 9一龍(81)
82 7一歩打
83 8二龍(91)
84 6九と(79)
85 5八銀(59)
86 6八と(69)
87 4七銀(58)
88 1七桂打
89 2六香打
90 2九桂成(17)
91 同 銀(38)
92 1四桂打
93 6三歩打
94 同 馬(62)
95 5六馬(83)
96 2六桂(14)
97 同 歩(27)
98 7五龍(86)
99 3四馬(56)
100 3三銀打
101 5六馬(34)
102 7九龍(75)
103 4五桂打
104 5九と(68)
105 3九金(49)
106 8一歩打
107 9二龍(82)
108 2七香打
109 同 玉(28)
110 5八と(59)
111 同 金(48)
112 5五歩(54)
113 6七馬(56)
114 3九龍(79)
115 2八銀(29)
116 4五馬(63)
117 3九銀(28)
118 6七馬(45)
119 同 金(58)
120 4九角打
121 3八銀打
122 1五桂打
123 3七玉(27)
124 2七金打
125 4八玉(37)
126 6七角成(49)
127 6九香打
128 8五馬(67)
129 8一龍(92)
130 3七歩打
131 4九銀(38)
132 5六歩(55)
133 6七歩打
134 7五馬(85)
135 5六銀(47)
136 5一歩打
137 3五桂打
138 9七馬(75)
139 4五角打
140 2二銀(33)
141 7一龍(81)
142 9六馬(97)
143 5八玉(48)
144 9五馬(96)
145 9六歩打
146 8六馬(95)
147 6八香(69)
148 7六歩打
149 7八歩打
150 2九金打
151 7二桂成(84)
152 3九金(29)
153 6二成桂(72)
154 7七歩成(76)
155 5二成桂(62)
156 同 金(42)
157 8二飛打
158 6八と(77)
159 4七玉(58)
160 4九金(39)
161 5二飛成(82)
162 同 歩(51)
163 4三桂成(35)
164 投了
まで163手で先手の勝ち



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

20190314今日の一手(その844);右玉の感覚

2019-03-14 | 今日の一手

20190314今日の一手

1月12日の名南将棋大会から、OさんとOさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。


一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
先手の角得で、と金VS竜と金の作り合いです。先手の大きな駒得ですが、終盤なので控えめに見ておきます。
玉の堅さは同程度ですが、29飛の守備力を入れると先手のほうが堅いです。
先手の攻め駒は65角と持ち駒角金桂で4枚。
後手の攻め駒は68と を入れても、持ち駒銀桂と合わせて3枚です。

総合すれば先手優勢です。

☆ 大局観として
3つの要素で上回っているので、受けても攻めても良いです。
懸念するのは後手の68と のほうが使いやすいので、金銀をはがされると駒得が薄れて先手玉が薄くなることです。具体的には59銀とか58金とか食いつかれた時に、手抜いてよいか、まだ受けて大丈夫か、という判断が必要です。危ないと見れば受けておきます。大丈夫ならば寄せ合いに出ます。


○ 87角打が見えれば

攻防の手なので形勢はさらに良くなります。87同竜同角59銀

竜が消えると受けやすくなります。どこかで手抜いて飛車を打てば(49金打だと千日手かも。49金57角62飛で)

簡単でしょう。

後手が角を打ってくれないときは(62飛には84角があり、52飛には74角があるので)、2筋を工作して(24歩同歩23歩同玉41飛)飛車を打ちます。


72と を取って粘られても

43角成同金同角成32金53馬

と金が消えても(後手の と金だけ残っても)角と金桂の二枚換えの取引で、トータルでは金桂得(VS と金)ですから駒得が広がっています。先手玉が安全なので2筋から攻めるのが簡単でしょう。


○ 実戦は24歩でした。

一番自然な攻め方ですが、24同銀ならば26桂が手筋です。59銀に34桂12玉87角打

が見えていれば問題はないです。(見えていないと悩むことになります。)

