獅子風蓮のつぶやきブログ

日記風に、日々感じたこと、思ったことを不定期につぶやいていきます。

正木伸城さんの本『宗教2世サバイバルガイド』その4

2024-01-18 01:13:26 | 正木伸城

というわけで、正木伸城『宗教2世サバイバルガイド』(ダイヤモンド社、2023.06)を読んでみました。

(もくじ)
はじめに
1 教団の“ロイヤルファミリー”に生まれたぼくの人生遍歴
2 こんなときどうしたら?宗教2世サバイバル
3 自分の人生を歩めるようになるまで
4 それでも、ぼくが創価学会を退会しないわけ
5 対談 ジャーナリスト江川紹子さん 

1 教団の“ロイヤルファミリー”に生まれたぼくの人生遍歴
□ぼくの名付け親は池田大作
□創価大学へ進学、そして信仰に目覚める
□学会本部に就職、仕事や病気の悩みに直面
□組織への違和感が募り、心が引き裂かれる
■急速に冷めていった信仰熱
■好きなことで生きていく、いまの自分へ
■宗教2世の処世術をみなさんに伝えたい


1 教団の“ロイヤルファミリー”に生まれたぼくの人生遍歴
(つづきです)
急速に冷めていった信仰熱

しかし、創価学会本部に入るときに誓ったことを、ぼくは忘れませんでした。
「学会をこのままにしておくわけにはいかない! 俺が改革する!」
そして、あの手この手で、創価学会の改革に挑戦しました。
自分の父親が理事長(当時)であることを使わない手はありません。
父への直談判はもとより、父の縁によって人脈をたどりやすい境遇にいたことを活かして、学会の副会長をはじめ、なみいる幹部たちと対話をしました。創価学会の改革案をレポート化し、心ある人に提出しました。
まだうつ病が癒えていなかったころで、奔走は死に物狂いです。
しかし、結果として改革は挫折。
当然でしょう。ぼくは巨大組織のなかの一歯車、いわば“平社員”に過ぎません。それなのに、「改革はできる」と信じていたのです。とんだ甘ちゃんだったと思います。

べつのかたちでも、ジレンマを抱えることになります。
創価学会が支持母体となっている公明党を、心から応援できなくなったのです。公明党の政局的なふるまいや政策などに手放しでは賛同できない。
「どうしたら?」と葛藤しました。悩みました。
そのすえに、ぼくは疲労困憊していきました。

組織文化が合わない。違和感も多い。公明党も支援できない。
でも、本部職員のままでいると、組織のなかではどうしても指導的な立場になってしまう。多くの学会員に公明党のすばらしさを語り、支援をうながさなければならなくなる。
心から推すことができない公明党を、多くの人に勧めるとしたら?
自分で自分に嘘をつくことになる。みんなにも嘘をつくことになる。
ぼくは、それが耐えられませんでした。
そこで、創価学会本部をやめることにしました。


好きなことで生きていく、いまの自分へ

問題はここからです。
本部職員を「やめる」という行為は、学会員にとってはとんでもない負の記号です。
一部の学会員は、創価学会本部をやめたというだけで、「あいつは退転した!」ととらえます。ちなみに「退転(たいてん)」とは、最悪に落ちぶれたとか、反逆をイメージさせる単語です。
ぼくが「学会本部をやめたい」といいだしたところ、両親や妻、親族、相談相手になってもらっていた友だちから、大反対を受けました。
とくに父親とのケンカはつらかった。怒号が飛び交ったことも何度かあります。
きりきりと痛む、胃。謎の発熱も1年以上つづきました。
みんなの説得にかかった期間は、約1年になります。
それを経て、やっと、本部を退職することができました。2017年2月のことです。
本部に勤めた期間は、約13年間でした。

その後、案の定、見ず知らずの学会員や創価学園の同級生などから「あいつは金銭トラブルを起こしたらしい」「異性問題で懲戒解雇されたらしい」といった、根も葉もない噂を流されます。
「そんな噂が流れること自体、正木(ぼく)がいかに信頼されてこなかったかを物語っているよね」といった評判も広められました。悔しかったです。
しかも、転職は至難でした。
なにせ、現職は創価学会本部。やっていたことといえば、創価学会の教義をわかりやすく解説すること。
そのスキルだけを武器に民間企業へ転職しようとすることが、いかに“無理ゲー”なのかは、みなさんにもご理解いただけると思います。
しかし、縁あってIT企業への転職が叶い、そこで成果を出すことにも成功。
そののちは、2社のキャリアアップをかさね、現在はマーケティング・広報PRの分野でいろいろな会社の事業支援を行いつつ、文筆活動をぞんぶんに展開できるようになりました。
この過程で活きたのが、やはり宗教2世のサバイバル術でした。


宗教2世の処世術をみなさんに伝えたい

こうしたぼくの人生遍歴を押さえていただいたうえで、本書の第2部からは、ぼくの宗教2世サバイバル術の具体的な話にふれていきます。
話題は、多岐にわたります。
親子関係、友人関係、恋愛、進学、就職、信仰活動を手放す前と後の生き方など――。
ぼく自身、けっこう大変な思いをしてきましたが、その苦労が結晶してこの本になっています。

本書は、「被害を受けてきた」などと感じている宗教2世が、自分らしく、自分の人生を自分でハンドリングして生きられるようになるサバイバル術としてまとめたものです。あなたがもし苦労をしてきたのなら、苦労したぶん、幸福になる権利があります。このあとめくっていく1ページ1ページが、あなたが自分らしく生きるための一歩につながることを、ぼくは願っています。
では早速、ぼくが培ってきた宗教2世のサバイバル術をお伝えします。さあ、はじめましょう!

 

 


解説
その後、案の定、見ず知らずの学会員や創価学園の同級生などから「あいつは金銭トラブルを起こしたらしい」「異性問題で懲戒解雇されたらしい」といった、根も葉もない噂を流されます。
「そんな噂が流れること自体、正木(ぼく)がいかに信頼されてこなかったかを物語っているよね」といった評判も広められました。悔しかったです。
しかも、転職は至難でした。
なにせ、現職は創価学会本部。やっていたことといえば、創価学会の教義をわかりやすく解説すること。
そのスキルだけを武器に民間企業へ転職しようとすることが、いかに“無理ゲー”なのかは、みなさんにもご理解いただけると思います。


その後すぐに本部職員として採用された人は、退職後、つぶしがきかないので苦労するのでしょう。
そういえば、元本部職員の「3人組」の人たちはその後、どうしているのでしょうか。
無事、再就職できたのでしょうか。


獅子風蓮