この作品はリリース当初っから見たいと思ってた作品
アウシュビッツのホロコーストを描いた作品っていうことで、憂鬱になることしかりなので
購入するって言うことは全く考えずにいましたのでレンタルのみの思考しかありませんが・・・
私の利用させてもらってるGEOさんでは2本導入されておりましたが、常にレンタル中で
ようやっと見られた作品
これって原作があったのね、そしてこの作品では主人公に当たりアウシュビッツ収容所の所長として登場するルドルフ・ヘスと言う親衛隊大将は実在の人物であり
1983年に自殺するまで生きておられた人ですので
まさかアウシュビッツでのユダヤ人大量虐殺それも生きたままに焼殺するような人物がニュールンベルグ裁判で死刑判決をうけぬはずもなく・・・
ちゅうことでWikiで調べたらユダヤ人の収容や虐殺には関わっていないようですね
ってことで映画は実在の人物を起用してはいるもののはフィクションってことのようですね
っていうか、じつに重たい作品なんだけど
映画自体はこのヘスさん一家がアウシュビッツのユダヤ人収容所の塀の隣に豪邸を構えて戦時中だっていうのにピクニックに家族総出で行ったりするような豪勢な暮らしを呑気に生活してるのをただただ活写してるだけの映画なんだけど
塀を隔てた壁一枚向こうは阿鼻叫喚の生き地獄な訳で
そっちをまるっきり映さずに呑気に暮らすヘスさん一家の日常を映すことで
より見えてない方が見てるこっちの脳内でより強くホロコーストが強調されて見えると言う
いわゆるパラドックスな作品だったのね
見える部分は極々普通の日常であり、その真逆の世界が壁一枚向こうの側では繰り広げられていると言う
この作りはパラドックス以外の何ものでもないわけで
そんな残虐行為が行われてることをこの家族が全く知らぬ存ぜぬでもないことを
使用人にシルクの下着を戦利品として分け与える描写とか
ヘス夫人が毛皮のコートを試着しつつそのポケットから使いかけのルージュを見つけたり
子供たちが人の歯で遊んでたりって言う描写までをも挟み込んでっていうか呑気に暮らす家族たちが享受してるとこにも
人としての生き方の矛盾を入れ込むとこがすごい反戦でもあったようで
完全に彼らが生きてる世界はこれまた実に清明で透きとおったような美しいカラーで描くという対比の念の入れよう
えげつなさなど微塵も映すことなくここまでホロコーストの残虐非道な世界を描き切って見せた作品も今までなかった気がする
オープニングの真っ黒な映像にホロコーストの狭雑音だけで見てる者の不安をかきたてておいてのあのピクニックの映像が浮き上がる導入がじつにいい
そのまんまの不安感を抱いたまま最後までオチずに見てしまった。
2023年製作、アメリカ・イギリス・ポーランド合作映画
ジョナサン・グレイザー脚本・監督作品
出演:クリスティアン・フリーデル、ザンドラ・ヒュラー
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