さて実戦は24同歩だったので25歩

継ぎ歩でした。25同歩と取ってもらえたので同桂23歩33桂成同桂41角

後手玉が薄くなったので簡単に寄っているはずです。59銀に43角成

が必至のはずですが、48銀成同玉31金打32角成同金41銀(32同馬から詰んでいた)67と58桂57金38玉47金同銀49銀37玉25桂打27玉38角26玉(詰めろが消えた)43金38銀48角、という攻防の末に

37に合駒を打てば詰まなかったのですが、27玉38銀不成で詰まされてしまいました。

戻って継ぎ歩の時が

ちょっとぬるいのです。手抜いて59銀の時に87角打

が見えていれば、48銀成同玉88竜43角成

が詰めろ、67と58桂57金38玉87竜同馬58と の時に32馬

から後手玉が詰んでいるので勝ち筋です。詰みが見えていないとちょっと怪しい(飛車を打ち込んでおけば有利)です。

あるいは87角を同竜として

87同角48銀成同玉58金38玉48金打27玉57金42飛

ということになるかもしれませんが、先手有利に違いはないです。この変化は継ぎ歩が生きていないのですが。

59銀と打たれた時に24歩と取り込めば

後手玉は詰めろになっているのですが、48銀成同玉67と58桂57金38玉48金打27玉

29飛の利きが止まるので少し怪しいです。まだ先手有利ですが。


△ 何か影響の薄い手、15歩

だとしても、59銀に87角打

さえ見えていれば優勢を保てます。同じ手順ですが、48銀成同玉88竜43角成

が詰めろ。67と58桂57金38玉87竜同馬58と の時に32馬

と行けば、32同玉24桂同銀43金

はちょうど駒が足りて詰みますし、

24桂に同歩のほうも23金同玉24歩同銀同飛

これも詰みます。
15歩以外の手でも(1手パスでも)大丈夫です。


○ 87角打が見えていない(成立していない)場合には24桂

と放り込んで、急いで寄せないと難しくなります。24同歩同歩同銀同飛23歩

(29飛59銀87角打でもよいわけですが)の時に飛車を逃げません。43馬同金23飛成同玉41角

32合駒に24歩同玉32角成で必至、先手玉が詰まないので勝ちです。

43角成に24歩の場合は23歩

から寄せます。簡単に詰めろがかかるでしょう。これを嫌うならば24銀を飛車で取る前に角を切って(43角成)から24飛で変化の余地がなくなります。


△ 守る手としては79歩

を打っておけば、88竜には97角~53角成でゆっくり指せます。この場合は竜飛の交換でも問題なしです。


△ 59銀を打たせてから受けるというのは、例えば62と と寄せておいて

59銀49金67と27玉

かわして受けることになるのですが、間違うと大けがをしそうです。


△ 駒を打つ方が手堅い原則で49金打

とすれば59銀や58金に対応しやすいです。しかし64銀83角成55桂

部分的には銀桂交換なので、馬を作って受けるほうが好きな人向けです。


☆ まとめ
攻防の87角打が見えていれば余裕があります。1手パスでも大丈夫でしょう。
厳しい寄せの筋は、実戦の24歩同歩25歩という継ぎ歩の筋です。(24同銀ならばどうするかということがありますが。)
もっと厳しく24桂を打てばさらに速いです。桂を捨てて1手稼いでいることになります。駒得だから許されるということがあるのですが、さらに飛角をたたききって詰めろをかけてしまうという筋を学んでおきましょう。
これらは相矢倉の時の寄せの筋なのですが、右玉でも使えます。右玉の場合は左辺は振り飛車感覚、右辺は居飛車感覚というハイブリッドです。それでいて飛車交換はまずい場合が多い、右辺から攻めすぎると反動がある、というマイナス面もあります。

序盤が楽な戦法は終盤で苦労するもの(その裏も)だなあ、というところが将棋の面白いところです。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする