雪の飛騨路をゆくバスの旅(1)@岐阜の続きです。
宿泊の旅館、孫九郎の目の前にあるバス停から高山方面に戻るバスに乗り、往路に通過した平湯温泉に向かいます。目的は日帰り入浴施設の平湯の森で硫黄臭の極上温泉を楽しむためですね。
平日にもかかわらず、車内には大勢の観光客が乗っています。確かに慣れない雪道はプロの運転のほうが安全・確実だからね。雪で道幅が狭くなっているので、バス同士の離合も注意深い。
福地温泉の入り口近くにある奥飛騨ガーデンホテル焼岳では玄関先にディーゼルカーが置いてある。帰ってから調べたら北海道から運んできたキハ27で、ホテルのカラオケルームにしているらしい。こんな山中にどうやって運んできたかが不思議です。
平湯の森のオープン時間は10時。それまでは平湯バスターミナル、濃飛バスの運営するアルプス街道平湯の3階、ここも源泉掛け流しのパノラマ大浴場天然温泉スカイガーデンで時間つぶしを。
平湯の森のオープン時間が近づいてきたので温泉を辞してバスターミナルに戻ってきました。このとき丁度、高山行きのバスが近づいてきました。っと、ここで悪魔の声が聞えてきたのです。
「今、このバスに乗っといたほうがエエでー!」
実はこのあと白川郷に行こうと思っていたのです。この時間なら夕方には北陸に抜けていて、そこでまたまた温泉が楽しめるかも…悪魔の囁きに誘われて、フラフラとこのバスに乗ってしまいました。
往きは立って乗った区間を、今度はゆったり座って降りていきます。高山のバスセンターで白川郷経由金沢行きの切符を求めるたところ、なんと今日の便はすべて満席とのこと。これでは今日中にバスで金沢に抜けることができない…やってもた…こんなんやったら平湯の森のお湯に浸かっとくべきやった…(涙)
白川郷を通らずにJR高山本線で金沢に抜ける方法もあるが、それでは意味がない。なぜ白川郷に行きたかったかと言うと、そこにかつて存在していた国鉄バス名金急行線の名残を確かめるためなのです。この路線は、国鉄バスの車掌が沿線に桜の苗を植えていった美談の地。バスヲタにはゼッタイ外せない場所だったのですが…
後悔しても仕方ない。高山の街で腹ごしらえながらこの後の行程を考えよ。単純な性格が幸いして、腹が膨らんだらすぐに立ち直る、と…
バスセンターでバスの便を物色すると、下呂行きの路線バスがあるではないか。これ幸い、このバスで下呂温泉に行くことにしました。白川郷には桜の美しい季節に行くことにしよう。
高山から下呂へは高山本線で行くのが常識だが、そこは敢えてバスを使います。飛騨川沿い、国道41号線の車窓はなかなかいい。ただ、高山本線でも同じ光景でしょうが…
飛騨川の穏やかな流れと高山本線の線路と国道41号線が綾を織るように南へ進んでいきます。バスと飛騨川で思い起こすのは、あの悲惨な飛騨川バス事故だが、悲劇の地はもう少し下流のようです。
下呂温泉は源泉を守るため集中配当にしているとのこと。温泉の質にはあまり期待できないので今まで訪れることはありませんでした。自家源泉の宿があるんならここで宿泊してもいいかなと思ったのだが、なにぶん突然のこと、下調べをしていないので判りません。
ここの河原には混浴の露天湯、噴泉池があって、ここだけ源泉とのこと。ただし、街中の河原の露天なので入浴には勇気が必要。でもまあ、折角なので覚悟を決めて入ってみよっかな…しかしそこには大声出して騒ぐわ、風呂でタバコを吸うわ、お行儀のよろしくないグループが占拠していました。止めときます。駅前の観光案内所で教えてもらった日帰り入浴施設でお茶を濁すことにしました。
下呂からは高山方面以外に路線バスはないようです。ここでバスは諦め、高山本線の特急ワイドビューひだに乗り込みます。ところが指定席は満席で、自由席しかありません。
嫌な予感…案の定、下呂駅に入ってきた列車は満席状態で、仕方なく通路に立って乗ることになりました。究極のバスヲタ席を得た穂高行きのバスと違って、今度はテンションも上がりません。
名鉄電車との乗り換え駅の鵜沼で幾分空いてきて、ようやくここで座席にありつけました。山の上に岐阜城が見えたら岐阜駅です。ここでスイッチバックになるので、ここから名古屋までは後ろ向きに進みます。そして再度岐阜城を見ることになります。
名古屋駅に着きました。駅ビルのJRセントラルタワーズが今の名古屋のシンボルです。
しかし、名古屋のシンボルは駅ビルでも、名古屋城でもなく、この大名古屋ビルジングではないかな?この佇まいと名称がなんとも昭和的。
名古屋駅の地下街で名古屋メシを探すことにしました。今回は味噌カツとえびフリャー。名古屋のカツはとにかく衣が厚い。見た目は豪華だが、食べたら少し期待はずれなんですが…
名古屋マリオットアソシアホテルのバーラウンジは名古屋駅の1階にあって便利です。すぐ近くに近鉄の改札があるので、特急を待つ間の時間つぶしには丁度いい。
19時発のアーバンライナーに乗りました。大阪市の南部に住む私には、新幹線より近鉄特急のほうが便利です。アーバンライナーのデラックスシートは500円足らずの追加料金でグリーン車以上の快適な乗り心地。大阪・名古屋間を寝ないで乗り通したことは記憶にない。新幹線で寝てしまったら、下手すりゃ岡山まで連れて行かれるが、近鉄ならその心配もありません。
今回のバス旅、最初は調子良かったのだが後半はグダグダになってしまいました。なんといっても平湯のお湯を堪能できなかったことが実にグヤジイ!そもそもの間違いの始まりは平湯で悪魔の囁きに乗せられて予定外のバスに乗ってしまったこと。これは自業自得、どこに文句も言えるわけもないのだが…
- 訪問日:2008年2月24・25日