山陰本線・岩美駅より日交バスで10分程のところ、1300年の歴史があるとされる岩井温泉は、平安時代の「八古湯」の一つに数えられる歴史ある温泉です。
この温泉街のメインストリートは旧国道9号線。今はバイパスの開通によって、この道を通り抜ける車も少ないし、歩く人もほとんどいません。
かといって決してゴーストタウンではなく、人の息遣いは感じられるまさしく閑静な温泉地。3軒しかない旅館はそれぞれが老舗で、実に落ち着いた佇まいが魅力的です。
この町の中心に、建て替えられて真新しい共同湯があります。湯に浸かりながら柄杓で温泉を頭からかぶるこの温泉の奇習「ゆかむり」に因んで「ゆかむり温泉」と名付けられています。館内は新しい施設らしくバリアフリー化され、清掃も行き届いていて気持ちいい。
ゆかむり温泉HPより
丸いやや深い浴槽に透明のお湯が掛け流され、舐めてみると臭いはないものの少し苦いかな。今では地元の人たちも湯をかぶることも、ゆかむり唄を謡うこともは無いようです。
それでも、壁にタイル画で「ゆかむり」をしている人が描かれているのと、時折ゆかむり唄のBGMが流れ、当時の情緒を演出しています。
その昔、ここは軽便鉄道も開通する程の賑わった温泉地だったとののこと。この鉄道は昭和9年の大火や室戸台風の被害によって廃止され、以後は小さな温泉地となっていました。
戦後、自動車の時代には国道9号線の宿場街として再び賑わったが、バイパスが開通した現在、またしても静かな温泉街となりました。ゆかむり温泉のスタッフの話では、昔はこの街道にどんぐりの木の並木があったとのこと。
車の往来が少なくなった今、もう一度どんぐりを植えてみたら如何かな?どんぐりの木陰に佇むボンネットバス(不定期運転)…実に絵になる光景だと思うのだが。
・場所:日本交通・岩井温泉BS
・泉質:カルシウム・ナトリウム‐硫酸塩泉 47~50度
・訪問日:2008年6月24日
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