以前、私は「東村山市議転落死事件~創価学会側の主張」として、学会寄りの主張をする二人のジャーナリストの主張を検討してきました。
一人は、佐倉敏明(井原武人あるは山本芳実)氏で、もう一人は柳原滋雄(中田光彦)氏です。
二人とも創価学会のお抱えジャーナリストともいうべき方で、その記述には偏りが認められます。
さて、このシリーズの最後の回で、こういう記事がありました。
東村山市議転落死事件~創価学会側の主張(12)(2023-04-25)
この中にも書きましが、「柳原滋雄のホームページ」からの引用です。孫引きになりますが、再度引用します。
■東村山市議の闇12 空白の50分間(2022/12/07 水曜日)
この事件の真相を解くカギは「空白の2時間」と呼ばれてきた9月1日当日の午後10時40分から翌日0時30分にあるともされてきた。この用語は宇留嶋著『民主主義汚染』で最初に活字にされたと思われるものだ。
(以下省略)
柳原氏の情報源である宇留嶋氏とはどのような人物なのでしょうか。
Wikipediaには記載がありませんでた。
アマゾンで検索すると、『民主主義汚染』という著書が1冊だけ見つかりました。
佐倉氏や柳原氏ほど、有名ではなさそうです。
私も、つい最近まで知りませんでした。
そんな折り、たまたま覗いた鯛焼きさんのブログのコメント欄で、宇留嶋氏のブログへのリンクを発見しました。
「シニフィエさんとの対話」(鯛焼きさんのブログ)
フリートーク2023 5(2023/05/01)
リンク先をたどって記事を読んでみました。
『ブログマガジン エアフォース』(宇留嶋瑞郎氏)より。
「東村山」の民主主義汚染を検証する
第3章 「東村山事件」とは何だったのか
何しろ文章の量が多いので、ざっと読むにも時間がかかりましたが、文章自体はジャーナリストらしく論理的で、説得力がありました。
これまで、私は、朝木さんの遺族や矢野氏および彼らに取材した乙骨氏の著書を中心に、この事件を理解してきましたが、その根底が覆されるような内容でした。
衝撃を受けたといっても大げさではないでしょう。
学会寄りのジャーナリストというと、佐倉氏や柳原氏のように偏った書き方をする人ばかりかと思ったら、宇留嶋氏は、事実を積み重ねるタイプの書き手のようで、好感を持ちました。
詳しくは後ほどまとめて検証したいと思うのですが、一つだけ取り上げると……
東村山市議だった朝木明代さんの転落死をめぐり、多くのメディアが、創価学会の関与を匂わせる報道をしました。その中でも、最も直接的だったのが『週刊現代』(95年9月23日)の「東村山女性市議『変死』の謎に迫る 夫と娘が激白!『明代は創価学会に殺された』」でした。
記事は、タイトルのとおり、本文でも娘である朝木直子さんと夫朝木大統さんのコメントを多く取り上げており、その主張をほぼ全面的に追認するかたちで構成されていました。
創価学会は『週刊現代』が発売された翌日の95年9月12日、講談社と朝木父娘を名誉毀損容疑で刑事告訴。同9月21日付『聖教新聞』では、創価学会の秋谷栄之助会長(=当時)が「呆れ果てた捏造記事」、「何の関係もない学会を『人殺し』呼ばわりするとは、迷惑千万極まる話です」などと、朝木父娘と『週刊現代』を批判する記事を掲載。創価学会は10月6日、朝木父娘と『週刊現代』編集長の元木昌彦、講談社に対し1億円の支払いを求めて提訴しました。
創価学会から提訴されて10日後の95年10月17日、講談社は東村山まで出向き、朝木側と裁判に向けて話し合いの場を持ったそうです。講談社がわざわざ東村山まで出向いたのは、記事を出したことにより取材で世話になった朝木父娘を巻き込んでしまい申し訳ないという思いからだったようです。出版社として常識的な対応でしょう。
講談社側の出席者は『週刊現代』の編集次長、発売日に矢野氏、朝木直子さんと面会した編集担当者、法務担当者、講談社の代理人弁護士の4名。朝木側の出席者は、朝木直子さんと大統氏、矢野氏に加えて東村山出身で反創価学会ライターとして知られていた人物(乙骨氏、獅子風蓮による注)、それに小坂渉孝の5名だったとのこと。
講談社の代理人としては、この会合で何よりも優先して確認しておかなければならないことがあったとのこと。講談社の代理人は朝木父娘に対してこう聞いたという。
「コメントを出したことが問題となっていますが、いったいわないの話にはなりませんね」
この確認に対して、矢野氏は「そのようなことはありません」とはっきり答えたとのこと。
ところが後の裁判の途中で、朝木側は、このようなコメントは言っていないと主張を翻し、そもそも取材など受けていないといったというのです。
当初は、創価学会対、朝木親子+講談社の図式だったのが、朝木側と講談社の主張が対立したことで、三つ巴の闘いになったといいます。
そうして、裁判の証人として、乙骨氏が、講談社側の証言に立ち、両者の会談で、上記のようなやり取りがあったことを証言したというのです。
これは、私にとってショックなことです。
もし事実だとしたら、矢野氏や直子さんに対する、これまでの信頼が崩れていきます。
今後の予定として、両氏の著作である『東村山の闇』をネタ本にしてブログの記事を書いていこうと思っていましたが、ふたりの主張には、少し距離を置いて、より客観的に検証作業に当たらなくてはいけないと思いました。
ただ、宇留嶋氏はあくまで、創価学会に都合の悪いことは書かない立場のジャーナリストですので、彼の言い分を全て認めるわけにもいきません。
乙骨氏と連絡を取りながら、何が真実で、何が嘘なのかを、一つ一つ検証していきたいと思います。
獅子風蓮