JR山陰本線・倉吉駅より、日ノ丸バスで20~25分ぐらいのところ。三朝温泉は平安時代末期の1164年に発見されたという歴史ある温泉で、2017年現在、年間入湯客数は鳥取県内では皆生温泉に次ぐ2位とされる著名な温泉地です。
三朝温泉の特徴は何と言ってもその泉質にあります。ラジウム・ラドンが含まれる世界でも有数の放射能泉だからです。そのため、温泉療法を実施する病院や研究施設も立地するほか、長期滞在者向けの旅館や自炊宿も見られる「現代湯治」の顔も見せています。
三徳川に架かる三朝橋周辺の両岸には大規模な旅館が立ち並ぶいっぽう、石畳が敷かれた温泉本通りには、小規模な旅館や飲食店、古美術店、スナック、土産物屋、射的場などが並んでおり、温泉情緒を漂わせています。この木屋旅館は温泉本通りにある、三朝では小規模は部類の老舗旅館です。
通された部屋は和室で実に狭く、あまりの期待はずれに一気にテンションが下がってしまったが、何気なく部屋を見回してみると扉がある。その奥にはなんと小洒落たツインルームがでてきました!
部屋をじっくり見てみれば、調度も高級品っぽいし、真っ白な大襖は技のある表具師でしか平面に貼れない太鼓貼り。老舗のこだわりが感じられます。
ここの温泉はすべて自家源泉で、大浴場のほか、大小の貸切風呂があります。河鹿の湯(女性)・河瀬の湯(男性)と名づけられた大浴場は一部が浅くなっていて浴槽の縁を枕に横たわることができます。温度調整のため加水はあるが、もちろん掛け流しです。
そしてここの白眉は楽泉の湯と称する足元湧出のお風呂。宿泊者のみが利用できる貸しきり湯です。浴槽の底にさらに湯壷があって、敷石が渡されている。この湯壷に源泉がじわじわ湧いていて浴槽の湯を満たしています。
このお湯、横を流れる三徳川の水位が上がると湯船の湯面も上がり水位が下がると湯面の下がる…仕組みはよくわからないがサイフォンの原理なのかな?敷石の隙間から地中から生まれたそのままのラジウムがポコポコと気泡になって現れます。これは実に貴重で、深呼吸すべきです。
浴室の石の床が源泉の熱によって暖められてオンドルのようになっているが、天井に煙突状の湯気抜きがこしらえられていて湯気がこもることはありません。
温度調整のためにホースから水を引いているが、放射能泉の場合は加水によっても成分が薄まることが無いし、下手に熱交換器を使用したらせっかくのラジウムが飛んでしまう。ここでは放射能泉の特質を見事に活かしてますね。
浴室の一角には小さい湯壷があって、これは飲泉用。柄杓ですくって枡でいただくのだが、株湯の飲泉では甘みを感じたが、こちらは熱く、しかもピリピリします。
この楽泉の湯は一晩中入ることができるので、早朝なら他の宿泊客に気遣うことなく長湯を楽しめます。これぞ宿泊者の特権です。
・泉質:単純放射能泉・75度
・場所:日ノ丸自動車・三朝温泉BS
・訪問日:2008年9月17日
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