手打ち蕎麦くにえだは菊川と掛川の境付近にあり、富士川(富士市)からだと東名を使っても、1時間半くらい掛かる。
まして、営業日が平日限定となれば井月庵(せいげつあん)にとっては途方もなく遠い。
一年に1回伺えるかどうかである。
片倉英統さんのブログでNHKのテレビ番組に取り上げられたのを知ったが、時すでに遅し、番組は見逃してしまった。
平日の昼間で、あちら方面の仕事にかこつけてどうにか、1年に1回というところだ。
10月12日(金) 遂に待ちに待った機会が訪れました。
ああ、「うまかった。」
他のお客さんが居なければ、もうしばらく会話を、蕎麦の時間を楽しみたかったが、独り占めはいけないので、腰を上げた。
おやじさん:「どうにか、10年目を迎えました。記念の粗品を用意しました。」
俗に、飲食業は開店当初の翌年に店じまいする確率が90%、以後毎年10%ずつ減少し10年目で、永続的に経営できる基盤ができたとされているらしい。
せいげつあん:「おめでとうございます。10年続けば馴染みのお客もついてひと区切れですね。」
個人蕎麦屋の場合、10年目にそのリスクが0%になるかというと、年齢や肉体や家族等により別の危険が増加することになるが・・・
おやじさん:「はい、100歳でも蕎麦が打てれば店を続けられます!!」
ああ、おやじさんの青春はまだまだ続くようだ。
そういえば、井月庵が自分の今年のソバが台風被害のために不作に終わりそうな旨をはなしたら、おやじさんは24号、25号の塩害で自分のソバ畑も全滅したが、静岡は霜が降りるのが遅いので、今年は先週3度目の播種をしたと話されていた。
飾らず、奢らず精神の堅牢さは苔むした岩の如きである。
井月庵は蕎麦を頂いて、腹と共に心も満たされた心持になった。
「ごちそうさまでした。」
記念品はこちらであった。 これはちょっとお宝だ。