宇和島駅を出て大通りを少し進み、宇和島随一の商店街「きさいやロード」のアーケードを終点まで歩き、少し奥に入ったところを探すと、旅館と見紛うかなり大きい建物が現れる。今夜はここで宇和島の郷土料理をいただくことにします。建物から想像できるとおり店内もかなり大きいようだが、通されたのは入口に近いこ洒落た半個室。全体の広さは判りません。予約の際に喫煙か禁煙かを尋ねられたので、禁煙でお願いしたところ、この半個室があてがわれたようです。
先ず最初に注文したのは「宇和島づくし」(1,000円)と「太刀魚巻き」。この「宇和島づくし」は宇和島郷土料理の、ふかの湯ざらし・ふくめん・じゃこ天・鯛皮巻・かまぼこが5点盛になっています。
「ふくめん」は4色に彩られた見た目も鮮やかな料理。ミニサイズなので可愛らしいが、昔から南予地方で作られている郷土を代表する魚料理で、本来なら祝い事やお正月などに大皿に盛られるダイナミックな料理。紅白の鯛のでんぶにネギ、みかんの皮、という4色の、見た目でも楽しめる料理です。色の鮮やかさを愛でた後に豪快に混ぜ合わせて食べると、つゆとこんにゃくと具との調和が実にいい。前菜にぴったりの一品です。
ふかの湯ざらしは、市場価値の低いフカを、地元に人たちが惣菜として酒の肴にしたのが始まりとのこと。意外と臭みは全く感じない。
じゃこ天は小魚の骨ごと練った揚げかまぼこで、これは全国的に知られてますね。骨の残るザラザラした食感が旨みを増幅させる。
「太刀魚巻き」はその名のとおり、太刀魚を三枚に下ろして竹に巻き付け、たれをつけて炭火でじっくり焼いたもので、竹輪に似た形状ながら、風味は全く別物。竹輪よりずっとリッチ!
ほご唐揚げ(1,600円)、「ほご」とはカサゴ(関西ではガシラ)のことらしいです。骨までよく揚がっていて、皮や骨はパリパリと食べれるが、対して内側の身はふっくらとジューシー。
かぶと煮は天然鯛のジューシーな面の身に甘みを抑えた味付け。甘い関西の煮汁とはちょっと異なる、鯛本来の風味を出すのが、魚の本場らしくていいですね。
「鯛めし」1,790円(税込)は鯛一尾の姿造りとお櫃で出される豪快なもの。秘伝のタレに玉子を溶いただし汁に、宇和海で獲れた天然鯛を漬け込んでご飯の上にまぶして食べる。同じ鯛めしでも、羽釜や土鍋で炊き込んだものもあるが、この宇和島地方の鯛めしは基本は漁師メシ。火の使えない船の上で酒盛りをした時、酒を飲んだお椀に飯を盛り、生の鯛の身をのせてそのまま食べたのが始まりとのこと。
鯛の身と海藻をアツアツご飯にトッピング。茶碗ごと豪快に口に流し込む…あぁ…言葉が出ない!この旨さは宇和島に来てこそ味わえるものですね。新鮮な鯛もさることながら、味の決め手はこのタレかな?さすが本場の鯛めしです。宇和島に来た甲斐がありました。
このお店、こう言っちゃぁなんだが、地方の割には雰囲気もサーヴィスも洗練されている。建物の造りから元は旅館だったのかもしれないなぁ…にもかかわらず、一品一品の値段はそんなに高くない。今回は頂いてないが、限定のサービス定食はなんと1,500円。地元で人気なのも頷けます。
- 営業時間:11:00~14:30、16:30~20:30
- 定休日:火曜
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