高知県の地理がよくわからない。
高校の修学旅行で巡った桂浜のみがわたしの高知のイメージだったのだが、今回目指す土佐町は山の中にあるらしい。
移住する友の話にも、土佐町、本山町、大川村、大豊町
いろいろ出てくる。
滞在中にもウロウロとこの4つの中を走り回った。どうやら、これらが嶺北地区というものらしい。
うねうねと走る河沿いを国道は走っている。河にゴロゴロしている岩が大きい。道の両側には杉の林が迫っている。
なんとなく、暗い。お天気もイマイチだからか。
道とは対岸に牛が放牧されている一体があるらしく、水辺で牛が水を飲んでいる。
それから、もうそこは、水牛のところ、と友は言う。
わたしに負けず劣らず、だいたい感覚な友である。
今回友の移住の縁を作ってくれたのも、かつての保育園で仲間だった方である。
その方のお宅に一泊お世話になる。
「お久しぶりです。」
挨拶すると、お変わりない、と言うのは嘘で、子が一人増えていた。
この家の子は小学3年の女の子。小学1年の男の子。
新たに出現した2歳になるかならないかの女の子である。
雨がしとしと降っている。お宅に上がらせてもらう。
大きな本棚には絵本がたくさん。おもちゃもたくさん。
家中が子供部屋みたいなお宅である。
それでも、子供たちは飽きたらなくて、表に駆け出していった。
家の裏手が、山から流れる川である。
うちの末っ子なんぞは嬉しくて岩から岩へ。
そんな、こんなをしていると、知りあいの方がお昼を用意してくれているから行こうと言う。
移住する友はまだしも、行きずりのわたしなんぞに、ご馳走してくださるとは。
うねうねした山道を車で上がる。棚田の一帯を抜けると、それを見下ろすように立つ一軒家。
大阪から戻られた姉妹とお母さんが暮らしている。
地域の子供たちが、たびたび訪れるお宅らしい。聞けば、お姉さんはかつて大阪では小学校の先生をしておられたそう。
その方たちの親戚の方が貝を持ってきてくださっていて、炭で焼いていただいた。
ほら、これも焼けてる、これも。
と、じゃんじゃんいただいた。
人生で一番貝をいただいた。
タケノコやら山菜やら、お赤飯のおにぎりやら、
本当にたくさんいただいた。
ビールいかがですか?生ですよ。
昼間から二杯もいただいた。
おまけに、ちょっと離れたビニールハウスの花をもう出荷が終わって次の花にしちゃうから、好きなだけと、摘ませていただいた。
末っ子は意外とブーケをつくる事に熱中していた。
男の子でも、美しいものをつくる手作業は大好きだ。
子供たちだけでも、明日も遊びに来たらいい。
帰りがけには、そんな言葉をかけていただいた。
いただいた貝も今まで見たことのないオレンジや紫だったし、摘ませていただいた花も白、赤、ピンク、紫。
この一軒家から見下ろした棚田には雲がかかっていた。杉の生える黒い山肌に、白い雲がたなびく。
雨は降っていたけれど、なにもかもが、色彩豊かだった。
不思議なところにきたと思った。ビールが効いてきたのかもしれない。
みんな、優しい。大きくて、深くて、厚い。