湯の峰温泉の温泉街から少し離れた丘の上、ここに鉄筋コンクリートの建物で、湯の峰では最大の旅館、湯の峰荘があります。この旅館、以前は南海電鉄の運営だったのだが、その南海が手を引くことになったので、旅行会社の社員だった現在の社長が脱サラして運営を引き継ぐことになったとのこと。なので、大きい旅館にもかかわらず家族的な雰囲気が漂い、しかも料理が旨い。その辺りが気に入って、ここの温泉に泊まる際の定宿にしているんですね。
ここは小さな温泉街にしては旅館の規模が大きい部類なので、内湯も露天湯も広く設えられていて解放感がある。関西で最上級の泉質を誇る湯の峰温泉のこと、掛け流しなのは当たり前だが、湯温が高いため加水は致し方ない。その所為か、湯の花が多数見られ、お湯の劣化を感じてしまうのが残念なところです。
ここで少し解説を…一般的に、湯の花があるのは濃厚なお湯である証左なんだが、最上級の温泉では、地中から直に湧き出したヴァージンなお湯なので、空気に触れておらず、湯の花を形成する暇がないのですね。でもまあ、大量の湯の花があったとしても、ものすごくハイレベルなのには違いない。
そんな大浴場とは別に貸し切り湯があり、ここでは加水なし、源泉そのままのお湯が満たされています。ここは湯の花もない、濃厚で新鮮なお湯で、湯垢離を実体験できます。世界遺産のつぼ湯なら、一日中誰かが浸かっているので、残念なことに劣化を感じてしまうが、ここでは同様の泉質ながら劣化していない絶品です。
貸し切りなので1回20分と時間制限があるが、空いてる日には他のお客が現れない限り延々浸かることができる。しかし、この濃厚さ、長湯すれば湯あたりは必定だな。伝統とモダンを併せ持つこの旅館、かなりお奨めです。
- 泉質:含重曹硫化水素泉 92度
- 場所:奈良交通、熊野交通、龍神自動車・下湯峰BS
- 訪問日:2008年12月9日
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