天ヶ瀬温泉は、別府温泉、由布院温泉とともに大分の三大温泉のひとつとされる温泉。全国的に有名なあとのふたつに比べて実に地味だが、その代わり鄙びた温泉情緒を味わうことのできる風情ある温泉街です。この温泉街からさらに玖珠川の支流の合楽川を上っていった所の渓流にひっそりと構えている旅館です。今年の夏休み(といっても9月の末になってしまったが…)の旅行は、こんな静かな山荘でゆったり2泊のお籠りをしてみることにしました。
この旅館の夕食は部屋出しです。スタッフが一品一品ていねいに説明しながらお料理を並べていきます。初めに運ばれて来たのは、食前酒の梅酒に続いて、先付けの銀杏豆腐それと、八寸より大きなトレイに載った酒肴です。
この酒肴は焼松茸と春菊菊花和え、秋刀魚卯の花和え、鱒チーズ、蟹菊花寿司、網笠松茸、焼目栗甘露煮、むかごバター焼です。
お吸い物は栗のすり流しです。菊の花が華やかです。器もまた味がある。
お造りはもみじ鯛引き重ね盛り、カンパチ・鮪の山掛けです。魚の新鮮さは言うまでもないが、それをさらに、梅ゼリーで仕立てる手の込みよう。こりゃぁもう、アートの域ですね。
焚合わせです。秋の素材がメインです。
焼き物は鰆の萩焼きと、有馬山椒焼。それと、オプションの和牛のステーキです。
このあと、鍋料理で耶馬溪鶏のきのこ鍋。出汁に入った生姜と、付け合せの柚子胡椒、生七味で、体が温まる。
ご飯は日田米。このご飯で雑炊を薦められました。これがまた美味いが、もう胃の容量が限界寸前。
デザートは日田梨のコンポート、巨峰、太秋柿です。日田は梨の産地なんですね。これがまたジューシーで美味しい。これら、手の込んだ料理の数々。さまざまな演出があるが、そこにあざとさが感じられないのが見事。それとともに、猫舌で、しかも食事のスピードの遅い相方に合わせて、ゆっくりとしたペースで配膳されてきました。こういった細やかな心遣いが、一流旅館の矜持なんですね。
- 場所:天ヶ瀬温泉
- 訪問日:2011年9月25日~27日
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